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(回答先: コロナ・ウイルスは簡単に感染し、生存期間は 2週間を超える 投稿者 中川隆 日時 2020 年 4 月 01 日 17:54:23)
AIが世界中の新型コロナ論文20万本を読み解く
NHKスペシャル「AIで迫る いま知りたいこと」
田部康喜 (コラムニスト)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/21355
NHKスペシャル「新型コロナ 全論文解読〜AIで迫る いま知りたいこと〜」(11月8日)は、AIが世界の論文20万本以上を読み解き、新型コロウイルスに対する科学者たちの戦いを描いている。日本の冬に感染は拡大するのだろうか。収束はいつになるのか、その決定打はなんなのか。このウイルスの真の恐怖とは。“究極”の対策とは何か。
「正しく恐れる」――新型コロナウイルスの感染が広がり始めた当初から、繰り返し述べられてきた言葉をはっきりと実感させる、力作である。本シリーズの執筆に心がけている評論的な視点をあえて避けて、番組の内容をできるだけ忠実にかついつものページを超えてご紹介したい。
第1に、日本の冬に欧州のような感染拡大は起こるのだろうか。冬場の感染について、AIが抽出した論文は350本以上だった。キーワードの1位は「気温」、2位は「湿度」、第3位は「ビタミンそれもビタミンD」である。最後から述べると、ビタミンDは免疫力を高める効果があるという研究結果である。
気温と湿度の関係をみると、ウイルスの生存時間は「35℃−60%(夏場に相当)」なら2時間で死ぬが、「24℃―20%(秋口に相当)」なら15時間もかかる。冬にかけては、感染リスクが高まる。予測研究の権威である、マーク・リプシッチ教授は「日本でもこの冬、予測は困難ではあるが、春と夏の対策では十分ではなく、冬に感染が急増する可能性はありうる」と警告する。
日本をはじめとするアジア諸国と欧米を比較した場合、新型コロナによる死亡率の差に注目が集まる。人口100万人当たりで、日本が13人、韓国が9人、マレーシアが6人、ベトナムが0.4人であるのに対して、欧米は500人をはるかに超える国々が多い。
死亡者を押さえ込む要因として、AIが抽出したキーワードが「交差免疫」である。新型コロナウイルスではない、季節性のウイルスに感染していた場合に新型コロナに対してもある程度の免疫が働くのではないか、という推定である。
新型コロナウイルスに感染した患者のなかで、過去に別のウイルスに感染しなかった人の重症化率は28.1%であったのに対して、感染した人は4.8%だった。ボストン大学医学部のマニッシュ・サガール教授は「季節性ウイルスの感染があれば、重症化が国によって差が出るのは、交差免疫による」と語る。
日本人50人の血液分析によると、75%の人に交差免疫があった。東京大学先端科学技術センターの児玉龍彦・名誉教授は「(日本人は)交差免疫によって、コロナウイルスに感染しても中軽症にとどまっている可能性がある」と指摘している。
AIが抽出した、マスクに関する論文は驚くべきものだ。予防手段と考えられているマスクが、免疫力を向上させる効果もあるのではないか、という研究である。
米国の病院において、スタッフの感染の広がりをみた。マスクを着用していた37人のうち、3週間で13人が感染したが、症状がでたのは1人で残り12人は無症状だった。全員がコロナウイルスに対する免疫を獲得した。マスクをしていると、ウイルスの量が少ないので抗体も少ししかできないが、微量で感染が続き抗体が知らぬ間に増えるのではないか、と考えられている。
マスクなしでは、抗体を獲得した人は20%に過ぎなかったが、上記のようにマスクをした人は92.3%が抗体を獲得した。実に3倍である。
ただ、大阪大学免疫学フロンティア研究センターの免疫学の権威である、宮坂昌之氏は次のように述べる。
「交差免疫が重症化を食い止めているとはいえる。科学的に証明はまだできていない。新型コロナにかなりにくい遺伝子がある、とも推測されていがまだはっきりとしない。マスクについても、米国では来年2月までにマスクをしないと50万人が死ぬと推定され、マスクによって13万人の死亡者が減らせるともいわれている。しかし、マスクがウイルスを吸い込む量を減らすのかは、まだわかっていない」
収束のカギは?真の恐怖は?
第2に、収束はいつになるのか、その決定打は何なのか。AIが導き出したのは、トランプ大統領も感染後に治療を受けた、人工抗体による「抗体医療」と、「ワクチン」である。免疫学などの世界の知のトップにいつ収束するかを尋ねた。2021年8月〜9月が4人、21年末が3人、来年のどこかの時期が2人、収束しないが1人だった。
マウント・サイナイ医科大学のフロリアン・クラマー教授は「楽観的なシナリオで、ワクチンが春までに実用化されれば、夏にはかなり落ち着く」という。
ハーバード大学医学部のダン・バルトーク教授は「ワクチンが90%の人に効く場合と、50%の人に効く場合とでは全く違う。ワクチンなしでは収束しない」。
国立感染症研究所の長谷川秀樹氏は、ワクチン開発のトップランナーといわているが、「すべての人が打てるワクチンがいつまでにできるかはわからない。安全性を重視しなければならないからだ」。
先の大阪大学の宮坂氏は「抗体医薬は、米国で第3層の治験すなわち最終段階に差し掛かっているので、ワクチンよりも実用化が早いかもしれない。ワクチンはさまざまなウイルスに対して開発されてきたが、あまりうまくいっていない」。
第3に、新型コロナウイルスの真の恐怖とはなんなのか。米国の女優、アリッサ・ミラノの投稿動画が紹介される。彼女はコロナウイルスに感染した。髪の毛をとかすと、大量の毛が落ちる。4月に感染して、ウイルスが消えても、めまい、胃の痛み、生理不順など後遺症を訴える。
世界の医師が、後遺症として100以上を挙げている。下痢、不整脈、脳卒中、幻覚――風邪では考えられない。
AIによって、研究者が注目しているキーワードは「ブレイン・フォグ(脳の霧)」である。感染者の脳のなかで、いったい何が起きているのか。
大阪市立大学医学部の倉恒弘彦・客員教授は感染患者の脳の断層写真を見ながら、次のように説明する。
「白い部分は、炎症です」
英国の研究によると、脳の中心部の記憶をつかさどる部分に炎症が起きて、認知機能が低下する。そのメカニズムはどのようなものなのだろうか。
コロナウイルスは、口から肺に入って、「ACE2」と呼ばれる突起のある細胞のその部分にとりつく。「ACE2」は、脳の中心部にも存在する。「脈絡叢」の部分である。この部分は本来、ウイルスなどが脳に侵入するのを防ぐバリアの機能を果たす。しかし、コロナウイルスは「ACE2」にとりついて、バリアを壊す。思考力を失わせる。
風邪ウイルスは、呼吸器官に症状をあらわす。しかし、「ACE2」は腎臓や血管、心臓などさまざまな臓器につまり全身に存在する。100以上の全身症状がでる原因である。
ただの風邪とは、まったく異なるコロナウイルスの「脅威」である。
イエール大学医学部の岩崎明子教授は、米国において30年以上も研究を続ける免疫学者である。「ブレイン・フォグ(脳の霧)」の提唱者でもある。
コロナ死の3人のうち1人の脳に感染があったことを明らかにする。
「脳の霧」の原因はなにか。岩崎教授によると、ウイルスによる直接感染と、免疫の暴走(過剰反応)のふたつが考えられるという。
後遺症が長く続く人にはどのような特徴があるのか。岩崎教授によると、80%が女性であり、平均年齢は44歳だという。重症者が高齢者に多いのとは対照的である。女性に多いリュウマチなどの「自己免疫疾患」が影響しているのではないか、とみている。
「若くて、アスレチックだとしても安心できない。症状が続く」と。
AIが導き出した最大限の対策
最後に、番組は「見えた“究極”の対策」とタイトルを掲げた。
AIが「感染予防」の領域で、論文のキーワードで急上昇しているのは、5位の「加湿器」である。
先のイエール大学医学部の岩崎教授は、「のどの奥にバリアゾーンがある」と説明する。それは、気道を覆っている「線毛」である。細かく動いて、ウイルスを外へ外へと押し出す。粘液を使ったバリアゾーンなので、乾燥すると、この線毛の動きが鈍くなり、バリアが弱くなる。
湿度は、40〜60%が、線毛の動きにはよいという。
この理論もまた、岩崎教授の発見である。
「感染予防」のキーワードの2位は、「紫外線」である。しかも、222ナノメートルの波長の紫外線が、コロナウイルスを殺すのには最適だという。通常の殺菌に使われている紫外線は、人間の皮膚の深層に到達するので、日焼けやからだに害を及ぼしかねない。222ナノメートルの紫外線は害がない。
この紫外線発生装置は、一般用にはまだ販売されていないが、医療機関用には実用化されて、石川県加賀市医療センターなどで使用されている。
「低濃度オゾン」もコロナウイルスの除去に役立つ。すでに、タクシーや飲食店で利用が始まっている。
岩崎教授は、冬に鼻の温度が下がることにも注意を促す。冬場は、33℃から37℃に落ちるので、マスクなどで温度の低下を防ぐのもコロナ対策には有効だという。
全体を総括するとともに、提言として、大阪大学の免疫学の権威である宮坂氏は次のように視聴者に語りかける。
「基本的な対策、つまり3密を回避し、手指を消毒し、換気を徹底したうえで、新技術を活用することが大事である。基本的な対策をとれば、新型コロナにはなかなかかからない。我々はこのウイルスに勝てる」
番組は、NHKの聴取料を支払っていれば、「NHK+」に登録のうえ、11月15日(日)午後9時54分まで視聴が可能である。
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