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市販・給食パン、発がん性物質「グリホサート」検出…輸入小麦の残留基準値、国が大幅緩和
https://biz-journal.jp/2019/10/post_123106.html
2019.10.20 文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事 Business Journal
「Getty Images」より
福岡市教育委員会は、博多の中心地・天神にある福岡市役所の中に拠点を置いています。筆者はそこで開かれた「学校給食に関する懇談会」に招かれ、フードプロデューサーとして意見を述べてきました。
筆者は以前から、飲食業に関わるものとしての最終目標は、子供たちの食事を改革することで、具体的には給食のメニュー開発をやりたいと言ってきました。給食のかたちは時代とともに変わるだろうし、少しでも良い方向に進んでいってほしいと願っているのですが、実情はどうも、そんなふうにはなっていないようです。
その筆者の個人的な目標をよく知っている友人が、今回の懇談会の出席者として招いてくれたわけですが、当初はオブザーバー的な立場でいようと考えて席に着きました。懇談会の途中、膠着状態になったときに筆者は意見を求められたので、あくまでも控えめに、自説を述べました。
日本で、学校給食に使われているパンから発がん性を強く疑われているグリホサートが検出されたことはショッキングな出来事ではありますが、筆者は以前からこの危険性を指摘してきましたし、学校給食に限らず海外産の小麦を使った製品はどれも同じようなことがあると認識しなければならないと思います。
まどろっこしい言い方になっていますが、要するに、給食で使われているパンだけじゃなく、普通に売られているパンも危ないということです。特に小麦全粒粉では、グリホサートの高い残留値が確認されています。まだ販売されているのかどうかわかりませんが、一時、大手製パンメーカーから全粒粉入りの食パンが発売され、さも健康にいいようなイメージ戦略で宣伝していましたが、とんでもない商品だったということです。食べている人は、「知らぬが仏」などと言っていられない話だと思います。
■発がん性物質「グリホサート」
グリホサートについて簡単に説明しておくと、遺伝子組み換え農産物の生産に熱心に取り組んでいるモンサント(現バイエル)という企業が製造している農薬「ラウンドアップ」の成分のひとつで、このグリホサートに対して耐性を持つように遺伝子を組み換えられた植物は、グリホサートが撒かれても枯れませんが、そうでない自然の植物は即座に枯らしてしまうという特性を持ちます。そのため、雑草の処理に時間と手間がかからないため、散布量は大幅に増加しています。そんな製品が今や、普通のホームセンターや100円ショップでも売っているというのですから、笑えない話です。これを庭に撒くなんて、自殺行為だということを認識すべきですし、ご近所にもこれ以上の迷惑な話はありません。
グリホサート及びラウンドアップの危険性はたびたび指摘され、2015年にはWHO(世界保健機関)の中の専門機関IARC(国際がん研究機関)によって発がん性物質に分類されました。アメリカではこのラウンドアップを使用したことで「がん」になったという男性がモンサント社を相手取って裁判を起こし、その主張が認められ、モンサント社はこの男性に320億円を支払うように命じられました。
アメリカ産の小麦の97%からグリホサートが検出されており、カナダ産に至ってはなんと100%です。なぜそんなに多くグリホサートが検出されるのかというと、「プレハーベスト」と言って、収穫直前にラウンドアップを散布することで、ほかの植物が枯れて収穫がしやすくなるためなのです。だから時間と手間を省きたい農家は、積極的に使うようになるのです。
しかし、よくよく考えてみると、これは本末転倒もいいところ。本来であれば、私たちの生命をつなぎ、健康を維持するために必要な食料を生産しているはずなのに、その生産物が私たちを「がん」に近づかせ、生命を奪っているという、皮肉な現象になっているのです。なぜそんなことが起こるのでしょうか。これは以前、本連載でも語りましたが、アメリカという国が食料を「戦略物資」と考えているからなのです。決して、食べた人が健康になるように、幸せでいられるように、なんてことを考えて食料の生産をしたり、輸出をしているわけではありません。日本人はここを勘違いしてはいけません。
そのグリホサートが、子供たちが毎日食べる給食のパンから検出されたというのは、衝撃的なことです。収穫作業の効率を上げるため、つまるところ「お金」のために、収穫直前に散布された除草剤によって、損害を被るのが子供たちだなどということは、黙って見過ごすことはできません。
輸入される小麦からは、グリホサートの定量限界(対象の濃度を決定できる最少量)である0.02ppmを超えた量が検出されています。それに対して日本の農林水産省は「小麦の残留基準(30ppm)以内」であるという理由で、安全だと言い張っています。これに対しては、「解せない」という言葉しか浮かんできません。というのは、この残留基準値は、理由も不明確なまま2017年12月に5ppmから6倍に引き上げられていたからです。しかし、この限界値は、「毎日パンを食べた場合にどうなるのか」までは示唆してはいません。しかも、体が小さい子供が毎日食べたときに、どのような影響が出るのかなど、考慮していないのではないでしょうか。
そのような理由から、筆者は子供たちが毎日食べる給食には、もっと大人たちが配慮すべきだと考えています。農水省が残留基準値を大幅に緩めた背景には、アメリカから輸入する小麦から、いずれはグリホサートが検出されることを察知し、それに備えるための措置だったのではないか、と筆者は確信しています。日本の官僚や政治家は、アメリカの言いなりです。私たち一般庶民は、そのことを弁えて自分の思考と行動を選択しなければなりません。
■オーガニック後進国の日本
筆者は以前、日本でも有数の大手給食会社に3年間、顧問として勤めた経験があります。そこで、一般の社員食堂などで出される給食メニューを100以上開発しました。それが好評を博し、某放送局では筆者が開発したメニューだけを出すコーナーもでき、女性アナウンサーたちがこぞって食べてくれていたこともありました。また、某大手電機メーカーや大手自動車部品会社の社員食堂にも、筆者のメニューが取り上げられていました。健康的な食事に関する講演も、各社で多数、開催させていただきました。
それらも大事な仕事ではありましたが、その時の筆者の課題は、どうやって安全に、おいしく集団給食をつくっていけるのかというノウハウを知ることだったのです。そして一定の成果を上げることができ、筆者はその会社を辞しましたが、その時に教えていただいたノウハウは、いつの日か子供たちの給食メニューをつくるときに役立つに違いないと思っています。
またここ数年、筆者が住んでいる岐阜県大垣市の幼稚園とタッグを組んで、園児たちが毎日食べる給食のメニュー開発を担当させていただいています。もちろん、筆者が提供できるメニュー数は限られてはいますが、積み重なって、けっこうな数になりました。このレシピも公開しており、ほかの幼稚園、保育園でも使ってくださるところが出てきていると聞いています。これもいずれ、子供たちの給食用のメニューとして、広く使われるようになってほしいと願っています。
地味ではありますが、最終目標に向かって遅々たる歩みも止めてはいません。この連載の読者の皆さまには、ぜひとも見守っていただき、筆者が給食のメニュー開発者として名をはせる日が来ることを、祈っていただきたいと思います。
さて、その日の教育委員会での給食に関わる話の中心は、パン食をやめて、すべて米食に切り替えられないか、ということでした。パン食を推進している教育委員会側の発言では、「国が決めた基準に則ってやっている」とのことでしたが、それはいくらなんでもおかしい。つまり、福岡市の教育委員会は、自治体としての独自の考えを持っていない、ということになります。そしてパン食を奨励しているのだとしたら、その「国としての考え自体」がたいへんおかしい。がんになった人が、320億円もの賠償金を受け取ることになった原因物質が混入している食材が使われているものを、子供たちの給食の主食にしているなんて、どう考えてもおかしい。
実は、給食にはさまざまな利権がからんでいます。少子化とはいえ、かなりの数の食事を賄うため、個々の利益は少なくても、まとまれば大きな金額になります。それは大人たちの「お金」の論理なのですが、そのためにここでもまた、子供たちの健康が蔑ろにされていると思うと、腹立たしさを通り越して、情けない気持ちになりました。
いつかは子供たちに、おいしくて安全な、そして健康に良い給食メニューを提供できるようになりたいと思う次第です。利権などとは無縁の、純粋に子供たちの健康と将来を考えたメニューづくりをさせていただける日が来ることを願っています。
元農水大臣の山田正彦氏は、次のようなことを語っています。
「韓国では、ほとんどの小中学校の給食が無償、かつ有機栽培の食材である」
「有機栽培の農地面積は、日本が0.3%と低迷しているのに、韓国は5%と日本の18倍と増え続けています」
「韓国では、学校給食が有機栽培になったことで一般の流通まで変わった」
「韓国の有機栽培が学校給食によって急成長した」
「米国は年に10%、EUは年に7%の割合で有機栽培が伸びていて、ロシアも中国もGMO(遺伝子組み換え作物)を禁止して有機に大転換している」
世界の流れは、もうすでに変わり始めました。オーガニックに目覚めていない先進国は日本だけです。それはひとえに、情報不足による自覚のなさが原因です。正しい情報を伝えようとしない大手メディアの責任は、ここでも非常に重いと感じます。
(文=南清貴/フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事)
●南清貴(みなみ・きよたか)
フードプロデューサー、一般社団法人日本オーガニックレストラン協会代表理事。舞台演出の勉強の一環として整体を学んだことをきっかけに、体と食の関係の重要さに気づき、栄養学を徹底的に学ぶ。1995年、渋谷区代々木上原にオーガニックレストランの草分け「キヨズキッチン」を開業。2005年より「ナチュラルエイジング」というキーワードを打ち立て、全国のレストラン、カフェ、デリカテッセンなどの業態開発、企業内社員食堂や、クリニック、ホテル、スパなどのフードメニュー開発、講演活動などに力を注ぐ。最新の栄養学を料理の中心に据え、自然食やマクロビオティックとは一線を画した新しいタイプの創作料理を考案・提供し、業界やマスコミからも注目を浴びる。親しみある人柄に、著名人やモデル、医師、経営者などのファンも多い。
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