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米国主導の「ファーウェイ包囲網」から距離置く英国の矜持
広岡 延隆
上海支局長
2019年2月25日
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英フィナンシャル・タイムズなどの報道によると、英国の国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)は、中国の華為技術(ファーウェイ)製品を次世代通信規格「5G」に採用した場合のリスクは抑制できると結論付けた。
米国、英国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドは「ファイブアイズ」と呼ぶ国家機密情報の共有網を構成しており、カナダは米国の要請に応じて孟晩舟CFO(最高財務責任者)を逮捕し、米国に身柄を引き渡している。米国による「ファーウェイ排除」の呼びかけにニュージーランドやオーストラリアなども賛同、日本も事実上、追随する動きを見せている。そんな中で、ファイブアイズの中核をなす英国が米国主導の包囲網とは一定の距離を置く結論を出したことが波紋を呼んでいる。
EU(欧州連合)からの「合意なき離脱」という厳しい現実が迫っているタイミングを考えれば、欧州に加えて中国とまで対立が深まるのを避けたいとの考えがあったのかもしれない。しかし、米国との関係が悪化するリスクも抱えることになる。5Gの通信設備の調達先を複数確保したいという思惑もあっただろう。ただ言えるのは、少なくとも英国による分析では排除するまでのリスクは見出せなかったということだろう。
冷静に考えると、英国の判断が驚きをもって受け止められるという状況自体が、奇妙ではある。本来、西側諸国の価値観では、「証拠も示さずに排除するのはおかしい」というファーウェイの主張を覆すことはできないはずだ。国家安全保障に関わることについて全てを説明することはできない、するべきではないという反論もあるだろうが、極めて慎重に使用すべきロジックだと思う。イラク戦争では「イラクは大量破壊兵器を隠し持っている」との米国の主張が誤りだったことが後に分かっている。
今年1月、ファーウェイの「サイバーセキュリティーラボ」を訪問し、CEO(最高経営責任者)の任正非氏に加えて、サイバーセキュリティーとプライバシー保護の最高責任者であるジョン・サフォーク氏に取材した。製品について社内の他の組織から独立してセキュリティーチェックを実施し、ソフトの変更についても全て正確に管理しているとの説明を受けた。同社製通信機器について通信事業者が自ら技術検証を実施する施設も用意していた。
ファーウェイの「サイバーセキュリティーラボ」
次ページファーウェイ自身の力で嫌疑晴らすのは困難に
経営トップから社員まで、一様に外部の目を受け入れるオープンな姿勢を強調していたことは印象に残った。もちろん取材を受け入れた背景を考えれば、それを鵜呑みにすることは難しい。もはやファーウェイにかけられている嫌疑を晴らすことは、ファーウェイ自身の力だけでは難しいだろう。
結局のところファーウェイへの批判は、中国という事実上の共産党一党独裁体制下の企業であるという一点に収斂するからだ。国際的に非難されるウイグル族への弾圧や言論統制など、中国政府の施策には理解し難いものもある。
ただし、国家が方針として特定の民間企業の製品を排除する決断を下すには、感情ではなく証拠や法律に基づかなければならない。ファーウェイは危険で、ファーウェイ以外のメーカーにはなぜリスクがないと言えるのかを説明するのは難しいだろう。
問題の本質は、これだけ重要度が高まった通信インフラを支える機器について、安全性を検証する十分な体制を構築して来なかったことにあるのではないか。日進月歩の世界ゆえの難しさはあるだろうが、そこから目を背けて民主主義や法治といった基本ルールを曲げれば、危険な先例となりかねない。
例えば開発プロセスから完成品、アップデートなどのサービス運営体制などのチェック体制を法制度も含めて整え、それに応えられない企業からは調達しないといった枠組みは必要だろう。少なくとも、実際に製品を検証して科学的に判断するという、英国の態度は見習ってもいい。
コメント13件
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「エビデンスなしに」決めつけないのが英国の矜持なら、データ送信の事実が確認され次第排除する、とも読めますが、そうはならないですよね。
矜持どころかEU離脱の行方がどうなるか分からない中で可能なカネづるは掴んでおこう、という生き抜くために形振り構わない姿でしょう。国家としてはやむを得ないとは思いますが。
どちらかというと中国と政商レベルで癒着してると言えるほど密接している独国の対応の方が気にかかりますけどね。
2019/02/25 12:37:094返信いいね!
ene
この記事の本質は、エビデンスを作るために何が必要か?または必要だから考えよう?ではないのでしょうか。
国別の思惑はそれぞれの言い分ですので取り様もいろいろ。この目利きの仕組みを持てる国が日本になれば良いのですが、なれそうもないですね。
2019/02/25 13:23:411返信いいね!
47
輸出産業の工場労働者や外国人労働者を排除する為に、工場を閉め出してまでも自主独立を目指す英国独自の判断であり、米国の言いなりになるしかない日本との違いが垣間見える。
自分たちの意思だけで決められない敗戦国とは違う国民性を見るような気がする。
2019/02/25 15:20:332返信いいね!
Y Ohki
オーナー
広域に設置される末端部のブラックボックスの管理を十分すれば、理屈上、可能であるが、企業の支配を国家が指導するという以上、いつでもブラックボックスを変えられる恐怖と戦えるか危うい、原爆のMADのように相手国にアッタクできる代替技術が必要。
2019/02/25 17:28:04返信いいね!
GK2
一般
米国と比べて特段アドバンテージがあるわけでもなく、反面、リスクや懸念は多数ある。そんな状況で、わざわざ中国製品を選ぶ必要がどこにあるのか、どなたか納得のいく解説をしていただけないものかと。
リスクはない!懸念はない!と言い張る例は見かけましたが。
2019/02/25 17:42:46
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00019/022100023/
ファーウェイ包囲網、米国の思わぬ誤算
By
Newley Purnell, Rajesh Roy and Dustin Volz
ネット経済が爆発的に伸びるインドではファーウェイの安さと技術力が必要とされている
2019 年 2 月 22 日 14:42 JST
【ニューデリー】中国の華為技術(ファーウェイ)を締め出すための包囲網を世界的に広げる米国が、意外な障害にぶつかっている。世界最大の民主主義国インドだ。
米国はインドに対し、通信網のアップグレードにファーウェイの機器を使えばサイバーセキュリティーに重大な脅威を及ぼすと警告している。しかし複数の政府当局者や業界幹部によると、今のところインドの政策担当者や通信会社はほとんど耳を傾けていない。ファーウェイが提供する割安な価格や高い技術力はそうしたリスクを上回るとの主張が多いからだ。
インド携帯電話事業者協会のラジャン・マシューズ事務局長は「ここでは、米国の措置はどちらかというと外交政策の問題だと受け止められている」と述べた。
こうした懐疑的な見方は広範にわたっているため、ファーウェイによる次世代通信規格「5G」制覇を阻止しようとする米国の戦いで、インドが想定外の戦場と化しつつある。アナリストらによると、米国は態度を決めていない国に対する中国の影響力を排除しようとしているが、その成否はインドが選ぶ方向で決まる可能性がある。インドの5G展開はまだ初期段階だが、同国は急成長が見込まれる重要な市場だからだ。多くの当局者はこれまで、インドは長らく中国とライバル関係にあるため米国側にとどまると考えていた。
https://si.wsj.net/public/resources/images/B3-DF749_190222_NS_20190221215932.png
関係者らによると、米国などの当局者はインドや他国に対し、ファーウェイは中国共産党の要求に従うほかないためスパイ行為などの道具になりかねないと説明している。
そうした働きかけに水を差したのが今週のドイツ当局者らの発言だ。ドイツ政府は5Gインフラ網整備入札でファーウェイの参加を認める方向に傾いているという。
事情に詳しいインドの高官によると、同国内務省は今月、首相府や国家安全保障当局の責任者などにあてた文書で、米当局者らがインドにおけるファーウェイの伸長に懸念を表明していると述べた。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が同文書の一部を確認したところ、「米側が懸念している」との記述があった。
在ニューデリー米大使館の報道官はコメント要請に回答しなかった。
ニューデリーで2018年開催されたモバイル見本市では世界中から5G関連技術が出展された PHOTO: RAJA T GUPTA/EPA-EFE/REX/SHUTTERSTOCK
ファーウェイはこれまで、企業スパイ活動への関与を一貫して否定。自社機器が監視ツールとして兵器化されたことを示す公の証拠を提供するよう米国に訴えている。
米国にとってアジアの主要同盟国の1つであるフィリピンでは、ファーウェイ製品を使った4億ドル(約443億円)の監視カメラ導入計画に議員が抵抗し、今月初旬に成立した年間予算に条項を盛り込んで計画への歳出を阻止した。
だがインドでは、ファーウェイを阻止するそうした動きは見られない。13億人の人口を擁する同国では、近年インターネット経済が爆発的に伸びている。数億人の消費者が2G、3G、4Gネットワーク対応の安価なスマートフォンを使い、続々とオンラインに接続しているのだ。
https://si.wsj.net/public/resources/images/B3-DF750_190222_NS_20190221220028.png
インド政府が1月に発表したリポートによると、携帯電話会社はユーザー1人当たりの平均売上高が世界最小の部類に入るにもかかわらず、5Gインフラ構築のため今後5〜7年に1000億ドルを支出する見通しだ。
一方、米ニューストリート・リサーチのスペンサー・カーン氏は、インドで同期間に使われる金額は300億ドル程度になりそうだとしている。
いずれによせ、そうした巨額支出が控える携帯電話各社はできるだけコストを抑える必要がある。インドでは今年夏に5Gの新しい周波数帯の入札が見込まれており、来年にも5G展開が始まる可能性がある。
5G開発をリードしようとするファーウェイの動きは、昨年3月にインド南部の港町チェンナイの5つ星ホテルで見られた。5Gの規格を打ち出すための業界会合に、韓国サムスン電子を除くどの競合他社よりも多い40人を送り込んだのだ。
13億人の人口を擁する同国では近年インターネット経済が爆発的に伸びている PHOTO: XAVIER GALIANA/AGENCE FRANCE-PRESSE/GETTY IMAGES
インドは中国への警戒心を解いていないが、競争の激しいインド通信業界の企業はファーウェイが提示する魅力的な契約を必要としており、安全保障を巡る米国の懸念が行き過ぎだと考えている。
事情を良く知るインド政府のある高官によると、同国には5Gの恩恵を手にするため迅速に動きたい意向があり、米国からの「圧力に従うのではなく、われわれの条件で」ベンダーを選ぶ方針だ。
機器サプライヤーが携帯電話会社との通信テストに参加するにはインド政府の正式な承認が必要だ。ファーウェイはそうした承認を待っている。
同高官は「ファーウェイは現在、5Gで最先端にいるため無視できない」とし、「全ての技術にはセキュリティーの懸念やぜい弱性があるのだから、ファーウェイのみを名指しするのは正しくない」と述べた。
ファーウェイが今年発表した5Gモデムチップセット「Balong 5000」 PHOTO: ANDY WONG/ASSOCIATED PRESS
インドの通信業界は輸入機器への依存度が非常に高い。その比率は現在稼働している装置の90%に上る。つまり、ファーウェイの技術にとっては肥沃(ひよく)な土壌だ。スマホ同士、いずれは5G実用化によって自動車同士などの接続を可能にする機器に対しては今後、巨額な資金が費やされることが見込まれる。
調査会社デローログループによると、インドの通信機器市場でファーウェイのシェアは15〜20%だ。同社の広報担当者は「世界平均に比べると、インドではファーウェイの立場は弱い」と述べた。
インドなどの途上国にとっては特に、選択を迫る米国の圧力は強いジレンマとなっている。今まさに通信インフラのアップグレードに着手しているからだ。そうした国にとってファーウェイは、質の高いハードウエアを競争力の高い価格で提供する貴重なサプライヤーになり得る存在だ。そのため米国の要求に屈して同社を避ければ、技術面で後れを取るか、より高い金額を出して中国製以外の装置を使うことになりかねない。
中国の習近平国家主席とファーウェイの任正非CEO(2015年10月) PHOTO: POOL NEW/REUTERS
まだ数億人がネットに接続していないインドでは、アマゾン・ドット・コムやウォルマートをはじめとする米国の大企業が将来を見越して多額の資金を投資している。
オバマ前米政権で国務省の当局者だったクリス・ペインター氏によると、米国は当時、インドとの協力をサイバーセキュリティー戦略の最優先課題の1つに位置付けていた。サイバーセキュリティーに関する合意に向けて国務省や国土安全保障省(DHS)、ホワイトハウスを通じてインド側と対話し、情報共有を含む広範な枠組みを協議していたという。
ペインター氏によれば、当時の会話ではファーウェイは大きな関心を集めてはいなかった。ただ、民間企業から知的財産を盗もうとする中国政府の執拗(しつよう)なサイバー攻撃に対する米国の警戒感は、インド側も共有していたという。
ただ、懸念は共有していながらも、インドは「独立しており、米国が望むことをただ実行する訳ではない」とペインター氏は語る。「彼らは明らかに我々とは異なる優先事項を多く持ち、歴史も違う」
インド陸軍は、慎重な対応が求められる中国との国境地帯の一部でも中国製通信機器を使っている。しかし、政府は軍内部のネットワークを中国製の装置から遮断することに万全を期していると当局者は話す。
かつてインド内相を務めていたG・K・ピライ氏はこう語る。「インドは年を追ってかなり著しく米国寄りにはなったが、反中国家という訳ではない」
2018年9月に北京で開催された見本市でのファーウェイのブース PHOTO: MARK SCHIEFELBEIN/ASSOCIATED PRESS
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https://jp.wsj.com/articles/SB10039284450484833869604585138973570460964
賢いマネーと愚かなマネー、投資の通説に誤り
By Jason Zweig
2019 年 2 月 25 日 12:55 JST 更新
――筆者のジェイソン・ツヴァイクはWSJパーソナル・ファイナンス担当コラムニスト
***
プロの投資家は「スマートマネー(賢い資金)」で、個人投資家は「ダムマネー(愚かな資金)」――。金融業界は以前からそう主張しているが、皮肉なことにこれほど金になる宣伝攻勢は歴史を振り返ってもそう多くない。何十億ドルもの手数料は、決して賢い人々の元に流れ込んでいたわけではなかった、ということが分かったのだから。
個人投資家は金融業界が言うほどの世間知らずでは決してない。これは賢い資金と...
https://jp.wsj.com/articles/SB11166242290339733756804585144803131113856
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