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国内ニュース2019年12月4日 / 18:16 / 17分前更新
アングル:日銀の政策達成にコミュニケーション改革必須
Reuters Staff
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[東京 4日 ロイター] - 日銀の金融政策に対する国民の理解度が過去最低となっている。日銀の調査によると、7割超の人が、日銀が積極的な金融緩和を行っていることすら知らない。量的・質的金融緩和は「期待」に働きかける政策だが、調査結果を見る限り、政策は国民に行き届いていない。専門家からは、政策効果を高めるためにも抜本的なコミュニケーション改革が必要との声も出ている。
<日銀の政策、「関心なし」「聞いたことがない」>
「物価目標2%を理解してもらうのは最終ステージで、まずは何をしているのかを理解してもらうところから始めたほうがいい」──。こう話すのは、日銀出身で野村総合研究所主席研究員の井上哲也氏だ。
日銀が四半期に1回実施している「生活意識に関するアンケート調査」(2019年9月調査)によると、日銀が消費者物価の前年比上昇率2%を物価安定の目標として掲げていることを知っている人は22.7%で、過去最低を更新した。
積極的な金融緩和を行っていることを知っている人も24.2%にとどまり、回答者の7割超は「見聞きしたことはあるが、よく知らない」か「見聞きしたことがない」という状況にある。
そもそも、日銀の活動に「関心がある」人も24.2%と少なく、一方の「関心がない」は44.0%との結果も出ている。(6月調査)
関心がない背景には、金融・経済のわかりにくさもあるようだ。日銀の説明はわかりやすいかとの問いに対して、「わかりやすい」と答えた人はわずか5.8%で、「わかりにくい」は53.8%に達している。
わかりにくい理由を問うと、「日銀について基本的知識がない」という回答が44.2%、次いで「金融や経済の仕組み自体がわかりにくい」が41.2%、「日銀の説明や言葉が専門的で難しい」が40.2%と続いている。
さらに4番目の理由として「そもそも日銀の説明を見聞きしたことがない」が28.6%に上ることも見逃せない。
日銀は2019年に金融政策に関連する講演・挨拶だけでも26回(12月4日現在)行っており、これに年8回ある金融政策決定会合後の総裁会見や国会における説明などを入れると、「説明責任はそれなりに果たしていると言える」(市場関係者)。
それもかかわらず、3割弱が日銀の説明を聞いたことがないと回答している現状は、コミュニケーションの仕方に改善の余地があると言えそうだ。
<必要なのは国民目線に合わせたコミュニケーション>
日銀はこれまで市場やメディアとの対話を重視してきたが、情報の伝達ルートが多様化する中で、ひとつのルートだけでは国民に情報が届きにくくなっている。このため、さまざまなルートを用いた、国民の目線に合わせた直接対話がこれまで以上に重要になっている。
金融機関や金融リテラシーを研究している桃山学院大学経済学部の北野友士准教授は、イングランド銀行(英中央銀行)の取り組みが参考になるのではないかとみている。
イングランド銀行は、1)意思疎通(コミュニケーション)、2)会話(カンバセーション)、3)教育(エデュケーション)──の3つのルートによる家計への働きかけを強めており、視覚的にわかりやすい情報発信をしたり、「関係者がラジオ番組に出て、一般リスナーからの質問に答えたりしている」という。
北野准教授は「こうした取り組みは非常に大事で、結局、金融の専門家ではない人が実際に行動してくれないと、物価安定の目標は達成できない」と指摘する。
日銀も手をこまねているわけではない。日銀の業務などについて説明する出前講義を行ったり、SNS(交流サイト)を活用したりしているが、国民との直接対話という点では欧米に見劣りする。米国は「Fedリッスンズ」と呼ばれるイベントで国民との対話を続けている。
井上氏は、日銀の政策委員が全国で実施している金融経済懇談会のあり方を見直すべきと提言している。「現在の懇談会の参加者は地銀の頭取や地元産業界のトップだが、主婦に参加してもらうとか、地元大学を訪れ学生と対話をするとか、地場の中小企業従業員と話をするとか、あり方を見直したほうがいい」。
非伝統的な政策においては、国民の理解度が重要な鍵を握る。北野准教授は「インフォームド・ディシジョン、情報に基づき意思決定をしていくことの重要性をもう少しきちんと教えていかなければいけない」と、金融リテラシー教育の必要性も指摘した。
志田義寧 編集:田中志保
https://jp.reuters.com/article/boj-comunication-idJPKBN1Y80YZ
マイナス金利は有害−PIMCOが批判陣営に加わる、重大な欠陥3点
Piotr Skolimowski
2019年12月4日 16:11 JST
デンマークでは小口の顧客にコストを転嫁する銀行が増える
かつての禁じ手が標準になるかも可能性もある
債券ファンド大手の米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)が、マイナス金利政策には効果より弊害の方が大きいと指摘するグループに加わった。
PIMCOは3日公表したリポートで、マイナス金利の重要な欠陥を3つ挙げた。第1は銀行の収益性を圧迫し、貸し付けを減らす結果になる可能性があることで、第2は市場のリターンを押し下げ固定給付を提供する年金基金と保険会社にとって「深刻な難題」なることだ。貯蓄者が貧しくなっているように感じる「幻想」を生み出し消費を抑制することが3番目の問題点だとしている。
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マイナス金利を採用している欧州中央銀行(ECB)と日本銀行にはかねてから、こうした批判が向けられているが、1兆9000億ドル(約206兆円)を運用するPIMCOの指摘には重みがある。 ゴールドマン・サックス・グループのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)もマイナス金利政策を「失敗した実験」と呼んだ。
Less Than Zero
Five central banks have negative interest rates
Source: ECB, SNB, Riksbank, Danmarks Nationalbank, BOJ
PIMCOのポートフォリオマネージャー、ニコラ・マイ、ぺダー・ベックフリス両氏は、「マイナス金利政策の意図せぬ結果は既に顕著だ。これ以上実行する余地はあまりない」とコメントした。
PIMCOは、銀行では「重大なトラブルが水面下で醸成されている」とも分析。また、リターンを高めるために流動性の低い資産に投資家が目を向けることが、年金基金にとって特に危険だとし、不安定化したり、義務付けられている一定水準の支払いができなくなったりした場合に資本注入の必要性が生じる可能性などに触れた。
預金者の懸念も増している。政策金利がマイナス0.75%のデンマークでは、リテール(小口)の顧客にコストを転嫁する銀行が増えており、かつての禁じ手が標準になるかもしれない。PIMCOによると、「一部の国で家計貯蓄率が上昇した兆候がある」という。
原題:
Pimco Joins Chorus of Negative Rate Detractors as Backlash Grows(抜粋)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-12-04/Q1Z1OOT1UM0X01
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