反米勢力にとってはうれしくないだろうが早く弾劾された方が、世界と、もちろん米国自身(特に底辺層)のためにもなるが そう簡単ではないだろう
2018年8月23日 / 13:05 / 2時間前更新 アングル:トランプ大統領の訴追や弾劾可能か、元弁護士証言で Jan Wolfe 2 分で読む [22日 ロイター] - トランプ米大統領の元顧問弁護士マイケル・コーエン被告は、2016年の大統領選中にトランプ氏の指示により、同氏との不倫関係を主張した2人の女性に口止め料を支払った、とニューヨーク連邦地裁で21日証言して司法取引を行った。 トランプ氏は22日、コーエン氏が認めた選挙資金関連の違反は「犯罪ではない」とツイッターで主張。トランプ氏の弁護士であるルディー・ジュリアーニ氏は、支払いは個人的な性質のものであり、選挙とは無関係だと述べた。 米大統領の訴追は可能か。そして、トランプ氏に対してどのような弾劾手続きを取り得るのかについて、以下にまとめた。 ●現職の米大統領を訴追することは可能か 米合衆国憲法はこの問題に言及していない。多くの法律専門家はこれまで、現職大統領を起訴することは不可能であり、大統領が犯罪を犯した場合の適切な手段は弾劾だと述べている。憲法は、反逆、収賄、その他「重大な犯罪および非行」について大統領を弾劾することができると規定している。 米最高裁は、現職大統領を刑事訴追することの可否について判定を下したことがない。ただ、司法省は2000年の覚書で、刑事訴追手続きは大統領の職務遂行能力を妨げるため許容できないと結論付けている。 誰もが法の下にあるとして、現職大統領であっても起訴は可能とする専門家もいる。 ●弾劾手続きはどのようなものか 手続きは議会下院から始まる。個々の議員が通常の法案と同様に弾劾決議を提出するか、下院が音頭を取り、捜査権限付与の決議を可決する。 弾劾は下院で単純過半数の賛成によって可決される必要があるが、大統領を更迭するには、さらに上院で3分の2以上の賛成が必要とされる。 これまで1868年にジョンソン、1998年にクリントン元大統領が弾劾された例があるが、更迭には上院の支持が得られず、2人とも職にとどまった。 弾劾かつ更迭された場合、次期大統領選までの間は副大統領が職を受け継ぐ。 ●選挙資金関連法の違反で弾劾は可能か トランプ大統領がコーエン氏に違法な選挙資金使用を支持した疑惑に基づき、大統領の弾劾が可能かどうかについて、法律専門家の見方は分かれている。 議会には「重大な犯罪および非行」に当たるかどうかを決める裁量権がある。法律専門家によると、議会は米刑法を参考にしたことがあるが、刑法によって拘束されるわけではない。 オバマ前大統領の側近だったアンドルー・ライト氏は、コーエン氏が有罪を認めただけで、弾劾捜査着手の条件を満たしていると述べた。 ライト氏によると、憲法を定めた建国の父らは権力の乱用を案じており、その中には選挙前に国民に誤った情報を与えようとすることも含まれている。 他の専門家の見解によると、トランプ氏は女性らへの支払いは自らの評判を守るためであって、選挙に影響を与えるのが目的ではないとの論陣を張ることが可能だ。 選挙に影響を与える狙いで支払いが行われていたとしても、選挙資金法違反は通常、民事上の制裁によって法が執行されるものであり、重大な犯罪および非行には当たらないと主張する法律専門家もいる。従って、弾劾が実行されるという保証はないという。 トップニュース2018年8月23日 / 10:50 / 2時間前更新 焦点:トランプ大統領、元側近「有罪」で食らうダブルパンチ 2 分で読む
[ワシントン/チャールストン 22日 ロイター] - トランプ米大統領は21日、政治的にも法的にも痛手を被った。この日裁判で元選対本部長ポール・マナフォート被告が有罪評決を受けた上に、元顧問弁護士マイケル・コーエン被告はトランプ氏の指示で不正行為をしたと認めたためだ。 11月の中間選挙に向けて与党・共和党への逆風となりかねず、自身への捜査の手が広がる可能性も出てきた。 コーエン被告は、トランプ氏との不倫関係を主張する女性への口止め料支払いが選挙資金関連の違反とされた問題で、トランプ氏から支払いを指示されたと証言。トランプ氏側の弁護士は、支払いは同氏とその家族が困るのを避けるためで、選挙とは関係がないと主張している。 ただコーエン被告の弁護士が、モラー特別検察官の捜査チームにコーエン被告がトランプ氏に関して持っている情報全てを積極的に提供する意向を表明。これでモラー氏が進めている、2016年の大統領選にロシアが介入したかどうか、またトランプ氏がロシアとつながっていなかったかについての捜査に再び脚光が当たることになった。 トランプ氏側近の1人は、コーエン氏の動きは厄介だとこぼし、こうした法的な問題は支持者の投票を鈍らせ、11月に与党が下院で過半数を失うリスクを高めてもおかしくないと付け加えた。 中間選挙で野党・民主党が勝利すれば、トランプ氏は希望する法案の議会通過が困難になるだけでなく、弾劾される恐れが増す。 民主党は、トランプ政権はスキャンダルまみれだという主張をさらに裏付ける材料として、マナフォート被告やコーエン被告の裁判を利用している。 ロサ・デラウロ下院議員は「米国民はこれらの不正と犯罪行為におけるトランプ氏の関与について報いを与える必要がある」と訴えた。また民主党のシニアストラテジスト、ロデル・モリノー氏は、両被告に関するニュースが最終的に相当数の無党派層に影響し、中間選挙で同党の追い風になると期待を示した。 「マナフォート被告の有罪評決自体は有権者を動かさないかもしれない。しかし犯罪の全貌が判明すれば、共和党議員にとって無視するのは困難となる。弁解するのはもっと難しくなるだろう」という。 <変わらない支持率> もっとも今回の事態が長期的な影響を及ぼすかどうかは、実際に11月の選挙で共和、民主両党の投票率がどうなるかを見るまで分からない。 ニューハンプシャー大学調査センターのアンディ・スミス所長は、トランプ氏にとって21日がひどい日だったのは間違いないが、同氏が中核的な支持者を結束させて、この逆境を自分に優位な立場に転じられるかもしれないとの声があると述べた。 スミス氏は「中間選挙で与党は関心も持たれにくく、投票のモチベーションも低くなる傾向がある。しかし支持者が党は不当な攻撃を受けていると信じる場合、投票に向かう要素になる」と解説する。 21日にウェストバージニア州チャールストンの集会に現れたトランプ氏は、コーエン被告やマナフォート被告には直接言及しなかった。その代わり、モラー特別検察官に注目する政敵がロシアとの共謀を必死に探している様子に触れて「一体どこに共謀などあるのか」とからかった。 集会に出席した1人の男性はモラー氏の捜査を「中傷キャンペーン」だと一蹴し、トランプ氏への支持は揺るぎないと強調した。 Slideshow (3 Images) イプソス/ロイターの調査でも、モラー氏の捜査で既に複数のトランプ氏元側近が有罪を認めているにもかかわらず、トランプ氏の支持率は40%近辺で安定している。 バージニア大学政治センターのラリー・サバト所長は、コーエン被告とマナフォート被告の案件がトランプ氏の支持層ないし共和党主流派に打撃を与える公算は乏しいとの見方を示した。 (Steve Holland、James Oliphant記者)
WSJ社説】トランプ氏の元側近と弁護士が犯した罪 コーエン氏は罪を認め、マナフォート氏には有罪評決 大統領の政治リスク高まる バージニア州の連邦地裁で評決結果を聞くマナフォート被告(21日)
2018 年 8 月 22 日 18:56 JST 更新 ドナルド・トランプ米大統領が私生活と政治家生活で関わった怪しげな人物らに21日、厳しい評価が下された。2016年の米大統領選でトランプ陣営の選対本部長を務めたポール・マナフォート氏は有罪の評決を受け、トランプ氏の元個人弁護士マイケル・コーエン氏は自らの罪を認めた。ただ、これがトランプ氏の大統領としての地位を致命的に脅かすものとなるかどうかは定かでない。また両事件でこれまでに示された証拠は、訴追の決め手となったロシアとの共謀疑惑に結びつくものではない。 バージニア州連邦地裁の陪審団はマナフォート被告に対し、個人的な金融取引の不正に関する8件の罪について有罪と認定した。一方、他の10の罪状については評決に至らなかった。本欄で2016年にトランプ氏に警告したように、マナフォート氏は長年フィクサーとしてワシントンで暗躍し、政治的なコネクションを資金源にしてきた人物だ。同氏はまさに(大統領選でトランプ氏が一掃すると訴えた)「腐敗した沼」の象徴だといえる。 皮肉なことに、トランプ氏が同氏を選対本部長に起用したのは、政治経験の豊富な共和党員の大半がニューヨークの反乱分子とみていたトランプ氏を遠ざけようとしたことが背景にある。マナフォート氏はトランプタワーの一区画を所有することからトランプ氏と知り合い、1976年の大統領選に向けた共和党大会でジェラルド・フォード氏の選挙運動に関わった経験などが買われた。トランプ氏は7月の共和党大会の数週間後にマナフォート氏を選対本部長から解任したが、ロバート・モラー特別検察官は2017年、マナフォート氏とロシアに近いウクライナの政治家とのつながりを問題視した。 モラー氏は18の罪状でマナフォート氏を起訴した。どれかに引っかかると考え、有罪になればトランプ氏に不利な証言で協力してくれるはずだと踏んだのは間違いない。マナフォート氏は現在、最大で80年の禁錮刑を受ける可能性があり、協力する動機は十分にある。だが問題は、マナフォート氏がそもそもロシア人脈にどの程度通じているかだ。米連邦捜査局(FBI)と議会の2年間に及ぶ調査で、米大統領選でのトランプ氏とロシアの共謀を示すものは何も浮上していない。 一方、コーエン氏が罪を認めたことは、トランプ氏にとってより重大なリスクになりそうだ。コーエン氏は、トランプ氏と2006年に関係を持ったとされるアダルト映画女優のステファニー・クリフォード氏(芸名ストーミー・ダニエルズ)に対し、13万ドル(約1400万円)の口止め料を払ったことを認めた。当初、コーエン氏は支払いの事実を否定し、トランプ氏は何も知らないと記者団に答えていたが、今ではコーエン氏は2人とも承知していたと語る。 モラー氏の起訴を受け、ニューヨーク南部地区連邦検事局がコーエン氏の個人的なビジネス取引を徹底的に調べ上げた。コーエン氏の手口はまるでマナフォート氏のニューヨーク版であるかのようだった。コーエン氏は法の抜け穴を利用したビジネス取引を行い、税額を虚偽申告したことを法廷で認めた。 トランプ氏の最大の弱点は、クリフォード氏に口止め料を支払ったことが選挙資金法に違反するかどうかだろう。コーエン氏は選挙資金法違反を認めているが、それは検察がトランプ氏を罪に問うのであれば指摘すべき点だ。コーエン氏は裁判所でクリフォード氏への支払いが「候補」の要請によるものだったと述べた。候補とは当然、トランプ氏を指すものと思われる。 こうしたことすべてがトランプ氏の最悪の部分を露呈させ、多くの共和党員がトランプ氏を同党の指名候補にすることに躊躇(ちゅうちょ)した理由を示している。もし本当にクリフォード氏への支払いを命じたならば、トランプ氏は政治的にも倫理的にもひどい判断を下したことになる。司会者ビリー・ブッシュ氏と交わした下品な会話の音声テープが流出した後の2016年10月なら、同氏とアダルト映画女優の不倫が発覚しても有権者は動揺しなかっただろう。 コーエン氏は司法取引の条件として、モラー特別検察官に協力する義務があるわけではない。だが判決を下す裁判官への印象を考え、そうする可能性は十分にある。しかしマナフォート氏の場合と同様、トランプ氏とロシアとの関係、あるいはトランプ氏の大統領就任以前のビジネス状況について同氏が何を知っているかは不明だ。 われわれはモラー氏が現職大統領であるトランプ氏を起訴する見込みは低いだろうと考える。だがトランプ氏への最大の脅威は政治的リスクだ。どんな罪が弾劾に値するかを決めるのは議会だ。11月の中間選挙で民主党が下院の過半数を奪還した場合、(弾劾に値する)「重大な罪および非行」を定義するのは同党となる。コーエン氏とマナフォート氏が罪を犯したことは、トランプ氏と同氏の大統領としての地位が脅かされる危険度を高めている。ただし大統領選の結果を覆すためには、アダルト女優への口止め料以上の証拠を有権者に示す必要があるだろう。 関連記事 トランプ大統領の最も暗い1日 トランプ氏が口止め料を指示、元弁護士が有罪答弁 トランプ陣営元幹部に有罪評決、ロシア疑惑で初
トランプ氏の望み通り米利上げ路線見直しならドル資産の魅力は低下 Liz Capo McCormick、Aline Oyamada 2018年8月23日 12:22 JST • ドルは下落し大統領には願ったりかなったり−金融当局の信認には傷 • インフレ期待が高まり米政府と消費者の借り入れコスト押し上げ トランプ米大統領はドル安を望む姿勢を明らかにしており、そのために米利上げには難色を示している。パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長率いる金融当局が利上げ路線を見直せば、願ったりかなったりだろう。しかしその場合同時に、安全な逃避先としての米資産の魅力が低下する恐れがある。 金融当局が引き締めの動きでブレーキを踏むようなことがあれば、当局への信認に傷が付くだけでは済まないとストラテジストは警告する。ドル安を求めるトランプ氏の望みはかなうが、インフレ期待の高まりが米資産は安全性との認識を揺るがせ、最終的には米政府および消費者の借り入れコスト上昇につながるだろう。 他方で少なくとも早い段階では、世界的に流動性と成長率を高めることにつながり、トランプ政権の政策に翻弄(ほんろう)されてきた新興市場もその恩恵を受ける可能性がある。 米金融当局が実際にトランプ氏の圧力に屈するとの見方はほとんどないものの、利上げに対する大統領の「口撃」は執拗(しつよう)で、投資家はトレーディングの計算にその影響を織り込み始めている。 ドイツ銀行のチーフ国際エコノミスト、トルステン・スロック氏は大統領の言動に関し、「この場合は連邦準備制度だが、中央銀行の行動と独立性を損なう行動に踏み出すのは、危険極まりない」と指摘。パウエル議長がトランプ大統領の不満に「耳を傾け始めるのだろうか、連邦準備制度は本当に独立しているのだろうかと、投資家が疑問を抱くようになる」と語った。 インサイト・インベストメント・マネジメントの為替責任者、ポール・ランバート氏(ロンドン在勤)は「米金融当局が利上げ停止のシグナルを発し、その時に経済と市場が引き続き好調であれば、それは当然、リスク資産には非常にプラスで、ドルにはマイナスとなる」と指摘。また、投資家が「政策引き締め見通しを幾分弱め、イールドカーブ(利回り曲線)はスティープ化するだろう」と分析した。 もちろん、トランプ大統領の「口撃」がパウエル議長を説得するどころか、むしろこれまでの方針通り利上げを続けるよう同議長の背中を押すことも考えられる。 パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の世界経済顧問を務めるヨアヒム・フェルズ氏は先月のリポートで、米金融当局はホワイトハウスからの苦情に屈したと受け止められるのを何としてでも避けようとして、政策を変更しない姿勢を今まで以上に強める公算が大きいと記した。 原題:If Trump Can Strong-Arm the Fed, U.S. Assets May Not Be So Great(抜粋)
南ア・ランドが下落、トランプ米大統領のツイートで米制裁懸念 Colleen Goko 2018年8月23日 15:37 JST 23日の外国為替市場で、南アフリカ共和国の通貨ランドがドルに対して下落。トランプ米大統領が同国の土地政策についてツイートしたことで、米国による制裁への懸念が浮上した。 ランドは一時1.7%安となった。トランプ大統領は「南アフリカの土地と農地の接収、収用について詳しく調べる」ことポンペオ国務長官に求めた。同大統領がツイッターで明らかにした。南ア政府は「我が国国内の亀裂を深めるだけの偏狭な認識を断固否定する」とツイートで反撃した。 南ア政府は同国駐在の米大使代行を呼んでトランプ氏のコメントについて説明を求めると、事情に詳しい関係者2人が23日述べた。 ヨハネスブルク時間午前8時23分現在、ランドは1.3%安の1ドル=14.3466ランド。 原題:South Africa’s Rand Falls as Trump Tweets About Land Debate (1)(抜粋)
日中欧が“反米”で手を結ぶ日 トルコショックは通常の不況を呼び込むくらい インタビュー
2018年8月23日(木) 森 永輔 トルコ・リラに端を発する新興国通貨の下落に市場の注目が集まっている。経済アナリストの中原圭介氏はこれを、米中貿易戦争の余波とみる。“本丸”が限度を超えれば、米国の同盟国である日欧が、中国と組んで対抗する事態が起きかねない、と指摘する。 (聞き手 森 永輔) トルコ・リラはこのまま持ち直すか(写真:AP/アフロ) 中原さんは、今日の世界の経済状況が「借金バブル」に陥っていると懸念されています。リーマンショックの後、先進国が大規模な金融緩和にかじを切ったのを受けて、米国と中国のいずれもが債務に依存する経済の拡大に走った。新興国も旺盛な設備投資と公共投資に向かったとされています。 トルコのリラ暴落に端を発する今回の新興国の通貨安は、この借金バブル崩壊の引き金を引くことになる可能性があるでしょうか。対外債務比率の大きなアルゼンチンのペソなどが、トルコ・リラを追いかけて安くなっています。 中原 圭介(なかはら・けいすけ) 経営コンサルタント、経済アナリスト 経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析する。近著に『日本の国難』がある。 中原:その可能性は小さいでしょう。私は、借金バブルが崩壊するとすれば、その緒を開くのは中国だと考えています。米国の家計も大きな負債を抱えていますが、その7割を占める住宅ローンは今は健全な状態にあります。住宅に関わるサブプライムローンがリーマンショックの発端となった反省から、米国の住宅ローン審査はかなり厳しくなりました。家計債務の2割を占めるクレジットカードローンや自動車ローンの延滞率が高まる懸念はありますが、せいぜい通常の不況を呼び込むくらいでしょう。
トルコ・リラの暴落が大きな注目を集めるのは、米中貿易戦争が始まったからだと思います。貿易戦争が進行するにつれ、投資家のリスク許容度が低くなっている。仮に、今と同じ通貨安が昨年起こっても、今のような動揺は起こらなかったでしょう。良い材料が出ても、悪い材料が出ても、株価は上がり、為替は安定していました。一方、貿易戦争が始まった後、特に今夏に入ってからは、良い材料が出ても株価が下がるような状態です。投資家はリスクオフ、利食いモードに入りました。 米中貿易戦争の今後の展開をどのように見ていますか。 中原:正直言って、まったく分かりません。ドナルド・トランプ米大統領が進める政策は支離滅裂で合理的に推測することができません。 その典型例は、イランとの核合意を破棄したことです。ハサン・ロウハニ大統領の立場を弱め、革命防衛隊の力を高めるからです。ロウハニ大統領は核合意を推進した穏健派。一方、革命防衛隊は同氏が率いる政権と距離を置く一方、イエメンで活動する武装組織フーシや、レバノンで活動するイスラム教シーア派武装組織ヒズボラを支援しています。米国は自ら、中東情勢を不安定なものにしている。 11月に米国で予定されている中間選挙が終われば、トランプ政権は支持者の意向を気にすることなく合理的な政策を実行するようになるでしょうか。 中原:そういう楽観的な意見もありますね。しかし、「分からない」としか言えないと思います。 中国バブル崩壊の懸念は先送りされただけ 貿易戦争の渦中にある中国経済の行方をどう展望していますか。 中原:中長期で見た場合、債務危機に陥る可能性が若干高まったと思います。 昨年の共産党大会を終えて以降、習近平(シー・ジンピン)政権は債務バブルがはじけることがないよう、金融の引き締め政策を進めてきました。例えば中国人民銀行は昨年12月、短中期の資金を供給する際の金利を0.05%引き上げています。 しかし米中貿易戦争が始まり、大幅な景気減速の懸念が高まったため、金融の引き締めを緩和する方向に動き出し始めました。内需を拡大するため、鉄道建設費を1兆円上積みする方針を先週明らかにしたのも同じ流れの上にあります。債務削減への取り組みを先送りしているのです。 一方の米国経済はどうでしょう。 中原:貿易戦争は米国にも良い影響を及ぼしません。関税を引き上げられた物品の輸入価格が上昇します。ハーレーダビッドソンがすでに、工場を海外移転する意向を明らかにしました。 トランプ大統領も政権スタッフも教養がないのでしょうか、貿易戦争が及ぼす悪影響が現実になるまで理解できないのでしょう。 悪影響が現実になるのはいつごろでしょう。 中原:2000憶ドル相当の中国からの輸入に対する関税が実際に発動されてから1〜2カ月後くらいでしょう。 トランプ大統領を抑えられるスタッフはいないのでしょうか。 中原:ジェームズ・マティス国防長官が重しと言われています。しかし、同氏は最近、トランプ大統領と疎遠になっているという話が耳に入るようになりました。同氏が解任されるようなことがあれば、トランプ政権が崩壊に進む序曲が鳴り始めたと言えるでしょう。 中原さんは、主要通貨に対するドルの下落率が長い目で見て逓減していくとお考えですね。 中原:米国もIT(情報技術)による技術革新やギグ・エコノミー、シェアリング・エコノミーの普及によって物価が上がりにくくなってきています。これからAI(人工知能)とITを組み合わせた技術革新が浸透してくることを考えると、長い目で見てその方向は変わらないと思います。
ただし、目先の話に限れば、米中貿易戦争が沈静化するようなことがあれば、ドル高への揺り戻しがある可能性が高い。ドル高になれば、トランプ大統領がまた口先介入するかもしれません。 日欧ともに中国市場に期待を寄せざるを得ない 中原:トランプ政権は貿易戦争をどこまで続ける気でしょう。このまま何年も続けるようであれば、日欧が中国と貿易で連帯して、米国に圧力をかける事態が起きるかもしれません。欧州各国の国民生活も経済成長の割には疲弊しています。 もし米国が現実に、輸入車に25%の関税をかけることになれば、日本は甚大な影響を受けます。米国市場に次ぐ市場である中国市場に期待せざるを得ません。欧州も同様です。こうした懸念が生じるほど、トランプ政権が進める経済政策は米国の国益を削いでいるのです。 米国の利上げは続く 貿易戦争の悪影響が出始める中で、米連邦準備制度理事会(FRB)は金利を変わらず引き上げ続けるでしょうか。 中原:GDP(国内総生産)と雇用の指標に悪影響が出ない限り、今の方針を変更することはないでしょう。2018年中に2回、2019年に1〜2回。次の景気後退期に十分な利下げができるよう“のりしろ”を作っておきたいでしょうから。 ただし、2019年前半で利上げは打ち止めでしょう。「中長期的に適切な政策金利」は3%に届かないレベルとみています。 最後に、日本経済の展望をお伺いします。 中原:米中貿易戦争によって最も大きな悪影響を受ける可能性があります。経常収支を分析すると、日本経済は米中両国への輸出に大きく依存しています。加えて、米中経済が悪化した場合、直撃を受けるにもかかわらず、金利を下げる余地がありません。政府による財政出動が唯一のテコ入れ策となるわけですが、これは財政赤字をさらに悪化させます。 財政赤字の拡大に備えるためには、サラリーマンの定年を75歳に引き上げることと、年金をはじめとする社会保障費の給付を削減する必要があります。安倍政権はここに至る前に、これらの政策を実行するために道筋を付けておくべきでした。痛みを伴う財政再建は、景気が良い時でなければできないですから。
[スレ主【赤かぶ】による初期非表示理由]:その他(アラシや工作員コメントはスレ主が処理可能)アラシ。場違いコメント多数。
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