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シリアで侵略部隊が敗走する中、西側はアル・カイダの医療部隊を救出する動き
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/201807180000/
2018.07.19 櫻井ジャーナル
アル・カイダ系武装集団の医療部隊として機能してきた「シリア市民防衛(白いヘルメット)」を西側諸国は救出しようとしている。アメリカのネットワーク局CBSによると、カナダへの移住が考えられているという。シリア南部を支配していたアル・カイダ系武装集団が壊滅状態で、西側は白いヘルメットを救出することにしたようだ。
言うまでもなくCBSはアメリカの世界侵略を支援してきたプロパガンダ機関。白いヘルメットを「正義の味方」として描いてきた。その「正義の味方」を助ける必要があるという話になっている。
白いヘルメットのメンバーと武装集団の戦闘員が重なっていることを示す映像は明らかになっていたが、それだけはない。アル・カイダ系武装集団が撤退した後の建造物から白いヘルメットと武装集団が隣り合わせで活動していたことを示す証拠が発見され、解放された住民は白いヘルメットが武装集団と連携していた事実を明らかにしている。
その白いヘルメットの「情報」を口実にしてアメリカをはじめとする国々はターゲット国を侵略してきた。白いヘルメットは2013年の終わりから14年の初めにかけての次期にイギリスの情報将校だったジェームズ・ル・ムズリエが創設した。この人物は2000年に退役し、オリーブ・グループという傭兵組織の特別プロジェクトの幹部になっている。この組織の後にアカデミ(ブラックウォーターとして創設、Xeに改名、現在に至る)に吸収されている。
シリア侵略はリビア侵略より1カ月遅れて2011年3月から始まった。2010年8月にバラク・オバマ米大統領がムスリム同胞団を使った侵略戦争を承認した結果だ。リビアでの戦闘の過程でアル・カイダ系武装集団とNATOの連携が明白になり、ムアンマル・アル・カダフィ体制を倒した後、戦闘員がリビアからシリアへ移動してシリアでの戦闘は激化する。
アメリカ、イスラエル、サウジアラビア、イギリス、フランス、トルコ、カタールなど侵略を目論んだグループはその侵略を正当化するために偽情報を流してきた。有力メディアや「人権擁護」団体が宣伝するのだが、そこへ偽情報を伝える仕組みが必要。当初、有力メディアが盛んに使っていた情報源がシリア系イギリス人のダニー・デイエムなる人物だったが、デイエムが撮影スタッフと演出の打ち合わせをしている場面が2012年3月にインターネット上へ流出、中継はフィクションだということが明らかになった。
その頃からオバマ政権は「穏健派」と『過激派」という話を作り上げるが、アメリカ軍の情報機関DIAは2012年8月にこの主張を否定する報告書をホワイトハウスへ提出している。反シリア政府軍の主力はサラフィ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだと指摘されていた)であり、オバマ政権が主張するところの「穏健派」は事実上、存在しないというわけだ。
その報告書が提出された頃、オバマ大統領はシリアに対する直接的な直接的な軍事介入のレッド・ラインは生物化学兵器の使用だと発言、その年の12月にはヒラリー・クリントン国務長官がシリアのバシャール・アル・アサド大統領は化学兵器を使う可能性があると語った。2013年1月29日付けのデイリー・メール紙にはイギリスの軍事関連企業ブリタム防衛の社内電子メールに、オバマ政権がシリアで化学兵器を使い、その責任をアサド政権に押しつける作戦をオバマ大統領が許可したという記事が載った。(同紙のサイトからこの記事はすぐに削除された)
そして2013年春から繰り返しシリア政府が化学兵器を使ったという話が流れ始めるのだが、いずれも嘘だったことが判明している。最近の例は2018年4月7日のケース。白いヘルメットとジャイシュ・アル・イスラムという武装勢力はドゥーマで政府軍が化学兵器を使ったと宣伝、シリア政府やロシア政府は化学兵器が使われた痕跡はないと主張、OPCW(化学兵器禁止機関)に調査を要請した。
その調査チームが現地へ入る直前、4月14日にアメリカ、イギリス、フランスの3カ国はその地域をミサイルで攻撃する。ロシア国防省によると、発射されたミサイルの約7割はシリア側の防空システムで墜とされた。アメリカ軍は全て目標に命中したとしているが、説明が不合理で、説得力はない。
ロシア系のRTは西側の有力メディアが化学兵器の被害者だとして報道した子どもとその父親を取材、やはり化学兵器が使用されたという話を否定したが、このケースでは一部の西側のメディアもドゥーマで化学兵器は使われていないと伝えている。例えば、イギリスのインディペンデント紙が派遣したロバート・フィスク特派員は攻撃があったとされる地域へ入り、治療に当たった医師らに取材しているが、そこで患者は毒ガスではなく粉塵による呼吸困難が原因で担ぎ込まれたという説明を受けている。毒ガス攻撃があったことを示す痕跡はないという。アメリカのケーブル・テレビ局、OANの記者も同じ内容の報告をしている。OPCW(化学兵器禁止機関)も7月6日に発表された中間報告で、神経物質や化学兵器の分解物質は発見されなかったとしている。
白いヘルメットは戦争を始めるために偽情報を流したということだ。こうしたことを繰り返し、住民の虐殺にも加担してきた。その白いヘルメットを西側の政府や有力メディアは褒め称えている。
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