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年金の基礎知識と、受給額が激減するシビアな未来を生き抜くヒント 都心ではっきり見えてきた、経済力がなければ子を持てない格差の拡大
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投稿者 鰤 日時 2019 年 10 月 30 日 23:54:03: CYdJ4nBd/ys76 6dw
 

年金の基礎知識と、受給額が激減するシビアな未来を生き抜くヒント
2019年10月29日(火)12時39分

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年金の基礎知識と、受給額が激減するシビアな未来を生き抜くヒント
そもそも日本の年金制度は老後の生活を完全にカバーできるものではない YAGI-STUDIO/ISTOCKPHOTO

<一部の富裕層以外は定年後も働くしかない。生活水準の維持に不可欠なのは、今から「後半戦」キャリアを意識すること>

年金2000万円問題をきっかけに、公的年金への関心がこれまでになく高まっている。だが、公的年金の仕組みは複雑なので「正直なところ年金の話はよく分からない」という人が多いのではないだろうか。以下では、公的年金の仕組みや年金減額の見通し、世代間格差の現実について可能な限り分かりやすく説明する。

日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金(公務員共済等含む)の2階建てになっている。国民年金は全員が加入することになっており、サラリーマンは、これに加えて厚生年金にも加入する。国民年金と厚生年金では、保険料の徴収や年金の支払い基準が異なるので、まずは両者の違いについて知っておくことが重要だ。

国民年金は毎月一定額の保険料を支払い、支給開始年齢(現在は65歳)に達したときから、毎月一定額の年金を受け取る仕組みである。一定額を支払って一定額を受け取るので、シンプルで分かりやすいルールと言ってよいだろう。現時点における国民年金の月額保険料は約1万6500円で、受け取る年金の額は約6万5000円。つまり、毎月、1万6500円を40年間支払っていれば、月額6万5000円の年金を受け取れる。

一方、厚生年金の保険料や年金の給付額は収入によって変わってくる。

厚生年金は、年齢によっても異なるが、大ざっぱに言うと、現役時代の平均年収が約530万円(モデル世帯の年収を流用)だった場合、国民年金と合算した月額給付額は現時点で約15万5000円となる。内訳は国民年金が一定額の6万5000円で、年収に応じて支払われる厚生年金が9万円である。

年収530万円ということは月収約44万円だが、この収入に対して毎月徴収される保険料は約8万円である。もっとも会社員の場合には、保険料の半分を会社が負担してくれるので、自己負担分は約4万円で済む。つまり個人ベースで見れば、4万円の保険料を40年間支払っていれば、毎月15万5000円の年金がもらえる計算になる。

今後も段階的削減は続く
この数字だけを見ると、意外と多いと感じたかもしれないが、ここにはカラクリがあるので注意が必要だ。

まず、年金の計算で使われる年収というのは、厚生年金加入期間全体の平均年収であって、個人の退職時の年収を示したものではない。日本企業の多くは年功序列の給与体系なので、若いときの年収は低い。退職時に800万円くらいの年収がなければ、40年間の平均年収は530万円にはならないと考えたほうがよいだろう(将来、年功序列の賃金が崩れれば平均年収はさらに低くなる)。

また政府の説明には、多くの人にとってなじみのある額面収入ではなく、どういうわけか、税金や保険料などを差し引いた手取り年収が使われている。従って、現役世代の平均年収に対する年金受け取り開始時の年金額の比率を示す「所得代替率」についても、「額面どおり」には受け取らないほうがよい。

次のページ問題は世代間格差ではない
先ほど、40年間の平均月収が44万円(年収が530万円)だった人は、毎月15万5000円の年金がもらえると説明したが、政府は手取り月収である約36万円を収入と見なしている。36万円に対して15万5000円の年金が支払われるので所得代替率は43%になるが、額面ベースで所得代替率を計算すると35%にしかならない。

さらに言うと、政府は「所得代替率50%を維持する」と説明しているが、これは専業主婦世帯を基準にしたものなので、単身世帯の場合には当てはまらない。「給料の50%が給付される」という先入観で年金額を判断しないよう注意してほしい。

では今、大問題となっている年金の減額についてはどう考えればよいのだろうか。

日本の年金制度は賦課方式といって、現役世代から徴収した保険料で高齢者の年金を賄う仕組みなので、現役世代の人口が減ると制度の維持が難しくなる。政府は、現役世代の人口減少に合わせて高齢者への給付を減らす「マクロ経済スライド」を導入している(物価に応じて年金額を増やす「物価スライド」とは別なので注意が必要)。この制度は既に2度発動されており、2019年の年金は本来もらえるはずだった金額よりも大幅に減額された。

今後もマクロ経済スライドが発動される可能性が高く、段階的に年金は削減されると思ってよい。

問題は同世代間での格差
政府は19年8月に最新の年金財政検証を公表しており、厳しめの経済見通しでもモデル世帯における所得代替率は50%を維持するとしている(現在の所得代替率は61.7%)。しかし、この財政検証は前提条件を極めて甘くしたものであり、現実的な数字とは言えない。全てを現実的な数字に置き換えた場合、経済が比較的良好に推移しても2割から3割の減額となるのはほぼ確実だ。

ストレートに言ってしまうと、相応の資産を持ち、利子や配当、家賃収入がある人や、高額の貯蓄を持つ人以外は、定年後も何らかの形で所得を得ない限り、それなりの暮らしを維持することはできない。

若い人は世代間格差を気にしているかもしれないが、日本の年金制度はそもそも老後の生活を完全にカバーできるものではなく、今の高齢者は相対的に若年層よりも有利というレベルにすぎない。実際、所得代替率が60%を超えていても、現時点における年金生活者のうち、年間100万円以下しか年金をもらっていない人は全体の4割、150万円以下まで条件を拡大すると何と全体の6割が該当する。問題の本質は世代間格差ではなく、同世代の中での年金格差だと考えるべきだ。

年金減額という厳しい時代を生き抜くためには、可能な限り長く就労することが最も重要な対応策となる。できるだけ早い段階から、後半戦のキャリアを強く意識して仕事をする必要があるだろう。

職業人としての人生には、前半と後半があると割り切り、前半戦は、後半戦において有利な仕事に就くための、長い就職活動期間と捉えたほうがよい。

営業成績など単純な成果を追うよりも、後半戦でのキャリアにつながるのか、という観点で仕事に取り組んだほうが自分のためになるだろう。当然のことだが、所得の一定割合を長期的な資産運用に充てるという取り組みも同時並行で進めていく必要がある。

<本誌2019年10月8日号「経済超入門」特集より>
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プロフィール

加谷珪一
経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

http://k-kaya.com/
https://www.newsweekjapan.jp/kaya/2019/10/post-83_2.php

都心ではっきり見えてきた、経済力がなければ子を持てない格差の拡大
2019年10月30日(水)16時20分

舞田敏彦(教育社会学者)
近年、東京23区内でも特に都心の地域で出生率があがっている FatCamera/iStock.
<東京都心の出生率を地域別に比較してみると、今世紀に入ってから出生率の傾向に明らかな変化が見られる>
日本の人口動態が減少局面に入って久しいが、首都の東京では人口が増え続けている。都心部では少子化など「どこ吹く風」、子どもが増え続けて地域の学校が悲鳴を上げている。タワーマンションが増えていることなどもあって、子育て世代がどっと流れ込んでいるためだ。
これは人口の社会増だが、自然増もある。人口千人あたりの出生数(出生率)を見ると、中央区では2002年では8.5だったのが、2017年では13.1に上昇している。15年間で4.6ポイントも増えている。
隣接する千代田区と港区も、出生率の伸びが大きい。都内23区では出生率が上がっている区が多いが、減っている区もある。<表1>は、23区の出生率の動きを整理したものだ。

2002年と2017年の比較だが、出生率上位の顔ぶれが変わっている。黄色マークは上位3位で、2002年では城東エリアなどで高かったのが、17年では都心の3区に様変わりしている。中央区、港区、千代田区だ。
これらの区では出生率の伸びが大きい。一方、城東エリアの区は出生率が下降し、23区の中でも順位も下がっている。足立区は、この15年間で2位から22位へと大幅に落ちている。
一昔前は地価が安いエリアで出生率が高かったが、最近はその逆になりつつある。地域単位のデータだが、出生率と経済力がリンクする傾向すら出てきている。藤田孝典氏の名著『貧困世代』(講談社新書)の帯に「結婚・出産なんてぜいたくだ!」と書いてあったのを思い起こさせる。
次のページ男性の経済力と子持ち率の関連が強い日本
上記の出生率は人口ベースの粗出生率で、都心のエリアでは子育てファミリーが多いからではないか、という疑問もあるだろう。そこで、出産年齢の既婚女性ベースの出生率を計算し、上位の区に色を付けた地図にすると<図1>のようになる。資料の『国勢調査』の実施年に合わせて2000年と2015年を比較した。

精緻化した出生率で見ても、地域差の構造が変わっているのが分かる。今世紀の初頭では城東エリアで出生率が高かったが、最近では都心エリアで高くなっている。
同じ出産年齢の既婚女性であっても、子を産もうという意向が地域によって異なるようだ。そういう違いはいつの時代でもあるが、最近の特徴は、住民の経済力とリンクする傾向が強くなっていることだ。当然ではあるが、不妊治療にも費用がかかる。
以上は都内23区の傾向だが、日本全国でも経済格差の拡大によって出産と経済力の関連が強まっているのではないか。国際比較で見ても、日本は男性の経済力と子持ち率の関連が強い国でもある(拙稿「今の日本で子を持つことはぜいたくなのか?」本サイト、2018年1月11日)。2020年の『国勢調査』のデータでは、出生率が相対的に高い濃い色の地域がますます一部のエリアに凝縮されているかもしれない。
上記地図の2015年の出生率は、各区の既婚女性のフルタイム就業率とプラスの相関関係にある。夫婦二馬力で稼げることの効果があるようだ。いやそうでないと、子を持つことは難しくなっているのかもしれない。
今月から幼児教育・保育の無償化が始まったが、上記のような実態を考慮すれば、無償化より優先すべきは保育士の待遇を改善して受け入れ枠を増やすことだ。消費増税で得られた財源の使い道を誤ってはならない。
<資料:『東京都人口動態統計』、
    『東京都統計年鑑』、
    総務省『国勢調査』>
次のページ【画像】東京都心の地域別出生率の変遷チャート

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コメント
1. 2019年10月31日 19:58:01 : bLbVVSfKBo : Q0txSzNoeHg1TG8=[417] 報告
意図的に 雀の涙に されてゆき

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