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創価学会の乱れも自民の誤算 危機感バネに結集した沖縄の反骨心〈週刊朝日〉
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AERA dot. 10/10(水) 7:00配信 週刊朝日 2018年10月19日号
選挙期間中、玉城デニーの街頭演説には創価学会の三色旗を持つ人の姿もあった (c)朝日新聞社
知事選から一夜明け、翁長雄志の自宅を訪れた玉城デニーが翁長の妻樹子(右)と握手。左は選挙を支えた金秀グループ会長の呉屋守将 (c)朝日新聞社
翁長雄志の急逝に伴う沖縄県知事選は9月30日、「翁長後継」を掲げる前自由党衆議院議員の玉城デニーが、自公などが推す前宜野湾市長の佐喜眞淳を打ち破った。翁長に次ぐ「オール沖縄の顔」だった前名護市長の稲嶺進が“まさかの市長選敗北”を喫してから約8カ月。同様の“力攻め”を仕掛けた政権に、沖縄の「草の根アイデンティティー」はむしろ反発、結集し、これを排撃した格好だ。ノンフィクションライターの三山喬が沖縄県知事選を振り返る。(敬称略)
* * *
約8万票差の大勝。だが、玉城デニー陣営には開票直前まで張り詰めた空気が漂っていた。
2月の名護市長選のときも、メディアの情勢調査で優勢とされながら、痛恨の番狂わせに見舞われたからだ。自公中央は、今回も名護の例をモデルとした大規模組織戦を展開した。
続々と現地入りする国会議員や秘書団はさまざまなつてで企業や団体に集票を働きかけ、全国から数千人もの創価学会員が沖縄に乗り込み、くまなく戸別訪問を繰り広げた。「辺野古のへの字も口にしない」争点そらしの徹底も、名護方式を踏襲。この怒濤の攻勢に、玉城陣営は“悪夢の再現”を恐れたのだ。
あの市長選では、50代以下とシニア層で正反対の投票傾向となる「世代間ギャップ」も浮き彫りになった。子供たちが学校で習うのは、沖縄戦の悲劇だけ。米軍による強制的な土地収用や無数の基地被害、本土復帰を勝ち取った民衆運動など“その後の郷土史”の流れを理解せず、翁長雄志が強調した「沖縄アイデンティティー」の呼びかけにもピンとこない若年層がいつの間にか増えていた。玉城陣営には、そんな不安材料もあった。
それでも実際の選挙風景では、勢いはやはり玉城の側にあった。この選挙で敗れたら、抵抗の術はもうなくなる……。
そんな切羽詰まった焦燥から、支援者個々人がかつてない“必死感”を見せ戦った。玉城の妻智恵子は選挙戦序盤、各地の後援会回りをし、支援者の気迫に気おされた驚きを語っている。
翁長の似顔絵を掲げ持ち、ただひとり長時間、路上に立ち続ける。タクシーの車内でも、運転手に玉城支持を懇願する。大型台風による暴風雨にふらつき、ずぶぬれになりながら「デニー」ののぼりを振る人たちがいた。
今回、支援者をそこまで駆り立てたのは、政権によるあまりに露骨な選挙介入への反発心だった。
自民党元副総裁の山崎拓は以前、本土復帰前の沖縄から初めて衆参の国会議員を選ぶ「国政参加選挙」の応援で1970年に来県したときの思い出を、那覇市の講演で語っている。
「あのときは自民党の西銘順治先生(のちの知事)から瀬長亀次郎先生(沖縄人民党、のちの共産党の政治家)まで、『ヤマトンチューに負けるな』と同じことを訴えていて、自分がヤマトンチューであることを痛感したものでした」
しかし“一歩引いて地元候補を応援する”半世紀前のような気遣いは、今回の自民党にはなかった。街頭演説では、辺野古ゴリ押しの象徴的イメージがある菅義偉官房長官までマイクを持ち、佐喜眞淳支持層には「候補者が政権の傀儡のように見えてしまう」と心配する声もあがったという。
そんな自公中央の“力攻め”に対し、玉城陣営は中盤のヤマ場となる那覇市での8千人集会でも、駆け付けた野党の大物政治家を誰ひとり壇上に上げず、“ウチナーンチュの戦い”を強調した。
結果的にこのコントラストが、玉城陣営の「沖縄アイデンティティー」というキーワードを幅広く浸透させていった。
世代間ギャップの問題も、ロック少年からタレントになった玉城の身近なキャラクターがかなりの程度までその溝を埋め、出口調査の分析で佐喜眞が強かったのは、10代と20代だけに留まった。
玉城の主張は、辺野古一本やりだったわけではなく、「新時代沖縄」というポジティブなスローガンで、自立経済の確立なども訴えた。
実はこの問題、玉城のカラーを出すことと翁長の弔い合戦を強調する配分には陣営にも議論があり、選挙戦半ばからは後者を強調する形に戦術を修正した。節目の8千人集会には翁長夫人の樹子が登壇し、「翁長が心の底から愛して、140万県民を本当に命がけで守ろうとした沖縄です」と涙を誘う演説をした。
投票日前々日の9月28日には、地元2紙に二つずつ全面広告を掲載。同じ日に自民党の広告が《豊かになるチャンスを逃すのですか?》《手を伸ばせば安心して暮らせる社会が実現するのです》と、あからさまに利益誘導を匂わせたのに対し、玉城陣営は樹子の集会スピーチ全文、そして彼女との一問一答で両ページを埋めた。
若者を意識した「未来志向」とシニア層に向けた「翁長後継」のアピール。結果的にこの2本立ての戦術がうまくかみ合い、玉城は支持拡大に成功した。
告示日直前に、突然誕生した青年局数十人の活躍もあった。自発的に集結した若者らは、半ば選対から独立した形で自由に企画を練り、街頭演説での高校生との一問一答やライブハウスでのトークイベントなどさまざまなプランを実現し、SNSもうまく活用した。
一方の佐喜眞陣営にとっては、創価学会の足並みの乱れが大きな誤算だった。
そもそも公明党沖縄県本部は、党中央とは違って反辺野古の立場だ。名護市長選では自民系前市議が勝利する立役者となったが、内心“苦渋の選択”を迫られた学会員も多かった。今回は県外から大量の学会員が来て人海戦術をとったが、肝心の地元学会員の動きは鈍く、3割近い票が玉城へと流れたとされる。
県北部の学会員を幅広く知る人物は「佐喜眞のポスターを貼らない家もあちこちに見かけたし、(路上で通行車両にアピールする)『手振り』に出る人も少なかった。地元学会員の胸中は複雑だったと思う」と説明した。
なかには玉城の応援に学会の三色旗を持って駆け付け、「池田大作先生の教えを受け継ぐのは、玉城デニーさんだ」と公言する人まで現れた。本来の反辺野古のスタンスと、自公共闘の矛盾に悩む葛藤。その苦しみが、一定数の“造反票”となって現れた。
振り返れば、2年前の参議院選で現職沖縄担当相だった島尻安伊子が落選し、沖縄での自民党選挙区議席がすべて失われた直後、政府は高江ヘリパッド建設への機動隊導入に踏み切り、辺野古問題でも強硬姿勢をあらわにするようになった。自民党中央には当時、「これで沖縄に気を使う理由はなくなった」と漏らす声もあったという。
しかし今回、そんな“力による制圧”があまりにも露骨すぎたために、求心力を弱めかけていた「沖縄アイデンティティー」という理念が、改めてリアルな意味を持つ。
「ウチナーンチュ、ウシェーテーナイビランドー」(沖縄人をなめてはいけませんよ)
「マキテーナイビランドー」(負けてはなりませんよ)
選挙期間中、生前の翁長が残した言葉が繰り返し叫ばれた。そんな環境はある意味、政権の“力への過信”が用意したものだった。
創価学会の乱れも自民の誤算 危機感バネに結集した沖縄の反骨心。 なかには玉城の応援に学会の三色旗を持って駆け付け、「池田大作先生の教えを受け継ぐのは、玉城デニーさんだ」と公言する人まで現れた。 https://t.co/oTDjCzRZGY #スマートニュース
— Jien (@SaijoKosmo) 2018年10月10日
創創価学会の皆様、特に婦人部本当に安倍政権を支持する事が正しいとお考えですか?沖縄のように、今一度お考え直しください。平和の党が改憲に加担し、戦争ができる党になって良いのですか?創価学会創始者のお考えとかけ離れていませんか?今なら引き返せます。 https://t.co/YZACxN7bU9
— aquaapple (@aquaapple) 2018年10月10日
自民党は利益誘導しか頭にないのか。沖縄県民にそれを言っても通じないのが理解できないらしい。 https://t.co/tZmjRPM71t
— トルツメ・トルアキ (@marisupo2005) 2018年10月10日
「告示日直前に、突然誕生した青年局数十人の活躍もあった。自発的に集結した若者らは、半ば選対から独立した形で自由に企画を練り、街頭演説での高校生との一問一答やライブハウスでのトークイベントなどさまざまなプランを実現し、SNSもうまく活用した」https://t.co/23bd9FU7oZ
— GAORU (@gaoru_dragon) 2018年10月10日
「告示日直前に、突然誕生した青年局数十人の活躍もあった。自発的に集結した若者らは、半ば選対から独立した形で自由に企画を練り、街頭演説での高校生との一問一答やライブハウスでのトークイベントなどさまざまなプランを実現し、SNSもうまく活用した」https://t.co/23bd9FU7oZ
— GAORU (@gaoru_dragon) 2018年10月10日
“力による制圧”があまりにも露骨すぎたために、求心力を弱めかけていた「沖縄アイデンティティー」という理念が、改めてリアルな意味を持つ。
— セージ (@sage_hmmar) 2018年10月9日
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創価学会は有権者をナメ過ぎたんだよな。
— Scott (@Diamondwherever) 2018年10月11日
これで、信者数も少しは減ったかな。
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「出口調査の分析で佐喜眞が強かったのは、10代と20代だけに留まった。」←ここを真剣に捉えないと、10年後、20年後、どうなるかわからない。…創価学会の乱れも自民の誤算 危機感バネに結集した沖縄の反骨心〈週刊朝日〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース https://t.co/e6dJtVSZLk
— ウチナーコンボイ@沖縄那覇 (@Uchina_Optimus) 2018年10月10日
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