http://www.asyura2.com/19/hasan131/msg/365.html
Tweet |
カリスマの直言
日銀のETF購入 幕引きは「奇策」がいい(渋沢健) 富裕層に相続税減税して買わせる
コモンズ投信会長
2019/3/4
写真はイメージ=123RF
「巨額のリスク資産が日銀のバランスシートで増え続けている現状は不健全といわざるを得ない」
国の金融政策はリーマン・ショックのような危機発生により市場メカニズムが機能しなくなった際のセーフティーネットとして重要な役割を果たす。その役割とは市場に大量の資金を供給することで、金融機関や企業の資金が枯渇する連鎖を防ぐことだ。
その意味で、緊急事態が終わり、経済活動が正常化する過程において資金は速やかに回収されるべきだが、実際はそうはいかない。いわゆる「じゃぶじゃぶの状態」がいつまでも続く。市場が依存症になってしまうからだ。
■マネー膨張、高まる反動のリスク
現在、実体経済と比べてマネーが膨張している。相場が上がれば余計な心配は要らないという人もいると思うが、警告を鳴らし始めている金融のプロもいる。
例えば、東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長の平山賢一氏はNIKKEI STYLE マネー研究所で連載中の「プロのポートフォリオ」で、貿易という実体経済をはるかに超えたマネーの膨張とその反動について懸念を示している(詳しくは「実体経済超え膨らむマネー 市場のリスク」を参照)。つまり、貿易というリアルなモノの動きが停滞すれば、マネー膨張(依存症)から生じるリスクが高まるということだ。
ユーフォリアに酔っている金融市場が悪いという意見もあるだろう。ただ、その根源は過去10年間、大量のマネーを市場に供給してきた中央銀行だ。特に我が国は日銀が先進国としては異例の手法でマネーを供給し続けている。
金融政策の大義の下、債券のように償還期限がある金融商品の買い入れだけではなく、株式上場投資信託(ETF)という償還がない無期限の金融商品の買い入れによってマネーを供給している。
債券のように償還があれば買い入れを停止するだけで金融緩和政策のいわゆる「出口戦略」の期限は読める。しかし、償還がない株式ETFの場合、出口戦略は売却しかない。出口が意識され始めた途端、株式市場で「BOJ(日銀)ショック」を招きかねないシナリオだ。
■日銀が実質的な「大株主」になる弊害
売却がダメだというなら無期限に株式ETFを保有する選択肢もあるが、これは弊害があるので好ましくない。日銀が実質的な「大株主」になることで本来、市場が担う経営監視の機能が失われてしまう。
しかも、国(日銀)が実質的な大株主ということは日本株の信認は国が支えていることになる。意図的ではないにしても、国家資本主義への道を歩むことになりはしないだろうか。
このままいくと、国(日銀)が実質的に日本株の最大の株主になる可能性がある。筆者はその原資が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、つまり将来の年金受給者のための積立金ではなく、国(日銀)の信用で歯止めなく発行されている資金であることに強い危機感を抱いている。
冒頭で指摘したように、金融政策は市場メカニズムが壊れそうなときに発動するものだ。金融政策が市場メカニズムを狂わせるのは本末転倒といえる。
もちろん、日銀には有能な人材が多くいるので、このような問題は個人レベルでは十分に理解されていると思う。しかしながら、組織決定で一度決めてしまうと、それからの撤退は日本の組織が最も不得意なことだろう。組織内ではなかなか変えることができない。
■異次元緩和の出口は異次元で
いずれにせよ、日銀はリスクを直視して、回避する政策が求められる。異次元の金融緩和の出口戦略はやはり異次元でなければならない。
知日派エコノミストのイェスパー・コール氏はある奇策を提唱している。「BOJから株式ETFを日本の個人に相続税の優遇措置を付けて買ってもらう」(コール氏)という内容だ。
イェスパー・コール氏は日銀が保有する株式ETFを個人に買ってもらう案を提唱している(写真は私的研究会で熱弁を振るうコール氏)
日銀の2018年度上半期財務諸表によると、資産として「信託財産指数連動型上場投資信託」(株式ETF)が21.6兆円計上されている。年間6兆円を買い入れていることを考えると、現在の簿価は25兆円ほどだろう。とてつもない金額のリスク資産が通貨の信用を寄与する日銀のバランスシートで増え続けている現状は不健全といわざるを得ず、早期の幕引きが望ましい。
ただ、現在日本の家計は約970兆円の現預金を保有していて、60歳代以上の世帯が半数を占めているといわれる。単純計算で485兆円の現預金だ。コール氏の主張のように確かに株式ETFを買う余裕は十分にあるだろう。
■個人の金融資産を投資に促す
例えば、個人が日銀から買った株式ETFを相続する際に課税対象にならず、相続後に売却して利益が出た場合も税優遇が適応される。また、損失があった場合も相続財産から差し引くことができる新制度が施行されたら、大勢の国民から大歓迎されるのではないか。
これによって、個人の金融資産を「貯蓄から投資へ」と促すだけでなく、日銀は膨らんだバランスシートを健全化し、異次元の金融政策の出口へも進むことができる。将来の日本社会のリスクを抑制するイノベーティブな政策になると思う。日銀と財務省に協力して進めてもらうことを期待したい重要な政策案と考える。
渋沢健
コモンズ投信会長。1961年生まれ。83年米テキサス大工学部卒。87年カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA経営大学院修了。JPモルガンなどを経て、2001年に独立し、07年コモンズ株式会社(現コモンズ投信)を創業、08年会長就任。著書に「渋沢栄一 100の金言」(日経ビジネス人文庫、16年)など。
前へ
1
2
3
おすすめ記事
実体経済超え膨らむマネー 市場のリスク(平山賢一)
生活者が長期応援株主に 企業を支えよう(澤上篤人)
インフレに勝つ老後資産形成 リスク運用をほどよく
株価下落で割安株増える 投信の販売再開(苦瓜達郎)
投資・医療・副業…確定申告の知恵袋2019年版
★「カリスマの直言」 記事一覧はこちら
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO41708460V20C19A2000000
ワールド2019年3月4日 / 17:30 / 21分前更新
スイス中銀、2018年はマイナス金利で20.5億フランの利益
Reuters Staff
1 分で読む
[チューリヒ 4日 ロイター] - スイス国立銀行(SNB、中央銀行)(SNBN.S)は4日、2018年のマイナス金利による利益が20億5000万スイスフラン(20億5000万ドル)だったと発表した。前年の20億2000万フランから小幅に増加した。
一方、外貨ポジションに関しては市場介入の結果、163億フランの損失が発生。このため、SNBの年間の損失額は149億フランとなり、1月に示していた暫定値(150億フラン)をやや下回った。
ただ、17年に過去最高となる544億フランの利益を計上したことを受け、株主への配当が依然可能となり、法律上の上限となる1株あたり15フランの配当と、各州や中央政府への20億フランの支払いを提案した。
https://jp.reuters.com/article/snb-results-idJPKCN1QL0P6
2019年3月4日 芥田知至 :三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員
減産見通しに米中摩擦和らぐも原油相場の需給は逼迫せず
原油相場は上昇傾向で推移している。昨年12月下旬の安値の後、35%前後持ち直して、欧州北海産のブレント原油は1バレル当たり67ドル台、米国産のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は同57ドル台となっている。
拡大画像表示
https://diamond.jp/mwimgs/d/7/-/img_d70afd8b13389e25a47e3cca8688d241164590.jpg
1月前半は、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長が利上げやバランスシート縮小に柔軟性を持って当たると述べたことや、米中貿易協議が進展していることへの期待を背景に、世界景気減速や株安に対する過度の懸念が和らぎ、相場は上昇した。
その後は上値が重くなった。発表された経済指標や企業業績は、景気の減速傾向を示すものが多く、米中貿易摩擦のほか、英国のEU(欧州連合)離脱、米政府機関の閉鎖問題といった波乱要因の先行きに不透明感も強かった。
OPEC(石油輸出国機構)とロシアなど非OPEC産油国が1月より原油の協調減産を実施したが、実効性への疑念も残り、需給引き締まり観測はさほど強まらなかった。
しかし、1月28日には米国政府がPDVSA(ベネズエラ国営石油会社)に対する制裁を発表したことが、相場の押し上げ要因になった。2月半ばには、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が3月に日量約50万バレルの追加減産を行う方針を表明し、引き続き同国が協調減産を主導するとの見方が強まった。
また、米国ではトランプ大統領が歳出法案に署名し、政府機関閉鎖を回避できる見通しとなったことも上昇材料となった。
米中貿易協議についても進展するとの期待が高まった。2月22日にはトランプ大統領が3月に米中首脳会談を開催する方向で調整していることを明らかにした。中国が米国からの輸入を増やすことで合意がなされそうだとみられている。それでも知的財産権保護や構造問題では隔たりが大きいと懸念されていたが、後日、3月1日に設定されていた交渉期限は延長されることになった。
昨年12月ごろに比べると、米中貿易摩擦などの懸念材料が和らいだことや、米金融政策のスタンスがハト派的に変化したことを背景に、株式など他のリスク資産と同様、原油相場も下支えされてきた。
それでも、今後の原油相場の上値は重そうだ。産油国の協調減産や、米国のイラン、ベネズエラに対する制裁が供給抑制要因だが、一方で米国の増産や世界的な原油需要の伸び悩みが見込まれる。特にシェールオイルを中心とした米国の産油量の増加傾向は続いており、先行指標である石油掘削リグの稼働数も高止まりしている。需給はなかなか引き締まりにくいというのが原油市場の現状である。
https://diamond.jp/articles/-/195680
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
- 米中、関税を後退させるための合意に近付いているもよう 米朝決裂の裏でトランプが狙う、より大きな「ディール」 うまき 2019/3/04 19:56:31
(0)
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民131掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。