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プラスチック汚染が日本人を蝕む…コンビニ弁当を“レンチン”で化学物質が溶け出し体内に
https://biz-journal.jp/2019/10/post_122711.html
2019.10.14 文=真島加代/清談社 Business Journal
今年6月に大阪で開催された20カ国・地域首脳会議(G20サミット)において、日本は2050年までに「海洋プラスチックごみ」の流出ゼロを目指すことを宣言した。また、環境省は30年までにプラスチックごみの排出量を25%削減することを目標に掲げ、「レジ袋の有料化」という施策を打ち出して話題になった。
長年、日本のプラごみ対策は遅れているといわれてきただけに、国としては大きな一歩だが、一般のビジネスパーソンにはピンときていない人も多いのではないだろうか。プラごみが人や環境に与える影響について、専門家に聞いた。
■海洋汚染を招くマイクロプラスチック
東京農工大学農学部環境資源科学科教授の高田秀重氏は、プラごみから発生する「マイクロプラスチック」が海洋汚染につながっていると話す。
「マイクロプラスチックとは、大きなプラスチックの破片が5mm以下にまで削られたものをいいます。海に流れ出たプラごみは紫外線や波によって劣化し、海の中を漂いながらどんどん削られていき、マイクロプラスチックになります」(高田氏)
マイクロプラスチックは海水中に溶けた化学物質を吸着して海を漂いながら有害化し、海洋汚染を招いている。さらに、世界各地の魚や貝の体内からマイクロプラスチックが検出されているという。
日本列島から1000km離れた太平洋上で気象庁が採取したマイクロプラスチック(高田氏提供)
「魚や海辺に住む鳥たちがマイクロプラスチックを餌と勘違いして食べてしまい、命を落とすケースがとても多いです。我々も東京湾で釣ったカタクチイワシ64尾を調べたところ、49尾の体内から平均で1尾あたり2〜3個、最大で15個のプラスチックが検出されました」(同)
プラスチックを取り込んだ魚や貝類は食卓に並ぶため、我々は知らず知らずのうちにプラスチックを口にしていることになるという。魚や鳥と違い、人間の場合は体内に取り込んだマイクロプラスチックは排出されるものの、だからといって安心はできないだろう。
「本当に注意しなければならないのは、プラスチックに添加されている有害化学物質です。たとえば、プラスチックの添加剤、あるいは添加剤が分解してできる『ノニルフェノール』という物質は、人間や動物の体内に入ると女性ホルモンのように振る舞い、ホルモンにかかわる病になりやすくするといわれています。女性の場合は『子宮内膜症』や『乳がん』の原因になることが懸念されている物質です」(同)
現在、日本では添加剤としてのノニルフェノールの使用は自主規制されていると思われるが、海外製のペットボトルのフタなどには添加されているので注意が必要だという。プラスチックにはノニルフェノール以外にもさまざまな有害化学物質が添加されているが、いずれも単独では健康被害を及ぼすほどの濃度ではない。しかし、複合的な影響や長期的な摂取による影響については、あまり研究が進んでいないのが現状だ。
「むしろ、長い間プラスチックを使っている私たちは、自ら人体実験をしているようなものかもしれません。ヨーロッパで行われた大規模な調査では、成人男子の精子数が過去40年で半減しているという報告もあります【※1】。もちろん、ほかの原因も複合的にかかわっていますが、プラスチックに使われた添加剤による環境ホルモンの影響も疑われていますね」(同)
人間の生殖機能に影響を及ぼす可能性があるということは、プラごみ問題は決して遠い海の話ではないということだ。
■身近なマイクロプラスチックの発生源
もちろん、「自分はプラごみを分別して捨てている」という人もいるだろう。しかし、マイクロプラスチックは人々の想像を超えて広がっている、と高田氏は話す。
「海に流れ着いているのは、人々が地上で使ったプラスチックです。分別し、ゴミ箱に捨てたと思っていても、レジ袋やペットボトルが風に飛ばされたり、カラスがいたずらをしたりなどの外的要因によって、プラごみは増え続けます。そのほかにも、ポリエステル製のTシャツやフリースなど化学繊維の衣類を洗濯したときに出る『洗濯くず』が下水処理をくぐり抜け、マイクロプラスチックとなって海を漂うこともあります」(同)
プラスチック製の洗濯バサミや三角コーン、人工芝の足ふきマットなど屋外で雨風や紫外線にさらされたプラスチックが劣化し、風に乗って海にたどり着くケースもあるという。人々がプラスチック製品を使っている限り、マイクロプラスチックやプラごみの発生源は数限りなくあるのだ。
「日本はリサイクル技術が進んでいるから大丈夫という意見もありますが、リサイクルには手間やエネルギー、コストがかかります。日本ではペットボトルをリサイクルするための収集や運搬だけで年間250億円の費用がかかっており、汚れたプラごみは洗浄しなければリサイクルできません。実は、日本では使い捨てプラスチックのほとんどがリサイクルされずに焼却処分されています。この現状を見ても、リサイクルは根本的な解決策とはいえないでしょう」(同)
そもそも、世界各国に比べて日本の脱プラスチック対策が非常に遅れている、と高田氏は指摘する。話題になった「レジ袋規制」は、すでに世界100カ国以上で実施されている施策だという。
「世界に遅れを取っていた日本がレジ袋の有料化やプラスチックの海洋流出ゼロを目標にしたことは、非常に意義があります。しかし、レジ袋をすべてなくしたとしても、全体の3割程度の削減にしかつながりません。今後は、国や企業がレジ袋だけでなく、“使い捨てプラスチック”の削減に本気で取り組む必要があります」(同)
■プラスチック・フリーという選択肢
プラスチックを取り巻く課題を解決する方法として、「より多くの人がプラスチック・フリーな選択を心がけること」と高田氏はアドバイスを送る。
「会社員の男性なら靴下は自然素材の『ウールの靴下』を選び、ウールがない場合は『ナイロンの靴下』にします。ポリウレタンの衣類は数回の洗濯でボロボロになって化学繊維くずが発生しやすいので、使わないのがベターです」(同)
また、レジ袋の完全有料化にあたり、「マイバッグ」を持つ男性も増えるだろう。その際に「木綿100%」や「綿100%」の物を選ぶと、繊維くずの問題もクリアできるため、一石二鳥となる。
「ペットボトルの購入を控えるのも重要ですが、意外に見落としがちなのが缶飲料です。缶には有機ポリマーのコーティングが施されているので、飲み物に化学物質が溶け出し、体内に取り込んでしまう可能性があります。たとえば、ビールを飲む場合は缶よりも瓶ビールのほうがベターですね。有害化学物質は油に溶け出しやすいので、油っぽい弁当をプラスチック容器のまま電子レンジでチンするのはやめたほうがよいですね」(同)
そして、何より重要なのは“自分のできる範囲で続けること”だという。
「本気で脱プラスチックをしようと意気込むと、仙人のような生活を送らなければならず、途中で挫折してしまいます。紹介した方法のうち、自分で実践できることから始めるのがコツです」(同)
環境への影響はもちろん、人体への影響も懸念されるプラスチック。自分の未来を守るためにも、プラスチックとの付き合い方を見直すときが来ているのかもしれない。
(文=真島加代/清談社)
【※1】
Levine, H., Mindlis, I., Swan, S.H., Martino-Andrade, A., Jørgensen, N., Mendiola, J., Weksler-Derri, D., and Pinotti, R., 2017. Temporal trends in sperm count: a systematic review and meta-regression analysis. Human Reproduction Update 23, 646-659.10.1093/humupd/dmx022
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