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リビアのムスリム同胞団をめぐり、トルコとエジプトが衝突する可能性
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201912280000/
2019.12.29 櫻井ジャーナル
リビアは2011年にNATOの空爆とアル・カイダ系武装集団の地上攻撃によって破壊された。ムアンマル・アル・カダフィ時代にはヨーロッパ諸国より生活水準の高く、教育、医療、電力料金は無料で、農業は元手なしで始めることができる国だったが、今は暴力が支配する破綻国家だ。
その破綻国家を統治する組織と国連が認めているのはファイズ・サラージをリビア大統領評議会議長とするトリポリのGNA(国民合意政府)だが、ハリファ・ハフタルのLNA(リビア民族軍)がGNAを凌駕する力を持ちつつある。
ハフタルはCIAの1960年からCIAに保護されていた人物で、彼に従う武装グループはアメリカで軍事訓練を受けてきた。そのハフタルの勢力は今年に入ってからムスリム同胞団を殲滅するという看板を掲げて戦っている。
ムスリム同胞団は歴史的にイギリスとの関係が深い。1948年にエジプトの首相を暗殺した後、創設者のハッサン・アル・バンナが殺され、メンバーの大半が逮捕されて組織は壊滅状態になった。それを1951年に復活させたのがCIAとMI6だ。
エジプトは1952年7月にクーデターで王制から共和制へ移行し、ガマール・アブデル・ナセルをはじめとする自由将校団が実権を握ったが、その背後にはムスリム同胞団がいたと言われている。
アメリカは自由将校団を使ってコミュニストを押さえ込もうとしたようだが、イギリスはクーデター政権を倒そうとする。アメリカとイギリスとの間で対立が生じたわけだ。その際、アメリカはナチス親衛隊の幹部だった人物や数百名の元ゲシュタポを治安対策のため、エジプトへ送り込んだ。
そうした中、1954年にムスリム同胞団はナセル暗殺を試みて失敗し、逮捕を免れた同胞団のメンバーは国外へ脱出する。その多くはサウジアラビアへ逃げ込んだ。この暗殺計画の黒幕はイギリスだとみられている。
バラク・オバマ大統領は2010年8月、中東や北アフリカを侵略するために自国が主導する軍隊ではなく、ムスリム同胞団をはじめとするジハード傭兵を使うことにした。
エジプトもムスリム同胞団によって一時期支配された。その体制を転覆させたのがアブドル・ファターフ・ア・シーシー。現在の大統領だ。このシーシーは10月23日と24日にロシアのソチで開かれたロシア・アフリカ首脳経済フォーラムでロシアのウラジミル・プーチン大統領と共同議長を務めている。ロシアとエジプトは接近しているのだ。
ハフタルのLNAを支援するため、そのエジプトがF-16戦闘機でトリポリやミスラタを空爆しているとする情報が出てきた。捕虜になったLNAの空軍幹部がそう話しているのだ。その幹部によると、フランスの専門家チームが偵察、通信傍受、兵站活動を指揮しているともいう。
それに対し、トルコがGNAを支援するため、軍隊をリビアへ派遣するという話が出てきた。リビアのカダフィ体制を崩壊させた後、侵略勢力は戦闘員と武器/兵器をシリアへ運んだ。当時、侵略勢力の中にはトルコも含まれていた。そのトルコがシリアから戦闘員と武器/兵器をリビアへ戻すのではないかとも言われている。
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