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(回答先: 米軍が今になって地対艦ミサイルを重視する理由 一変した中国近海のパワーバランス 投稿者 うまき 日時 2019 年 1 月 11 日 08:05:36)
子供を戦場に送ると国の未来は衰退する韓国/台湾の徴兵制とイエメン少年兵「デバイド再生産」
2019.1.11(金) 伊東 乾
イエメンの首都サヌア郊外で、サウジアラビア主導の有志連合による空爆で崩壊した家のがれきの上に座る子どもたち(2016年11月14日撮影)。(c)AFP/MOHAMMED HUWAIS〔AFPBB News〕
韓国のレーダー照射が問題になっていますが、こうした出来事のもう一つの側面として、韓国の徴兵制を考える必要があると思います。
かつて、大学の同僚だった韓国人研究者から、「子供は決して韓国で育てない。米国のワシントンDCで育てている」という話を聞きました。
理由を尋ねると、「軍隊に行かせたくない、入営すると、疑問を持たない人間になりクリエイティビティが失われる恐れがあるから」と答えました。自分自身そうなったと言うので、これは深刻です。
彼のケースは、もう20年以上前のことですので 現状は変わっているかもしれません。しかし、当時の韓国は日本軍方式で、兵隊は殴れば殴るほど良くなる、という考えが蔓延していたそうです。
何かあると殴られる。上官の命令に異を唱えたりした日には、ボコボコにされてしまう。
そんなDVな日常を過ごすうちに、自分でも気づかぬうちに、上の命令に疑問を持たず、イエスマンとしてロボットのように動いている自分自身にあるとき気がついて、慄然としたそうです。
・・・黒いカラスが白かろうが、国際法がどうであろうが、あるいは竹槍でB29に対抗できるかどうかの合理的判断などはほっておいて、ともかく目の前のことでイエスを言う・・・
「そういう人間になりかねない。殴る軍隊に入れると子供の未来はなくなる」
その同僚研究者は力説していました。
先に台湾では昨年末、12月26日をもって徴兵制が「終了」しましたが、韓国でもその方向が議論されています。
「若者に嫌気」といった読者受けする報道が目立ちますが、施政者側の観点としては、国の未来を拓くイノベーティブな青少年を育てることも念頭に置かれています。
さて、こうした準先進国であればまだしも、そうでない場合、子供に就学の機会を与えず兵隊として利用することは、向こう50年、100年規模で、国の繁栄を阻害する「デバイド下層」への落ち込みが懸念されます。等身大の例をご紹介しましょう。
イエメン少年兵の21世紀
混迷の続くイエメン内戦で少年兵の実践配備が全世界に報じられています。実に総兵力の3分の1にも及ぶという報道もありました。
子供を軍事的に利用するというのは、大人が次世代を、すなわち国の未来を滅ぼす最短手筋の一つであることを、全世界の内戦や紛争後地域の現実が、雄弁に物語る通りです。
国連諸団体、ユニセフやユネスコが発する「少年を戦地に送るな!」というメッセージは、日本国内では「人道的な配慮」と受け取られることが多いように思われますが、海外にはそれと異なる、様々な複数の視点が存在します。
共通するのは「少年兵」を作り出すと、後々まで禍根を残す。ろくなものではないという一点です。それら、あまり日本国内で強調されない観点から、「少年兵」の問題を考えてみたいと思います。
かつての日本軍もティーンエイジャーの少年を徴発して軍事に投入しました。
予科練などはいまだに「赤き血潮」とか「でっかい希望」とか、おかしなセンチメントと共に歌われることがありますが、ろくでもない政策であることを、学徒出陣兵として青春を滅茶苦茶にされた父親の息子として、一言記しておきたいと思います。
武装する幼児:イエメンの「伝統」
イエメンでは、部族社会の中で男子が幼少期から武器を手にすることが慣習〜伝統となっており、それがこのような事態を誘引した一大原因になっているとの指摘があります。
これを「我が国の伝統であるからして、国際社会はほっておいてくれ」などと放置していいのか、と問われると、およそそんなことはないのが21世紀のグローバル社会と言わねばなりません。
イエメン部族の男児が早くから自ら武器を手にする背景には8000年来、人類最長の文化と伝統が関わっていると考えても、大げさではないと思います。
というのも、インダス文明が沿岸交易を通じてアラビア半島、さらにはシナイ半島を越えて地中海文明と交流したのは、イエメン隊商の貢献に負うところが多大と考えられるからにほかなりません。
古代の遠隔交易で、正確に物品の数や内容を伝えるために数詞や割り印が工夫され、土製の印像(トークン)がやがて「文字」を生み出した過程を跡づけたデニス・シュマント=ベッセラの衝撃的な研究は既に定説として受け入れられています。
こうした人類文明の大きなグローバルアーチを、8000年規模で支え続けてきた中に、誇り高いイエメンの隊商部族が位置づけられます。
全世界で標準的な音素の表音文字(アルファベット)を日本は元来持たず、シラブルの表音文字と漢字という表意文字の混合文字体系です。
しかし、これも元来はシナイ半島のセム部族が、異なる地域の言語を共通の音符で表現しようとして楔形文字を改良することで生まれたもので、イエメン人が古代インダス、メソポタミアとエジプトをつなぐ過程で発生したものです。
現在私たちが用いているアルファベットは、シリア近在で活躍したフェニキア文字を源流とするもので、その普及にはやはりイエメン文化が役割を果たしていると考えて外れないように思います。
「月の砂漠をはるばると」旅のラクダが行くかどうかは別として、古代の隊商は山賊、海賊の難を自ら防いで初めて成立します。
いや、もっとハッキリ言うならば、弱っちい奴がいたら武力で財貨を奪い取ってしまう賊そのものの隊商も決して珍しいものではなかった。
古代の聖典が同胞を大切にすると同時に、異教徒を人間扱いしないのは、こうした命がけの現実から考えるべきものと思います。
男は自ら身を守り、家族や仲間、自分たちの財宝を腕力で防衛する必要がある・・・。
イスラム以前のアラブの古代を「ジャヒーリーヤ」(無明時代)と呼ぶのは、イスラム以降の視点からの評価によるものです。
乱暴、淫蕩、弱肉強食として描かれる「ジャヒーリーヤ」期のイエメン王国は、ユダヤ教やキリスト教が普及する文明圏で、砂漠のほかに耕地も存在し、さらには銀などの鉱物資源も産出したため、遠くペルシャからも早くから入植があったとされます。
そこまで根深い男児たるもの、自ら武器を取って身を守れという「伝統」ですが、国際社会からは「やめろ」という意思表示がハッキリ示されます。理由があるからにほかなりません。
今日、少年期に就学の機会を逸すると、その後終生にわたって、その人もまた家族もその国全体も、長くダメージを負うことが解っているからです。
学ぶべきときに学ぶ大切さ
私自身が直接、目で見たケースでお話しましょう。2008年、私はルワンダ共和国大統領府の招聘で同国に中期滞在して、ラジオメディアを濫用したメディア・マインドコントロールが同国で発生させた「ジェノサイド」の再発防止をサポートする仕事を手がけました。
現地で様々な人と出会いましたが、その中で60歳前後でしょうか、ミシンを踏みながら花の刺繍を学んでいる男性の話が忘れられません。
男性は1940年代末頃の生まれで、2008年当時は50代末か60前後と思われましたが、自分の年齢を正確には知らないのです。
1950年代末、彼がまだ幼児だった時期にルワンダ=ブルンディでは内戦が勃発し、彼は少年兵として戦闘に参加します。
銃を磨き、上の命令に従って無茶なこともたくさんし、因果なこともたくさんあったようです。
ライフルを分解し油を差して手入れすることは、自分の命を守るうえでも必須不可欠だったそうです。
でも、戦闘中心の生活では、指を折って可能な簡単な計算以上の知性を磨く機会はなかった。文字はまともに読めず、自分の名を一文字一文字追うことができる程度。
家族もなく、ときに大金を手にすることもあったけれど、散財して手元には何も残っていません。そんな状態で40代、50代となると、戦力としては若い世代に太刀打ちできません。
結局、用済みの老兵となった。文字が書けず計算もできない彼のような人が、同世代に何十万人もいるというのが「半世紀にわたって内戦が続いた国」の、偽らざる現実であることを教えられました。
老人は円形の枠に張った布に、ミシンで花の模様を刺繍していました。この仕事を覚えれば、何とか自活できる可能性があるそうです。
こうした授産事業に、ルワンダ大統領府は非常に意欲的でした。1次生産者の知性を上昇させることは、貧困撲滅の最も重要なカギになるのです。
逆に言えば、文字が読めず、ろくに計算もできない人が末端労働に従事していれば、仲買やブローカーがいくらでもピンハネできてしまい、腐敗した経済社会の構造は、国の健全な復興と成長を著しい妨げになってしまいかねない。
そうした観点からも、教育は決定的に重要だというのが、私をこの老人に合わせてくれた大統領府担当官のコメントでした。
子供を戦争に投入するのは非人道的である・・・全くその通りです。
しかし、それをただ「こんな年齢なら、本当は友達と遊んだり、家庭で可愛がられたりしていて当然だ。かわいそうに」といった哀れみの目で見るばかりではない、という復興の現実を、ルワンダの首都キガリの下町の授産所で私は知りました。
ちなみに夕方で電気がついていましたが、途中から停電してしばらく真っ暗になった状況で、元少年兵の老人に「刺繍をしていて楽しい」という感想を聞かせてもらいました。
内戦などで、ある世代全体が就学の機会を持てないということは、その国のその世代全体が「リテラシー」を失うことを直ちに意味します。
子供が戦地で武器を取る姿は、いまかわいそう、というのみならず、明日の青年、2030年代の壮年、2040年代の国家リーダーの人材層喪失、ひいては復興の遅れや開発至難な状況、永続的な貧困発生などの原因となってしまいます。
少年兵が1人いる、ということは、仮にその子が戦果を生き延びることができたとしても、その国の未来に長く影を落とすことを意味します。
そういう現実をきちんと見据え、間違っても「赤き血潮」や「でっかい希望の虹」などを称揚すべきではありません。
文字も読めず、数の計算も危うい21世紀生まれの世代が、どうやって今後、高度に情報化したグローバル社会で、先進各国に対抗していけるというのでしょうか?
少年兵を量産するというのは、今後、必ず訪れる「AIデバイド」で、まず間違いなく「人工知能弱者」として割りを食う人々を、一つの国、一世代まるごと、現在進行形で作り出していることにほかなりません。
さらに、それらが因果な搾取や、貧困、犯罪、麻薬貿易など2次的な広がりにも容易につながってしまいかねないのも、全世界のこの種の出来事から、いやというほど私たちは見てきたはずです。
国連をはじめ、国際社会の良心層がおしなべて少年兵に反対する背景に、こうした実態を直視する必要があります。
このグローバル環境のもと、子供を戦場に送ると、国は向こう100年にわたってデバイド下層に沈殿するリスクを負う、シビアな現実を認識すべきと思う次第です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/55169
https://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/child-soldiers-yemen-war-sudan-saudi-arabia-darfur-poor-front-line-deaths-janjaweed-a8703186.html
台湾 徴兵制終了 若者に嫌気、戦力維持に課題
毎日新聞2018年12月18日 21時49分(最終更新 12月18日 21時50分)
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台湾軍は各地のイベントなどで、女性も含めて新兵の募集に力を入れている=台湾北部・桃園市で2017年9月、福岡静哉撮影
【台北・福岡静哉】台湾軍が長年にわたり続けてきた徴兵制度が26日に正式に終了する。背景には、中台関係の緊張緩和や若者の徴兵制への反発がある。今後は志願制に移行するが、兵員数は目標に達していない。中台統一を悲願とする中国と対峙(たいじ)する台湾にとっては、戦力維持が大きな課題となっている。
台湾は蒋介石総統時代に徴兵制を開始。18歳以上の男性に対し、陸軍が2年、海軍と空軍は3年の徴兵義務を課してきた。だが対中融和路線を取った国民党の馬英九政権(当時)が2008年、1年に短縮。馬政権は徴兵制の廃止も決めた。廃止時期は何度か延期されたが、昨年末を最後に徴兵制度による入隊が終了。この時に入隊した412人が26日までに除隊することで、徴兵制度が完全に幕を閉じる。今後は原則、4カ月間の軍事訓練だけが課せられる。ただ、有事の際は徴兵制を復活させる方針だ。
台湾国防部(国防省)によると、戦力を維持するのに必要な兵士数は16万9000人。台湾軍は志願兵の募集を強化しているが、今年10月時点の兵士数は15万3000人にとどまる。大学4年の※国森さん(21)は「軍隊は自由が無くつまらない。周囲にも志願を考えている人はいない」と話す。今後、少子化が進むため、志願兵集めはさらに難しくなるとみられる。
米国防総省は、8月に発表した中国の軍事動向に関する年次報告書で「中国は平和的な台湾統一を掲げるが、武力の行使を否定したことはない」と警鐘を鳴らしている。
※は「にすい」に「余」
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https://mainichi.jp/articles/20181218/k00/00m/030/206000c
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