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楽天・携帯電話、早くも「つながらない」トラブル続出…狂う顧客争奪戦略
https://biz-journal.jp/2019/10/post_125694.html
2019.10.30 文=編集部 Business Journal
楽天の三木谷浩史社長(撮影=編集部)
楽天モバイルが10月から開始した携帯電話(自社回線)の試験サービス「無料サポータープログラム」(抽選で5000人が対象)で、一部のユーザーが開通手続きできない問題が発生した。各社報道によると約8割は回線に接続できたものの、2割弱のユーザーがSIMカードを送付したものの開通できなかったが、順次トラブルは解消しつつあるという。だが今回のトラブルが、「来年3月までに」としているサービス本格始動に影響はないのか。同社は現時点で料金プランも提示していない。いったい、同社で何が起こっているのか。
■「今後のサービス展開に変更なし」
現在、楽天モバイルのサービス提供エリアは東京23区と名古屋市16区、大阪市24区の全域が指定されている。これ以外はKDDI回線のローミングエリア内となり、自社回線ではなくKDDIを通じて接続される。今回のトラブルは、接続障害は自社回線、KDDI回線ともに電波状況が悪い場所があり、接続できていないことが原因という。
楽天モバイル広報にトラブルへの対応と今後のサービス本格始動に関して問い合わせたところ、次のような回答があった。
「弊社が提供する『無料サポータープログラム』において、SIM到着後に一部のお客様の回線開通がスムーズに行われないケースが発生しておりました。
このような状況を受け、23日に『楽天モバイル』のウェブサイトに、お客様向けの回線開通に関する重要なお知らせを掲出いたしましたので、ご参考までにお送りさせていただきます。
『無料サポータープログラム』をご利用中のお客様へ重要なお知らせ
https://network.mobile.rakuten.co.jp/cms/news/110
なお、今後のサービス展開については現時点で特に変更ございません。楽天モバイルとしましては、今後もお客様からのご意見・ご要望をもとに、より良いサービスを提供できるよう改善に努めてまいります」
■周波数の直進する特性が原因か
本格運用前にシステムバグを発見することが試験サービスの目的だったとはいえ、接続できないという事態はあまりにも大きな問題だ。実際に楽天モバイルの「無料サポータープログラム」に当選したITライターの山口健太氏は次のように解説する。
「無料サポーターの当選者は5000名と発表されていますが、実際の登録案内は5000名同時ではなく、数グループに分けて送られたようです。筆者はかなり早いグループだったらしく、11日に当選のお知らせと登録の案内が届き、14日にトラブルなく開通しました。その後、登録者が増えるにつれて開通トラブルの報告も増加している印象です。
原因として、楽天の基地局はまだまだ少なく、東京23区内でも電波の届かないエリアが残っていることが考えられます。楽天の周波数は1.7GHz帯で、大手3キャリアが使うプラチナバンドよりも直進性が高く、屋内に回り込みにくい特性があります。開通作業をするのは自宅の室内が多いと思われるので、電波が弱い、あるいは圏外である可能性が高いのです。
楽天の基地局は東名阪から展開していますが、それ以外の地域ではKDDIとローミング契約を締結しており、地方ではauとほぼ同じエリアを利用できます。また東名阪でも地下鉄や大型の商業施設、主要ビル内はローミング対象であるため、たとえば走行中の地下鉄車内でもauと同じ感覚で使えます。
楽天はキャリア事業への参入にあたって、業界内から技術者を引き抜いて体制を組んでいます。膨大な数の建物や道路が複雑に入り組んだ東名阪エリアにゼロから基地局を整備したことを考えれば、現状はかなり健闘しているといってよいでしょう。
逆にいえば、技術の現場レベルでは開通にあたってある程度のトラブルが起きることは想定していたはずです。対策としては、ユーザーからの報告に基づいて基地局の数を増やしていくしかないでしょう。
楽天の無料サポータープログラムは、東名阪に住む5000名が対象です。それでも人気端末は品切れ、出荷が遅い、サポートにつながらないといった問題が起きています。本格運用では全国の数万人、数十万人を相手にしなければならず、どのくらいの体制が必要か、見積もっているところでしょう。
楽天の三木谷浩史社長はキャリア事業の展開を『ホップ・ステップ・ジャンプ』と表現していました。『ステップ』ではオンライン展開、『ジャンプ』では全国の実店舗展開を予定しているようです。しかし音声通話やSMSなどの機能にも他の大手キャリアでは起きないような問題を抱えており、しばらくの間は無料サービスを継続せざるを得ないでしょう。
5Gへの影響も懸念されます。2020年には楽天を含む4キャリアが5Gサービスを開始する予定です。楽天は最初から5Gへの移行を想定したインフラを構築することで、3Gなど古い設備に足を引っ張られる3キャリアよりも優位に立てるはずでした。しかし楽天のLTE(4G)サービスの立ち上げが遅れ、『楽天はつながらない』というイメージが付いてしまうと、5Gでも苦戦する可能性が出てきました」
楽天の参入による競争激化で、大手携帯キャリア各社の料金の値下げに拍車がかかることが期待されていたのが遠い昔のことのようだ。ユーザーが最も気になっているのは料金プランや各種サービスだ。インフラ整備で躓いていては、先が思いやられる。
(文=編集部)
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