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米国の対イラン制裁を黙認した日本の外交的失敗
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2018-11-06 天木直人のブログ
「史上最強の制裁」だと豪語して全面制裁を再開したトランプの米国
に対し、中、ロシアはもとより、欧米主要国もEUも一斉に批判する
声明を発表した。
ところが一人日本は黙認した。
すなわち、菅官房長官は5日の記者会見で、「情勢を注視していく」
とだけしか言わなかった。
これは外交的な失敗である。
まず、これはイランに対する背信行為だ。
日本はイランに対しこれまで直接に伝えてきた。
イランは合意を守ってきたと。
そしてイランはこの日本の立場表明を歓迎した。
そうであるなら、今回の米国の一方的な制裁発動に対し、反対である
ことを表明すべきだった。
実際のところ、中国やロシアはもとより、欧州主要国やEUも一斉に
は批判する声明を発している。
イランにしてみれば、今に始まった事ではないが、日本は再び二枚舌
外交をした事になる。
しかし、外交的失敗は、イランへ背信外交にとどまらない。
日本企業にとって不利益になる外交をおかしたことこそ、失敗外交な
のだ。
今度の米国の制裁は、単にイランに向けただけではない。
米国の制裁に反してイランとの取引をするすべての企業に懲罰を課す
制裁になっている。
安保理決議をはじめとした国際的な合意ならいざ知らず、一国の決定
だけで、すべての国の企業に対してイランとの取引を禁じ、それに反す
る企業に制裁をくわえるなどという決定を行う傲慢な国は、米国をおい
てほかにない。
そんな制裁に正当性はない。
中国やロシアは、もちろん、そんな米国の一方的な制裁には従わない
し、欧州主要国はイランと特別な取り決めをして米国の制裁から自国の
企業の受ける悪影響をかわそうとしている。
そんな中で、ひとり日本だけが孤立し、日本企業が米国の制裁におび
えて萎縮せざるを得ない状況を甘んじて受け入れる事になる。
自国企業を守れない外交などまともな外交ではない。
米国の対イラン制裁を、何の批判もせずに黙認した日本外交が誤りを
犯したというのは、そういう意味である(了)
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