http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/844.html
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前向きに読み解く経済の裏側
年金運用が赤字でも公的年金が大丈夫なワケ
2019/02/04
塚崎公義 (久留米大学商学部教授)
今回は、久留米大学教授の塚崎公義が、公的年金の運用等々について考えます。公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、10?12月期の運用実績が14.8兆円の赤字だったと発表しました。なんと、運用利回りがマイナス9%だったとのことですが、私たちの年金は大丈夫なのでしょうか。
(fantom_rd/Gettyimages)
問題の本質を正しく認識しよう
結論を先に言えば、大丈夫です。今回の発表は、3カ月間の運用の成績についてのものです。年金運用は長期間にわたって行われているもので、アベノミクスによる株高等々を反映して、運用開始以降で見れば問題なく利益が出ていますので、一喜一憂せず、安心しましょう。
「本稿は以上です」でも良いのですが、せっかくですから、本件に関連する事柄について、いろいろ考えてみましょう。「そもそも少子高齢化で年金は大丈夫なのか」「公的年金でリスク資産を持って大丈夫なのか」「GPIFが儲かった時も同じように大きく報道すべきではないか」といった所でしょう。
公的年金の基本は賦課方式
日本の公的年金制度の基本は、現役世代が高齢者を支えるというものです。現役世代の払う年金保険料を中心として、毎年の税金も投入して、一部をGPIFの運用資産からも出す、ということですね。GPIFの運用資産は151兆円と巨額ですが、それでも今後何十年間に支払われる年金総額と比較すれば、わずかなものだ、というわけですね。
したがって、年金の将来を考える時に最も重要なのは、GPIFの運用状況ではなく、少子高齢化で現役世代と高齢者の人数比が変化してしまうことです。少数の現役世代が多数の高齢者を支えるのは辛いからです。
これについて筆者は、70歳までを現役とすれば万事解決する、と考えています。皆が70歳まで働いて年金保険料を払い、70歳から年金を受け取るようになれば、年金問題は一気に解決するでしょう。それを「政府による年金制度の改悪だ」と批判することは容易ですが、それは建設的ではありません。
批判している人々を含めて皆が長生きをしてしまうから悪いので、本当に批判されるべきは皆が元気で長生きするような良い薬を開発してしまった医薬業界なのでしょうね。もちろん冗談ですが。
ちなみに、公的年金が破綻しない事については、拙稿『公的年金は破綻しないから、しっかり頼ろう』を御参照いただければ幸いです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/14470
公的年金でリスク資産を持って大丈夫か
「公的年金は国民の重要な資産であるから、安全資産である日本国債で全額運用すべきだ」と考える読者も多いかもしれません。日本人の金融資産の多くが銀行預金等の「安全資産」であることを考えると、「私の金は安全に運用しているのに、政府が我々の年金を危険なものに投資しているのは許せない」と考えている人もいるかもしれませんね。
しかし、銀行預金はインフレが来ると目減りしてしまうので、リスク資産なのです。銀行預金も日本国債も国内株も外貨も外国株もリスク資産なのですから、様々なリスク資産をバランスよく保有する「分散投資」が資産全体としてのリスクを減らすために有効なのです。
世界経済は、長い目で見れば今後も成長を続けるでしょうから、世界中の株に投資しておけば、資産が増えていく可能性が高そうだ、ということも、分散投資を正当化するかもしれません。
日本の場合、遠い将来はドル高になる可能性が高そうだ、ということも外貨の保有を正当化するかもしれません。少子高齢化が進むと、「現役世代は全員が高齢者の介護をしていて製造業で働く若者が確保できない。仕方ないから製品類はすべて輸入する。そのための外貨を大量に購入する必要があるからドル高円安になる」といった可能性があるからです。
ちなみに、銀行預金がリスク資産であるということについては、拙稿『銀行預金はリスク資産だと認識せよ』を御参照いただければ幸いです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/13008
世の中は悲観的な情報が溢れているから要注意
GPIFが運用で損をすると、大きく報道されますが、運用で儲かった時は小さく報道されるので、読者の中には「GPIFは運用開始以来のトータルで見れば儲かっている」ということを知らない人も多かったと思います。
そういう人は、「一事が万事」かも知れない、と考えてみて下さい。世の中には、悲観的な情報が溢れています。私たちの得ている情報は、現実そのものではなく、悲観バイアスがかかったものなのです。私たちは、サングラスをかけて世の中を見渡しながら、「日本経済は暗い」と考えているようなものなのです。
まず、情報の発信者が情報を歪めます。たとえば儲かっている会社は労組の賃上げ要求などを恐れて黙っていますが、儲かっていない会社は「当社は苦しいからボーナスなし」などと大きな声を出すわけです。
評論家も、「多数の問題点やリスクがある」という悲観論を好みます。悲観論を述べた方が賢そうに見えますし、話が多方面に展開できるので聞き手を飽きさせないからです。
マスコミも、悲観的な話が大好きです。「悲観的な話をする方が多くの人々に見てもらえる」ということもありますし、政府を批判することがマスコミの使命だと考えている所もあるようですから。本当は、政府を監視することがマスコミの使命のはずなのですが……。
ちなみに、世の中で流れている情報には悲観的なものが多いので注意が必要である、という点については、拙稿『マスコミの“悲観的”な情報が信用できないワケ』を御参照いただければ幸いです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/7009
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15259
米景気や米株価の堅調が続くことでドルは再評価されやすい
田嶋智太郎の外国為替攻略法
田嶋 智太郎 田嶋 智太郎 2019/02/04
足元の米株価もすこぶる順調に戻り歩調へ
「古今東西、不況から脱して景気が拡大し始めた当初というのは往々にして中銀の政策が景気の『先回り』になる傾向が強まりやすく、結果、一旦は景気の先行きが怪しくなるというケースは過去に幾度も見られています。
そこで、やむなく中銀が当面の政策方針をハト派寄りに戻すそうとすると、そこから再び景気が走り始め、その後はしばらく中銀の政策が景気の『後追い』を続けることとなる」
前回(1月21日)更新のコラム「米・日株価の戻り鮮明で基本ドル高基調が続く」で筆者はこのように述べました。
先週行われた米連邦公開市場委員会(FOMC)のトーンがかなりハト派に傾いていたことや、その後に発表された1月の米雇用統計が極めて強い内容であったことなどを見ると、やはり今回も「しばらくは景気が走りそう」であると個人的には考えます。
実際に、足下では米株価もすこぶる順調に戻り歩調を辿っています。これまでに発表された米主要企業の2018年10〜12月期決算の結果を全体に眺めてみても、一部で事前に警戒されていたほど厳しい内容ではなく、市場には徐々に安心感が拡がりつつあります。
むしろ、アップルやフェイスブックなどの決算内容については市場で大いに評価される状況となっており、市場の感応度が高いフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)もしっかりと戻りを試す動きになっています。
言うまでもなく、米国では国内総生産(GDP)の約7割を個人消費が占めているわけですから、やはり米株価が堅調に推移していることは極めて重要。その意味で、足下のNYダウ平均が75日移動平均線をクリアに上抜けてきていることや、上向きに転じた25日移動平均線が下方から勢いよく水準を切り上げてきていることなどは、米景気全体にとっても非常にポジティブなことです。
加えて、2月中にも米中貿易協議が一定の落としどころを見い出すような格好となれば、さらに一段と米株価の上値余地も拡がることでしょう。
そんな米株価の堅調な推移を支えているのは、ひとつに「米金融政策の方向性がこれまでよりもハト派に傾いてきていること」であり、それは市場においてドル安材料視されやすい要素であるとも言えます。ただ、目下は米株価の値動きに連れて日本株も徐々に値を戻そうとしている局面にあり、総じてリスクオンのムードが色濃い中にあって過度な円買いに走る動きというのも見られてはいません。
ユーロ/米ドルは1.1500ドル処に分厚い上値の壁
一方、ここに来てポンドやユーロが対ドルで戻りを試そうとする動きが一服してきていることも見逃がせません。
英国の欧州連合(EU)離脱を巡るEUとの協議は、ひと頃「期限延長や2度目の国民投票実施もあり得る」などとされ、それを織り込む格好でポンドの買い戻しが進む場面もありましたが、ここにきてそうした動きも一巡。あらためて英国とEUの接点を見出すことが難しい展開となってきており、さすがにポンドをもう一段買い上がることは難しい状況になっています。
また、ユーロ圏では中心的な存在であるドイツを中心に、経済成長の鈍化傾向が鮮明となってきており、ここからユーロをもう一段買い上がることもためらわれるところとなっています。
ユーロ/米ドル(週足)
出所:マネックス証券作成
ユーロ/米ドルで言えば、やはり1.1500ドル処に分厚い上値の壁が感じられるうえ、31週移動平均線や31ヶ月移動平均線の抵抗というのもそれぞれあって、結局は1.1400ドルを中心としたもみ合いが長く続く状況となっています。つまり、目下はポンドやユーロに対するドルの価値が再評価されやすい状況になってきており、結果として米ドル/円の下値も支えられやすい状況にあるということはしっかり心得ておきたいところです。
https://media.monex.co.jp/articles/-/10927
メイドインニッポン漫遊録 「ひととき」より
このジャパンダウンの品質がメチャすごいのはなぜだ!?
ナンガのダウンジャケット
2019/02/04
いであつし (コラムニスト)
寝袋品質で世界と勝負する滋賀ダウン
筆者が初めてダウンジャケットを知ったのは、中学生の頃に夢中で読んだ「メイドインUSAカタログ」だ。
70年代後半に発売された当時のアメリカの若者に流行っていたライフスタイルを紹介したカタログ雑誌で、アメリカでいまブームのアウトドアウェアとして紹介されていた。「こんな寝袋みたいな服がカッコイイの?」と思ったのを憶えている。
あれから40余年。いまではすっかりダウンジャケットは市民権を得て、ユニクロなどの安価なものから何十万円もする高価な欧米のアウトドアブランドのものまで、軽くて暖かな冬のお洒落着として定着している。
最近、お洒落な人たちから注目されているのがジャパンダウンだ。なかでも人気が高いのが、「ナンガ」というブランドのダウンジャケットである。元々は滋賀県でシュラフ(寝袋)を作るアウトドアメーカー。寝袋の製造で培った高い技術と品質の良さで、有名セレクトショップの別注も数多く手掛け、東京の目黒と吉祥寺に自社ブランドを揃えた直営ショップもある。
山から街まで、ハイスペックとファッション性を兼ね備えたナンガのダウンジャケット。防水透湿素材使用の「オーロラダウンジャケット」や難燃素材使用の「タキビダウンジャケット」もある
メイドインUSAカタログで初めて知ったダウンジャケットも、いまやメイドイン滋賀の時代なんですね。そこで今回はナンガを訪ねて、滋賀県の米原市を旅して参りました。
父から子へ、伊吹山の麓で作る高品質
伊吹山
ナンガの本社は、日本百名山の一つに数えられる伊吹山の麓にある。社屋の周辺は見渡すかぎりの田園風景。目の前には紅葉が間近の伊吹山がどぉんとそびえている。
創業は昭和16年(1941)。前身は先々代が設立した「横田縫製」という縫製会社。近江真綿の産地が近かったことから布団メーカーの縫製加工の下請けをしてきた。しかし加工を安価な海外の工場に移行する企業が増えてきて、2代目の横田晃さんは社員の雇用を守ろうと、布団の縫製加工の技術を活かしたアウトドアの寝袋メーカーに転身する。
平成7年(1995)、社名とブランド名を「ナンガ」に変更。「攻略が難しい山だが一歩一歩頂(いただき)を目指して登ろう」という思いで、登頂困難なヒマラヤ山脈の標高8125メートルのナンガ・パルバットから名付けた。
(写真左)1階のショールーム
(写真右)ショールームに飾られたダック人形
「親父の決心が社名に表れていますよね。モノづくりのこだわりが人一倍強くて厳しい人ですから寝袋の品質はどこにも負けません。ただ、ええもんはええんや。使ったらわかるからとりあえず買ってくれという職人気質だったので、私が子供の頃は、社員の雇用を守るために家も会社もとにかく大変でした」
3代目社長の横田智之さんはそう語る。ナンガの名前を、ジャパンダウンジャケットのブランドとして一躍有名にしたのが彼だ。
3代目社長の横田智之さん。自称インドア派だがチャレンジ精神旺盛で今では登山もキャンプもプロ級の腕前
「寝袋で寝たこともなかったし、本当は山でキャンプよりリビングでテレビを観ながらごろごろしてたいインドア派です(苦笑)」
ありゃりゃ、ナンガの社長らしからぬ発言であります。それもそのはずで、20代前半まではブライダルの貸衣装会社でトップ営業マンだった。平成11年、長男の智之さんは父親に呼び戻されてナンガに入社。入社早々、長野の専門スクールに入らされて2カ月間みっちりと登山を学んだ。その後、職人気質で営業力のまったくない父親に代わって、取り引き先を営業で何軒もまわらされた。
平成21年、32歳で3代目社長に就任する。社員と会社の将来を考えると既存の寝袋メーカーのままでなく、何か新しい事業を始めることが不可欠だった。父親と同じことをしたくないという反骨精神もあった。
海外で人気の高い「マウンテンビレーコート」のUSモデル、76,000円(税別) ※写真はサンプルのため本製品とはデザインに若干の相違があります
そこで智之さんが活路を見出したのが、羽毛の取り扱いに長けた寝袋メーカーならではの縫製技術を活かしたダウンジャケットだ。
「社員時代に某アパレルメーカーからOEM※の依頼があってダウンジャケットを作ったことがあるんです。でも何のノウハウもなくて出来も悪くて、納期も遅れて大赤字で、翌年には依頼が来ませんでした。親父からも怒られて散々でした。その苦い経験があったおかげで、なにくそと徹底的に勉強し、だんだんとまたOEMの依頼が増えてきて、ついには売り上げが寝袋を抜くまでになりました。ここ3年ぐらいで、ようやくダウンジャケットのナンガという自社のブランド力で勝負できるようになってきたと思っています」
※Original Equipment Manufacturerの略語で、製造メーカーが取引先のブランドの製品を受注・製造すること
夢は琵琶湖で育てたグースのダウン
さっそく2階の工場を見学させてもらう。モンゴルやベトナムからの実習生も働く縫製場では、寝袋で使う防水性と透湿性に優れた特殊な生地をミシンでカタカタと丁寧に一枚一枚、ダウンウェアにと縫い上げている。
(写真左)羽毛価格の高騰、海外からの実習生の育成、生産体制の強化など課題は多いながらも、メイドイン滋賀ダウンブランドとして知名度も高まり、今シーズンは工場も社員もフル稼働
(写真右)ダウンの品質見本。ダウンとはグース(鵞鳥)とダック(家鴨)の羽毛で、柔らかなグースの比率が多いと保温性に優れ、硬いダックの比率が多いと弾力性があり回復力も高い
ホースで吸い上げられた羽毛の量を丁寧に測りながら手で詰めるパッキング作業
ナンガの強みは何といっても国内生産だ。使用するダウンも、ポーランドやハンガリー産の最高品質を扱う三重県の羽毛素材メーカーから直接仕入れる。高度な洗浄技術で埃や汚れを落とした羽毛を、工場で職人が手で触って品質を確認しながら詰める。手で触って品質の良しあしがわかるのは、長年の羽毛の取り扱いに長けた寝袋メーカーならでは。
「まさに下町ロケットのロケット品質ならぬ、これぞナンガの寝袋品質ですよね」と言うと、「そうですね」と照れ笑いする智之さん。
智之社長の壮大なる夢は、いつか琵琶湖の畔(ほとり)で育てたグース(鵞鳥)の羽毛で正真正銘の滋賀ダウンをつくること。ナンガの頂はまだまだ高くて険しいのだ。でもとってもあったかいんだから。
ナンガ周辺散策
(写真上左)ウィリアム・メレル・ヴォーリズが設計に携わった醒井宿資料館(旧醒井郵便局局舎)。大正4年(1915)の建築 ☎0749-54-2163
(写真上中央)伊吹山文化資料館に展示されていた薬草とともに入る蒸し風呂。山麓の宿で使われていた ☎0749-58-0252
(写真上右)いぶき薬草湯(伊吹薬草の里文化センター内)にて。11月〜3月は土・日曜とそれに連続する祝日のみの営業でこの日はお休み、残念 ☎0749-58-0105
(写真下左、中央)うまい! 伊吹ハム。筆者がかぶりつこうとしているフランクフルトは230円、山椒ソーセージは880円 ☎0749-58-1120
(写真下右)琵琶湖に落ちる夕日。豊〈ほう〉公園の近くから
(写真・阿部吉泰)
●株式会社ナンガ
<所在地>滋賀県米原市本市場182-1
☎0749-55-1016
<URL>https://nanga.jp/
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14882
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