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トップニュース2019年3月1日 / 15:18 / 13分前更新
迫る景気後退の足音、10月消費増税が残す禍根
嶋津洋樹 MCPチーフストラテジスト
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[東京 1日] - 28日発表された1月の鉱工業生産指数は、前月比3.7%という低下幅もさることながら、「一時的」や「特殊要因」とは言いづらい3カ月連続の前月割れとなり、国内景気の拡大がいよいよ終わりを迎え、後退局面入りが迫っていることを示した。
同時に発表された予測指数に基づくと、1─3月期の生産は前期比1.4%低下と2・四半期ぶりのマイナスになる見込みで、予測値が高めに出やすい過去のパターンを踏まえると、さらに下振れる可能性が高い。
仮に景気後退を回避できたとしても、多くの企業が来年度の事業計画を策定するこのタイミングでの足踏みは、設備投資や人員採用、春闘などを通じ、その後の景気に深いつめ跡を残すだろう。それは10月に予定されている消費増税10%への引き上げが景気に与えるリスクを高め、日銀の掲げる物価安定の目標達成を一段と困難にする。最悪の場合、デフレ脱却に向けたこれまでの努力を台無しする可能性すらある。
<外需に期待できず>
実際、国内景気を取り巻く環境は非常に厳しい。特に外需は、筆者が本コラムでたびたび指摘してきた通り、デレバレッジ(債務圧縮)政策に伴う中国景気失速の影響が顕在化しつつある。そこに通商などを巡る米中対立の影響が加わる上、米国が日本からの自動車輸入に関税を課したり、数量制限に踏み切ったりするリスクもある。そもそも、世界経済の回復ペースが加速するとは考えにくい中、外需は景気の足を引っ張らなければ「御の字」で、それ以上は期待できない。
もちろん、中国当局がマクロ経済政策で景気のテコ入れを図る可能性は否定しない。しかし、今の景気失速を引き起こしたデレバレッジの方針は依然掲げられたままだ。それが反腐敗運動と結びつき、政府は民間企業、とりわけ中小企業の支援に消極的で、景気テコ入れの効果は十分に行き渡っていないとされている。
これは度重なる金融緩和にもかかわらず、マネーサプライの伸びが鈍化していることや、調査対象に民間の中小企業が多い財新/マークイットの製造業購買担当者景気指数(PMI)が3カ月連続で50割れしていることと整合的だ。筆者は中国景気がマクロ経済政策によって底割れを回避できるとの見方に異論はないが、力強い反発は期待できず、緩やかに持ち直すのがせいぜいと考えている。
<インバウンドに急ブレーキ>
内需も油断できない。2018年10─12月期の実質国内総生産(GDP)は個人消費が2・四半期ぶりのプラスとなったほか、住宅は2・四半期連続で増加した上、伸び率も拡大した。設備投資は7─9月期から大幅に持ち直した。しかし、企業がこれから事業計画を下方修正することはあっても、上方修正することは期待しにくい。
実際、2月のロイター短観は製造業の景況感が前月比5ポイント低下、非製造業も同9ポイントの大幅低下となった。先行きは石油・窯業、電機、小売が大幅に反発するものの、それ以外の多くの業種で悪化が続く見込みである。
インバウンド消費も急速に不透明感が強まっている。1月の全国百貨店売上高は前年比マイナス2.9%。鉱工業生産と同様、トレンドの変化を示す3カ月連続の減少となった。このうち外国人観光客による売り上げは同7.7%減と、26カ月ぶりに前年を下回った。日本百貨店協会は「好調に推移してきたインバウンドも、主力中国の景気減速や免税品規制強化で苦戦した」と総括している。
<公共投資のタイムラグ>
頼みの綱は財政政策だが、実質ベースの公的固定資本形成(公共投資)は2018年10─12月期まで6・四半期連続の減少。国土交通省の建設総合統計の公共工事費は2018年12月まで8カ月連続で前年を下回った。相次ぐ自然災害で復旧・復興事業の増加が予想されたことを踏まえると、にわかに信じがたい数字だ。
もちろん、災害対応が盛り込まれた今年度の第1次補正予算が成立したのは11月7日で、その効果が出てくるのはこれからだ。しかし、政府の月例経済報告によると、公共投資は昨年11月まで「底堅く推移している」と判断された後、12月には「このところ弱含んでいる」、今年2月には「弱含んでいる」へと下方修正された。政府は「次第に補正予算の効果の発現が期待される」としているが、そのタイミングはいつになるのだろうか。
公共投資の効果がいつ顕在化するかは、10月の消費増税の影響を考える上でも重要だ。政府は前回2014年4月の増税時に合わせ、事業規模約18兆6000億円の経済対策を取りまとめ、景気の下振れリスクに対応しようとした。当時は専門家の多くが十分な規模と評価したにもかかわらず、景気失速を回避できなかった。
<複雑な増税対策>
今回の消費増税は引き上げ幅が2%で、変化率も前回を下回るため、影響は軽微との見方が少なくない。幼児教育の無償化や年金受給者への給付金支給、軽減税率、キャッシュレス決済へのポイント還元など、安倍晋三首相は「(消費増税分を)すべて国民に返すレベル」で対策を講じたと、万全の姿勢で臨む姿勢をみせている。そこに国土強靭化という防災対策も加わるため、「大盤振る舞い」などと批判が出るほどだ。
しかし、2014年4月に実施された消費増税や、昨年の災害復興の対応を見ると、公共投資の効果が顕在化するタイミングは不確実性が高い。政府予算の公共事業関係費とGDP上の公共投資の関係を見ると、2010年度までは連動していたが、2011年度以降は不安定化。とくに2014年度以降は、予算どころか、実際の予算執行が公共投資として顕在化し、景気を押し上げるタイミングも明確でない。
軽減税率の複雑さは言うまでもない。ポイント還元という制度を聞いたことはあっても、詳細を理解している人はどれだけいるだろうか。さらに年間契約など、増税の前と後をまたいで行う取引について、税率が据え置かれる「経過措置」という制度もある。大企業はすでに専門家に相談し、契約ごとにこの措置が適用されるかどうかを検討している可能性が高いが、中小企業がどこまで把握しているか不明だ。
<財政再建はデフレ脱却後に>
筆者はそもそも、財政再建はデフレ脱却後に取り組むべきだと考えている。デフレ下の増税は経済に大きな負荷をかけ、若年層から就業機会を奪い、企業に蓄積された従業員の知識やスキルの流出を招き、企業と企業の結びつきを壊す。短期的に個人の人生に暗い影を落とすだけでなく、長期的に国の生産性を圧迫する。
しかも、今回は景気後退の足音すら聞こえている。前回、前々回の経験から、財政政策が頼りにならないことは確認済みだ。日銀を含め、2014年増税時の影響を読み間違えた人たちから「万全だ」と言われても、とても安心はできない。
(本コラムは、ロイター外国為替フォーラムに掲載されたものです。筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
*嶋津洋樹氏は、1998年に三和銀行へ入行後、シンクタンク、証券会社へ出向。その後、みずほ証券、BNPパリバアセットマネジメントなどを経て2016年より現職。エコノミスト、ストラテジスト、ポートフォリオマネジャーとしての経験を活かし、経済、金融市場、政治の分析に携わる。共著に「アベノミクスは進化する」(中央経済社)
(編集:久保信博)
https://jp.reuters.com/article/column-forexforum-tax-hiroki-shimazu-idJPKCN1QI3MN
トップニュース2019年3月1日 / 11:33 / 1時間前更新
焦点:景気減速より台湾問題、中国は国防予算の拡大加速へ
Ben Blanchard
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[北京 26日 ロイター] - 中国では、経済減速が国防費の増大を阻む可能性は低い。同国政府は、軍の近代化やステルス戦闘機などの高額装備調達に向けてより多くの予算を計上する一方で、台湾問題にも注力しようとしている。
同国の国防予算に対しては、航空母艦や対人工衛星ミサイルなど、新たな軍事能力を開発する中国がどのような戦略的意図を持つのか、その手掛りを探りたいと、世界各地から強い関心が注がれている。
中国は2018年、過去3年間で最大となる国防費の増額に踏み切り、前年からの伸び率を8.1%増とした。思い切った装備更新プログラムを加速する一方で、この発表は近隣諸国の神経を逆なでした。
2019年の国防予算は、3月5日開幕する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の冒頭で明らかにされる予定だ。だが2017年の全人代では、国防予算が当初発表されず、透明性を巡る懸念が再燃した。
同じく全人代の開幕当日に発表される予定の2019年経済成長目標については、昨年の目標だった約6.5%を下回る6.0─6.5%で設定されそうだ、と政策担当者はロイターに語った。
国防予算の伸び率は、経済成長率を超える計算だ。
「2018年に比べ8─9%の安定した増加というのが理にかなった予想だ」という軍事専門家のコメントを、中国共産党の機関紙で人民日報系の環球時報は今月掲載している。
中国が西側諸国の軍事力に追いつくにはまだ相当かかる、と環球時報は報じている。次世代ステルス戦闘機「殲(せん)20(J20)」などの先進的な装備は依然として少数にとどまっているからだ。
景気減速を考えれば、軍事支出の増加も減速すると予想するのが自然だろう、と上海の同済大学で政治学を教える安全保障専門家のXie Yue教授は語る。
「国防予算は経済成長とリンクしているため、本来その伸び率も低下するはずだ。だがもちろん、南シナ海問題や台湾問題などの要因を踏まえ、恐らく国防予算はさらに増大するだろう」と同教授は指摘する。
中国による支配を受け入れなければ、台湾を攻撃する可能性もある、と1月の年頭演説で習主席が警告したことで、台湾問題が再び中国軍事当局の政策課題として浮上している。来年には台湾の総統選挙が控えているだけに、なおさらこの問題が注目されている。
「台湾問題を次世代に先送りし続けることはできない」と中国人民開放軍の元幹部で論客として知られる羅援氏は先月、自らのブログで主張。「われわれの世代が、歴史的な使命を果たさねばならない」
<「戦うぞ」>
中国軍内部では、台湾問題を巡り、実力行使を望む声が高まっている、と軍の関係者は語る。台湾は中国の一部であるという「一つの中国」原則を掲げる中国は、特に主席の演説後、強硬姿勢を強めている。
日頃から軍の高官と会ういう同関係者は、「彼らは連日『戦うぞ』という雰囲気だ」と述べた。
台湾の蔡英文総裁は中国の脅威について繰り返し警告しており、この島と民主的な生活様式を防衛すると宣言している。米国は、台湾に関する中国の意図を注意深く見守るとしている。
台湾の蘇貞昌首相は先週、「手許に箒1本しかなくても、私は中国に対抗して戦う」と国会で語った。「台湾を併合しようとするなら、その代償を払うことになろう」
米国は25日、再び台湾海峡に戦艦2隻を派遣した。中国からの反発はあるものの、米軍はこの戦略的に重要な海峡経由で行動する頻度を高めている。
中国国防省は、今年度の国防費についてコメントを避けた。中国当局はこれまで常に、国防支出について、防衛のみを目的としており、額も相対的に小さく、それを批判する者は中国の地位低下を望んでいるだけだ、との説明を繰り返している。
中国軍備管理・軍縮協会(CACDA)の上級コンサルタントで、中国軍元幹部のXu Guangyu氏は、「人々が恐れているのは中国が強くなることだ」と語り、国防費を巡る懸念を一蹴した。
トランプ大統領は、2019年の米国防費として7500億ドル(約83兆円)を要求する議会予算案を支持している。これに対し、中国の2018年の軍事予算として設定されたのは、1兆1100億元(約18兆3000億円)だ。
中国は、国防予算の内訳を公表しておらず、透明性の欠如が地域の緊張を高めていると、近隣諸国や他の軍事大国は不満を隠さない。一方、透明性は十分であり、脅威ではない、というのが中国側の見解だ。
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宇宙開発計画の運営まで担う、世界最大規模の軍隊である人民解放軍の軍事支出について、中国政府はおそらく実際よりも過小評価して見せている、と海外の外交官や専門家は主張している。
(翻訳:エァクレーレン)
https://jp.reuters.com/article/china-parliament-defence-idJPKCN1QG13K
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- 中国テクノロジーのリスク、世界は油断せず監視すべき トランプ、米中協議「物別れあり得る」 製造業PMI50割3カ月連続 うまき 2019/3/01 15:37:57
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