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(回答先: JR東海社長「2037年のリニア大阪開業は難しい」(元から解っていた事!) 投稿者 戦争とはこういう物 日時 2020 年 8 月 06 日 17:00:51)
ようやくリニア事業そのものに対する疑問や問題を指摘する記事が増えてきている。本来国が国会で批判を受けつつ、なんとか妥協と修正を繰り返してやっと実現するのが大規模鉄道事業。調査期間も路線もいい加減に、上から目線の国家的企業が仲良しの与党党首の後ろ盾で通した計画には、子供でも解る不備が噴出している。
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静岡だけの問題か?リニアをこじらせるJR東海の「強情」体質
『梅原淳』 2020/08/05読了まで10分
https://ironna.jp/article/15547
梅原淳(鉄道ジャーナリスト)
品川−名古屋を結ぶJR東海の「リニア中央新幹線」の建設をめぐり、静岡県とJR東海の対立は収まる気配を見せない。
両者の主張が平行線のままなのは、リニア中央新幹線が通る南アルプストンネルの掘削によって水量が減るとみられる大井川にどのくらいの水を戻すかにある。静岡県はトンネルに流れる湧き水全量を戻すべきだと主張し、JR東海は静岡県内の区間の湧き水であれば戻すと言っているのだ。
一見すると、両者の言い分は同じように見えるので、対立の舞台である南アルプストンネルについて説明しておこう。長さ25・0キロの南アルプストンネルは全区間で静岡県を通っているのではない。品川駅側の入口から6・6キロは山梨県の区間、名古屋駅側の入口から7・7キロは長野県の区間であり、真ん中の10・8キロが静岡県の区間となっているのだ。
通常、山岳トンネルの構造は、山中からトンネルに流れた湧き水は両端の入口に流れていく。南アルプストンネルへの湧き水も、そのままであれば山梨県か長野県に向かい、本来は大井川に流れていたはずの水が失われてしまう。
問題の解決を困難にしている要因はいくつか存在する。大別すると、自然に起因するもの、そしてJR東海という企業の体質に起因するものがある。
自然に起因するものとしてまず挙げられるのは、大井川と南アルプストンネルの位置関係だ。
大井川は南アルプストンネルが貫く山の上に位置するので、トンネルを掘削することによって大井川の水がトンネル内に大量に流れてしまう。そうかといって、リニア中央新幹線のルートを大井川の上、つまり橋梁で通過させるのも、坂があまりにも急になりすぎてリニア中央新幹線の車両が高速で走行するのに支障をきたす。
*リニア中央新幹線の工事予定地への林道を視察後、取材に応じる静岡県の川勝平太知事=2020年7月21日、静岡市https://prt.iza.ne.jp/kiji/politics/images/200721/plt20072121420033-p1.jpg
もう一つは南アルプストンネルが長大であるため、仮に静岡県内の区間だけであってもトンネル内への湧き水のすべてを大井川に戻すことは現実的には難しいという点だ。
南アルプストンネルから大井川に湧き水を送るため、JR東海は導水路トンネルを掘るという。導水路トンネルへと自然に流れる水量は毎秒1・3立方メートルで、静岡県内の区間への湧き水全体の量と目される毎秒2・67立方メートルの半分程度にとどまる。
南アルプストンネルには傾斜があるため、導水路トンネルとの接続地点よりも下に位置する区間で、湧き水は当然のことながら導水路トンネルへは流れないからだ。となると、南アルプストンネル内全ての湧き水を、坂の上にある導水路トンネルへと汲み上げることはまず不可能と言ってよい。
さすがにこれでは少ないと、JR東海は毎秒0・81立方メートル分を必要に応じてポンプでくみ上げる計画を立てた。それでも残る毎秒0・56立方メートル分はそのまま長野県側に流れていく。
ところで、毎秒1・3立方メートルに毎秒0・81立方メートルを合わせた毎秒2・11立方メートルとした根拠は何なのか。JR東海が2014年8月のリニア中央新幹線の「環境影響評価書」の策定に際して、南アルプストンネル掘削の影響で失われると予測した大井川の流量の減少値だ。
具体的には、田代川第二発電所取水堰(せき)上流で工事着手前の毎秒12・1立方メートルが、トンネル完成後、毎秒9・99立方メートルに減るというもので、既存の資料調査及び地質調査に基づき水収支解析モデルを作成して算出されている。
ただし、この予測値は、トンネルがコンクリートで覆われていない状態だったり、防水シートや山中への薬液注入の不使用をもとにした量である。現実には、こうした対策はとられるので、湧水量が減り、大井川の流量の減少も抑えられるであろう。ただし、どの程度かは不透明であり、確実とはいえない。
JR東海の企業体質に起因するものとして、国土交通省が作成した「大井川水資源問題に係る主な経緯」という資料で、同社に抱く静岡県の不信感が随所に記録されている。簡潔にまとめると、過去に同社は静岡県から説明を求められても丁寧な回答をせず、2027年に品川−名古屋間を開業させたいという自己都合を前面に押し出しすぎて、真摯な話し合いを避けてきたとしか見えない個所が随所にあった。
筆者はJR東海の肩を持つつもりはないが、南アルプストンネルのような長大トンネル内の実際の地質や湧水量については、掘ってみないと分からない点が確かに多い。同社は1キロ先の地質を確認できる超長尺ボーリングをトンネル掘削の先進技術の一つとして挙げている。
鉄道のトンネルでは青函トンネルの掘削の際に本格的に導入された超長尺ボーリングは確かに画期的な技術である。同時に、現代の技術ではまだ正確に把握できるのは1キロ以内に過ぎない。繰り返すが、南アルプストンネルの長さは25・0キロもあるのだ。
このように、静岡県が満足するような答えをJR東海が提示できなかったことも、時と場合によってはやむを得ないといえる。だからといって、静岡県の関係者にはどうせ理解できないからと調査結果を開示しなかったり、不明な点を明らかにしないという態度をとったのであれば、それは公共交通機関の担い手のあるべき姿ではない。
今挙げたようなトラブルは、筆者が静岡県以外のリニア中央新幹線沿線の関係者に取材したときにも、声をそろえて言っていたことだ。関係者といっても、リニア中央新幹線の建設に反対している人たちばかりではない。むしろ推進派の人たちの方が多く、そういった人が平然と同社を非難するのは、よほどの事情があってのことだといえる。
*名古屋市内で記者会見するJR東海の金子慎社長=2020年7月15日https://ironna.jp/file/w640/h640/cover/bff84c98bc3d0621c8bfc6a7d45c0c29.jpg
JR東海の姿勢は、リニア中央新幹線の推進派として真っ先に名を挙げられる与党の自民党に対しても同様らしい。その自民党は7月30日に「超電導リニア鉄道に関する特別委員会」を開催し、同社の金子慎社長を党本部に招いている。
静岡新聞(2020年7月31日付)によると、出席した県選出の国会議員は、金子社長が出席者からの質問に真摯に回答していたと評価したが、「最初からきょうのようにすれば、ここまでこじれることはなかった」とも語っていたという。
とはいえ、今さら過去を振り返っても仕方があるまい。静岡県が南アルプストンネルの建設許可を出さなければ、リニア中央新幹線は前に進めないからだ。
同時に、リニア中央新幹線の建設工事は何も静岡県だけで遅れているのではなく、神奈川県でも長野県でも愛知県でも遅れていて、2027年の開業は無理とは言わないが、難しいのは確かといえる。こうした現実をJR東海は受け入れなければならない。
静岡県とJR東海の対立の仲裁に入った国交省は、2020年1月にトンネル工学や水文学(すいもんがく)の分野の専門家などから構成される「リニア中央新幹線静岡工区有識者会議」の設置を提案し、静岡県も中立性や公平性の担保を条件に設置を受け入れた。ただし、有識者会議としての結論が出される前に、同会議の福岡捷二(しょうじ)座長(中央大研究開発機構教授)がトンネル工事による大井川中下流域への影響は少ないという認識を示した点に、静岡県はもちろん、同会議の委員からも異論が出され、なかなか先へ進まない。
言うまでもなく、有識者会議は科学者の立場から、南アルプストンネルを途中まで掘削した実績に基づいて、大井川の流量の変化について、あくまでデータに基づき客観的に人々を納得させなくてはならない。何事にも絶対はあり得ないから、予測値には実現の期待値が必要だ。そうでなければ科学ではなく、別の分野となってしまう。
折しもコロナ禍によって日本の社会の在り方が変わり、「出張が当然」という仕事の進め方にも変化の兆しが生じてきた。
だからといって、2024年に開業60年を迎える東海道新幹線の行き詰まりは容易に解決できるとは思えないし、リフレッシュのために大規模な修繕工事を施工する時期は近いうちに訪れる。車両が超電導リニアであるべきか、そして今の計画ルートが最善であるかは別として、東海道新幹線の救済は何らかの形で必要となろう。
という次第で、着工済みのリニア中央新幹線は条件付きで開業を目指すべきである。その条件とは、場合によってはルートの変更も辞さないというものだ。
開通済みの新幹線のトンネルには、南アルプストンネルのように地下水脈に影響を及ぼすため、設計段階でルートを変えて克服した例がある。JR九州の九州新幹線博多−新鳥栖間にある筑紫(ちくし)トンネル(長さ約12キロ)だ。このトンネル内には、四つのダムの水源となる地下水脈があり、新幹線では例外的といえる3・5%の急勾配を設けることで避けている。
南アルプストンネルも、急勾配によって大井川への影響を回避できればよいが、現状でも4%の急勾配が存在するため、さらに勾配をきつくすることは難しそうだ。となると、水平方向、具体的には北側に迂回して静岡県から遠ざかるルートの選択も検討されてよいのではないか。
*報道関係者向け試乗会で公開されたリニア中央新幹線の試験車両「L0系」=2019年10月、山梨県都留市のJR東海山梨リニア実験センター(渡辺浩撮影)https://cdn.ironna.jp/file/w480/h360/9a352d158de72c1d4dd7d3e8c2a75bab.jpg
筆者は子供たちから鉄道に関する質問を受ける機会が多々ある。その中でリニア中央新幹線のルートに関するものもあった。
「なぜ、わざわざ工事の大変な場所ばかり通っているのか」。荒唐無稽ながら、静岡県とJR東海の対立解消には、こうした子供の考えの方が案外有効かもしれない。
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http://www.asyura2.com/18/hasan126/msg/668.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 4 月 10 日 02:30:05: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
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- リニア計画「推進」の吉村洋文・大阪府知事と「見直し」の川勝平太・静岡県知事との違いは?(利益の方が大事?!) 戦争とはこういう物 2020/8/06 17:34:14
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