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「老後2千万円不足」は、こうやって乗り越えられる…現役世代のあなたが今すぐやるべきこと
https://biz-journal.jp/2019/06/post_28478.html
2019.06.24 文=藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表 Business Journal
「Gettyimages」より
金融庁の審議会の報告書が世間を騒がしています。人生100年時代に向けて、老後の生活資金が2,000万円不足するというのです。今回は、この報告についてみなさんと一緒に考えてみましょう。
■老後に2,000万円不足するという計算根拠は
これらはすべて平均の計算ですから、それがみなさんの生活に直結した話というわけではなく、一般的な数字として捉えたものです。
老後夫婦2人で生活するには月26万円必要で、年金が2人で月21万円程度なので、月に5万円、30年で2,000万円弱不足するという単純計算です。だから、働いている内にせっせと蓄えを増やしておきましょうということです。
これはこれで正しい現実の数字ですし、誤解を与えるような内容ではありません。今後、実質的な年金支給額が減少していくなかで、社会保険料の負担は増えていきますし、給与や退職金の伸びが現状期待できないことを考え合わせると、これから先、もっと厳しい状況が予想されます。
実際、自営業の人は、国民年金のみで夫婦合わせて満額で月13万円です。これでは、都会で年金だけで生活することは相当に難しいですし、以前から生保系の研究所等が出している不足額の数字は、2,000万円なんかよりもずっと大きい数字なのです。
また、以前もお話しした「個人年金保険」という商品を購入すると、毎年支払った保険料に対して「年金保険料控除」という税の優遇が受けられるというのも、公的年金では足りないから、自助努力で老後資金をためろという国の方針の表れともとれます。
■老後の生活のための2,000万円は、今の生活から捻出するしかない
収入の伸びが今後期待できず、老後の生活には2,000万円の蓄えが必要だとすると、老後の生活のために、今の生活を犠牲にするしかないということになります。金融審議会のレポートの言わんとするところは、老後の生活のために今の厳しい家計からがんばって少しずつ貯金するか、iDeCoやNISAで資産形成をしっかりやっておけということなのでしょう。つまり、老後30年の資金を、現役の40年で捻出しろということです。これは、老後のために今の生活を犠牲にするということにほかなりません。
私は、30歳前後の若者から、個人年金保険などの貯蓄商品の提案依頼を受けると、冗談めかして「あるかないかわからない老後のために、今の生活を犠牲にしたいですか?」と聞くようにしています。これは決して「蟻ではなく、キリギリスになれ」と言っているのではなく、漠然とした不安で、すぐにつまらない金融商品に手を出してしまわず、もう少し物事を自分なりに考えて結論を出してほしいというメッセージです。
月1万円ずつでも単純に40年間ためていけば、元本は480万円になりますが、これが年利2%で運用できたとすれば734万円、仮に6%ならば、2,000万円になるのです。金融審議会の報告書では、こうしたことをきちんと認識することの重要性を「金融リテラシーの向上」と難しい言葉で表現していますが、要は一定の金融知識を持ち、実際に運用の経験を実感しようということです。
■不足は、支出が収入よりも多いから生じる
足りないから、その分を補うように若い内から資産形成に励めというのは、それなりの理屈ですが、一方で足りないなら支出を減らせばいいじゃないかというのが、ごく当たり前の道理です。つまり、不足分2,000万円を減らすには、支出の月26万円を減らせばいいのです。つまり、収入に合った生活をするということです。
審議会の報告のなかで支出の内容を良く見ると、26万円の内、その他の消費支出が5.4万円も占めています。このなかには理容や美容の費用や、交際費などが含まれています。こうした費用であれば、ある程度減らしても生活には大きな支障がないように思います。
私の実感としては、もちろん住むところや周りの生活環境にもよりますが、たとえ東京で暮らしていたとしても、老夫婦2人で月26万円はもっと削れるような気がします。
例えば、今の生活に照らして考えてみましょう。1日500円のお小遣いで生活している会社員が、他の同僚が650円の昼の定食を食べているとしても、150円を借りてまで高価な(?)定食を食べるでしょうか。それよりも、500円でお腹を満たし栄養もとれるワンコイン弁当などを探す工夫をするのではないですか。
■産む子供の数を1人減らせば老後資金は捻出できる
私が金融審議会の報告を読んで最初に危惧したのは、老後の資金が不足する状況ならば、子供は2人欲しいと思っていた夫婦が、「じゃあ、1人で我慢するか」ということにならないかという点です。
子供を1人育てるには、教育費も含めてざっと3,000万円程度掛かります。2人の子供を1人にすれば、老後に不足する資金は十分に捻出できる計算です。
日本は、少子高齢化の状況が加速しています。しかし、この少子高齢化という表現は、あたかも少子化と高齢化がセットになっているようで、人々に間違った認識を植え付けてしまいます。人口に占める高齢者の割合が増える高齢化と、生まれてくる子供数が少なくなっている少子化は、別の問題です。高齢化が進んでも、子供の数を増やしていくことは可能です。
社会保障制度の仕組みを考えた場合、人口構成を一定の健全な比率に保つには、まずは少子化を食い止めることが必要です。そのために「子供は3人産んでほしい」と政治家が言うのは論外ですが、こうしたかたちで老後資金の不足額を認識させることが、本来の意図とは違って、少子化に拍車を掛けることになってほしくないと思うのです。
■世間の数字に惑わされず自分の生活に照らして考える癖をつけよう
今の年金制度は、100年安心なんかではありません。インフレになり、マクロ経済スライドが実施されていけば、実質的な年金額はどんどん減ってしまいます。そうした現実をきちんと認識しておくことは重要です。
数字というのは恐ろしいもので、それがたとえ正しくなくとも、まことしやかに人々の目に映るのです。したがって、みなさんは出てきた数字で一喜一憂するのではなく、その数字が自分の実際の生活に照らしてどういう意味を持つのかを、自分なりに判断する最低限の知識を持っておくことが大切です。
この金融審議会の報告書をきっかけに、今の自分の生活と老後の資金繰りを、週末にでもちょっと検証してみてはいかがでしょう。ねんきんネットの年金見込額試算などが、きっと役に立つでしょう。
(文=藤井泰輔/ファイナンシャル・アソシエイツ代表)
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