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(回答先: 人類進化史 投稿者 中川隆 日時 2019 年 8 月 20 日 07:46:33)
脊椎動物の遺伝的な寿命予測 雑記帳 2019年12月18日
https://sicambre.at.webry.info/201912/article_32.html
脊椎動物の遺伝的な寿命予測に関する研究(Mayne et al., 2019)が報道されました。老化はほとんど全ての動物種で観察されており、多様な生物学的機能の低下を伴い、種の最大寿命を制約します。また、加齢はエピジェネティックな変化にも関連しています。生物種の最長寿命は定義が難しく、その長さは種によって大きく異なっています。最長寿命が遺伝子によって制御されていることは以前の研究によって示唆されていますが、現時点では、こうした違いの原因となる遺伝的多様体は見つかっていません。本論文は、寿命が分かっている脊椎動物種(252種)の参照ゲノムを用いて、寿命の予測に利用できると考えられる42種の遺伝子を突き止め、これらの遺伝子におけるCpG(シトシンとグアニンがホスホジエステル結合でつながった配列)密度から絶滅種を含む脊椎動物の寿命を高い精度で予測できる、と明らかにしました。
本論文は、アフリカゾウのゲノムと平均寿命(65年)を基準とし、自らの予測モデルを用いて、マンモスとアンティクースゾウの寿命をいずれも60年と推定しました。現生人類(Homo sapiens)の推定寿命は38年です。しかし、近代以降、現生人類の平均寿命は2倍以上になりました。チンパンジー(Pan troglodytes)の推定寿命は39.7年です。また、現代人と初期人類とチンパンジーのゲノムを基準に用いたところ、種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)という絶滅人類種の推定寿命は37.8年で、現生人類とほとんど変わりませんでした。
さらに本論文は、この予測モデルを用いて使って、ホッキョククジラ(Balaena mysticetus)や絶滅したピンタゾウガメ(Chelonoidis abingdonii)のような長寿命種の寿命を推定しました。ピンタゾウガメは120年以上と推定されていますが、カメの長寿の一因として、他の脊椎動物よりも多い腫瘍抑制遺伝子が挙げられています(関連記事)。ホッキョククジラの推定寿命は268年ですが、これは既知の最長寿命個体よりも57年も長く、こうした長寿命種は観察者より長く生きることが多いため、寿命推定研究が困難になることもある、と指摘されています。本論文は、こうした知見が現生種と絶滅種の生態と進化や、絶滅危惧種の保護や、持続可能な漁業を研究するさいに役立つ情報になる、と指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
【生物学】脊椎動物の寿命を予測する遺伝子「時計」
遺伝子マーカーを用いて、さまざまな脊椎動物(絶滅種を含む)の寿命を正確に推定するモデルについて報告した論文が、今週掲載される。この「寿命時計」は、あらかじめ選ばれた42種の遺伝子のスクリーニングを行って、CpG部位の密度を調べ、それぞれの脊椎動物種の寿命を予測する。これは、短いDNA断片であるCpG部位の密度が寿命と相関していることに基づいている。
生物種の最長寿命は、定義が難しく、その長さは、種によって大きく異なっている。最長寿命が遺伝子によって制御されていることが以前の研究によって示唆されているが、これまでのところ、こうした違いの原因となる遺伝的バリアントは見つかっていない。
今回の研究で予測モデルを構築するため、Benjamin Mayneたちの研究グループは、寿命が分かっている脊椎動物種(252種)の参照ゲノムを用いて、寿命の予測に利用できると考えられる42種の遺伝子を突き止めた。そして、これらの遺伝子におけるCpG密度から脊椎動物(絶滅種を含む)の寿命を高い精度で予測できることが判明した。
Mayneたちは、アフリカゾウのゲノムと平均寿命(65年)を基準に用い、自らの予測モデルを使って、マンモスとアンティクースゾウの寿命をいずれも60年と推定した。また、現生人類、初期人類とチンパンジーのゲノムを基準に用いたところ、デニソワ人とネアンデルタール人の寿命は約38年と推定された。さらにMayneたちは、その予測モデルを使って、ピンタゾウガメやホッキョククジラのような長寿の動物種の寿命を推定できることを示した。こうした長生きの動物種は、観察者より長く生きることが多いため、寿命を推定する研究が困難になることもある。
Mayneたちは、以上の知見は、現生種と絶滅種の生態と進化、絶滅危惧種の保護、持続可能な漁業を研究する際に役立つ情報になるという見解を示している。
参考文献:
Mayne B. et al.(2019): A genomic predictor of lifespan in vertebrates. Scientific Reports, 9, 17866.
https://doi.org/10.1038/s41598-019-54447-w
https://sicambre.at.webry.info/201912/article_32.html
- 土器の製作者は初期には男性の割合が高かったものの、後には性差が縮小してほぼなくなる 中川隆 2020/1/14 09:03:09
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