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東証1部、上場基準見直しで3分の1が“2軍”降格&株価急落の危機
https://biz-journal.jp/2019/03/post_27188.html
2019.03.21 文=編集部 Business Journal
「Getty Images」より
東京証券取引所で、上場市場の区分の見直しの議論が大詰めを迎えている。3月下旬に開く予定の金融審議会(金融相の諮問機関)で、東証の見直し案を説明する。
1部上場企業には、四半期決算での英文開示を義務づける。現在、英文で情報開示している企業は、東証1部で35%程度にすぎない。焦点は東証1部の再編、新興市場の集約、上場廃止の基準引き上げの3点に絞られた。
約30年間に2133社まで膨らんだ1部上場企業の絞り込みが最大の注目点だ。もっとも有力なのは、時価総額(株価と発行済み株式数を掛け合わせた金額)による線引きである。1部昇格の基準を、これまでの時価総額40億円から250億円に引き上げる案や、また東証1部より上位の“プレミアム市場”を創設する案が出ている。
2月末(2月28日の終値)の時価総額で見ると、時価総額が最大なのはトヨタ自動車の21兆8522億円。最小は家庭用LPガス容器最大手、中国工業の19億円である。
時価総額250億円未満は約720社で東証1部全体の、およそ33%を占める。
もともと東証1部は限られた大企業を集めており、バブル期でも1000社程度だった。それが、2000年以降に1部へ昇格するハードルを一気に下げたため、急激に上場社数が増えた。現行の1部上場を維持できる時価総額の基準は20億円なので、仮に250億円に引き上げられた場合、12.5倍となる。
一方、新興・中堅市場は現在の3市場体制(東証2部、マザーズ、ジャスダック市場)から2市場にする。マザーズとジャスダックの一部分を一緒にして「新興」市場、東証2部とジャスダックの大半を統合して「中堅」市場とする。
■500億円で線引きの案もあった
もし、時価総額500億円で線引きすると2月末時点で1100社が脱落する可能性があった。東証1部上場企業の52%がアウトということになる。
特に、地方銀行は時価総額が500億円近辺に集まっている。
琉球銀行は530億円で合格ラインを超えているが、400億円台後半にずらりと並ぶ。東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京が経営統合して2018年5月に誕生した東京きらぼしフィナンシャルグループ(498億円)をはじめとして、宮崎銀行(482億円)、中京銀行(480億円)、山梨中央銀行(480億円)、十八銀行(461億円)とダンゴ状態だ。
400億円台前半になると、四国銀行(444億円)、愛媛銀行(443億円)、そして三重銀行と第三銀行が経営統合して18年4月に誕生した三十三フィナンシャルグループ(418億円)と続く。
地銀は地方経済の金融インフラとしてなくてはならない存在だが、過疎化が進み、今後の成長力は乏しい。銀行は、今や衰退産業だ。「成長性を重視する東証1部に、無理して残らなくていいのではないか」といったシビアな意見もあったが、250億円で線引きするのであれば、多くの地銀はセーフとなる。
銀行が東証1部企業でなくなると、東証1部企業がない県が複数出てくるため、地方経済の衰退に拍車がかかることを懸念する向きがあったのも確かだ。そのため、「これでは厳しすぎる」といった声が多くあがり、半分に“値切る”ことになった。
■巨大企業と弱小銘柄が混在
TOPIX(東証株価指数)を構成する東証1部銘柄の1社当たりの平均時価総額は、およそ2800億円だ。
しかし、250億円で線引きしても「なんら問題ない」とはならないところが悩ましい。
巨大企業がある一方で、時価総額100億円未満の“超小型企業”がTOPIX構成銘柄の1割強ある。
TOPIXは国内外の機関投資家がベンチマークとしており、日銀のETF(上場投資信託)購入もTOPIX型が大半だ。
東証1部上場の全銘柄のうち、500億円で線引きすれば半分が脱落し、もし1000億円という、もっと厳しいプレミアムな条件を付けたりすれば、生き残る銘柄が全体の3分の1に激減する。「東証1部」をプレミアム市場と考えるなら1000億円で線引きしてもいいはずなのに、そうならないのが日本的といえるのかもしれない。
こうした状況を踏まえ、250億円を当落線とする案に落ち着いたということだ。
1部と2部(新しい基準では中堅市場)の違いは時価総額の差でしかないはずなのだが、実際には企業の「格」という話になる。東証1部に上場していると会社の格付けや銀行の融資条件、新卒採用で有利に働く。社員の住宅ローン借り入れなどでも1部上場企業の社員であるかどうかが審査で重要なチェックポイントとなる。
1部上場はブランドなのだ。「2軍落ち(2部市場への指定替え)」を通告されると、今まで得ていた信用を失うことになる。既存の1部上場企業にとっても、そこで働く社員にとっても、一大事なのである。
現在、時価総額が100億円程度の企業が一気に250億円以上の時価総額にするのは事実上、困難である。
問題は当落線上にある企業群だ。時価総額250億円近くにいる企業は、自社株買いやIRの強化によって株価上昇を目指すことになる。株価が上がれば時価総額が増えるからである。
「日経平均株価」は、ニュースで毎日流れる有名な株価指標である。単に「日経平均」や「日経225」とも呼ばれる。日経225銘柄とは、日本経済新聞社が選んだ日本を代表する225社のこと。時価総額の大きい企業が選ばれている。
日経平均は東証1部上場銘柄で構成されるので、東証1部から脱落すると、自動的に日経平均採用銘柄でなくなる。
機関投資家は上場基準の厳格化のリスクを懸念している。一斉に「2軍」に格下げになると、1部市場から外れる銘柄に、機械的に売りが出てくるからである。
機関投資家はベンチマークに日経平均株価やTOPIXなどの指標を使っているので、ベンチマークから外れた銘柄は自動的に売ることになり、当然、その銘柄の株価は急落する。
東証1部上場の新しい基準が時価総額250億円以上に決まれば、それを達成するためにM&A(合併・買収)が加速する。その一方で、上場維持が難しい企業はMBO(経営陣が参加する買収)で上場廃止に踏み切るだろう。
もし、東証1部上場の3割が「2軍落ち」になれば、各方面から疑問の声が上がる可能性がある。2020年春と想定されている新市場誕生までには紆余曲折がありそうだ。
(文=編集部)
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