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「東京一極集中」のまやかし…外国人の増加が際立つ5区
https://biz-journal.jp/2019/02/post_26533.html
2019.02.04 文=池田利道/東京23区研究所所長 Business Journal
豊島区・池袋の超高層ビル群(「Wikipedia」より/Komont)
本連載前回記事でも指摘したように、東京23区の人口は現在も都の予測を上回る勢いで増え続けている。23区全体で見れば、一極集中はまだしばらく続くと考えてほぼ間違いない。
なぜ人々は東京に集まるのか。東京に行けば仕事がある。高い給与を手にすることができる。多くの人たちとの出会いの場がある。最新の情報をいち早く得ることができる。ファッションをはじめ、時代のトレンドの先端に身を置くことができる。
東京の魅力を挙げていけばきりがない。だが、どれもこれも抽象的なものばかりだ。その一方で、私たちのごくありふれた生活を見わたしてみると、もっと具体的な東京ならではのパワーが顔をのぞかせてくる。
ポスト五輪の東京を考える第2フェイズは、一極集中を裏で支える、そんな東京の本当の実力に焦点を当てていくことにしよう。
その前に「東京一極集中」とはなんなのかを、あらためておさらいしておきたい。「何を今さら」と思われる読者も少なくないだろうが、あなたが思い込んでいる「常識」は、実はとんでもない誤解かもしれないのだ。
■「東京一極集中」のまやかし
最初の問題提起は、「東京一極集中」の「東京」とはどこを指しているかということ。多くの人は、東京都と、東京に通勤・通学する人が多く住む埼玉県、千葉県、神奈川県を加えた1都3県(本稿では、以下「首都圏」と呼ぶ)を想定されることだろう。メディアや識者の論調も、この立場に立っている。
2015年の「国勢調査」によれば、5年前と比べ人口が増えた都県が8つあった。図表1では、この8都県に加え、東京を23区と多摩市部(多摩地域には町村もあるが、人口数を考慮して、以下「多摩市部」の数値を「多摩地域」と見なすことにする)に分けて示している。さらに、日本人に限った過去5年間の増加率も示しておいたので、あわせてご覧いただきたい。
総人口増加率トップの沖縄県はさておくとして、2位の東京以下、首都圏の各県はいずれも人口が増えている。しかし、その実数は、同じ人口増加県である愛知県や滋賀県などと比べて、特に高いとはいえない。多摩地域に限れば、総人口は増えているものの、日本人の人口は減っている。このデータを見ると、多摩地域はもとより、埼玉、千葉、神奈川の各県もひっくるめて「一極集中」と呼ぶのにはかなりの違和感を覚える。
「東京一極集中」とは、実は「23区一極集中」なのだ。にもかかわらず、これを「首都圏一極集中」と捉える背景には、「東京vs.地方」という図式を考えたとき、東京と事実上一体化している多摩地域や周辺の3県を合わせたほうが整理しやすいという、一種のまやかしがある。
あるいは、戦後の高度経済成長期からバブルの時代に至るまで、20世紀後半は1都3県の人口が急増した時代だったため、「東京集中=首都圏集中」という「常識」が頭の中にこびりついているという側面も否定できない。
東京一極集中なのだから、東京の多摩地域で人口が減っているわけがない。多くの人はそう思い込む。これに対して、天の邪鬼の筆者は「本当にそうか」と疑ってかかる。その結果、多摩地域では日本人の人口が減っているという事実を初めて「発見」することができる。
■「国勢調査」万能の時代は終わり
図表1によると、多摩地域の日本人人口は過去5年間で0.2%減っている。ところが、このデータが正確に実態を表しているかとなると疑問符がつく。15年の「国勢調査」による東京都の人口は1352万人。うち日本人が1295万人。両者の差の57万人が外国人かというとそうではなく、外国人は38万人で、残る19万人は日本人だか外国人だかわからないという。住民基本台帳による同じ時点での東京都に住む外国人の数は44万人なので、国籍不明の19万人の大半は日本人だとも考えられる。
多摩地域はこの傾向がもっと強い。「国勢調査」による日本人以外の人12.9万人のうち、外国人は5.9万人、国籍不明7.0万人。一方、住民基本台帳による外国人数は6.8万人。国籍不明の大部分が日本人ではないかと疑われる。
筆者が学生だった頃、「正確なセンサス(統計データ)を有しているのが先進国の証拠であり、『国勢調査』というデータを持つ我が国こそ、先進国の雄たる資格がある」と教わった。しかし、時代が進むにつれ、プライバシーという視点からセンサスに意識的に答えない人が増えてきた。
たとえば、15年の「国勢調査」で年齢を答えなかった人は23区全体で2.0%、世田谷区では5.4%。さらに、10年の「国勢調査」では、杉並区のおよそ7人に1人(13.8%)が年齢を答えなかった。「国勢調査」万能の時代は、もはや過去のものと化している。
先日、最高裁判所は17年の衆議院議員選挙における「一票の格差」訴訟に対し、「2020年の『国勢調査大調査』の結果に基づきアダムズ方式による抜本的な見直しを図る」という政権与党の姿勢を評価して「合憲」の判断を下した。しかし、「国勢調査」には前述したように少なからぬ誤差がついて回る。日本人だか外国人だかわからない人や、選挙権があるのかないのかわからない人の存在を、どう捉えればいいのだろうか。
さらにいえば、「2020年の大調査」という点にも問題がある。「国勢調査」は西暦末尾「0年」と「5年」の年に行われ、「0年」に実施する調査を「大調査」と呼ぶが、両者の違いは学歴など調査項目が少し多くなるだけ。衆議院議員の定数是正とはまったく関係がない。
なるほど住民基本台帳には、転居しても住民票を移していない人がいるという誤差がある。しかし、誤差は「国勢調査」にも存在する。にもかかわらず、すぐに実態が把握できる住民基本台帳ではなく、「国勢調査」のしかも「2020年の大調査」の結果を待たねばならないという説は、筆者には夏休みの宿題をさぼった言い訳に等しい理屈に聞こえてしまう。
■外国人は「首都圏一極集中」状態
東京一極集中に話を戻そう。前述したように「国勢調査」の外国人データはあまり当てにならないので、住民基本台帳のデータを見ることにする。
図表2に示した通り、18年1月1日時点で日本人の首都圏への集中率は28.3%。東京23区への集中率は7.2%。これに対して、外国人の集中率はそれぞれ41.1%、17.6%。外国人に限っていえば、間違いなく首都圏一極集中の状態にある。
外国の人が我が国で暮らしていくためには、住む場所の確保や自治体の受け入れ態勢が大きな壁となる。それは首都圏でも変わりないのかもしれないが、地方と比べれば、環境整備がずっと進んでいる。それ以上に、外国人が祖国を離れて日本で暮らしていくとき、一番頼りになるのは同胞の存在だ。そのため、同胞が多く住む首都圏に外国人が集まってくるのは、ごく自然な結果にほかならない。
出入国管理法が改正され、19年度から外国人労働者の受け入れ枠が拡大されることになった。その是非をここで問うつもりはない。しかし、現状において外国人労働者が増えれば、その当然の帰結として首都圏への一極集中は進む。右手で首都圏一極集中の是正を唱え、左手で現状のままでの入管法改正を進めようとするのは、どう考えても理にかなわない。
外国人はレアケースと考えるのは決定的に間違っている。15年10月〜18年10月の3年間の23区の人口(住民基本台帳ベース)は各区とも増加しているが、外国人の増加数が日本人の増加数を上回っている区が、豊島を筆頭に江戸川、足立、中野、葛飾の5区に及ぶ。23区の平均で見ても、人口増加数の3割以上(31.2%)を外国人が占めている。
外国人の集中は、東京一極集中を語る上でもはや無視できない存在となった。この現実を見ないことにして東京一極集中を語ることは、無責任のそしりを免れることができない。
少なくとも、多くの人たちが疑いもしない東京の「常識」がデータに照らせば「非常識」だったという実態は、あらためて問い直してみる必要がありそうだ。
(文=池田利道/東京23区研究所所長)
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