<■133行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 11月30日、名古屋高裁で、初の国家賠償責任まで認める「逆転完全勝訴」判決が言い渡されました!(いのちのとりで) 2023.12.1https://inochinotoride.org/whatsnew/231130_nagoya いのちのとりで裁判全国アクション(判決全文・要旨・弁護団声明を掲載しています) 11月30日、名古屋高裁で、初の国家賠償責任まで認める「逆転完全勝訴」判決が言い渡されました!(判決全文・要旨・弁護団声明を掲載しています)|いのちのとりで裁判全国アクション 2023年11月30日午後3時、名古屋高等裁判所民事第2部(長谷川恭弘裁判長)は、愛知県内の生活保護利用者13名が国と自治体を被告として提起した裁判で、原告らの請求を棄却した第1審・名古屋地裁判決を取消し、原告側の「逆転完全勝訴」判決を言い渡しました。 自治体に保護費減額処分の取消しを命じるだけでなく、一連の裁判で初めて国に慰謝料(国家賠償)の支払いを命じる画期的な判決でした。 11月30日、名古屋高裁で、初の国家賠償責任まで認める「逆転完全勝訴」判決が言い渡されました!(判決全文・要旨・弁護団声明を掲載しています)|いのちのとりで裁判全国アクション これまでに言い渡された22の判決(うち1つは高裁判決)のうち、2021年2月22日の大阪地裁判決、2022年5月25日の熊本地裁判決、同年6月24日の東京地裁判決、同年10月19日の横浜地裁判決、2023年2月10日の宮崎地裁判決、同年3月24日の青森地裁判決、和歌山地裁判決、同年3月29日のさいたま地裁判決、同年4月11日の奈良地裁判決、同年5月26日の千葉地裁判決、同年5月30日の静岡地裁判決、同年10月2日の広島地裁判決に次ぐ、13例目の勝訴判決です。2023年に入ってからは原告側が9勝2敗と圧倒しています。 ■本判決の特色@ 本判決の第1の特色は、一連の裁判で初めて、原告らの精神的苦痛を慰謝するため国に1人あたり1万円(請求額どおり)の国家賠償を命じた点にあります。 判決(178〜181ページ)は、厚生労働大臣には「少なくとも重大な過失」があり、「客観的合理的な根拠のない手法等を積み重ね、あえて生活扶助基準の減額率を大きくしているもので、違法性が大きい」として、その悪質さを指弾しています。 「健康で文化的な最低限度の生活」とは何かについて、「人が3度の食事ができているだけでは、…生命が維持できているというにすぎず、到底健康で文化的な最低限度の生活であるといえないし、健康であるためには、基本的な栄養バランスのとれるような食事を行うことが可能であることが必要であり、文化的といえるためには、孤立せずに親族間や地域において対人関係を持ったり、…自分なりに何らかの楽しみとなることを行うことなどが可能」でなければならないとし、「元々余裕のある生活ではなかったところを、生活扶助費の減額分だけ更に余裕のない生活を、…少なくとも9年以上という長期間にわたり強いられてきた」と、原告らの苦境に寄り添う人間味にあふれた判断を示しました。 ■本判決の特色A 本判決の第2の特色は、生活保護基準部会が検証した「ゆがみ調整」の結果を国が一律2分の1にしたうえ、これを国民に隠し続けていたことを厳しく批判した点にあります。 判決(131〜143ページ)は、2分の1処理を激変緩和措置であるなどとする国側の主張について、「非常に疑わしい」、「極めて不誠実なもの」、「全く説得力がない」、「『公平』という言葉を使うなどして、実際には『不公平』を残存させていることを取り繕っている」と厳しく批判。2分の1処理が「長らくブラックボックスにされていたということは、…判断過程の極めて重要な部分を秘していたもの」であり、こうした隠ぺい主義の「訴訟態度も、口頭弁論の全趣旨としてしん酌されるべきである」としました。そして、2分の1処理は、基準部会の検証どおりであれば「増額となる被保護者の最低限度の生活の需要を下回ることになる」から違法であるとしました。 ■本判決の特色B 本判決の第3の特色は、他の多くの原告勝訴判決と同様の理由で「デフレ調整」の違法性を認めるだけでなく、次の通り、国側の種々の弁解や主張の変遷について完膚なきまでの批判を加えている点です。 (1)「厚生労働省自体に専門技術的知見が蓄積されている」との主張に対しては、「ブラックボックスにしておいて、専門技術的知見があるから検討の結果を信用するよう主張することは、許されない」と批判(145〜146ページ)。 (2)結審間近になって、従前の「生活保護受給世帯の実質的購買力維持」はデフレ調整の根拠ではないと主張を変遷させた点については、「8年以上の審理を経過して初めて…行われたものであり、…それまでの主張とも整合せず、その主張内容自体からして、生活保護法8条2項及び9条の規定に照らして到底採用できない」し、「デフレ調整によって生活保護受給世帯の実質的購買力が維持されなくなることを実質的に認めているに等しい」と一蹴(151ページ)。 デフレ調整の根拠が「一般国民の消費実態との均衡」であるとする変遷後の主張についても、「保護基準の改訂が要保護者の最低限度の生活の需要との関係で行われなければならない(生活保護法8条2項)という視点に欠けるものであるから、それ自体失当であり、理由がない」と一蹴(172ページ)。 (3)「消費を基礎として生活扶助基準を引き下げると、減額幅が必要以上に大きくなることが想定された」との訴訟終盤での主張に対しては、@「断片的な情報に基づき抽象的な想定ないし可能性をいうものの域を出ず、厚生労働大臣の判断過程の全体を具体的に明らかにするものとは到底いえない」こと、A「基準部会の検討、検証と比べて質及び量共に劣ることは明らか」であること、B「全国消費実態調査の結果を基準とすることが相当でないことをいう限度では正当なものであるとしても、…物価変動(物価指数)を単独で直接考慮することが正当であることの根拠を示しているものではない(‥感覚的ないしイメージ的なものにすぎない)」ことを理由に排斥(158〜159ページ)。 (4)「生活扶助相当CPI」について、国側から提出された宇南山卓京都大学教授(後に基準部会委員に就任)の意見書については、原告側から提出された複数の研究者の意見書や証言が、それ自体納得でき、内容もほぼ一致して互いにその正確性、信頼性を高めあっており、かつ、反対尋問を含む証人尋問を経ているのに対し、宇南山意見書は証人尋問を経ていないばかりか、国が原告側からの証人申請に対して反対までしていることから、「信用性が劣ることは明らか」と一蹴(164〜165ページ)。 (5)結審間近に国側から提出された栃本一三郎上智大学教授(元厚生労働省官僚で現役の基準部会委員)の意見書については、「厚生労働省の『政策的判断』なるものの結論をそのまま承認するよう述べるものであるとも理解し得るものであるが、仮にそうであれば、政策的判断という名目でいかようにも保護基準の改訂を行い得るということになりかねず、法律による行政とは到底いえないし、判断の妥当性や適法性は何ら裏付けられない」、「栃本意見書にいう『専門的知見等と整合する』ことは、本件において何らの意味も有しないこと」になると一蹴(174〜176ページ)。 こうした名古屋高裁判決と、国側の主張を唯々諾々と追認した大阪高裁判決と読み比べれば、どちらに説得力があるかは明らかです。名古屋高裁判決の優れた内容が、今後続く判決に大きな影響を与えることは必至です。 判決後に開いた記者会見で、原告の安藤美代子さん(72)は、「最近、25年使っていた冷蔵庫が壊れたが、電気代も高騰していて買えない」と苦しい生活状況を語り、今回の判決は、「感無量。判決を機に制度を元に戻してほしい」と話しました。 原告の澤村彰さん(57)は「判決は嬉しかったが、やっと勝てたという思い。この判決で、おかしいことはおかしいと言うことが広まることを願う。生活保護は最低限の生活のベースラインなので、これを機に国民みんなの生活が豊かになっていってほしい」と話しました。 また、弁護団長の内河惠一弁護士は、「裁判官の気持ちがあらわれた、とても人間らしい、いい判決だ。司法の役割をきっちりと果たしてくれた」としみじみと語りました。事務局長の森弘典弁護士は、「一審名古屋地裁判決は最低最悪の内容だったが、利用者に寄り添い、初めて国賠まで認めた最高最良の判決だ」と判決を高く評価しました。 今後は、12月14日午後2時30分に那覇地裁、2024年1月15日午後3時に鹿児島地裁、1月24日午後1時30分に富山地裁、2月22日午前11時に津地裁でそれぞれ判決が予定されており、判決ラッシュが続きます。 引続き皆さまのご注目とご支援をお願いいたします。 判決全文 https://inochinotoride.org/file/231130_nagoya_hanketsu.pdf 判決要旨 https://inochinotoride.org/file/231130_nagoya_yoshi.pdf 判決判断枠組み部分原判決補正引用見え消し版(弁護団作成) https://inochinotoride.org/file/231130_nagoya_hosei.pdf 弁護団声明 https://inochinotoride.org/file/231130_nagoya_seimei.pdf
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