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会長の「終身雇用守れぬ」発言に隠された経団連の“本音”
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/252504
2019/04/23 日刊ゲンダイ 学生は大変!(産学協議会の会合であいさつする経団連の中西宏明会長・中央)/(C)共同通信社 22日、都内で開かれた経団連と大学による産学協議会で、学生の通年採用の拡大を盛り込んだ報告書がまとまった。報告書では、春季一括採用に加え、個々の企業ニーズに応じて雇用する仕組みの必要性などが盛り込まれ、「(専門性の高いスキルを持つ人材などを通年採用する)ジョブ型雇用を念頭に置いた採用も含め、複線的で多様な採用形態に秩序をもって移行すべきだ」と明記された。 従来の新卒一辺倒ではなく、既卒にも広く門戸を開くことにつながる採用活動は大いに歓迎すべきだが、気になるのは経団連の“本音”が別にあるのではないか、という疑いだ。 「企業は従業員を一生雇い続ける保証書を持っているわけではない」「一括採用で入社した大量の人を効率よくトレーニングする考え方は、今の時代には合わない」 22日の会見で、こう強調していた経団連の中西宏明会長(写真)。19日にも「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです」と発言して波紋を呼んでいるが、この言葉通りに解釈すると、経団連が必要としている人材とは「若く」て「人材育成の必要のない即戦力」かつ、「低賃金」で、「いつでもクビOK」ということだからフザケている。 ■学生時代は雀荘通いだったクセに… 勉強する学生がほしい――とも報じられているが、経団連加盟企業の幹部社員は学生時代、そんなに勉学に打ち込んできたのか。例えば中西会長が新卒で日立に入社した70年代は高度経済成長期〜安定経済成長期のまっただ中。終身雇用や年功序列賃金が導入されたのもこの頃で、中西会長だって十分、この恩恵を受けたはずだ。現金給与額は前年比2ケタ増(率)が当たり前。大学入学金は国立が5万円、私立大で9・5万円で、大学周辺は雀荘が林立し、学生たちは授業そっちのけで雀荘に入り浸っていた。そんなお気楽でノホホンとした学生時代を過ごしながら、たまたまエラくなったからといって、数百万円を超える入学金、授業料の借金返済に苦しむ大学生に対して「よ〜く勉強しろよ。でも終身雇用はないゾ」とはよくぞ言えたものだ。 安倍政権にヘコヘコしてハリボテ株価を吊り上げ、内部留保ばかりため込んでいる経団連の経営者の方がよっぽど勉強不足だろう。自分たちの無能ぶりを棚に上げて「多様な採用」とは、へそで茶を沸かすような話だ。
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