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10月の消費増税、中小企業の6割が「準備していない」…約3割が全増税分を価格に転嫁できず
https://biz-journal.jp/2019/03/post_27086.html
2019.03.21 構成=長井雄一朗/ライター Business Journal
安倍晋三首相(右)と麻生太郎財務大臣(左)(写真:日刊現代/アフロ)
今年10月、いよいよ消費税率が8%から10%へ引き上げられる予定だ。2014年4月に5%から8%へ引き上げられた際には、回復基調にあった景気の冷え込みを招き、日本経済を悪化させる一因にもなった。そのため、政府はキャッシュレス決済によるポイント還元などの経済対策を打ち出してはいるが、いまだ再々延期論もまことしやかに流れている。
振り回されるのは企業側だ。東京商工リサーチが全国の企業に消費税増税への影響をアンケート調査【※1】したところ、増税を「延期・中止すべき」が49.5%と半数を占め、増税で「景気が悪くなる」は57.8%に達した。一方で、中小企業の約6割が増税の「準備をしていない」と回答し、増税分について「すべて価格転嫁する」は5割台にとどまっている。ただし、本調査は18年9月14〜30日に実施していることから、現在は回答の割合が変動している可能性もある。
中小企業ほど増税の景気への影響を懸念し、また準備が遅れている現状が浮き彫りになった。消費税増税が企業に与える影響について、東京商工リサーチ情報部の前川夏希氏に話を聞いた。
■消費増税で“外食離れ”が起きる可能性
――調査の概要について教えてください。
前川夏希氏(以下、前川) 増税の時期について、「予定通り実施すべき」は3903社(構成比47.0%)でした。一方、「時期を延期して実施すべき」は1768社(21.3%)、「増税を中止すべき」は2337社(28.2%)で合計49.5%と、延期または中止を求める声が僅差で上回っています。「予定通り実施すべき」を規模別で見ると、大企業(資本金1億円以上)が753社(52.5%)、中小企業(資本金1億円未満と個人企業など)は3150社(45.9%)で大企業の比率が高くなっています。
次に増税による景気の予想ですが、「悪くなる」が4798社(57.8%)、「現状維持」が3089社(37.2%)、「良くなる」は138社(1.7%)でした。「悪くなる」を規模別で見ると、大企業が752社(52.4%)、中小企業は4046社(58.9%)で、中小企業がより悲観的な見方をしていることがわかります。
また、準備については「準備していない」が4788社(59.8%)と約6割を占め、「準備している」は2248社(28.1%)にとどまっています。規模別では、「準備していない」は大企業が593社(42.9%)、中小企業は4195社(63.3%)で大きな差がついています。
中小企業の準備が遅れている背景には、コストも人材も不足しているという事情があります。中小企業庁はレジの導入・システム改修などの支援や軽減税率制度の周知を進めていますが、浸透にはまだ時間がかかるでしょう。
――ここにも人手不足の影響が出ていますね。
前川 18年の人手不足関連倒産は過去最多の387件を記録しています。特に「求人難」型の倒産が増えており、中小企業がレジやシステムの改修に対応できる人材をすぐに確保するのは難しいのが現実です。
――消費税増税により、もっとも打撃を受けるのはどの業界でしょうか。
前川 感覚的には外食産業ではないかと思います。一般的な飲食料品は税率が据え置きになる一方で明確に価格が上がるので、外食を控えようという動きが出ても不思議ではありません。今、飲食業の倒産が増えていますが、約9割が負債1億円未満です。そのため、中小の飲食業にどのような影響が出るかは注視すべきです。
■軽減税率で混乱する小売業界、特需のIT業界
――増税分の価格転嫁については、判断が分かれているようですね。
前川 増税分の商品・サービスへの価格転嫁について、「増税分すべてを販売価格に転嫁する予定」が4132社(54.3%)で最多となり、「転嫁しない予定」は1057社(13.9%)でした。「一部を転嫁する予定」とあわせれば、約3割が増税分すべてを価格に転嫁しない予定となっています。大企業は「増税分すべてを販売価格に転嫁する予定」が629社(49.3%)だったのに対し、中小企業は3503社(55.3%)という結果です。
大企業も中小企業も、前回の消費税増税時より「増税分すべてを販売価格に転嫁する」が増加しており、特に中小企業でその傾向が顕著です。買いたたきや減額が禁止されたほか、中小企業の転嫁カルテルが認められた消費税転嫁対策特別措置法の影響もあるでしょう。
ちなみに、「前回の増税を含め、これまで取引先の最終販売価格を維持するため、値引き要請を受けたことはありますか」との質問には、「ない」が5173社(68.0%)だった一方で、「増税分の値引き要請があった」が1757社(23.1%)、「増税分以上の値引き要請があった」が516社(6.8%)と、約3割がなんらかの値引き要請を受けたと回答しています。
業種別では、「増税分の値引き要請があった」は建設業で301社(29.3%)と割合が高くなっています。建設業については、国土交通省も「請負契約の特性から受注者が弱い立場に置かれることが多く、増税分の値引きを求められやすい」と警鐘を鳴らしています。また、業種を問わず、自由回答で「具体的ではないが暗に値引きを要求される」との声も見られました。
――軽減税率の影響についてはいかがでしょうか。
前川 「影響はない」が4332社(55.9%)で半数を超えており、「マイナスの影響がある」は1346社(17.4%)、「プラスの影響がある」は328社(4.2%)でした。業種別では、「マイナスの影響がある」は小売業で116社(26.3%)とほかの業種より高くなっています。駆け込み需要の反動をはじめ、内食・外食商品の区分けの煩雑さなど、他業種よりも懸念点が多いからでしょう。一定の混乱が予想されますが、一方でIT業界からは「特需がある」との回答もありました。
――消費税増税は企業経営にどのような影響がありますか。
前川 1989年4月の消費税導入時はバブル期で倒産は減少しており、約1年後から倒産が増加しました。97年4月の3%から5%への増税時は、金融危機の不況下で倒産が増加し、約1年後から減少に転じています。2014年4月の5%から8%への増税時は、中小企業金融円滑化法の返済猶予により倒産は抑制されており、その状況が現在まで続いています。増税時の景気にも左右されますが、必ずしも消費税増税が倒産増加に直結するとは限りません。
一方、国税滞納額のなかでもっとも多くを占めるのは消費税です。特に、中小企業が預り消費税を運転資金などに流用するケースも少なくないと見られており、増税で中小企業の業績が回復せずに税の滞納額が増えれば本末転倒となります。
(構成=長井雄一朗/ライター)
【※1】
2018年9月14〜30日にインターネットでアンケートを実施し、有効回答8298社を集計、分析。
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