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ドコモ新料金プランで、日本型キャリアビジネスの終わりが始まる
https://diamond.jp/articles/-/200419
2019.4.21 中尾真二:ITジャーナリスト・ライター ダイヤモンド・オンライン
Photo:DOL
4月15日、ドコモは6月から適用されるという新しい料金プラン「ギガライト」「ギガホ」を発表した。基本料と通信料が最大で4割安くなるというものだ。代わりに、端末の購入補助になる「docomo with」と「月々サポート」が終了となる。
これらは総務省が進める「分離プラン」義務化に対応するもの。携帯電話料金の高止まりや、MVNOを含む市場競争が停滞していることなどが問題視されており、利用者としては「最終的に料金は安くなるのか?」という点がもっとも重要だろう。しかし、発表された新プランに目新しさはなく、値下げになっているのかさえ分からない中途半端なものだ。今回は、「分離プラン義務化」による影響と課題について考えてみたい。(ITジャーナリスト・ライター 中尾真二)
政府も認識するモバイル市場の課題
分離プランの話は、もともと総務省の情報通信審議会の中で生まれたものだ。情報通信審議会は、通信に関するさまざまな問題を検討し、政策等に反映させる枠組み。
3キャリア寡占による通信料金の高止まり対策、MVNOを含む競争市場の促進、直営を含む販売店の適正化、不明瞭な通信料の割引をセットにした包括プランといった業界の課題について、作業部会「モバイル市場の競争環境に関する研究会」を組織して議論を重ねている。研究会は、2018年秋に分離プラン等の提言、2019年1月には中間報告の中で分離プランと販売店の適正化案をとりまとめた。
問題があると指摘されたのは、包括プランによる端末購入補助金。これは、端末を頻繁に買い替えない長期利用者の通信料が原資となっている。購入補助と解約金をフックにした過度な囲い込み契約が、消費者の選択肢を狭め、MVNOの競争を阻み、料金も下がらないとしている。別の言い方をすれば、「通信事業者は、高額な端末(しかも多くが海外製)を売るために通信料に不公平な割引を設定しており、それは公共性の高い認可事業者として問題あり」ということだ。
政府も通信料金の是正、競争による市場の適正化が必要という立場をとっている。2018年8月に菅官房長官の「携帯料金は4割下げられる」という発言がそれを示している。
多くの世帯が、毎月数万円を通信料金(通信事業者への支払い)に充てている。それが国内経済で循環すればいいのだが、サービスプラットフォームはGoogleやAppleなどがメインで、端末市場はApple、サムスン、ファーウェイなど、外資が抑えている。政府としては、通信費の「エンゲル係数」を下げたい、浮いた分を他の消費に振り向けてほしいと考えるのは当然だ。
iPhoneなどハイエンド端末は売れなくなるのか?
分離プランでは、特定端末購入と連動した通信料割引ができなくなる。通信料から端末購入のための補助要素が排除されるため、端末の割引幅が限定される。
そのため、iPhoneやGalaxyなどハイエンド機種が売れなくなると危惧する向きがある。中期的には5G端末への影響も小さくないだろう。今回のドコモの新料金プランは、すでにauやソフトバンクが導入しているプランに追従したものといえる。表面的には、キャリアの料金プランが横並びになった形だが、ドコモで2年ごとにiPhoneの新機種に切り替えてきた人は、購入スタイルの変更が余儀なくされそうだ。
これにより、中古端末市場が活性化されるかもしれない。新品の高額端末が買いにくくなると、連動して手ごろな値段の中古端末のニーズがいま以上に高まる可能性がある。ハイエンド機種は、モデルチェンジごとに新しい機能を搭載してくるが、実用域で型落ちモデルとの性能差はあまりない。SIMロックの問題も以前より改善されているので、中古端末の流通は広がりそうだ。
MVNOへの逆風を分析する
分離プランでは、通信料(キャリアに支払う月々の金額)は下がるはずだ。この点は、MVNO(Yモバイル、UQモバイル、マイネオなど格安SIMの事業者)にとって逆風となる。大手キャリアの通信料が下がると、MVNOの最大の競争要因である価格競争力が相対的に弱まるからだ。
ただし、この影響は総合的にあまり大きくないとみる。たしかに、MVNOの苦戦は避けられないが、前述の中古市場の活性化はMVNOにとっては追い風だ。SIMだけの販売、契約に自由度があるMVNOは販売条件や価格設定において有利だからだ。大手キャリアもSIMだけの契約は可能だが、消費スタイルの変化や顧客ニーズの変化に対応しにくいのはMVNOより大手キャリアだろう。
MVNOの強みは、契約と解約の自由度の高さだ。SIMだけの申し込みならネットで可能。解約は、ほぼ任意のタイミングで解約金なしで可能だ(音声通話除く)。auとソフトバンクはすでに分離プランを導入しているが、通信契約の指定期間以外の解約は、解約金が必要だ。割引のためにキャリアに縛られると、端末の買い替えや契約が制限され、ショップでは、混んでいる窓口にも我慢して並ばなければならない。
携帯キャリアモデルの弱点
携帯電話契約の人口に対する普及率が100%を超えた現在、パイの拡大は見込めない。現状のキャリアのビジネスモデルでは契約数は伸ばせない。故に、サービスや端末の買い替えで売り上げを確保するしかない。Appleからは毎回高額な新端末を買い、それを販売するため、通信料という「年貢」からインセンティブ(端末購入補助)を捻出し、足りない分は、子会社やグループ企業のオプション契約で稼ぐしかない。
本来であれば、端末ビジネス、サービスビジネス、ネットワーク(回線)ビジネスは別々のものだ。これらを垂直統合して利益を独占するという考え方は、過去の物でもある。いまや垂直統合経営は自由度の低下、意思決定の遅さの弊害が大きい。ドコモのdポイントやdアニメなど成功しているサービスはドコモユーザーに限定していない。本体の縛りがないほうが成長しやすいことを、自らの事業でも証明している。
日本型ARPUビジネスの終焉
携帯キャリアのビジネスは、ユーザーあたりの収益(ARPU)がポイントになる課金モデルだが、実情は個別の売り上げ(通信料、違約金やオプション契約金など)を月ごとに追求するという点で、製品の販売に近い。もともと日本のキャリアビジネスは、モバイル回線だけでなく、端末の企画・設計からメーカーをコントロールしてきた。これにiモードのようなサービスビジネスが加わり成功を収めたが、スマートフォンの登場により歯車が狂い始めた。次第に不透明でわかりにくい料金プランやオプションが拡大。許認可事業とはいえ政府や行政が介入を許す遠因となっている。
これに対して、アマゾンプライムやネットフリックスなどが採用しているサブスクリプションモデルでは、継続的なサービス提供で全体最適を目指す。モノもテクノロジーもコモディティ化し飽和している市場において、ARPUは結果であって目標や指標ではない。ゼロサムゲームで顧客をロックインするより、流動性と長期エンゲージメントを優先させる。
課金を部分最適で考えると、違約金はやめられないし、不要なオプション契約も重要なKPIとなり、ユーザーを不幸にするいびつなビジネスに向かいやすい。全体最適を考えるモデルでは、解約のしやすさは契約の継続、解約数の減少につながると考える。オプション契約はシンプルかつ柔軟。たとえば、アカウントだけ残して、サービスを停止(課金は発生しない)したり、トップページからいつでも解約できる。そうでないサービスは廃れつつある。
2月にiモードの仕掛け人といわれる夏野剛氏(現ドワンゴ代表取締役社長)が、あるツイートをして話題になった。家族のスマートフォンの請求明細をみて、あまりに必要のないオプションが契約されていて、OBとして苦言をツイートしたのだ。今回の新プランについても、さっそく総務省や業界に苦言を呈したが、不要なオプション契約の問題はiモードの時代から存在していた。当事者の自覚があるなら、せめて悔恨の言葉が先だろうと思ったのは筆者だけではあるまい。
メディアやサービスにサブスクリプションモデルが広がり、アップルがハードウェア戦略の本格的な見直しに入った現在、キャリアはネットワーク、サービス、デバイス事業の分離を含む再編を考えるべきだろう。お上に言われたから分離プランを用意するという安易な対応では、既存のビジネスモデルを維持はできても、消費者の評価は得られない。
どのキャリアも本業以外に本腰入れてるからね。
— ナリミヤ@マイペースなFXトレーダー (@sora8857) 2019年4月20日
ポイントカードで囲い込み作戦が今は熾烈。
ドコモ新料金プランで、日本型キャリアビジネスの終わりが始まる https://t.co/4JqMiQeVev #スマートニュース
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