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投資信託、購入者の約半数が資産マイナス…「貯蓄から資産形成」を煽った安倍政権の責任
https://biz-journal.jp/2019/04/post_27343.html
2019.04.04 文=小川裕夫/フリーランスライター Business Journal
安倍首相(写真:つのだよしお/アフロ)
第2次安倍政権が発足してから6年が経過した。2019年2月10日に開催された自民党の党大会で、安倍晋三首相は「悪夢の民主党政権」と表現。あの頃に戻ってはいけないと強調した。
しかし、安倍政権肝いりの経済政策、いわゆるアベノミクスは、金融緩和・財政出動・成長戦略の3本の矢で構成されていた。アベノミクスで、もっとも重要な役割を任されていたのが日本銀行だ。異次元緩和とも称された日本銀行の金融政策は、思い通りに効果を出せず、政権の司令的な立場にいる経済産業省が描く成長戦略も、芽が出る気配は見えない。
そして日銀や経産省の陰に隠れがちだが、「アベノミクスにおける影の司令塔」(経済紙記者)といわれるのが金融庁だ。その金融庁の失政も如実になっている。異次元の金融緩和により、銀行の金利は低下。ゼロ金利は当たり前で、マイナス金利という前代未聞の事態にも直面した。貯金をしても金利がつかない。それどころかマイナスになる。そう言われても、将来不安を抱えた高齢者が金を使ってくれるだろうか。
日本では従来からタンス預金と呼ばれる、銀行には預けずに家でお金をため込むという習わしがあった。そうしたタンス預金の増加は、国家経済を停滞させる。金利の低下により、タンス預金の増加を懸念した金融庁は「貯蓄から資産形成へ」というキャッチフレーズを打ち出して、しきりに市場にお金を流通させる機運の醸成に努めた。
このキャッチフレーズは、15年に金融庁のトップに就任した森信親前長官が標榜したキャッチフレーズといわれる。森氏はNISA(少額投資非課税制度)の生みの親でもあり、まさに「貯蓄から資産形成へ」の流れをつくりだした人物でもある。「森氏は、安倍首相や麻生太郎財務相からの信頼も厚い」と話すのは、永田町関係者だ。この政策は市場に出回るお金の量を増やすことにもつながる。要するに、アベノミクスを後方支援する意味も含まれていた。
森氏の目的は、単に市場に金を流通させることだけではない。それまでの金融庁が踏み込まなかった部分にも、徹底的に言及する姿勢を貫いていた。
例えば、銀行や証券会社は販売手数料や信託報酬が高く設定される金融商品ばかり販売したり、複利効果が薄い毎月分配型を勧めるといった投資家の利益を無視する姿勢が強かった。
「森氏が銀行や証券会社に踏み込んだことで、日本の投資環境は少しずつ整っていった」(経済誌記者)
■アベノミクスの総括
しかし、金融庁がいくら気を吐いたところで、日本人の投資に対するマインドは簡単に変わらない。諸外国と比べて、日本はまだ貯蓄を優先する風潮が強く、投資には消極的だ。元本保証がない金融商品では、損を被ることもある。いくら森氏が「貯蓄から資産形成へ」という旗を振ったところで、損を出すばかりなら、自然と投資への熱は冷めていく。そして、投資への温度が下がれば、必然的にアベノミクスは失敗と断じられてしまう。
そうした日本国内における投資アレルギーを緩和させるべく、金融庁は手始めに投資信託の推奨というスタンスを取っていた。投資信託は銀行や証券会社に金を預けるだけで、預けた本人は売買をすることもなく株価をこまめにチェックする必要もない。資産運用は、ほぼ一任。投資初心者でも簡単に手を出すことができる。
しかし、昨年金融庁が発表した統計では、投資信託をしている投資家のうち46パーセントが資産をマイナスにしたという。アベノミクスで市場の株価が上がっているなら、当然ながら多くの投資家は利益を得ていてもおかしくはない。しかも、この数字には従来なら手堅い運用で利益を出す機関投資家も含まれている。それらを踏まえると、個人投資家はかなりマイナスを被っていることが窺える。
安倍政権は常々「景気対策は道半ば」と言い続けてきた。6年も政権を担当し、第1の矢が成功していない状況を「道半ば」と表現するのは苦しい。金融庁が掲げた「貯蓄から資産形成へ」というキャッチフレーズは忘れられつつあり、一時期は森氏を絶賛していた経済誌も掌を返している。
アベノミクスの舞台裏で、我が世の春を謳歌していた金融庁の姿はもうない。これらは、アベノミクスが完全に頓挫したことを意味する。民主党を経済無策と指弾していた安倍政権だが、その経済政策は、残念ながら失敗したと総括されそうだ。
(文=小川裕夫/フリーランスライター)
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