ハイドン(室内楽) https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3%28%E5%AE%A4%E5%86%85%E6%A5%BD%29 弦楽四重奏曲一覧
ハイドンの交響曲は爽快で聴いて楽しい娯楽作品である。一方で弦楽四重奏曲は「ああ、いい曲を聴いたなあ」という胸が一杯になるような感動を得られる曲が多い。そして作品数がとても多いにも関わらず、初期を除けば駄作がほぼない。 ハイドンの練達の技術で次々と名作と呼べる水準の曲を生み続けており、あまりにも驚異的という印象を受ける。楽器の用法も楽曲もバランスが良く形式的な安心感がありながらも自由さがあり、リズムと旋律が一体となって合奏の楽しさを感じさせるものであり、非常に書法が優れている。切れ味のよさと心が温まる感じというハイドンの良さが最大に活かされている。そして現代の耳では、アダージョの3楽章の魅力がロマン派的であると共に温かみと感動を感じさせるものであり、ずば抜けている。 どの作品も後期ロマン派の爛熟したブルックナーの巨大なアダージョと同格なほどの深い精神世界に入り込んでいる。もちろん他の楽章も愉しめる曲ばかりであり、まさに宝の山である。「これを知らないとはクラックファンとして人生損している」と断言できる音楽である。 初期の弦楽四重奏曲 •Op.1(1755年 1番〜6番と0番。まだ音がスカスカであまり価値はない。 •Op.2(1755年?) 7番〜12番。同様に音がスカスカで価値は低い。 Op.9(1771年) •Hob.III.19 弦楽四重奏曲第19番ハ長調◦3.3点
1楽章はあまり印象に残らない。旋律がいまいちである。2楽章は精彩があるというほどではないが、聴いていて楽しいものがある。3楽章は美しい成熟したメロディーと雰囲気で、宝物のようなものを産み出している。4楽章は急いでいるような前のめり感が楽しい曲。
•Hob.III.20 弦楽四重奏曲第20番変ホ長調◦3.5点 1楽章は冒頭の分散和音のメロディーが特殊で驚くが、その後は高い密度の音楽に驚く。1番より書法の成熟を感じる。2学も音の絡まりが心地よい。3楽章はメロディーが歌謡的でとても心に沁みるものがある。美メロディーで忘れ難い印象を残す。4楽章は勢いまかせでない、味のある締めくくり楽章で、フットワークは軽いながらも渋さがあって良い。
•Hob.III.21 弦楽四重奏曲第21番ト長調◦3.8点 1楽章は躍動感と冷静さが同居して、しかも渋さもある、とても素晴らしい曲。2楽章は品が良い。3楽章は感動的に始まり、心に深く食い込む美しさを見せていて感動させてくれる。なんと美しい音楽だろう。4楽章の品の良い軽快な音楽はスマートに締めくくってくれて素晴らしい。
•Hob.III.22 弦楽四重奏曲第22番ニ短調◦3.8点 短調の曲。1楽章も2楽章もモーツァルトのような音の流れの良さと、ベートーヴェンのような芯の強固さと、シューベルトのはかないセンチメンタルさを併せ持ったようなバランス。悲劇性を強調しておらず控え目だが、わりと悲しさをもった曲。3楽章はいつものように感動的で、短調の間だけに達観とか打ちひしがれた後の回復のようで素晴らしい。4楽章はやりすぎないながらも嵐のような激しさを内包した内容でよい締めくくり。
•Hob.III.23 弦楽四重奏曲第23番変ロ長調◦3.3点 1楽章の変奏曲は、単なる音の分解を細かくしていくだけでなく、様々なニュアンスの変化が多彩な表情となり、説得力をもった音楽になっている。2楽章は普通の曲。3楽章は感動的なメロディーで相変わらず素晴らしいのだが、2楽章との対比が効いておらず効果が薄い。4楽章も単体ではよいのだが、他とのつながりがイマイチ。
•Hob.III.24 弦楽四重奏曲第24番イ長調◦3.0点 1楽章と2楽章はあまり旋律の魅力を感じない。2楽章は休止を多く入れていて、独特の浮遊するような不安定感を感じる。3楽章は単なる感動的メロディーだけでなく、多少の推進力でポジティブに進めていく雰囲気を持っている。なぜか曲に入り込みにくい。4楽章はあっという間に終わる。全体にちょっと取っ付きにくい曲だと思う。
Op.17(1771年) •Hob.III.25 弦楽四重奏曲第25番ホ長調◦3.3点
1楽章は中庸な中に磨かれた良さを持つ。2楽章は主張が控えめな曲であるが、シンプルななかに微妙なニュアンスをそれなりに楽しめる。3楽章は艶のある短調の曲で、移りゆく気分を奏でる弦の合奏の響きが美しい。やや長いが聴きがいがある。4楽章は手際が良い系統だが、多くのアイデアを詰め込んでおり充実している。
•Hob.III.26 弦楽四重奏曲第26番ヘ長調◦3.5点 1楽章は豊穣さと渋さを兼ね備えた内容豊かな曲。2楽章は旋律の穏やかさと愉しさを併せ持ち、中声の音の絡ませ方の美しさがその魅力を高めている。3楽章は沈み込みながらも、水面が見えるあたりを漂う感じで、絶妙な塩梅が楽しい。人生の悲哀を表現しているが、黄昏という感じでなく未来を見ているところが素晴らしい。4楽章は充実感があるものの、旋律の魅力が今一歩だと思う。
•Hob.III.27 弦楽四重奏曲第27番変ホ長調◦3.3点 1楽章の変奏曲は主題は悪くないものの、変奏が世界を深めていく感覚が弱くて、いまいち心が踊らない。2楽章は普通。3楽章はいつもの素晴らしさで、音の織物が心に折り重なるように触れてきて、深く感じ入るような感動をくれる。ニュアンスも豊富。3楽章のただベストの群に属するものではない。4楽章はそれを上手くうけて、盛り上げすぎでもないいい感じに適切なテンションで締めくくってくれる。
•Hob.III.28 弦楽四重奏曲第28番ハ短調◦3.5点 1楽章は短調に始まるが、最初だけである。中庸な速度で繰り出される多くのメロディーは、落ち着いて聴けることもありかなりの充実感で満たされる。2楽章は堂々とした主題が魅力的。中間で悲しげな心情にも変化するたて単純でない豊かさである。3楽章は素敵であり、儚い希望と生きる決意を感じさせる感動的な曲である。ただ、本当の深い精神世界まではいかない。4楽章は性急さをすこし含む曲で、内容豊富であり短調らしいしめくくりもあり、なかなか良い。
•Hob.III.29 弦楽四重奏曲第29番ト長調◦3.5点 1楽章はやや勘所をとらえにくい曲に感じる。内容は多いが、ふわふわと場面が移り変わっていく。2楽章は穏やかで上品な音楽だが、単なるディベルティメントに堕ちず、ほのかな刺激もある。3楽章は短調であり、嘆きの歌とでも呼びたいような悲痛感が覆っている。リズムが少ない詠唱的なアダージョは珍しいと思う。後半のソロにやるレティタティーボは最大限の悲しみに到達している。4楽章は生命感のある音の活発な動きが楽しい。
•Hob.III.30 弦楽四重奏曲第30番ニ長調◦3.5点 1楽章は刺激や工夫が音楽のつくりに沢山見受けられる。2楽章もまたありきたりでない音の動きで楽しませてくれる。3楽章はリズム感が常に消えないなかで、バロック的な明朗さのあるソロの穏やかな歌が続く。いつものアダージョの沈み込むような魅力はないが、これはこれで強く心に刻み込まれるものがある曲。4楽章は動機を重ねていくのだが、これも統一性があり、単なる勢いでない新鮮さをそれなりに感じる音形である。
Op.20 『太陽四重奏曲』(1772年)
次から次へと湧いてくる楽想の充実と自由闊達さが素晴らしい。 •Hob.III.31 弦楽四重奏曲第31番変ホ長調◦3.3点 かっちりした1楽章、滋味の溢れる2楽章、印象に残るメヌエットの3楽章、快活で楽しい4楽章と、どの楽章も存在感がある。
•Hob.III.32 弦楽四重奏曲第32番ハ長調◦3.5点 一度聴いただけでは構成が把握しにくい複雑な1楽章、インパクトがある強烈な短調と中間のトリオの対比が鮮明な2楽章、対位法的な4楽章と聴きどころが多い。
•Hob.III.33 弦楽四重奏曲第33番ト短調◦3.0点 緩徐楽章は素敵。最終楽章はモーツァルト的な性急さがあるものの物足りない。1楽章は短調から入るがすぐに長調になるパターンだが、いまいち分かりにくく、すっきりと音楽に入れない。
•Hob.III.34 弦楽四重奏曲第34番ニ長調◦3.5点 滋味と複雑さを兼ね備えた1楽章、変奏曲形式で切なく悲しい歌を切々と奏で続けるような2楽章が素晴らしい。3楽章は普通、4楽章のきびきびした音の動きも楽しい。
•Hob.III.35 弦楽四重奏曲第35番ヘ短調◦4.0点 短調曲で、1楽章はすぐに長調になるパターンではなく、短調が続き悲しい音楽が続く。緩徐楽章や最後のフーガもかなり素晴らしい。旋律がどの楽章も魅力に溢れており、ハイドンの短調の弦楽四重奏の中では傑作である。
•Hob.III.36 弦楽四重奏曲第36番イ長調◦3.5点 長調だが、単なる明快さや優美さではない複雑で味わい深い魅力がある。緩徐楽章がやはり一番だが、1楽章も味わい深く、4楽章のフーガは緊張感を演出して見事に太陽四重奏を締めくくっている。
Op.33 『ロシア四重奏曲』(1781年)
モーツァルトが衝撃を受けた作品。古典派らしい均整の取れた美しさ楽しめるが、複雑で味わい深いハイドンの多くの弦楽四重奏の中では、単純明快すぎてものたらないと感じる時もある。 •Hob.III.37 弦楽四重奏曲第37番ロ短調◦3.5点 古典派的な均整の取れたまとまりとシンプルな美しさがあり、はっとするような美しさが随所にあり音楽的に楽しめる。
•Hob.III.38 弦楽四重奏曲第38番変ホ長調『冗談』◦3.5点 1楽章の古典的な均整美や叙情性や4楽章の軽快さは楽しい。
•Hob.III.39 弦楽四重奏曲第39番ハ長調『鳥』◦3.0点 歯切れの良さよりしなやかさを重視しているような曲調。2楽章がいまいち。
•Hob.III.40 弦楽四重奏曲第40番変ロ長調◦3.5点 メヌエット風のスケルツォが珍しく非常に印象的。ラルゴも良い。
•Hob.III.41 弦楽四重奏曲第41番ト長調◦3.5点 1楽章は凡庸一歩手前だが素敵な曲。2楽章は短調で素晴らしい。4楽章の変奏曲も素敵な楽しめる曲。
•Hob.III.42 弦楽四重奏曲第42番ニ長調◦3.0点 旋律的な魅力がやや物足らない。特に魅力が強い楽章は無く、どれもそれなりに良いという感じ。
Op.42(1785年) •Hob.III.43 弦楽四重奏曲第43番ニ短調◦3.5点
短調の響きを楽しめるコンパクトな作品。1楽章が割と充実し、2楽章も良い。4楽章があっさりしすぎ。
Op.50 『プロシア四重奏曲』(1787年) かなり古典派らしい内容。シンプルな伴奏とメロディーという素朴さが耳につく曲が多い。 •Hob.III.44 弦楽四重奏曲第44番変ロ長調◦3.0点 Op54以降と比較すると古典派らしいシンプルな内容。最終楽章が充実している。
•Hob.III.45 弦楽四重奏曲第45番ハ長調◦3.5点 冒頭から印象的な半音階的なメロディー。前期ロマン派みたい。二楽章も巨匠的で素晴らしい。最終楽章も大きくて相応しい。
•Hob.III.46 弦楽四重奏曲第46番変ホ長調◦3.0点 あまり特徴が無いが、三楽章が印象に残る。
•Hob.III.47 弦楽四重奏曲第47番嬰ヘ短調◦3.5点 短調と長調の切り替えが美しい。二楽章はモーツァルトが短調曲の緩じょ楽章でやるような美しさ。最終的のフーガも面白い。
•Hob.III.48 弦楽四重奏曲第48番ヘ長調◦2.0点 1楽章はメロディーが単純すぎる。二楽章はあまりいい曲でない。3,4楽章も単純すぎて旋律の魅力がなく貧相。
•Hob.III.49 弦楽四重奏曲第49番ニ長調『蛙』◦3.0点 蛙みたいな四楽章の主題は笑いそうになるくらい面白い。他の楽章は普通の出来だと思う。
Op.51 『十字架上のキリストの最後の7つの言葉』(1787年)
(もとはオーケストラのための教会音楽をハイドン自身が弦楽四重奏に編曲) •Hob.III.50~56 弦楽四重奏曲第50番-第56番 一楽章構成 Op.54 『第1トスト四重奏曲』(1788年)
古典派らしい素朴さが残っている曲があるが、そこから発展して少し複雑になり始めている。 •Hob.III.58 弦楽四重奏曲第57番ト長調◦3.5点 一楽章は渋さを兼ね備えた明るい曲。二楽章はかなり美しい。三楽章は生き生きとした良いメヌエット。四楽章も良い。全体に充実して聴き応えがある。
•Hob.III.57 弦楽四重奏曲第58番ハ長調◦3.5点 2楽章がエレジーと呼びたくなるほどに悲しい短調の曲。四楽章に大きな美しい前奏のような楽想が短いプレストを挟んでほぼ全編という曲で、かなり印象的。
•Hob.III.59 弦楽四重奏曲第59番ホ長調◦3.0点 1楽章が元気で楽しい。二楽章はモーツァルトみたい。まったりしたシンプルさ。三楽章以降は普通。
Op.55 『第2トスト四重奏曲』(1788年) •Hob.III.60 弦楽四重奏曲第60番イ長調◦3.0点
古典派らしいシンプルで伸びやかで明るい曲。
•Hob.III.61 弦楽四重奏曲第61番ヘ短調『剃刀』◦3.5点 3楽章までは全体を悲痛な雰囲気が覆っているハイドンには珍しい曲。内容は濃い。最終楽章は晴れやか。
•Hob.III.62 弦楽四重奏曲第62番変ロ長調◦3.0点 古典派らしい颯爽としていて伸びやかな明るい雰囲気が心地いい。
Op.64 『第3トスト四重奏曲』(1790年) トスト第1、第2より進化して古典派らしさが消えて複雑になりつつあるが、この曲集は駄作がいくつかある。 •Hob.III.65 弦楽四重奏曲第63番ハ長調◦2.0点 音がスカスカで声部の絡みが悪いし、旋律も魅力がない。しかも全部の楽章がそうなので、かなりイマイチである。
•Hob.III.68 弦楽四重奏曲第64番ロ短調◦2.5点 一楽章の短調の響きが美しい。冒頭の不思議なフレーズは面白い。二楽章と四楽章は素朴でやや物足りないが悪くない。
•Hob.III.67 弦楽四重奏曲第65番変ロ長調◦3.5点 活力がある一楽章、歌謡的な二楽章、優美なメヌエットの三楽章はかけ声みたいなフレーズが面白い、生き生きした四楽章と全部の楽章が魅力的。
•Hob.III.66 弦楽四重奏曲第66番ト長調◦3.0点 前半は素朴でやや薄味で脳天気でさえあるが、三楽章で濃厚ないつもの音楽になる。四楽章の快活さは楽しい。
•Hob.III.63 弦楽四重奏曲第67番ニ長調『ひばり』◦3.5点 他の曲と比較して、メロディーがはっきりしていて明快な分かりやすさがある。冒頭の雲雀の主題は印象的。この曲は有名だが、ハイドンの中で突出して優れている訳ではないと思う。
•Hob.III.64 弦楽四重奏曲第68番変ホ長調◦3.3点 一楽章は印象が薄い。二楽章は珍しいほどまさに感動するための音楽。メヌエットもなかなか良い。フィナーレもちょうど良い感じの明るくノリノリの曲。
Op.71 『第1アポーニー四重奏曲』(1793年)
後期らしい完成度になっているが、Op76への道程という感じがある。 •Hob.III.69 弦楽四重奏曲第69番変ロ長調◦3.5点 感動を内に秘める瑞々しい叙情性が印象に残る。しかしあくまで爽やかなのがいい所。前半二楽章が良い。
•Hob.III.70 弦楽四重奏曲第70番ニ長調◦3.0点 普通の曲。フィナーレが素敵な雰囲気。
•Hob.III.71 弦楽四重奏曲第71番変ホ長調◦3.5点 1、4楽章の充実感、二楽章の絶妙な伴奏に載せた歌うシンプルながらも素敵なメロディーなど、魅力的な曲。
Op.74 『第2アポーニー四重奏曲』(1793年) •Hob.III.72 弦楽四重奏曲第72番ハ長調◦3.0点
全体にしなやかで柔らかい雰囲気が支配的。半音階の動機が多く使われていて所々はっとする。
•Hob.III.73 弦楽四重奏曲第73番ヘ長調◦3.5点 一楽章は展開部が好き。二楽章がモーツァルト的な美しさ。三楽章は普通。四楽章は軽快で耳に残る。
•Hob.III.74 弦楽四重奏曲第74番ト短調『騎士』◦3.0点 一楽章は主題の魅力が今ひとつ。二楽章はオーソドックスで温かみがあるが、美しさがもの足りない。四楽章の愛称の由来となった騎士の主題はそれほど強く印象に残らない。
Op.76 『エルデーディ四重奏曲』(1796年-1797年) 声部の絡みや磨かれ方が誰にも届かないほどの完成度になった。 •Hob.III.75 弦楽四重奏曲第75番ト長調◦4.0点 前半の二つの楽章は大変素晴らしい。楽しく充実した一楽章、柔らかく温かい音の世界が感動的な二楽章。後半は普通になる。
•Hob.III.76 弦楽四重奏曲第76番ニ短調『五度』◦3.5点 愛称の由来となった冒頭の主題はそれほど魅力を感じない。それより後半が良い。特にフィナーレは緊密で緊張感があり優れている。
•Hob.III.77 弦楽四重奏曲第77番ハ長調『皇帝』◦4.0点 1楽章はいつもの歯切れのよさで愉しい。二楽章はやはり、ドイツ国歌のメロディーが大変良い。変奏というより、伴奏と独奏楽器を変えながら何度もメロディーを演奏する感じだが聞きほれる。三楽章はトリオが良い。四楽章は突然の短調で驚くが内容は普通。
•Hob.III.78 弦楽四重奏曲第78番変ロ長調『日の出』◦3.5点 一楽章の叙情性と歯切れのよい軽快さのバランスが良い充実作。二楽章は深く入り込める叙情的な内容。三楽章以降は普通。
•Hob.III.79 弦楽四重奏曲第79番ニ長調『ラルゴ』◦3.5点 ラルゴ楽章は別格というほどではないが、非常に心に響くものがある美しさ。他の楽章もそれぞれ素晴らしい。
•Hob.III.80 弦楽四重奏曲第80番変ホ長調◦3.5点 大作の二楽章に心惹かれる。最終楽章の盛り上がりもなかなか。
Op.77 『ロプコヴィッツ四重奏曲』(1799年)
極限まで磨きぬかれてる。 •Hob.III.81 弦楽四重奏曲第81番ト長調◦3.8点 音楽の幅広さ、精巧な作り、楽器の声部の活用の豊さなど、多くの点で非の打ち所のないようなハイドン晩年の円熟の技が光る作品。
•Hob.III.82 弦楽四重奏曲第82番ヘ長調『雲がゆくまで待とう』◦3.8点 77−1と同様に非の打ち所が無く、さらに内省的で人生の回想を内に秘めたような感動があり、器楽曲でのハイドンの最後の到達点の凄さに痺れる。
Op.103(1803年) •Hob.III.83 弦楽四重奏曲第83番ニ短調(未完成)
ピアノ三重奏曲 番号は前半がホーボーケン番号であり、後半がランドン版の番号である。 ハイドンのピアノ三重奏曲はピアノが主役であり、弦楽器は味付けだけである。ベートーヴェン以降とは楽器のバランスがかなり異なる。極めて芸術性が高い弦楽四重奏曲などと比較すると、ピアノ三重奏曲は娯楽的で軽くて内容が浅い曲が多いと感じる。曲数は多いが、特に初期の方はあまり真剣に聴くジャンルではないと思う。晩年はそれなりの充実感と聴き応えをみせていて楽しめる。とはいえハイドンらしい大作曲家の精華という感じではないと思う。
1番から20番まで •ピアノ三重奏曲第1番 ト短調 第5番 1755-60 ◦2.8点 短調の曲。しかもずっと短調の物憂い雰囲気が継続する。ト短調であることもあり、悲劇的な悲しみを持っていてモーツァルトを連想するところがある。とはいえ、やはりハイドンの短調曲の常でメロディーの魅力は今一歩だと思う。
•ピアノ三重奏曲第2番 ヘ長調 第17番 1772 ◦2.8点 1楽章はごく普通。2楽章の変奏曲は少し面白い。特に延々とピアノとヴァイオリンでユニゾンをするのが新鮮。
•ピアノ三重奏曲第3番 ハ長調 ? 偽作 •ピアノ三重奏曲第4番 ヘ長調 ? 偽作 •ピアノ三重奏曲第5番 ト長調 第18番 1784 ◦3.0点 1楽章は長い前奏のような趣き。2楽章はそこそこ充実した曲。これで終わりでもよさそうだが3楽章が変奏曲として続く。しかし短く終わってしまい、位置付けがよく分からない。順番に聴いていると急に音が成熟して驚く。
•ピアノ三重奏曲第6番 ヘ長調 第19番 1784 ◦3.5点 1楽章は健全な普通の曲。 2楽章が素晴らしい。ゆったりとした中での、感情の揺れとか間の使い方が良い。突発的に想いがこみ上げるような場面もあり、かなり心を揺さぶられる。
•ピアノ三重奏曲第7番 ニ長調 第20番 1784◦3.3点 1楽章は前奏的な曲風だが、変奏曲であり構成が理解しやすい。感傷的な歌の2楽章も、それを受けた適度な運動感のある3楽章もなかなか良い。
•ピアノ三重奏曲第8番 変ロ長調 第21番 1784 ◦2.5点 冒頭で重厚な和音に驚かされる。しかし、これ以外は標準以下の出来だと思う。旋律が良くないためあまり面白くない。
•ピアノ三重奏曲第9番 イ長調 第22番 1785 ◦2.8点 1楽章は長くて、まったりしているだけでたいした内容ではない。2楽章の手際の良さは気持ちいい。
•ピアノ三重奏曲第10番 変ホ長調 第23番 1785 ◦3.0点 1楽章のノリの良さと、2楽章の手際の良さと高揚感。なかなか楽しい曲である。緩徐楽章がない楽しさを味わえる。
•ピアノ三重奏曲第11番 変ホ長調 第24番 1788? ◦3.0点 1楽章は成熟しているが、ごく普通の曲。2楽章も内容的にはしっかりした曲だが、普通の曲という以上のものはないと思う。
•ピアノ三重奏曲第12番 ホ短調 第25番 1788/89? ◦3.3点 1楽章は短調だが長調の色が強い。2楽章はモーツァルト的な歌謡性がありロマンティックさもある。3楽章はかなりピアニスティックで音数が多くて楽しい。晩年にさしかかった充実した音楽の場合は3楽章あった方がバランスが良いと感じる。
•ピアノ三重奏曲第13番 ハ短調 第26番 1789? ◦3.3点 1楽章はピアノ三重奏曲の中では長大な変奏曲。短調と長調を織物のように組み合わせて、優美な主題の魅力とあわせて、なかなか楽しめる。2楽章も適度な快活さと胸の膨らむような広がり感が組み合わされており、なかなか楽しい曲。
•ピアノ三重奏曲第14番 変イ長調 第27番 1789/90 ◦3.0点 成熟感のある3楽章の曲。上品にまとまめられている。規模が大きいため時間の使い方が通常と違うこともあり、シューベルトの世界に近付いてきた感がある。しかし、気合いの入った曲というより、ムードをまったり楽しむ音楽という印象。
•ピアノ三重奏曲第15番 ト長調 第29番 1789/90? ◦3.0点 柔らかくて耳あたりはよい雰囲気が続くのだが、印象にのこるような強い主張はない。ディベルティメントのような曲風。
•ピアノ三重奏曲第16番 ニ長調 第28番 1789/90? ◦3.3点 明るく活発な雰囲気が支配していて楽しんで聞けるが、一方で短調に転じる場面も多いので、急に雰囲気が変わってドキッとさせられる時もある。なかなか愉しい曲。2楽章は短調だがしなやかな愛らしさがあり、曲が暗すぎないのがよい。フルート版も聴いたが同様に楽しい。
•ピアノ三重奏曲第17番 ヘ長調 第30番 1790? ◦3.0点 さらっと書かれたような2楽章の曲。可愛らしいコンパクトさがある。
•ピアノ三重奏曲第18番 イ長調 第32番 1793/94? ◦3.3点 安定感を感じる1楽章。2楽章の沈み込むような短調のあとに、飛び跳ね廻るような3楽章。楽章ごとのコントラストが非常にはっきりしていて面白い。
•ピアノ三重奏曲第19番 ト短調 第33番 1793/94? ◦3.3点 1楽章は短調の変奏曲で悪くない。2楽章は歌謡的で美しくて心に響く曲。3楽章はコントロールされた高揚感が心地いい。
•ピアノ三重奏曲第20番 変ロ長調 第34番 1793/94? ◦3.3点 1楽章は少しだけ癖はあるが普通。2楽章は冒頭で異様に長いピアノのソロがある。その後も夜もしくは黎明のような雰囲気で、感動的な雰囲気を持続したままの変奏曲となる。ハイドンにしては非常にロマン的な感情に深く浸ることを主体とした曲。3楽章は激しすぎない音楽で2楽章の気分を壊さないように配慮されている。
21番以降
•ピアノ三重奏曲第21番 ハ長調 第35番 1794/95? ◦3.0点 1楽章は悪くはないが、この時代のハイドンならば当然に出来ることしかしていない。2楽章は優美でなかなか美しい。3楽章は音の躍動感を楽しむ曲。
•ピアノ三重奏曲第22番 変ホ長調 第36番 1794/95? ◦3.3点 モーツァルトのように綺麗にまとめようとする志向と、成熟した雄大さを併せ持った曲を書こうとしたのを感じる。規模の大きさとゆったりとした柔らかい雰囲気を楽しめる。2楽章はロマン派の息吹を感じる。3楽章は立派。この時期のピアノ三重奏曲はみんなそうだが、最後の交響曲と同時期という書法の成熟感と規模感が楽しい。
•ピアノ三重奏曲第23番 ニ短調 第37番 1794/95? ◦3.5点 1楽章は長いし、それほど魅力を感じない。2楽章は非常に美しい。ほとんどショパンに近いほど繊細な冒頭のピアノのソロと、それをうけて展開していく音楽は続く平穏さの中で強くロマンチックに心を動かす。3楽章の音の動きは独特であり、スケルツォのようである。それを軸に構築された曲であり、インスピレーションの強靭さを感じる。
•ピアノ三重奏曲第24番 ニ長調 第38番 1794/95? ◦3.5点 1楽章はなかなか詩的なインスピレーションに溢れた、内容豊かな楽章。控えめななかに素敵な音楽が詰め込まれている。2楽章は動機に近いメロディーを繰り返すハイドンには珍しいタイプの曲であり、アタッカで続けて3楽章も珍しい。3楽章はバッハに影響を受けたかのような、奥ゆかしい対位法的な曲。達観したかのような何か清々しい気分に満ちたハイドンには珍しい曲。感動した。
•ピアノ三重奏曲第25番「ハンガリー風」 ト長調 第39番 1794/95? ◦3.5点 1楽章は耳障りのよい寛いだ雰囲気が支配的。2楽章はモーツァルトのような回想的で感傷的な美メロディーをたっぷり聴かせる。音の間合いの使い方など、モーツァルトを意識していると思われる。狙いがあからさまでもやはり感動してしまう。3楽章のジプシー風はハイドンには珍しい。独特の民族的土着的な音楽はいつもと違うだけにハイドンらしい料理の仕方への興味も湧くし、やはり耳を捉えるものがある。
•ピアノ三重奏曲第26番 嬰ヘ短調 第40番 1794/95? ◦3.3点 1楽章は寛いだ雰囲気で特徴は多くないが、充実感と聞き応えが十分にある。2楽章は普通。3楽章はテンションの上がらない最終楽章らしさの少ない曲。しかし、執拗な動機の繰り返しと短調の切迫感がだんだん感動を増していく不思議な曲。
•ピアノ三重奏曲第27番 ハ長調 第43番 1796? ◦3.3点 1楽章は冒頭こそ素人っぽいがっかり感があるが、そのあとは普通の曲として、一応の労力を感じられる曲になっている。2楽章も作り込みをそれなりに行っているが、主題の魅力がない。3楽章は繊細な軽妙さのある主題が珍しい。ピアノの縦横で派手な活躍ぶりはモーツァルトの協奏曲みたいだ。具体的に似た曲はあまり思いつかないのにモーツァルトを思い出す。しかし、モーツァルトには、この楽章ほど斬新で面白い曲はないと思う。
•ピアノ三重奏曲第28番 ホ長調 第44番 1796? ◦3.5点 1楽章はピツィカートを主題の一部として完全に取り込んでいるのが珍しい。内容は変化を十分に詰め込んでいる。2楽章はまた一段と実験的。無機質なユニゾンから始まり、そのまま異様な伴奏とモノローグのピアノが延々と続くのは完全な異常事態である。これはもう、ハイドンなりの前衛的な音楽だろう。ショスタコーヴィチが乗り移ったかのようだ。後半は3つの楽器が絡み合い、悲しみの歌になる。3楽章はメロディーと感情の力が強くて、聴いていてハイドンであることを忘れてしまう。
•ピアノ三重奏曲第29番 ト長調 第45番 1796? ◦3.3点 1楽章となめらかな中に骨太さのある音楽だが、特別なものがない。ノーマルな音楽がさらっと流れていく印象。2楽章は美メロディー風だが、今ひとつ気分が盛り上がらない。3楽章は3拍子で舞踏性と高揚感を演出するのがとても良い。この楽章は何度でも聴きたくなる。
•ピアノ三重奏曲第30番 変ホ長調 第42番 1796? ◦2.8点 1楽章はベートーヴェン的な清々しさ空間的な広がりの共存が良い。ごく普通の曲ではあるが。2楽章は特筆することはない。BGMのような曲。3楽章も特段の特徴がない。
•ピアノ三重奏曲第31番 変ホ短調 第41番 1795 ◦2.8点 1楽章も2楽章と特段の創意工夫を見つけられない。ごく普通の音楽がさらっと書かれているだけで、あまり内容がないように感じる。
•ピアノ三重奏曲第32番 ト長調 第31番 1792/93? ◦3.5点 どこかで耳にすることがある分かりやすいキャッチーなメロディーを前面で推している1楽章は面白い。いきなりピチカートで始まる冒頭は新鮮。2楽章も分かりやすくてメロディーに力がある。いかにもマイナー曲ばかりのピアノ三重奏曲の中ではメジャーになれる属性を持つ曲。
•ピアノ三重奏曲第33番 ニ長調 第8番 ? 紛失 •ピアノ三重奏曲第34番 ホ長調 第11番 1755-60 ◦3.0点 1楽章がモーツァルトのように優美で愛らしい曲でメロディーが目立つ曲であり印象的。2楽章と3楽章はハイドンらしい楽しい曲。ピアノが中心として活躍する音楽なのは相変わらず。
•ピアノ三重奏曲第35番 イ長調 第10番 1755-60 ◦3.0点 1楽章はほとんど全てヴァイオリンとピアノと右手がユニゾンという実験的ともとれる構成で驚く。2楽章は活気あふれるパワーのある曲でかなり素晴らしい。3楽章は可愛らしいさがある普通の曲。
•ピアノ三重奏曲第36番 変ホ長調 第12番 1755-60 ◦2.5点 光る楽章が無いのであまり面白くない。あえて言えば3楽章の明快でかっちりとした快活さがいい感じ。
•ピアノ三重奏曲第37番 ヘ長調 第1番 1755-60 ◦2.5点 中庸のテンポでしなやかでセンチメンタルな1楽章が始まるのは意外だが、なかなか美しい。
2楽章はテンポが速くなり、活発だが、メロディーの魅力はあと一歩。あまりハイドンぽくない。3楽章は陰影に富む中庸のテンポの曲。この楽章もあと一押しの何かが欲しい。 •ピアノ三重奏曲第38番 変ロ長調 第13番 1755-60 ◦3.0点 1楽章の優雅な美しさがなかなか印象的。古典派らしい美しさを堪能出来る。3楽章の快活さもなかなか。バリトン四重奏曲の最終楽章を連想するスピード感の主題が印象に残る。
•ピアノ三重奏曲第39番 ヘ長調 第4番 1755-60 ◦2.5点 優雅でくつろいだ雰囲気の楽しい曲。5楽章ある。普通の曲だが、その中にハイドンらしさが感じられる。
•ピアノ三重奏曲第40番 ヘ長調 第6番 1755-60 ◦3.0点 1楽章と2楽章のほのぼのとした優雅な雰囲気。3楽章の快活さ。まだ磨かれ方は足りないがハイドンらしい楽しさが現れている。
•ピアノ三重奏曲第41番 ト長調 第7番 1755-60 ◦3.0点 珍しい4楽章制。2楽章のトリルの効果が美しくて心を捉えた。他の楽章は中庸でシンプルな普通の曲である。4楽章制であることが高い効果を上げている印象は特にない。
Hob番号外
•ピアノ三重奏曲 ハ長調 第2番 1755-60 ◦2.5点 1楽章は主題の魅力はそこそこ。展開部に随分と迫力があり驚いた。2楽章は優雅にまったりだが、よく短調になるので陰影は深い。3楽章は2楽章と雰囲気が似た優雅な変奏曲だが、音を細かく分けて繰り返すだけに聞こえてあまり面白くない。
•ピアノ三重奏曲 ヘ短調 第14番 1755-60 ◦2.8点 1楽章も2楽章も短調をたっぷり聴かせる。交響曲のようにすぐに長調にならない。3楽章は大半が明るい。手抜きしていない、きちんとした内容で満たされているのだが、演奏のせいか霊感がいま一つ足りないと感じてしまった。
•ピアノ三重奏曲 ト長調 第3番 1755-60 ◦2.0点 ピアノが大変支配的な曲で、他の2つは目立たない。特にチェロは可哀想なくらい。そしてメロディーに魅力がなくて、面白くない。
•ピアノ三重奏曲 ニ長調 第9番 ? 紛失 •ピアノ三重奏曲 ニ長調 第15番 1755-60 ◦2.0点 とにかくハイドンらしさが無い特殊な曲。本当に真作?と疑問に思う。曲自体もつまらない。
•ピアノ三重奏曲 ハ長調 第16番 1755-60 ◦2.3点 まったりした曲。あまり特徴がなく、面白くもない。
ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 Hov.VI[#xa0f11db] •ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第1番 ヘ長調◦3.0点
チェロは完全に伴奏だけ。1楽章の変奏曲など、手を抜かずちゃんと書いている印象はある。とはいえ、ディベルティメント的な寛いで自分で演奏して楽しむための職人的に書かれた曲である。
•ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第2番 イ長調◦3.3点 1楽章は音の飛び方で耳へのひっかかりを演出している印象。2楽章は短調でハイドンには珍しく音を長く伸ばして存分に聴かせる曲であり、おおっとなる。胸に迫るものがかなりある。3楽章は普通。
•ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第3番 変ロ長調◦2.8点 2番までより少し難易度を上げられているように聴こえるのが最大の特徴。曲としては、特筆するほどの楽章はない。音の飛び方が激しいため、音の動きにスムーズさがない。
•ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第4番 ニ長調◦2.5点 これといった特長のある楽章がない。一貫して平凡であり、聴きどころに欠ける。優雅な音感の良さは一流作曲家の手による作品と分かるものだが、それ以上のものがない。
•ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第5番 変ホ長調◦2.5点 規模が小さくて聴きやすいのはよいが、1楽章の一部を除いてやはり内容が薄く、聴きどころがないと思う。
•ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲第6番 ハ長調◦2.5点 2楽章が多少力強い表現になり聴きどころがある箇所がある。それ以外は、さらっと聴ける耳を少し楽しませるだけのディベルティメントである。
バリトン八重奏曲
•8声のディヴェルティメント ニ長調 Hob.X1 1775 brt,SQ,2hrn,BC◦3.3点 1楽章のキレと活発さが楽しい。2楽章と3楽章はごく標準的なディベルティメントだと思う。
•8声のディヴェルティメント ニ長調 Hob.X2 1775 brt,SQ,2hrn,BC◦3.5点 バランスがよくて、楽章の統一感もかなり良い。旋律も良いためいい曲だと没入できる。
•8声のディヴェルティメント イ短調/イ長調 Hob.X3 1775 brt,SQ,2hrn,BC ◦3.5点 1楽章の鎮魂的とも言える悲劇的な暗い曲から、2楽章の底抜けに明るい曲に転換し、3楽章はまったりという特殊構成。2楽章が魅力的。1楽章はモーツァルトの最も悲劇的な曲にも匹敵するほどエモーショナルである。
•8声のディヴェルティメント ト長調 Hob.X4 1775 brt,SQ,2hrn,BC◦3.3点 1楽章も2楽章も穏やかなのが、3番と対比を意図的しているように感じる。古典的な均整の取れた美しさと旋律の良さを楽しめる。
•8声のディヴェルティメント ト長調 Hob.X5 1775 brt,SQ,2hrn,BC◦3.0点 雰囲気は他と同様だが、旋律が平凡でやや魅力が落ちる。
•8声のディヴェルティメント イ長調 Hob.X6 1775 brt,SQ,2hrn,BC◦3.3点 2楽章がモーツァルトのように優美さを裏返したような歌謡的な悲しみの音楽。ハイドンにしては珍しいと思う。他の楽章は普通。
•8声のディヴェルティメント ト長調 Hob.X12 1775? brt,SQ,2hrn,BC◦3.3点 2楽章がまたしてもモーツァルト風の歌謡的な短調。これも良い曲。1楽章の広がりのある曲だがあまり良くない。3楽章のきびきびとした動きは魅力的。
バリトン五重奏曲
•ディヴェルティメント(五重奏曲) ニ長調 1767/68 brt,va,2hrn,BC ◦3.3点 高音が少なくて、父性の強い渋い音になっている。とはいえ、ホルンが2本もあるため華やかさと音の厚みは十分である。ただ、メロディーが地味だし、まったりした雰囲気のためもの珍しさだけで終わってしまう。
バリトン三重奏曲
•バリトン三重奏曲◦2.5点〜3.5点 全126曲。10分程度で3楽章のコンパクトな内容。同工異曲がたくさんあるが、領主に直接演奏してもらうための曲だからかひどい手抜きは無く、どの曲もそれなりのクオリティである。低音ばかりなので聞いていて気分が落ち着くし、ハイドンらしい楽しさにも満ちている。
https://classic.wiki.fc2.com/wiki/%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3%28%E5%AE%A4%E5%86%85%E6%A5%BD%29
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