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ヴィルヘルム・ケンプは本当にベヒシュタインを弾いていたのか?
http://www.asyura2.com/20/reki4/msg/707.html
投稿者 中川隆 日時 2020 年 3 月 28 日 15:31:51: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 19世紀のピアノの音色は今より美しかった、ピアノは大きな音が出せればいいという物じゃない 投稿者 中川隆 日時 2020 年 3 月 27 日 00:44:18)


ヴィルヘルム・ケンプは本当にベヒシュタインを弾いていたのか?



ケンプの戦前の録音、たとえば1940年のベートーヴェン「悲愴」の録音67682 A(当然SPレコードです)のレーベルには、「am Bechstein-Flügel」と書かれており、ベヒシュタイン使用は間違いないでしょう。


78rpm Wilhelm Kempff Beethoven "Pathetique 2nd movement" Version-5 1940
ベヒシュタイン使用



Wilhelm Kempff plays Beethoven Piano Sonata No.8 Op.13 "Pathetique".
This is electric recoording in 1940.
Taken from German original pressing.


▲△▽▼


Wilhelm Kempff - Beethoven : Piano Sonata c-moll "Pathetique" (1936)
スタインウェイ使用





▲△▽▼


Wilhelm Kempff "Pathetique" all 78rpm recordings medley edit 1924 to 1951



ケンプはベートーヴェンのピアノソナタ「悲壮」を
かなりの回数に渡って録音していますが
ここではSP盤の時代に録音された全てのテイクから
その第二楽章をメドレー形式でお届けします。
1924年のアコースティック録音から
1927年、初の電気録音盤(80回転!)へ
25センチ盤両面に渡りゆったりと演奏された1931年盤
さらに1936年、1940年盤を経て1951年盤、
78回転SP盤としては最終進化形態の
ヴァリアブル・グレード盤まで。


An medley edit of my previous posting videos of Kempff's "Pathetique".
1924 Acoustic 12"
1927 Electric 80rpm 12"
1931 Electric 10"
1936 Electric 12"
1940 Electric 12"
1951 Electric 12" Variable Grade


▲△▽▼


ピアノブランド紹介 C.BECHSTEIN(ベヒシュタイン)


"ピアノのストラディバリウス"といわれる、世界最高水準の名器


創業者 カール・ベヒシュタイン
創業年 1853年


本社所在地・製造拠点
ベルリン(アメリカ)
ザイフェナースドルフ工場(ドイツ)
フラデツ・クラーロヴェー工場(チェコ)


特徴


・立ち上がりが早く、美しく透明度の高い響き。
一音一音の輪郭がはっきりした音色と、美しくみずみずしい音の透明感が素晴らしい響きを創り出し、旋律や対旋律、伴奏、ベースといった各パートをはっきりと分離させて演奏することのできるピアノです。


・音の輪郭ががはっきり聴き取れる、音色変化に富んだ多彩なサウンド。
クラシック音楽の文化とともに培われてき歴史や要求への集大である、音色変化に富んだ多彩で純度の高いピアノサウンドが得られ、ダイナミックさや繊細さが求められるクラシックから音色のバリエーションが求められるジャズやポピュラーまで、あらゆるジャンルに対応するオールマイティーなピアノサウンドです。


・繊細かつダイナミックな表現力
シルクに触れた時のような繊細なタッチ感から嵐を連想させるような壮大でダイナミックな表現力を持つピアノで、表現しやすいタッチとクセの無い音色は、ピアノが演奏を決めるのではなく演奏者の個性を最大限に演出してくれるピアノです。


歴史


1826年、ドイツ・ザクセン州で後のベヒシュタイン創業者、カール・ベヒシュタインが誕生しました。当時のピアノ造りの最先端メーカーであったプレイエル社(フランス)の工場で修業しピアノ造りのノウハウを学び、ロマン派の全盛期であった19世紀半ば(1853年)にベルリン(ドイツ)でベヒシュタイン社を設立しました。この年、偶然にも後のライバル社となるスタインウェイ&サンズ社(ニューヨーク)、ブリュートナー社(ライプツィヒ)も創業しています。


1857年、ハンス・フォン・ビューロ(フランツ・リストの弟子で後のベルリンフィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者)がベヒシュタインのピアノを評価したことから一躍評価されるようになり、師匠のリストもベヒシュタインピアノを愛奏するようになりました。


1880年にはベルリンの工場を拡張し、1885年にはロンドン支店を設立。1900年頃には生産のピークを迎え、年間3,500台のピアノを生産しました。


また1892年にはベルリンに、1901年にはロンドンに「ベヒシュタイン・ホール」を設立し、クラシック音楽文化の発信地としての役割を担っていきました。


第二次世界大戦でドイツは敗戦国となり、ベヒシュタインの経営権は連合軍の手に渡った後、1963年にはボールドウィン社(アメリカ)がベヒシュタインを買収しましたが、1986年にドイツのピアノマイスター・実業家カール・シュルツがベヒシュタインをドイツ人の手に戻し、かつての価値を再び取り戻すことに成功しました。


1992年には「ザクセンピアノ製造会社」の経営権を引き継ぎ、1996年にはベヒシュタイン社は上場株式会社へと発展。ザクセン州ザイフェナースドルフ工場をグランドピアノとアップライトピアノの製造拠点とし、ベヒシュタイン=「ドイツ製」という明確なモットーの元にヨーロッパ最大のピアノメーカーとして伝統を受け継ぐことに成功しました。


現在では数少ない純然たるヨーロッパ製ピアノであり、ヨーロッパ諸国をはじめアメリカ、ロシアなど世界50カ国以上で愛奏されています。


主要演奏者


フランツ・リスト(ハンガリー)
ハンス・フォン・ビューロー(ドイツ)
クロード・ドビュッシー(フランス)
アルトゥール・シュナーベル(ポーランド)
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(ドイツ)
ヴィルヘルム・ケンプ(ドイツ)
ヴィルヘルム・バックハウス(ドイツ)
ヴァルター・ギーゼキング(ドイツ)


https://www.grandg.com/brand/bechstein/
 

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コメント
1. 中川隆[-13211] koaQ7Jey 2020年3月28日 15:35:05 : b5JdkWvGxs : dGhQLjRSQk5RSlE=[1693] 報告

2017年 03月 24日
ヴィルヘルム・ケンプは戦後の録音で果たしてベヒシュタインを弾いたか、の巻https://mitchhaga.exblog.jp/26526816/


オーディオ好きの間では、ピアノの録音で、どのメーカーのピアノを使ったか?、というのがよく話題になります。

以前も拙ブログで、イングリッド・ヘブラーはベーゼンドルファーを弾いたか?、という問題(笑)を扱いました。
http://mitchhaga.exblog.jp/25988419/

今回はですね、ヴィルヘルム・ケンプ(1895-1991)は戦後の録音でベヒシュタインを使ったか?、という問題です。

ベヒシュタインBechsteinというのはドイツのピアノ・メーカーで、戦前は高く評価されておりました。ただ爆撃で工場が破壊され、またオーナーのヘレーネ・ベヒシュタインがヒットラーと親しかったこともあだになり、戦後は衰えます。


ケンプの戦前の録音、たとえば1940年のベートーヴェン「悲愴」の録音67682 A(当然SPレコードです)のレーベルには、「am Bechstein-Flügel」と書かれており、ベヒシュタイン使用は間違いないでしょう。


問題は、「戦後の録音にベヒシュタインは使われたか?」、です。

ケンプの戦後のベートーヴェン・ソナタの全集は2種あります。(ライブ盤は除く)

1951年〜1956年スタジオ録音(モノーラル)

1964年11月〜1965年1月ハノーファー、ベートーヴェンザール(ステレオ)


なお、ケンプが来日したときは、スタインウェイを弾いているのは間違いないです。問題は50年代のモノ全集(旧盤と呼びましょう)と60年代のステレオ全集(新盤と呼びましょう)での使用ピアノです。


実は国内外のネット上をあちこち検索して回ったのですが、決定的な記載は発見できませんでした。LPレコードやCDにはピアノのブランドに関するクレジット記載はなく、ネットの雰囲気(笑)では、おおむね旧盤はベヒシュタインではないか、新盤はスタインウェイらしい、というような伝聞(?どこから)的記載のみでした。


ベヒシュタインのホームページに行くと、ベヒシュタインを愛用したピアニストの一人として、ケンプの紹介があります。また同様にスタインウェイのホームページには、ケンプがスタインウェイを褒めたコメントが載っています。どちらも決め手にはなりません。(汗)


そこで、唯一手がかりらしいものを見つけたのがこれです。

「Steinway Legend Wilhelm Kempff」というDGGのCD2枚組アルバムです。
ヴィルヘルム・ケンプは戦後の録音で果たしてベヒシュタインを弾いたか、の巻

この収録曲を見てみましょう、録音年代順にソートしてあります。


ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13 「悲愴」[1936年]

リスト: 2つの伝説[1950年]

ショパン: 夜想曲 ロ長調 作品9-3[1958年]

ショパン: 即興曲 第3番 変ト長調 作品51[1958年]

ブラームス: スケルツォ 作品4[1958年]

モーツァルト: 幻想曲 ハ短調 K475[1962年]

ブラームス: ピアノのための小品 作品119[1963年]

ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ 第12番 変イ長調 作品26[1964年]

シューベルト: 3つのピアノ小品(即興曲) D946[1969年]

シューマン: 子供の情景 作品15[1971年]

J.S.バッハ: 3つのコラール (ケンプ編)[1975年]


このアルバムは、Steinway Legendシリーズの一環でして、他にも別のピアニストの盤がいろいろでています。ジャケットには大きくスタインウェイのロゴが入っており、まあ同社の宣伝半分なのかなぁ、という感じがいたします。

ただ、そこまで宣伝しているのですから、このSteinway Legendシリーズに収録された楽曲は、すべてスタインウェイ使用ではないかと考えられます。

そうだとすると、驚きなのは、1936年の「悲愴」です。戦前のケンプの録音はみなベヒシュタインかと思っておりました。

ネット上で1936年盤のレーベルを探して見てみますと、1940年盤にあったBechstein-Flügelのような記載はありませんでした。してみると、これはスタインウェイ使用なのか、にわかには信じがたいのですが、どうなんでしょう。


まあ、それはそれとして、60年代ステレオ盤全集(新盤)のピアノはスタインウェイで決まりのようですね。そして、旧盤の録音年代は、ここでのリストとショパンの間にくるのですが、どうでしょう、どうも「ケンプは戦後は全てスタインウェイで録音した」可能性が高いのではないでしょうか。


本件の検討はこれまで。何か有力な情報をお持ちの方はぜひ教えてください。

あっ、記事冒頭の画像は、ケンプとお弟子さんのイディル・ビレット、ベヒシュタイン・ピアノの前で撮影。ケンプが自宅にベヒシュタインを所有していたのは確かだと思われます。

https://mitchhaga.exblog.jp/26526816/

Wilhelm Kempff (1895 - 1991)
recorded in 1936.
transfer from Jpn Polydor 78s / 65024(630/1)



バックハウスの 1969年4月18日 ベヒシュタイン使用のベートーヴェン・リサイタル
ピアノ・ソナタ第15、18、21、30番 
https://www.hmv.co.jp/news/article/1005200041/


バックハウス[1884-1969]が世を去る 3か月ほど前におこなったリサイタルは、極め付きのオール・ベートーヴェン・プログラム、しかも完全初出のステレオ音源という最高の内容です。

【バックハウスによるレコーディング】
「ベートーヴェンのエキスパート」 にふさわしく、バックハウスはソナタの全曲を1950年から1954年にかけてモノラルでセッション録音したのちに、再録がかなわなかった『ハンマークラヴィア』をのぞいて、1959年から1969年にかけてステレオでふたたびセッション録音しています。

 このたびの2枚組のセットに収められた音源は、ベーゼンドルファーのピアノを好んで弾いたバックハウスがベヒシュタインを使用しているのも興味深いところで、すべてが完全初出の内容となります。

 ちなみに、第15番は1930年代のSP録音、1953年のDeccaへの第1回目のモノラル・セッション録音、1961年Deccaへの第2回目のステレオ・セッション録音、1969年6月のライヴ録音につづくもので、5種のうち4番目にあたります。

 第18番は1930年代のSP録音、1948年のセッション録音、1954年のDeccaへの第1回目のモノラル・セッション録音、1963年Deccaへの第2 回目のステレオ・セッション録音、さらに「バックハウス最後の演奏会」として知られる、1969年6月のオーストリア、オシアッハでのライヴ録音につづく録音となり、6種中5番目に相当します。

 第21番も1950年のDeccaへの第1回目のセッション録音、1959年のザルツブルクでのライヴ録音、1959年のDeccaへの第2回目のセッション録音、1959年ボンでライヴ録音(MM006)、そして1969年6月オーストリアでのライヴ録音につづいて、5番目で6種目にあたるもの。

 第30番は1950年モノラル、1961年ステレオと、いずれもジュネーヴでのDeccaによるセッション録音につづいて3種目になります。


【ドイチュラントラジオ・クルトゥーア・アーカイブのオリジナル・ステレオ・マスター使用】
このたびもまたベルリンRIAS収録によるドイチュラントラジオ・クルトゥーアの正規音源からの復刻となりますが、ここでステレオ音源によるリリースというのもうれしいかぎりです。2010年にauditeの社主でプロデューサー&エンジニア、ルトガー・ベッケンホーフ氏が万全の音づくりで最新リマスタリングを施しています。
 (キングインターナショナル)

【収録情報】
CD1 [68:15]
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第15番ニ長調Op.28『田園』
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第18番変ホ長調Op.31-3
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番ハ長調Op.53『ワルトシュタイン』
CD2 [17:41]
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番ホ長調Op.109
 ヴィルヘルム・バックハウス(ピアノ:ベヒシュタインE)

 録音時期:1969年4月18日
 録音場所:ベルリン、フィルハーモニー
 録音方式:ステレオ(ライヴ)
https://www.hmv.co.jp/news/article/1005200041/

聴而不聞 5つ星のうち4.0
最晩年、ベルリンでのオール・ベートーベン・ リサイタル・ ライブ
 バックハウスが85歳で亡くなる3ヶ月前のリサイタルのライブ録音が残っていました。ベルリンのフィルハーモニー・ホールでの演奏で、使用ピアノは常用して来たベーゼンドルファーではなくベヒシュタインであることが記載されています。聴いて見ますとバックハウスの聞き慣れた音とは少し違うのがわかります。ホールの響きを取り入れた綺麗な収録です。ワルトシュタインを始め、どの曲も85歳のライブ録音として大変立派な演奏だと感じました。二枚組のCDですが、CD2にはOp. 109の一曲だけが収録されています。
 このあと1969年6月26日および28日にバックハウスは演奏会を行い、6月28日のコンサートの後半、ベートーヴェンのピアノソナタ第18番の第3楽章を弾いている途中で心筋梗塞と思われる症状を来たし、控室に戻りました。医師団から演奏会の中止を勧められましたが、後半のプログラムを一部変更してコンサートを終了しました。最後の曲はシューマンの幻想小曲集op.12から第1曲「夕べに」/第3曲「なぜに?」とシューベルトの即興曲 作品142-2でした。演奏終了後直ちに病院に搬送されましたが7日後の7月5日に死去しました。最後の演奏会の録音もThe Last RecitalとしてCD化されていますASIN: B0001FAC0CまたはASIN: B0000E3HKK。

KM 5つ星のうち5.0
やっぱり、星5つでしょう
このライブについての情報は、先行レビューアーさんのレビュー(2014年4月22日)が参考になる。

最近、Shigeru Kawai を購入した私は、バックハウスではなくて Kawai とベヒシュタインの音を聴き比べたくて、この CD を購入。この CD は音が良いので、ベヒシュタインの美音が快い。

このアルバムにおけるバックハウスは、必ずしも指の「動き」が、安定しているとは言えないかも知れないが、彼の2回目のベートーヴェン:ソナタ全集のおおらかさ、エレガントさに加えて、生き生きした演奏を聴かせる。このアルバムは単なる「記録」ではない…全曲が私の感覚をチクリと刺し、私の身体をピクッと反応させる。

ビワッシュ 5つ星のうち4.0
バックハウスらしさを考えるにも面白い盤
バックハウスの愛したベーゼンドルファーは、高音の華やかさ、という点では(比較するとだが)少々 ”くぐもった” 印象のある楽器だ。しかしそれはバックハウスほどのピアニストともなれば、輝かしくも感じられる高音を全体のバランスから見事に描き出してくる。(それでも他のピアノに比べると控えめな輝きの高音)

そんなバックハウスが、ここでは低音〜高音までしなやかに響かせることの出来るベヒシュタインを使用している。だから、いつものバックハウスになく華やかな音楽に聴こえる。だから、いつものバックハウスとはちょっと違う。否、かなり違う。いつものバックハウス以上に音楽が雄弁だ。
(……きっとおそらくバックハウスは常に ”自分が持つ感覚・感性を超えたところで楽器の特性に頼らない、音楽を必要以上に雄弁になんか響かせたくない” 人なのだ……だから、いままでベーゼンドルファーを愛用して来たに違いない)

正直、私もバックハウスには楽曲によって「詩味」が足りずぶっきらぼう過ぎて、例えばベートーヴェンの「7番」のソナタなども他の演奏者の方がイイな(例えば、エトヴィン・フィッシャーの演奏♪)といったものがあったりもして来た。しかしだ、しかしなのだ。そうした「詩味」溢れる演奏も聴き続けていると、ふとバックハウスの演り方が恋しくなり、奏者の勝手な思いを極力入れない表現に立ち戻ったりもするものなのだ。

やはりヴィルヘルム・バックハウスはワタシなんかの先ノ先ノ先を見、感じていた本当の芸術家、ピアニスト、なのだ(と強く感じます)。
https://www.amazon.co.jp/ベートーヴェン-ピアノ・ソナタ集-Beethoven-Sonatas-Backhaus/product-reviews/B003NEQAIQ/ref=cm_cr_dp_d_show_all_btm?ie=UTF8&reviewerType=all_reviews


投稿日:2010/10/09
今年の9月に、バックハウスのモ−ツァルトとブラ−ムスのピアノ協奏曲のライブ録音を聴いて感動したが、このライブも極め付きだ。
ピアノがベ−ゼンドルファ−でないため、最初は少し違和感があったが、曲が進むにつれてそんなものはどこかへ消えてしまった。
いずれも彼が好んで弾くベ−ト−ヴェンのソナタであるし、どの曲も一見淡々と進んでいくように聞こえるが、これこそ彼が到達した境地であろう。

しかしながら、ブラ−ムスの協奏曲でも述べたように、これらの演奏は決して枯淡の域ではない。演奏そのものが若いし、彼自身3ヵ月後に人生の終末が来るなどとは、思ってもいなかっただろう。彼の最後の演奏会で、誰もが聴けなかった18番の第4楽章が、ここでは華やかに演奏されているし、15番は彼自身がこの曲を演奏して楽しんでいるようだ。細かいところで少しミスはあるにしても、豪放な演奏のワルトシュタイン、そして、いちばん気に入ったのは30番だ。まだ10代の頃、この曲を初めて聴いたのがバックハウスのモノ-ラルLPレコ−ドだったせいもあるが。 


投稿日:2016/04/
素晴らしいCDだ。ファンにとっては神の演奏が聴ける。
バックハウスの晩年の演奏はやはり年齢によりムラがあると思うが、亡くなる三ヶ月前のこのベルリン・ライブはよほど調子が良かったのではないか?
ミスタッチは「ワルトシュタイン」で散見(聞?)されるが、何よりあの重いタッチと音色が健在なことが何より嬉しい。

ベヒシュタインだからというのは皆さんのいわれる程気にならないが、演奏のせいもあって華やいだ気配を添えている感はある。それが素晴らしいステレオの音で聞けることに感謝したい。

『田園』は興が乗っていたのか、かなり動きの多い、というかライブならではのノリの良さが目立ち、老人はいつもより早足で田園を逍遙する。心の泡立ちを抑えられないかのようだ。渋くて動きの少ないスタジオ盤とは好き好きだろう。

Op.31-3でもそれは継続しており、如何にも嬉しそうに音楽が生起していく。老人の低回趣味はいささかも見られない。スケルツォの若やいだ心の弾み方はどうだ。最後のリサイタルで弾けないで終ってしまった終楽章もここでは闊達極まりない。天衣無縫といおうか。

「ワルトシュタイン」は、スタジオ録音が早い時期のために音質が今イチであったので、この録音の方がバックハウスの壮大なピアニズムを遥かに味わえる。フィナーレは少し疲れたかなぁという感もあるが、全体としては迫力満点で豪快そのもの。85歳時で死の少し前の人の演奏とは思えない。

Op.109(CD二枚目はこれだけ=17分)もライブらしい即興性が目立ち、主題のモチーフからして冒頭の十六分音符を短く切り上げ付点音符に引っ掛けるように弾く所がスタジオ盤と違い、アゴーギグも大きい。ここも好き好きかもしれない。でも最後の変奏曲はやはり感銘深い音楽だ。

https://mitchhaga.exblog.jp/26526816/

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