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町の和洋菓子店が相次いで倒産している…廃れる「贈答」習慣、コンビニスイーツの台頭
https://biz-journal.jp/2019/06/post_28174.html
2019.06.06 構成=長井雄一朗/ライター Business Journal
最近、町のお菓子屋さんが次々と消えている。東京商工リサーチの調査【※1】によると、2018年1〜12月の「和洋菓子店」の倒産は60件に達し、2年連続で前年を上回った。倒産企業のなかには、業歴が長く、有名銘菓で知られた人気店もあり、老舗の倒産も目立つという。
コンビニエンスストアが展開する手軽で安価な「コンビニスイーツ」が人気を集めていることに加え、原材料費の上昇、後継者難や人手不足も重なり、「和洋菓子店」の経営環境は厳しさを増しているといえそうだ。
東京商工リサーチ情報本部経済研究室の関雅史課長は「これからは、高品質な高級品志向とコンビニスイーツのようにコストパフォーマンスの良い商品との、嗜好の二極化が進むのではないか」と語る。「和洋菓子店」の経営環境について、関氏に話を聞いた。
■菓子店の倒産が増えている5つの理由
――調査結果について教えてください。
関雅史氏(以下、関) 18年1〜12月の「和洋菓子店」の倒産は60件(前年比9.0%増)になり、09年からの10年間で最多だった13年(61件)に次ぐ件数になりました。負債総額は68億5600万円(前年13.9%増)にのぼり、今後は休廃業・解散も増えると見ています。
――増加の背景には何があるのでしょうか。
関 消費者の嗜好の変化が大きく関係しています。主な要因として、次の5つを挙げます。
(1)中心顧客の高齢化と若年層の儀礼的進物を好まない傾向による「中元・歳暮需要の低迷」
(2)手軽で品質の高い「コンビニスイーツ」の台頭
(3)和菓子では、「ようかん」「まんじゅう」などの消費額が減少していること(総務省家計調査報告)
(4)老舗企業では、確立したブランド商品に依存する傾向が強く、環境の変化に対応できない硬直した経営に陥りがちなこと
(5)若者の和菓子離れなど
なかでも、「コンビニスイーツ」台頭の影響は大きいです。OLやサラリーマンが退勤後にコンビニで気軽にスイーツを買うようになり、遠くの専門店まで足を運ばない傾向が強まっています。周囲に聞いても「コンビニスイーツで十分」という声があります。
また、百貨店の事業とも関連しますが、中元・歳暮など儀礼としてのフォーマルなギフト市場が縮小傾向にあります。この一方で、「本当に贈りたい人に贈る」という傾向が強まり、パーソナルギフト市場が伸びています。こうした儀礼的な贈答品の減少という消費者志向の変化も、老舗店などにとっては痛手でしょう。
――実際、老舗の菓子店が倒産した事例はありますか。
関 江戸時代の天保5年(1834年)に石川県金沢で創業した花園万頭は、「ぬれ甘なつと」などが東京銘菓として有名な老舗菓子店でした。「日本一高い 日本一うまい」をキャッチフレーズに、ピークの1994年6月期には売上高約42億円を計上しましたが、最近は販売不振が続き、2018年5月に自己破産を申請しました。元社長が雑誌で告白していますが、業績低迷に加えて従業員や職人の人件費がかさんでいたようです。
また、19年1月17日にはジャスダック上場企業の倒産が発生しました。洋菓子「ラスク」で知られたシベール(山形県)が民事再生法を申請したのです。中元や歳暮需要の減少から、これまで贈答品として利用されてきた主力商品のラスクの売り上げが減少。新商品を投入したものの業績が回復せず、資金難に陥りました。中元や歳暮の習慣が廃れたことが響いたようです。
■日持ちしない“伝統の味”が苦境に
――先ほどの5つの要因を見ても、老舗にとっては苦境が続きそうですね。
関 老舗店の菓子は日持ちしないことも逆風になったようです。花園万頭の商品の消費期限は3日でしたし、物によっては当日中に食べなければなりません。一方、駅のお土産店などで売れるのはクッキーなどの日持ちする菓子が多く、1000円で10個入りなどコスパも良い。このため、たとえば出張帰りに社内で配るのにちょうどいいわけです。昔は日持ちしないことが価値になっていたのですが、そうではなくなったということでしょう。
05年あたりからは新興勢力の台頭が目立ちますが、これらは自社で職人を抱えず、生産は下請けにOEMで委託し、商品開発とパッケージデザインなどの販売促進に力を入れるという、老舗店とはまったく違うビジネスモデルを採っているケースが目立ちます。
――老舗の体制が裏目に出ているような印象ですね。
関 自社で工場を保有し製品開発から製造まで行い、新鮮でおいしさを保つために日持ちしない菓子をつくるところに老舗としての価値があったのですが、確かに、それらが今は逆風になっています。
――これから、町の「和洋菓子店」はどうなるのでしょうか。
関 消費者の意識や社会環境の変化により、「わざわざ専門店で買う必要はなく、コンビニスイーツで十分」となっているのが実情です。さらに、人口減少が深刻な地方では、あらゆる個人消費が停滞しています。手堅い顧客を確保している老舗店であっても現状維持が難しい。このため、顧客の嗜好に合った商品開発やサービスの提供が求められますが、変化という意味では、伝統の味を受け継ぐ老舗よりもスピード感に勝る新興勢力の方が優位に立ちやすいと見られます。
これからの老舗店は、ひたらす伝統の味を守っていくか、あるいは客層の嗜好に合わせて大胆な改革を行うか、選択を迫られています。また、菓子業界全般も、味と品質を追求した高級品路線か、コンビニスイーツのようなコスパ重視か、といった二極化が進むと思われます。
(構成=長井雄一朗/ライター)
【※1】
本調査の「和洋菓子店」には、「生菓子製造業」「ビスケット類・干菓子製造業」「米菓製造業」「菓子小売業(製造小売)」を含む。
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