クラシック音楽 一口感想メモ フレデリック・ショパン(Fryderyk Franciszek Chopin 1810 - 1849) https://classic.wiki.fc2.com/wiki/ショパン 史上最高のピアノ音楽作曲家であろう。
ピアノの機構と機能を熟知し、機構に合わせた音の動きで機能が生かされるように音楽を構成して、ピアノの音響を完璧に計算して曲を書いた。ショパンの曲を弾くと明らかに他の作曲家の曲よりピアノがよく鳴る。ピアノ全体を豊かに響かせる音楽になっている。 それに加えて屈指のメロディーメーカーであり、繊細で詩情豊かな発想力もずば抜けている。 また発想だけでなく、曲の全体の構成も綿密にきっちり練られている。一つひとつの曲の作品としての完成度を高めるタイプであり、残された作品は駄作がほとんどなく存在意義のある磨き上げられた曲ばかりである。 協奏曲
ピアノ協奏曲第1番 Op.11 ホ短調(1930) 5.0点 まだ20歳の作品。まだ少年の心を残した青年らしいウブな純情を、聴いていて恥ずかしくなってくるほどここまでストレートに切々と描いた曲が他にあるだろうか?人生の一時期しか書けない貴重な記録である。しかしピアノだけではこの魅力は出せなかった。オケが未熟というのは誰の耳にも明らかだが、しかしピアノとオーケストラの両方の良さを生かしたからこそ出来た表現である。たまに聴きたくなる。 ピアノ協奏曲第2番 Op.21 へ短調(1929〜30) 5.0点 2番の方が先に書かれたので1番と比較すると少し未熟だが、感情的な純度はこちらの方が高いようにも感じる。どちらも甲乙つけがたい。1番と同様に貴重な記録である。 協奏的作品 ラ・チ・ダレム変奏曲 Op.2 (1927) 3.0点
正確にはモーツァルトの「ドン・ジョヴァンニ」の『お手をどうぞ』による変奏曲。変奏曲形式の見通しの良さと採用したドンジョバンニの主題の良さにより、華やかさが生きており10代の作品の中では分かりやすく楽しめる曲になっている。 演奏会用大ロンド『クラコヴィアク』 Op.14 (1928) 2.5点 ピアノ協奏曲に至る過程としての資料的価値はあるが、曲としては華やかな技巧だけで内容が薄い。しかしやや目新しいテーマが出てくるし、何より聴き心地は良い。 室内楽 序奏と華麗なポロネーズ Op.3 ハ長調〔Vc,Pf〕(1829〜30) 2.3点 チェロとピアノの作品であり、チェロを鳴らし方の積極性にショパンの熱意を感じる。しかし、メロディーに魅力がなく内容は未熟さがあり、あまり面白くない。
ピアノ三重奏曲 Op.8 ト短調〔Vl,Vc,Pf〕(1828〜29) 2.5点 ピアノ協奏曲と同じ時期なので期待したのだが、あまり印象が残っていない。 チェロ・ソナタ Op.65 ト短調〔Vc,Pf〕(1845〜46) 3点 ショパン最後の大作であり、ショパンの作曲技法が尽くされているらしく、高く評価する人もいる。しかし、聴いて楽しむという観点では、自分は正直なところやはり、耳に残るフレーズや印象に残る場面があまり無く、渋すぎると思う。室内楽としての楽しみの観点でも物足りない。彼のピアノ独奏曲や他の作曲家のチェロソナタと比較して、あまり高く評価はできない。 ピアノ曲
ピアノソナタ ショパンのピアノソナタは2番と3番のどちらがいいかよく議論になるが、私は2番派である。 ソナタ第1番 Op.4 ハ短調(1828) 3.0点 力の入った作品であるが、ショパンにしては堅苦しい印象が強い。2楽章や3楽章などは多くの部分に才能を生かしたよい音楽があり、習作とはいえ案外鑑賞用にも楽しめるものだと思う。ただ、ショパンらしい自由さと自然さが足らず、頑張って書いている感がどうしても鑑賞していて気になってしまい、曲に入り込めない。特に最初の1楽章がそうなので、後続の楽章にもそのイメージを引きずってしまう。4楽章は3番と印象が被る。ベートーヴェン的な情熱の音楽を頑張って書いた感がとても強い。 ソナタ第2番 Op.35 変ロ短調(1839,3楽章のみ1837) 5.5点 芸術性と独創性が非常に高く、ピアノ曲史上屈指の名作だと思う。一見まとまりが無いようで、聴き込むと多くの要素が奇跡のように一つの世界としてまとまり昇華されている事が分かる。ソナタとしては長くないが、情熱や激情と癒しや信仰心、天国と地獄、悲痛と追憶など、広く深い実に多くの感情世界が表現されている。1楽章はショパンの中でも最も濃密で多くのものが詰め込まれた音楽の一つであろう。3楽章の葬送行進曲は単体でも素晴らしい曲だが、周りの楽章がさらに重さと深さを増加させている。4楽章は超高速の無調的な曲であり、単体では摩訶不思議な音楽であるが、それまでの3つの楽章の重さとのバランスが取れていて絶妙である。 ソナタ第3番 Op.58 ロ短調(1844) 1楽章4.5点 2楽章から4楽章 3.5点 1楽章の第二主題から提示部最後までの、美しいフレーズを惜しげもなく繰り出して流れるように次から次へと紡ぎだされる叙情性と詩情あふれるメロディーは絶賛に値する。しかし、それ以外の部分はソナタらしいまとまりとスケールを重視して作った曲と感じてしまう。特に4楽章はショパンの中に内面から自然に沸いてきた音楽ではなく、最後の締めくくりのために無理に努力してまとめた音楽という印象がある。3楽章も曲想は好きだが、冗長で掴みどころに欠けているのはかなり大きな問題であると思う。 バラード バラード第1番 Op.23 ト短調(1831〜35) 5.0点 バラードらしい物語性と詩情にあふれた曲。モノローグのような第一主題は、いにしえから伝わっている物語を聞いているかのような独特の詩情がある。第二主題は感動的メロディーで、特に2回目に盛り上げて演奏される場面はやはり感動してしまう。サロン風な間奏が突然挟まったり、エンディング部分はショパンらしからぬ乱暴さだったり、展開が大胆すぎるのだが、その大づかみな大胆さもまた魅力である。その強烈さが聞き手を物語の中に引き込む力を高めているが、しかし無駄をそぎ落とす洗練を失いすぎているともいえる。文学性が高いことや主題の魅力から、非常に強烈な体験を得られるため、また聴きたいと思わせる力が強い。 バラード第2番 Op.38 ヘ長調(1836〜39) 4.0点 2つの部分の対比が単純で極端なの曲。詩的な場面も激情的な場面も、どちらも詩情が豊かなよい出来である。だからいい曲ではあるのだが、他のバラードと比較すると、構成的な単純さがまた聴きたいという感覚をあまり起こさせないため、個人的には聞く回数が少ない。 バラード第3番 Op.47 変イ長調(1840〜41) 4.5点 前半と後半に分かれた曲。バラードらしい物語性がありながらも、有機的な主題の関連性と、主題から発展させて全体を統一的に作り上げた構築性を兼ね備えた曲である。どの主題も詩的な美しさは見事なもので、つなぎも部分も完璧である。1番と比較して、あの強烈なインパクトがないものの、精密に磨きあげられた作品としての精度の高さは断然上である。 バラード第4番 Op.52 ヘ短調(1842) 5.5点 前半部分は短いメロディーがひたすら繰り返される。暗闇に浮かぶ浮遊感や艶めかしさと切なさを感じさせながらメロディーが変奏される。メロディーが短いにも関わらず、寂寥感が胸に迫り何度も何度も聴いて浸りたくなる絶妙さがある。第二主題は信仰告白のような静けさと現実的な階層の実感を感じさせる素晴らしい感動的メロディーである。後半のドラマチックでスケールの大きな包み込むような感情の高まりは最高である。何度聞いても、いいなあと思う。以前、数年間もっとも聴く回数の多い曲であり続けていた曲である。ショパンの作曲技術が尽くされており、精神的な成熟と人生経験を技術により音楽化してみせている。成熟感とテクニカルな総合性と味わい深さがあり、ショパンの最高傑作のひとつと思う。 スケルツォ スケルツォ第1番 Op.20 ロ短調(1831〜32) 4.0点 バラードとスケルツォの中では最初の作品。若き日の大変な力作である。ショパンの作品の中でも特に響きが鋭角的で棘がある印象が強い。練習曲の激しさをさらに発展させて大規模の作品として堅く厳しい世界を構築したような曲。力作であることに感心はするが、とっつき難いきらいがあり、気軽に聴けない。 スケルツォ第2番 Op.31変ロ短調(1837) 4.0点 有名な曲である。前半部分のメロディーはショパン節全開であり、柔らかさとダイナミックな推進力をもった高揚感がなかなかよい。しかし、エキゾチックな中間部のほうが何度も聴きたくなる味がある。この箇所もダイナミックな場面転換が効果的。各場面は魅力的だが、ほぼ変奏なしの2回繰り返しが多いため、ショパンには珍しく単調さが気になる曲である。 スケルツォ第3番 Op.39嬰ハ短調(1839) 4.0点 冒頭の調性が曖昧な刺々しい激しさがかっこいい。その後のオクターブの嵐のような部分もひたすらかっこいい。中間部分は絹ののようなきめ細かい美しさや、ノクターンのような叙情性が素晴らしい。長い高速なコーダもいい。濃密な素晴らしい曲。 スケルツォ第4番 Op.54ホ長調(1842) 4.0点 バラード、スケルツォ群の中で際立って難解であり、奥の院のような位置付けの曲と考えている。最初の部分は明るくさばさばとしていて珍しくあまり感情を感じない。苦しみを乗り越えて達観の世界に達したしたようである。もしかしたら、他のショパンの曲のようなそのような感情と結びつける聞き方ではなく、純粋に音の運動を楽しむ音楽であり、印象派の先駆けと考えた方がよいのかもしれない。中間部分はしんみりして暗くなるが、やはりどこか客観的であり達観を感じる。この曲はスルメのように味わい深くて聞き込みむほどに好きになる曲の一つであるが、熱心なファン以外には勧めにくい。難解であり、私も最初の印象は「どこがよいのかさっぱり分からない」だった。 即興曲 即興曲第1番 Op.29変イ長調(1837) 3.0点 上品で分かりやすい曲ではある。しかし、味わいが薄めでソフトすぎる軽い曲であり、何度も繰り返し聞きたくなるような深みがない。 即興曲第2番 Op.36嬰ヘ長調(1839) 4.0点 ノクターンに近く、中間部分は舟歌のような雰囲気になる渋い曲。遠くで鳴っているような瞑想的で幻想的な世界が素敵である。靄の中のようでもある。静寂の中の音の動きは、最初はピンとこないかもしれないが、次第に魅力に気付くにつれて何度も繰り返し聴きたい曲になる。中間部分の力をセーブした盛り上げ方が絶妙である。 即興曲第3番 Op.51変ト長調(1842) 4.0点 1番のような上品さの中に、琥珀色のような渋さがある。控えめながらも寂しさや感傷的な気分を湛えた複雑な感情が、ほのかな前向きさとともに、精妙な音の重なりと和声で表されている。すばらしい。 幻想即興曲 Op.66嬰ハ短調(1834) 5.0点 いわずと知れた有名曲。他の即興曲と比較すると単純すぎる作りであり、飽きやすいところがある。しかし、特に高速な部分はぐっと耳を捉えて離さない強烈な魅力を放っている。分かりやすくかっこいい。ピアノの持つ情熱の表現力を見事に活かしている。 ノクターン ノクターン1番変ロ短調 3.5点 ジョン・フィールドのノクターン影響が濃厚。音の密度は薄いが感情的な濃密さが全体を覆う力作で魅力的。ある意味で一番夜に想うという邦訳が合っている曲だと思う。夜の暗闇の重さと、孤独な想像を感じさせる。 ノクターン2番変ホ長調 3.8点 有名な曲。砂糖の塊のような究極的に甘美なメロディーが繰り返される。ピアノを習っている女の子が演奏するのには合っている可愛らしい曲である。大人の男が弾くには少し恥ずかしいかもしれない。同じメロディーを繰り返す単純すぎる構造であはるが、やはりメロディー自体は秀逸であり、いい曲ではある。 ノクターン3番ロ長調 3.5点 1番と同様にジョン・フィールドの影響が高い。半音階的な浮遊感と、夜らしい奔放に想像世界をさ迷う雰囲気がよい。曲集の最後の曲らしい締めくくり感がある。 ノクターン4番ヘ長調 3.5点 前半は雨だれの前奏曲を連想する、メロディーと伴奏が演出する、しっとりとした回想的な詩情が素晴らしい。中間部は突然の激情であり、対比に驚く。 ノクターン5番ヘ長調 3.8点 2番と同様に同じフレーズを繰り返す曲。夜の幻想の雰囲気を濃厚に感じさせる。盛り上がる中間部があり、曲想が2番よりも大人の音楽であるため、聞き応えがある。 ノクターン6番ヘ長調 3.3点 前半部分は孤独な独白をしているような寂寥感をひりひりと感じる。後半は即興で作ったような取りとめのない展開をみせて面白い。心の彷徨をそのまま音にしたようだ。 ノクターン7番ヘ長調 3.8点 何だか胸の中にわだかまった感情を押し殺したまま耐えるかのような前半と、それを開放するかのような中間部分。その感情は良いほうに転ぶので救われる。ノクターンではあるが、心のドラマは劇的であり、ぜんぜん平和な曲ではない。 ノクターン8番ヘ長調 3.8点 幻想的な夢の世界へといざない心の旅をするような曲。白い明るい光に溢れた非常に美しい世界を作り上げている。恍惚感が心地よくて何度も聴きたくなる。主要メロディーを繰り返しながらもかなり自由な変奏であることで、形式が邪魔しないのがよい。 ノクターン9番ヘ長調 2.8点 前半は発想が平凡で、あまりいいメロディーではない。中間部分もショパンにしては凡庸と思う。ショパンの手癖を組み合わせて書かれた曲のような印象。 ノクターン10番ヘ長調 3.5点 物語が終わり余韻に浸るエピローグのような雰囲気の曲。中間部分の盛り上げ方は、前半のメロディーの良さが作った雰囲気を非常に適切に活かしている。 ノクターン11番ヘ長調 3.0点 マズルカのように個人的な陰鬱な感情が切々と歌われる。メロディーは、すぐにネガティブ方向に傾く。根暗な曲。中間部分は和音の単純な積み重ねによるコラールで珍しい。 ノクターン12番ヘ長調 3.5点 最初の部分は晴れ晴れとした、何かから解放されたような感情を感じる。雰囲気が即興曲にかなり近い。中間部も即興曲に近い。遠くで鳴っている何かの音に耳をそばだてるような雰囲気で魅力的。 ノクターン13番ヘ長調 3.5点 前半は漆黒の夜のどす黒い闇からわき出す力が、静寂からわき出すのを感じる。中間部分のコラールを使いながらの盛り上がりはノクターン随一のスケールをみせる。 ノクターン14番ヘ長調 3.3点 人生に疲れを感じてきて、回想しながら今と将来について瞑想するかのような曲。感情的には新しいが、ある意味で初期のノクターンに似たものを感じる。少し長いと感じる。 ノクターン15番ヘ長調 4.0点 シンプルで憂いを含んだ、秀逸なメロディーの前半部分も、中間部の劇的な盛り上がり方もよく、作品としてのまとまりがよい曲。他の曲と比較して、感情の発露が生々しくなく、作品的と感じる。とはいえ、美しい夜想曲らしい幻想性と感情をよく感じられる。 ノクターン16番ヘ長調 2.5点 感情の流れを音にするという方式だけで書かれているような即興的た曲。メロディーの出来がいまいちなので、雰囲気は悪くないが、曲に浸りきれない。 ノクターン17番ヘ長調 3.8点 ノクターンの最後の2曲はそれまでのノクターンとは違う。枯れており、響きにショパンらしい湿いが無い生々しい音楽である。17番は身体的な衰えに悩み悶え苦しむような、痛ましい音楽。回想的であるとともに、生への渇望も感じて心を打つ。ただしノクターンらしい音響的な豊かさが失われてしまっている残念さは否めないのだが、これは題名の問題と思えばよいかもしれない。 ノクターン18番ヘ長調 4.0点 人生の最後の大きな仕事を終えて、ゆっくりと休息取りながら今後を考えつつ回想するような気分の曲。仕事をやりきった晴れやかさと、人生の終焉に大きく近付いた寂しさような感情を感じる。非常に印象的な忘れがたさがあり、時々ふとした時に頭のなかでリフレインする。 ノクターン19番ホ短調 2.8点 17歳の作品。既にショパンのノクターンの世界が完成形であることに驚く。伴奏の音形やメロディーが作る雰囲気や感情はなかなか良い。だが、そこからの発展の弱さには未熟さを感じる。 マズルカ
他のジャンルは聞き手を意識した外面的な完成度や印象の強さへの配慮が感じられるが、マズルカだけはそのような配慮が少なくて、ショパンの内なる音楽を生々しくそのまま書きとめたような作品が並んでいる。このため、聴き始めた最初はショパンにしては完成度の低いことからあまり楽しめないが、慣れてくると他にはない独特の魅力に虜になる。 4つのマズルカ Op.6 1.嬰ヘ短調 3.5点 第1作は曲として作品としてのまとまりとバランスのある正統派の楽曲。濃厚さと民族的なあくの強さは既に十分。 2.嬰ハ短調 3.0点 民族的な粘っこいメロディーが繰り返されるのが心地よい。 3.ホ長調 3.0点 明るく開放感があり、土着的な粘り気もあるダンス曲。 4.変ホ短調 2.5点 ふわふわとして捉えどころのない落ち着かない曲。 5つのマズルカ Op.7
1.変ロ長調 3.3点 マズルカの中では有名だが、特に他と比較して特段優れているとは思わない。耳を捉えやすいやや刺激的なメロディーが分かりやいこと、ワルツのように聴けることが理由かと思う。 2.イ短調 3.5点 ショパンの憂いを日記のように綴るマズルカの魅力のよく現れている曲の一つ。 3.ヘ短調 3.0点 民族的な粘っこさを楽しめる。中間部がよい。 4.変イ長調 2.0点 間奏としての価値しか無いショパンの出版作品の中では珍しい曲。 5.ハ長調 1.5点 これは小学生でも書けそうな断片的な曲。なぜ出版したのか謎。 4つのマズルカ Op.17 1.変ロ長調 3.0点 何かいいことがあって心の中の喜んびを抑えられないような、晴れやかな気分がいい。 2.ホ短調 4.0点 マズルカの中でも一番好きな曲のひとつ。この人生の悲哀を感じさせる珠玉の美しいメロディーは仕事に疲れた時などにふっと思い出すことがある。中間部分のための後に、もう一度主要メロディーが登場する雰囲気もすき。 3.変イ長調 3.0点 落ち着かない不安定さを長時間持続させる独特の味がある曲。 4.イ短調 4.0点 もっとも美しいメロディーを持つマズルカの一つ。生々しい真実味のある音楽が心を打つ。哀愁が基調だが美的な透明感があるのがよい。物語的なドラマティックさもある。 4つのマズルカ Op.24
1.ト短調 2.8点 憂いを含んむいい雰囲気だが、マズルカの中ではありきたり感があっていまいちな部類である。 2.ハ長調 3.0点 跳ねるようなリズムで落ち着かなさを演出している曲。 3.変イ長調 3.5点 晴れやかな系統の曲の一つだが、感動をそっと胸のうちにしまって通常通りに振る舞おうとしているかのような、おしとやかな感じがよい。 4.イ短調 3.0点 何かを終わらせたくなかったのに終わってしまったような、感情的に煮え切らない感が強い。何度も繰り返すメロディーがその気分を助長する。もどかしい。それを受けた晴れやかさもあるのだが、やはり煮え切らない。 4つのマズルカ Op.30
1.ハ短調 2.8点 割り切れないはっきりしない感情を表した曲。ふっきれないもどかしさをここでも感じる。 2.ロ短調 2.8点 主要部分はごく普通の曲。中間部分が不思議だ。右手のフレーズ繰り返しを採用してしまうのは異様。 3.変ニ長調 3.0点 晴れやかな気分の系統の曲の一つ。鐘のような効果が面白い。 4.嬰ハ短調 3.0点 民族的な響きの『あく』が強い曲。エキゾチックさを感じる。 4つのマズルカ Op.33
1.嬰ト短調 3.5点 普通のマズルカの一つなのだが、なんとなく好き。メロディーがありきたりなようでいて、絶妙なバランスを持っていると思う。 2.ニ長調 3.0点 ポーランド人が民族的な衣装でダンスをするのに使っていそうな印象の曲。 3.ハ長調 3.5点 間奏曲の趣。年季の入ったおもちゃのように愛らしくて好き。 4.ロ短調 3.5点 断片を曲の形にしたような大半のマズルカと違い、この曲は大曲の作品として構成を意識して、まとまめられた感がある。曲想の豊富な大作マズルカで聴き応えがある。 4つのマズルカ Op.41
1.嬰ハ短調 3.0点 落ち着かない系の曲。ワルツっぽいフレーズも出てくるが、やはりそこはマズルカなので別世界である。 2.ホ短調 4.0点 悲しさ無念さなど様々な感情が沸いてきてなんとも言えない状態になっている胸のうちを切々と歌い上げているような曲。なんという生々しい音楽だろう。ショパンが目の前でピアノに向かって気持ちをぶつけているかのようだ。 3.ロ長調 3.0点 民族的なダンス調の軽快な短い曲。 4.変イ長調 3.0点 晴れやかな曲。ワルツにかなり近いと思うが、感情が煮え切らない感じと、リズムの癖はやはりマズルカである。 3つのマズルカ Op.50
1.ト長調 3.0点 ワルツ的だが粘っこい系統の曲。晴れやかさがある。 2.変イ長調 3.0点 ワルツ的である。シンプルななかに終焉や成功や不安など、さまざまな感情がこめられており、ニュアンスが豊富な曲。 3.嬰ハ短調 3.0点 ふわふわしている。捉えどころをわざと外しているように感じる。 3つのマズルカ Op.56 1.ロ長調 3.5点 いきなり割り込んだような入り方で始まる。それがいつの間にかノクターン的な大いなる感情に広がっていく。独特の魅力を感じる不思議な曲。 2.ハ長調 2.5点 この曲はいまいち。中身が薄い。 3.ハ短調 2.8点 断片的と感じさせるメロディーを使って、煙に巻くような雰囲気を出しながら曲集を閉めるのはマズルカではよくあるが、この曲は特にその傾向が強い。それにしては長い曲で、よく分からない。 3つのマズルカ Op.59
1.イ短調 2.8点 ワルツに近い。わざと捉えどころを外しているかのような、ひねりの入った曲。 2.変イ長調 3.0点 ダンス系の中に晴れ晴れとした感情があり、前向きさが感じられるのにも関わらず、感情が爆発せずに煮え切らないのがもどかしい。 3.嬰へ短調 3.0点 民族的な濃さが前面に出ている舞曲らしい曲。 3つのマズルカ Op.63
1.ロ長調 3.3点 達成感を感じて晴れ晴れとした感情が感じられる曲の一つ。しかし、中間部分に複雑さがあって楽しめる。 2.へ短調 3.0点 何かが「終わり」を告げた感のある寂しい曲。半音階的な進行が入るところが虚しさを強調する。 3.嬰ハ短調 3.0点 ワルツにかなり近い曲。憂いの濃い内向的なところはマズルカらしいが。 前奏曲 24の前奏曲 Op.28 3.5点 ただし15番雨だれは単品で5.0点 【1.ハ長調 2.イ短調 3.ト長調 4.ホ短調 5.ニ長調 6.ロ短調 7.イ長調 8.嬰ヘ短調 9.ホ長調 10.嬰ハ短調 11.ロ長調 12.嬰ト短調 13.嬰ヘ長調 14.変ホ短調 15.変ニ長調 16.変ロ短調 17.変イ長調 18.ヘ短調 19.変ホ長調 20.ハ短調 21.変ロ長調 22.ト短調 23.ヘ長調 24.ニ短調】 数曲を除いて、独立した1曲とはいいにくい断片的な曲である。バラエティーと詩情に富んでおりピアノの詩人の面目躍如たる作品ではある。しかし、ショパンらしいメロディーの妙や和声の絶妙さ、曲構成の磨かれた完成度が無いので、個人的にはショパンの作品の中であまり重視していない。ただし、雨だれは香り立つ詩情が素晴らしい、代表的な小品と思う。 前奏曲 Op.45 嬰ハ短調 4.0点 ノクターンのような夜の静けさの中で瞑想的な心の旅が出来るような曲であり、非常に美しく素晴らしい。 練習曲 12の練習曲 Op.10 1.ハ長調 4.0点 演奏が難しいので有名。ハ長調のストレートさがあり、広大な世界のような雄大さを感じる、聴き栄えがする曲。 2.イ短調 3.0点 演奏が技術的に難しいので有名。完全に技術的な練習のための曲という印象であり、観賞曲としてはたいした曲ではない。 3.ホ長調「別れの曲」 6.0点 メロディーの格別な美しさ、それを引き立てる伴奏と音響の素晴らしさ、メロディーの展開、中間部への場面展開と盛り上げ方、中間部の激情と鎮静から主題に回帰するまでの繋げ方など、全てがあまりにも完璧で奇跡的な作品。全てのピアノ小品の中でも圧倒的にずば抜けた出来のよさであり、ピアノ音楽の最高傑作の一つであることに異論のある人はいないだろう。 4.嬰ハ短調 4.3点 一気呵成に突き進む感じがかっこいい曲。 5.変ト長調「黒鍵」 4.0点 黒鍵だけを使って書いた曲であるが、フレーズにバラエティに富んでいる。愛らしくていい曲だと思う。 6.変ホ短調 3.5点 かなり簡単そうであり、練習曲っぽくない。演奏者の歌心を発揮しがいがある美しいメロディーは聴きばえがする。 7.ハ長調 3.0点 練習曲らしい曲なので鑑賞曲としてはいまいちである。 8.へ長調 3.5点 クルクルと回転するようなフレーズが聴いていて心地よい。 9.ヘ短調 2.5点 作品10の中では特に地味な曲。 10.変イ長調 3.0点 この曲も練習曲らしい曲である。 11.変ホ長調 3.0点 大きく音が離れた分散和音の嵐で構成されている曲。聴くだけだと愛らしさを感じさせるドリーミーなメロディと雰囲気になっており、楽譜を見て驚く。 12.ハ短調 6.0点 強烈にかっこいいメロディー。精神を駆り立てる圧倒的にかっこよくて痺れる伴奏。絶妙な転調を繰り返しながら、勢いを落とさずに表情を揺らして、激しい感情を出し切る構成力はすさまじい。別れの曲とともにピアノ小品の最高峰だと思う。 12の練習曲 Op.25 1.変イ長調「エオリアンハープ」 4.0点 明るい昼間に海の近くで爽やかに海風がそよいでいるかのようだ。美しくて心地よく、そして淡い切なさがある曲。 2.ヘ短調 3.5点 練習曲らしい音数だが、メロディー的な心に訴えるものを感じる曲。 3.ヘ長調 2.5点 これは聴いていてあまり楽しい曲ではない。 4.イ短調 3.0点 エキゾチックな雰囲気を楽しめる。 5.ホ短調 3.5点 前半はまあまあだが、中間部が美しさがかなりのもの。 6.嬰ト短調 3.0点 技巧的に難しいので有名。作品10-2と同様に観賞用としてはいまいちで、難しそうであること自体を楽しむ曲。 7.嬰ハ短調 3.5点 チェロが独奏しているかのような、低音の渋いメロディーが印象的。作品10-6の姉妹編。 8.変ニ長調 2.5点 練習曲らしい曲で印象は薄い。 9.変ト長調「蝶々」 3.5点 副題付きではあり、軽快さが印象的だが、他の副題付き練習曲のような素晴らしさのある曲ではないと思う。 10.ロ短調 2.5点 両手のオクターブを鋭角的な響きでゴリゴリと弾いていく曲。カオス過ぎてついていけない・・・ 11.イ短調「木枯らし」 5.0点 半音階的な音の嵐が奔流のように駆けめぐり、激しい音響を作り出している。「革命」ほどの奇跡は感じないにしても、非常に完成度が高い素晴らしい曲。 12.ハ短調「大洋」 5.0点 両手の分散和音が生み出す音のうねりが、かっこよすぎ!特に中間部の不協和音の使い方が演出するゾクゾク感は凄い。メロディーが少ないため革命にはかなわないが、迫るほどのかっこよさがある傑作である。 3つの新しい練習曲
1.ヘ短調 3.0点 ノクターンの一部のような曲。エチュードにしては静か。 2.変イ長調 3.3点 前奏曲の一部のような曲。じわじわとした叙情はなかなかよい。 3.変ニ長調 3.0点 晴れやかな感情のメロディーと内声の絡みが楽しい曲。 ポロネーズ 2つのポロネーズ Op.26 1.嬰ハ短調 3.5点 ポロネーズの中でメジャーな方ではないが充実した大作である。端正と情熱、憂鬱と切なさ、現実と空想など、相反するものを多く取り入れている。ただ、バラードやスケルツォの驚異的な完成度にくらべると、楽想を並べているだけの感があり、緊密な構成や洗練度合いで劣る。 2.変ホ短調 3.0点 5番を思わせる冒頭で始まり、暑苦しいほどに情熱的なメロディーになる。冒頭もその後のどのメロディーも悪くはないのだが、どうしてもいまいち冴えない印象である。 2つのポロネーズ Op.40 1.イ長調「軍隊」 5.0点 単純明快な描写的ともいえる軍隊的な行進曲である。それにも関わらず、ものすごくいい曲である。ショパンの音響構築の素晴らしさが光る。まったく同じメロディーでも他の人が書いたらこうはならない。いくつかのメロディーが登場するが、組み合わせも個々の魅力も完璧である。 2.ハ短調(1838〜39) 3.5点 低音の兵隊の足音の地響きのようにごうごうと響き渡るメロディーが強烈な印象を残す。このメロディーが曲の大半の印象を占めるが、その間に挟まれた部分も繊細でなかなか出来はよい。 ポロネーズ Op.44 嬰ヘ短調 4.0点 ポロネーズ裏の名曲としてファンには有名な曲。勇壮で大変に男くさい曲である。血のように濃い愛国心の固まりのような音楽が展開される。中間部にマズルカが入る構成が凄いが、これがまたふわふわとして精妙で絶妙なものである。 ポロネーズ Op.53 変イ長調「英雄」 5.0点 スケールが大きくて、これでもかというほど、とにかく格好よさを追求した曲。豪壮な感じを出すために激しい和音の重ねて、基本的に自然な演奏が出来るように書かれているショパンにおいて例外的に、あえて意図的に無理を強いる書き方になっている。中間部の無茶な左手の伴奏は特にそうだ。テンションが高過ぎるし無理やりさがあるという点で、聴いていて疲れる曲。 幻想ポロネーズ Op.61 変イ長調 5.0点 大変独創的な曲。人生の回想が幻影として浮かんでは消えるかのような曲想。元から憂鬱さがついて回るショパンの音楽であるが、この曲は肉体性と気力の衰えが病的領域に入るとともに、幻覚のような非現実性が現れている。作曲時のショパンの精神と肉体のダメージが生々しく感じられて痛々しい。ショパン晩年の傑作であり代表作のひとつではあるが、少し変な曲である。ある程度熱心に聴く気のある人以外には薦めにくい。 ワルツ 生前に発表したワルツは外れなし!名曲揃いで素晴らしい。 華麗なる大ワルツ Op.18 変ホ長調(1831) 4.0点 華やかなサロン風フレーズ満載。多くの人に愛される素敵な名曲であるが、後年の充実したワルツと比較してしまうと、実は内容が浅い。弾いてみると想定と違う物足りなさと音の薄さにがっかりした。とはいえ、多くのパートで構成されたすべての部分が魅力的な名曲であることは確かである。 3つの華麗なるワルツ Op.34 1.変イ長調(1835年) 4.0点 ピアニスティックで豪華絢爛な曲。ピアノが鍵盤上を駆け巡るのが楽しい。親しみやすさでは1番に一歩劣るが、音の充実感において、1番よりかなり進歩している。 2.イ短調(1831) 4.0点 これはワルツなのか?と思うような穏やかで暗い曲だが、これはこれで詩的な真実味のある歌心にあふれた名曲である。マズルカの土着的な感じがないのがよい。ショパン本人が気に入っていたそうだが、根暗な人だったのだろうなと思った。 3.ヘ長調(1838) 3.5点 なかなかいい曲ではあるが、名作揃いのワルツの中では少し単調であるとともに、フレーズにキレがないため、地味な作品に属する。 ワルツ Op.42(1840) 変イ長調 4.5点 ワルツ2番路線のピアニスティックで豪華絢爛な作品である。2番も十分に良い曲であるが5番はさらに進歩して充実しており、華麗さと成熟感を併せ持った完成度がすごい。中間部のメロディーは特に絶妙であり、外面的な華やかさと複雑さを伴った内容とバランス感覚を併せ持つ天才的なものだと思う。 3つのワルツ Op.64 1.変ニ長調「子犬のワルツ」 4.5点 有名な曲。軽快で楽しくスマートな冒頭部分は素晴らしい。また、中間部分は優雅さと華やかさと詩情を併せ持つよく出来たメロディーで素晴らしい。 2.嬰ハ短調 4.5点 ショパンの愛称なしの曲の中では有名な曲の一つ。一つ一つの部分が複雑で表情豊かで技巧的であり、演奏が容易であるにも関わらずたいへん充実している。憂鬱、前向きさ、達観、希望、そのような複雑な感情が混ざり合っている。音楽的な純粋な美しさもレベルが高い。 3.変イ長調 3.0点 晴れやかな清々しい気分で始まり、生前に出版されたワルツの締めくくりに相応しい。しかし、展開や転調などが単純で絶妙さがなく、他の作品64の2作品のずば抜けた完成度と比較すると見劣りする。 ロンド
ロンドは初期に書かれており、いずれも7分から10分の大きな作品である。 ロンド ハ短調op1(1825) 2.5点 公表を予定した最初の作品。主題がマズルカ的な憂いを含んでいてそれなりに魅力的であるが、それ以外の部分や展開はまだ成長の途上の感が強く、完成度はそれほど高くない。ただし15歳にしては驚異的な出来ではある。 マズルカ風ロンドop5(1826) 3.0点 まさにマズルカ風の曲。作品1から進歩している。初期にしては力作であり面白い曲でもある。冗長な箇所もあるが所々素晴らしい発想力を見せている。 ロンド Op.16 変ホ長調(1832) 2.3点 長い序奏付き。ピアノ書法は他の10代に書かれたロンドより成長している。しかし主題に魅力が無い。技巧が華やかなだけで内容が無い曲。 ロンド Op.73 ハ長調 独奏用、2台ピアノ用(1828) 2.5点 軽快なサロン風の主題は耳に残る。多彩な発想を盛り込んでいる力作だが、どこか磨かれ方が足りない感じがする。 その他のピアノ曲 華麗なる変奏曲 Op.12 変ロ長調(1833) 2.5点 作品番号付き独奏用として唯一の変奏曲。サロン風の技巧的な華やかな変奏曲。内容はあまり無い。 ボレロ Op.19 イ短調(1833) 3.0点 エキゾチックなボレロのテーマは魅力的。常に異国情緒があるわけでなく、ショパンらしい洗練された音楽を挟んでいるため、主題がより強調される。 アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22 変ホ長調 2.5点 長いしあまりいい曲だとは思わない。
タランテラ Op.43 変イ長調(1841) 3.3点 楽しい織物のようなパッセージの主題で楽しい小品。 演奏用アレグロ Op.46 イ長調(1832〜41) 2.5点 一人協奏曲の曲。長い曲で華はあるが、特に管弦楽の編曲のような部分はショパンらしからぬ音楽が延々と続く感じであまり面白くない。 幻想曲 Op.49 ヘ短調(1840〜41) 3.5点 堂々としてがっちりした大規模な曲。しかし、ショパンらしいしなやかさが少なくて、きっちりとした手堅さが目立つ。また、各部分に有機的関連がなく、細かいニュアンスの妙による複雑さは少ない。このため、個人的にはあまり面白い曲と感じない。 子守歌 Op.57 変ニ長調(1843〜44) 4.5点 小さな子供が寝ていて、その夢の中で妖精が登場して飛んだり跳ねたりして踊っているかのようだ。ずっと同じパターンの左手の伴奏の上で、右手が即興的に幻想的に動き回っていく、とてもかわいらしい変奏曲。ショパンのピアノ的な発想力の驚異的な豊かさと音感の良さが発揮されている。かなりの名曲だと思う。 舟歌 Op.60 嬰ヘ長調(1845〜46) 6.0点 多くの点でショパンおよびピアノ曲史上のもっとも完璧な作品のひとつ。1拍ごとにニュアンスを変えていくほどの究極的な精緻さと繊細な詩情豊かさが凄い。和声の付け方や挿入するフレーズは様々な細かい変化がつけられており、それが濃密な感情の揺れを表現している。メロディーと一体化して展開されていく有機的な動機が生み出す精神的な内面的な物語の見事さは奇跡的といえる。主題は憂いを含み、艶めかしく美しいだけでなく、人生経験の重みと渋みを持っている。 伴奏の作り方がメロディーの魅力を最大限に引き出すとともに、メロディーと一体化して伴奏自体も音楽として魅力的になっている。細部の1拍ずつが素晴らしい上に、全体構成のバランスやドラマの作り方も完璧に計算し尽くされて造形されている。冒頭の前奏からして、あまりにも天才的でそのあとの主部を導くのにちょっとこれ以上は考えられないほどの完璧さである。とにかく調べれば調べるほど新しい発見がありその素晴らしさに驚嘆を新たにする曲である。 https://classic.wiki.fc2.com/wiki/ショパン
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