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中東の支配構造が大きく変化する中、混乱するアメリカ支配層
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201901100000/
2019.01.11 櫻井ジャーナル
ジョン・ボルトン国家安全保障補佐官とマイク・ポンペオ国務長官がそれぞれ中東を訪問、シリアからアメリカ軍を撤退させるとしたドナルド・トランプ大統領の発言を否定すると同時にその発言を肯定するというアクロバティックなことを行っている。 中東を侵略、ロシアを軍事的に恫喝してきたネオコンや有力メディア、あるいはリベラルを自称する人々から批判されているトランプの決定はトルコ政府との会談が発端だと推測する人もいる。 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン政権はクルド勢力を「テロリスト」だと位置づけ、ダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国などとも表記)やアル・カイダ系諸グループと同じだと主張、攻撃する姿勢を見せている。アメリカ軍がクルド勢力を守ろうとすれば、アメリカ軍とトルコ軍、NATOに加盟する国の軍隊同士が衝突する可能性があるわけだ。トランプはそれを恐れたと考える人もいる。 しかし、アメリカなしに中東で現在の立場を維持することが難しく、イランの体制を転覆させたいイスラエルやサウジアラビアの現支配層はトランプの決定に激怒、この2カ国とつながる西側支配層も怒った。 ボルトンによると、トランプ大統領は彼に対し、トルコ軍によるクルド人殺害を許さないと語ったとした上で、トルコの軍事作戦はアメリカの承認を受けて行うように要求した。 エルドアン大統領はこの発言に激怒、自分たちは「テロリスト」と戦うのだと強調。トルコのメブルト・チャブショール外相はイランやロシアの外相と会談、アメリカ軍の撤退問題で連携することを求めた。 前にも書いたように、トランプ政権内ではポンペオ国務長官、ボルトン国家安全保障補佐官、そしてシリア特使のジェームズ・ジェフリーはシリア東北部、つまりユーフラテス川の北、イラクと接している地帯の永続的な占領を目指して活動している。 2011年3月からアメリカのバラク/オバマ政権はイスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、トルコ、カタールなどと手を組み、ジハード傭兵をシリアへ送り込んで侵略戦争を開始するが、その翌年にアメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)がホワイトハウスへ提出した報告書は東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配国が作られる可能性があると警告していた。 2014年に売り出されたサラフィ主義者を主体とする戦闘集団、ダーイッシュは東部シリアからイラクにかけての地域を占領、その支配地域はダマスカス近くまで迫った。 2012年から14年にかけてDIAの局長を務めていたマイケル・フリン中将は退役後、2015年8月にアル・ジャジーラの番組で、ダーイッシュを出現させた政策の実行を決めたのはオバマ大統領だと語っている。その政策をネオコン、有力メディア、自称リベラル派などは批判しなかった。 Who is to blame for the rise of ISIL? | Head to Head クルドはイラクやシリアの山岳部で生活していたが、二つの地域のクルドは別の存在。イラクのクルドが使う言語はソラニ語で文字はアラビア文字、シリアのクルドはクルマンジ語でラテン文字だ。 イラクのクルドはイスラエルの指揮下にあり、指導者のバルザニ親子はモサドのエージェントだったとも言われていたが、すでにこの構造は崩れ、イラク政府と連携しているようだ。それと入れ替わりのようにして、シリアのクルドがアメリカの支配下に入った。そのシリアのクルドが現在、シリア政府との関係を強めようとしている。 アメリカの権力者は中東の支配構造を維持しよとしているが、その構造は崩れつつある。その流れを止めることは簡単でない。 |
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