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(回答先: 「ドル禍災」が米企業業績に寒風、春に悪化も−雪解けの保証なし ソニー株が3年超ぶり下落率、画像センサー減速で下方修正 投稿者 うまき 日時 2019 年 2 月 04 日 19:19:47)
2019年2月4日 The Wall Street Journal
中国経済の急減速、反動で世界に衝撃波
中国での需要低迷にアジア、欧米諸国は対応に苦慮
中国山東省・青島の港
中国経済の減速は、世界中の貿易相手国に衝撃を与えている。
中国政府を悩ませている巨額債務の蓄積、過剰投資、民間企業に対する制約など、国内経済の弱点は、貿易摩擦と相まって、世界第2位の経済規模を誇る同国の成長率を30年ぶりの低水準に落ち込ませた。工場生産と消費の減退は、他のアジア諸国、米国、欧州諸国からの中国の輸入に打撃を与えている。こうした経済の減速の余波は、各種の株価指数をはるかに超える範囲に及び、中国から遠く離れた地域の経済成長をも阻害している。
中国は、長年の急速な経済成長を背景に、世界中の国々の主要な貿易相手国となった。過去10年間、中国が世界の輸出入の伸びの5分の1をもたらした。中国はまた、ユーロ圏の金融危機など経済が軟弱な時期に、需要を支える重要な役割を果たした。
中国経済の弱さは、あらゆる分野に影響を及ぼしている。中国での半導体製造装置やスマートフォン部品の需要減退は、世界第3位の規模を誇る日本の昨年12月の輸出を、前年同月比で3.8%減少させた。この減少幅は、過去2年強の期間で最大だった。ドイツは対中輸出拡大に力を入れてきたが、欧州最大の同国経済の昨年の成長率は、その対中依存の大きさが主因となって、わずか1.5%に減速した。これは過去5年間で最も低い伸びだ。オックスフォード・エコノミクスの調査によれば、米国を含む経済規模の大きい先進諸国や、アジア諸国の昨年の対中輸出は、前年比10%近く落ち込んだ。
資産運用会社AMPキャピタルの主任エコノミスト、シェーン・オリバー氏は「中国の世界経済への影響度は、同国経済が減速すれば世界中に影響が及ぶほどになっている」と語る。
その力学は、国内販売が不振の中国の産業界が、苦境打開のため輸出に力を入れる中で、アジア全域での競争圧力を高めている。欧州では、域内経済が政治的不透明感と貿易紛争で低迷する状況下で、中国の動向が新たな強い逆風になろうとしている。米国では、対中輸出の減退が、一部の製造業企業の3年間に及んだ活況に終止符を打とうとしている。
中国は多くの米製造業企業にとって主要な市場であり、中国経済の減速はキャタピラー、3Mなど業界の代表的な企業から、皮革加工業者、部品メーカーといったより小規模な企業に至るまで、多くの企業を苦しめている。キャタピラーは1月28日、中国での販売減速を受け、今年の利益の伸び率が縮小するとの見通しを示した。
ドイツの大手自動車部品メーカー、コンチネンタルは、中国の1月の自動車生産が前年比で2桁の減少を記録するとの見通しを示した。同社のウォルフガング・シェーファー最高財務責任者(CFO)は、これが「われわれの受注に直接的影響」を及ぼすと語った。
中国経済の減速はアジアに特に大きな打撃を与えている。
アジア諸国の対中輸出は、衣料品、自動車から中国の巨大製造業企業を支える技術に至るまで多岐にわたる。昨年末にかけての中国の需要の落ち込みは、著しいものだった。その落ち込みは、より好調だった時期を含む昨年1年間のデータでは、覆い隠されている。こうした状況は、中国の輸入の15%を占め、同国の成長に欠かせない半導体の分野で特に明確になっている。
韓国の半導体メーカー、SKハイニックスは先週、2018年第4四半期の利益が、第3四半期と比べ28%減少したと発表。その要因として、中国の高級スマートフォンの需要減と米中貿易紛争を挙げた。アップルに部品を供給する日本電産も今月、同様の要因から、収益見通しを下方修正した。
対中輸出が輸出全体の4分の1を占める韓国では、12月の輸出額が前年同月比で14%減少した。
米カリフォルニア州に本拠を置き、画像処理用チップを中国に輸出している半導体大手のエヌビディアは31日、中国の需要低迷を理由に、2019年度第4四半期(11〜1月)の売上高見通しをこれまでから5億ドル引き下げ、22億ドル(約2400億円)にすると発表した。
欧州は、差し迫る英国の欧州連合(EU)離脱や、フランスで経済的な不満を理由とした抗議行動が起きるといった政治的トラブルのなかで、中国経済減速の打撃を受けている。欧州はまた、米国と欧州最大の経済国であるドイツとの間で起きている貿易面での紛争にも苦しんでいる。ドイツは昨年、辛うじて厳密な意味でのリセッションを回避した。
中国は近年、欧州の製造業者にとって、ますます重要な顧客になっている。中国は2017年までに欧州にとって米国に次ぐ第2の輸出市場となった。2017年のEU輸出のうち中国が占めた比率は10.5%と、2007年の5.8%から上がっている。
ナイキに次ぐ世界第2のスポーツウエアメーカー独アディダスは昨年11月、同年第4四半期に中国事業が減速するだろうと注意喚起していた。
中国の小売売上高の伸びは昨年末ごろ、過去最低に近い水準にまで落ち込んだ。個人消費減速の兆候も、あらゆるところに表れている。
北京にある異文化交流関連の国営企業に務めるワン・ユーさん(36)は、経済が減速しているため、今年の春節(旧正月)はどこにも行かない予定だと話している。去年はタイとネパールで休暇を過ごした。
ミルクティーの店の前で並んでいたワンさんは、自分が勤める企業について、「プロジェクトも、ビジネスも、収入も減っている」と述べ、「上司はまだレイオフを発表していないが、検討はしているとはずだ」と話した。
香港に本拠を置く宝飾品および時計メーカーは2018年末ごろに急激な減速を記録した。中国人客からの需要減退が主因だった。
宝飾品販売の六福集団は今月、2018年10〜12月の既存店売上高が前年同期比10%減少し、中国本土で14%減少したと発表した。周大福ジュエリー・グループの中国本土の既存店売上高は、同時期に7%減少した。
中国経済の減速は、中国と競合するアジア製造拠点で一部の業績を後押ししている。これらの国は近年、一部の市場に対してより安価で輸出することで、中国に取って代わる存在となっている。
インド南部チェンナイの履物輸出業者、ラフェーク・アハメドさんは自社の製品が、関税負担に直面する中国の競争企業に比べ、米国の顧客を引きつけていると語った。今年の売上高は前年比で25%増の2億ドルに達する見込みという。アハメドさんによれば、インドのこうした明るい見通しにより台湾の投資家らは生産設備を中国から移転する決定を下すかどうか検討しているという。
アハメドさんは「われわれにとって好影響をもたらしている」とし、「われわれはより多くのビジネスを獲得しつつあり、うれしい。(貿易紛争が)より厳しくなることを祈るばかりだ」と述べた。
彼の興奮は時期尚早かもしれない。インド西部ムンバイに拠点を置くケア・レーティングスのチーフ・エコノミスト、マダン・サブナビス氏は、「中国はすべての諸国へ輸出品を押し込もうとするだろう。地理的に近いアジア諸国についてはより多くなるだろう」と指摘した。
幾つかのケースでは、中国企業は国内での落ち込みを埋め合わせるため、既に海外向け供給を拡大している。2018年の中国鉄鋼品の純輸出は年間でみると前年比で減少したものの、第4四半期だけでみると前年同期比で3.5%の増加を示している。こうした状況に対応するため、ベトナムの鉄鋼大手ホアセン・グループなどアジア地域の生産業者は投資計画を見合わせ、在庫の削減に努めている。
中国の石油精製業者も輸出を拡大しつつある。昨年の同国石油精製品輸出は前年比12.4%増加し、過去5年間で2番目の伸び率となった。
フィッチ・ソリューションズのクレジットアナリストは「中国からのガソリン輸出増加見通しに伴い、(アジア)地域のガソリン精製マージンは下落リスクがある」と指摘。「最も影響を受けそうなのがとりわけシンガポールや韓国などのガソリン精製大手だ。これら企業のガソリン主要輸出先は中国の精製業者が狙っている地域と重複している」と述べた。
海外の一部産業分野では中国からの需要が高まっているケースもある。中国によるオーストラリア産石炭の輸入は昨年、4%増加した。同国産鉄鉱石の輸入は年間全体では1%減少したが、第4四半期でみると1.2%の増加を示している。
それでもやはり中国の景気減速はオーストラリアのサービス分野に重くのしかかりつつある。観光産業と教育分野はオーストラリアにとって主要な外貨獲得源に含まれているが、これら分野の成長は中国によって加速したものだった。語学学校を運営する教育サービス会社、ナビタスによれば、今年は昨年のようなペースで中国人学生を集めることができずにいる。シドニー空港を利用した中国人は2017年には17%の増加だったが、昨年はわずか4.5%にとどまった。
(The Wall Street Journal/Chuin-Wei Yap in Hong Kong and William Boston in Berlin)
https://diamond.jp/articles/-/192846
#中国の将来も・・
2019年2月4日 flier
社会の害悪「劣化したオッサン」が量産される理由
『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか』
オッサンはなぜ劣化して社会問題になっているのか?
写真はイメージです Photo:PIXTA
レビュー
『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか』書影
『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか』 山口周著 光文社刊 760円+税
ここ最近の不祥事のほとんどは、いわゆる「いい年をしたオッサン」が引き起こしたものだ。電車や病院などの公共の場で暴れたり騒いだりするオッサンも、残念ながら増えている。本来は成熟した大人であるはずのオッサンが、なぜ劣化して社会問題になっているのか?――本書『劣化するオッサン社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか』はこうした問題提起から始まる。
劣化して社会の害悪となってしまった「オッサン」が量産される構造的な問題について、数々のベストセラーを生み出してきた山口周氏は、人文科学的な知見をもとにその原因を分析し、解決策としての処方箋を提示する。なおここでいう「オッサン」とは、いわゆる「オジサン」と呼ばれる世代の人たち全員を指しているわけではない。古い価値観に凝り固まって、過去の成功体験に拘泥し、謙虚さや学ぶ姿勢を失ってしまった人たちこそが「オッサン」なのだという。
本書では「劣化したオッサン」に対して辛辣な言葉が述べ立てられているが、いつまでも古びない知恵、すなわち「教養」を身につけることで、どんな世代の人でもオッサン化は回避できるという著者の結論には希望がもてる。あなたが50代以上であれば「自分がオッサン化していないか?」を、50代未満であれば「オッサンのような思考回路に陥っていないか?」を確認するための“リトマス試験紙”として、本書を活用してはいかがだろうか。(藤本江里子)
本書の要点
(1)バブル崩壊の影響を受け、オッサンたちは社会や会社に対して恨みを抱えている。
(2)組織は大きく古くなればなるほど、三流の人材が増えて劣化していくという宿命を負っている。
(3)「劣化したオッサン」に立ち向かうには、「オピニオン」と「エグジット」を行使しなければならない。そのためには汎用性のある知識を身につけて、「モビリティ」を高めることが必要である。
(4)これからの年長者が社会貢献するためには、「教養」を身につけた支援型リーダーシップの発揮が必須だ。
(5)オッサン化を防ぐもっともシンプルな処方箋は、謙虚に新しいものを学び続けることである。
要約本文
◆組織が劣化する理由
◇オッサンの定義
本書における「オッサン」とは、年代や性別にかかわらず、次のような行動様式・思考様式をもった「特定の人物像」を指す。
(1)古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する
(2)過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない
(3)階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る
(4)よそ者や異質なものに不寛容で、排他的
したがって中高年の男性でもオッサンに該当しない人がいる一方で、傍若無人な振る舞いで自らを省みることのない人はオッサン化しているといえる。
◇「知的真空の時代」を生きたオッサンたち
20代の頃どんな時代を過ごしたかによって、その後の人格形成は大きく変わるものだ。2018年時点で50代・60代のオッサンたちは、「大きなモノガタリ」のなかで20代を過ごした最後の世代である。「大きなモノガタリ」とは、「いい学校を卒業して大企業に就職すれば一生豊かで幸福に暮らせる」という、バブル崩壊前に蔓延していた幻想のことだ。オッサンたちはこの「知的真空の時代」に若手時代を過ごしており、「大きなモノガタリ」に順応することが、自己の便益を最大化するもっとも合理的な手段だと考えていた。
だがその後、「大きなモノガタリ」は喪失。代わりに「新しいモノガタリ」として、「グローバル資本主義下における弱肉強食の世界」が支配的になった。ゆえにオッサンたちが「大きなモノガタリ」の喪失後、社会や会社に対して「裏切られた」と恨みを抱えることになったのも、頷けるところではある。
◇組織は劣化する宿命である
人材に一流、二流、三流があるとするならば、もっとも出現率が高いのは三流だ。組織を起業して発展させることは、一流の人材にしかできない。しかし組織が成長していくと、人材が増えていくと同時に、三流の人材が幅を利かせるようになる。なぜなら三流は一流が見抜けないので二流におもねり、二流は一流を見抜けるものの疎んじるためだ。
だから一度でも二流がトップに立つと、それ以降はよほどのことがない限り、その組織に一流の人材が入ってくることはない。そして人材のクオリティは世代交代するにつれて、三流に収斂していくことになる。組織が大きく古くなればなるほど、この劣化はより顕著にあらわれる。
先の世代論・年代論で挙げた構造的問題に加えて、このようなリーダーのクオリティの経時劣化が重なり、日本の多くの組織で問題が起きているのだ。
◆モビリティを高めよ!
◇武器は「オピニオン」と「エグジット」
「劣化したオッサン」に立ち向かうには、「オピニオン」と「エグジット」を武器として使いながら、社会で権力を握るオッサンに圧力をかけていかなければならない。「オピニオン」とは、おかしいと思うことにおかしいと意見することであり、「エグジット」とは、権力者の影響下から離脱することである。オピニオンもエグジットもしないということは、オッサンが自分の人格や人望を勘違いする土壌を育んでいるという意味で、不祥事に加担しているのと同じである。
とはいえオピニオンやエグジットの行使は、ややもすると自分のキャリアを危険にさらすことにもなりかねない。ゆえに汎用性の高いスキルや知識などの「人的資本」と、信用や評判などの「社会資本」を厚くして、「モビリティ」を高めていくことが、リスク管理上は不可欠になる。
「モビリティ」はこれから先のキャリア形成における最重要キーワードだ。これまでスキルや知識の獲得は、会社という枠組みのなかでおこなわれるケースがほとんどだった。だが今後は、どんな場所でも生きていけるように学び続ける意識が欠かせなくなってくる。
◇オピニオンやエグジットを行使できない理由
日本ではこれまでオピニオンやエグジットが積極的にされてこなかった。理由としては次の2つが考えられる。
(1)美意識の欠如:自分なりの美意識(審美眼、道徳観、世界観、歴史観)がある人は、許容できることとできないことの線引きがはっきりしている。逆にこれが欠如していると、仮に上司が一線を越える振る舞いをしても、声をあげて指摘することができない。
(2)モビリティの低さ:ここでいうモビリティとは、エグジットを行使して組織を出たとしても、いまの生活水準を維持できるだけの能力のことである。モビリティが低いということは、スキルや知識がいまの組織においてのみ有効なもので、汎用性がないということだ。副業を好ましく思わないような典型的な日本企業に長いあいだ勤めていると、モビリティはいっこうに高まらない。だから彼らはオピニオンやエグジットを行使できないのである。
【必読ポイント!】
◆年長者は敬うべきか
◇年長者とイノベーション
日本には「年長者は尊敬すべきである」という暗黙のルールがある。しかし年長者ほどスキルや判断能力が高いというデータはじつのところ存在しない。したがって「年長者は尊敬すべきである」というのは、わたしたちの儒教文化に根差した「信仰」だといえる。
オランダの心理学者ヘールト・ホフステードがおこなった調査結果によると、日本は「年長者に対して反論するときに感じる心理的な抵抗の度合い」が相対的に高い国として分類されている。一方でイノベーションランキングの上位にくるのは、年長者に対して反論しやすい国ばかりだ。
画期的なアイデアを生み出すのは、「若い人」や「新参者」であることが多い。だが権力を年長者が握ってしまうと、「若い人」や「新参者」に直接の発言権や資源動員の権力がなくなってしまう。その結果、なかなかイノベーションが起きなくなるのである。
◇年長者の価値がなくなっている
それでも「年長者は敬うべきだ」という規範は、合理性を超えたところでそれなりに支持されてきた。これは長いあいだ、年長者が組織やコミュニティにとって一種のデータベースの役割を担ってきたからだと考えられる。しかし20世紀後半以降、年長者のもつ価値が失われる3つの変化が発生している。
(1)社会変化スピードの高速化:20世紀後半以降、ライフスタイルの変化スピードがどんどん速くなり、それまで年長者が長い時間をかけて培ってきた知識や経験が、すぐに陳腐化するようになった。わたしたちがいま向き合っている問題は、年長者にとっても若者にとっても新しい問題だ。そして新しい問題に対する問題解決能力は、むしろ若者の方がすぐれている。
(2)情報の普遍化:現在はあらゆる情報に対して、いつでもどこでも誰でもアクセスできる社会に近づきつつある。その影響を受けて、データベースとしての役割を担ってきた年長者の価値は相対的に下がっている。
(3)寿命の増進:平均寿命が短かった時代では、貴重な経験値を有している年長者が重宝された。しかし平均寿命が飛躍的に伸長し、年長者の人数が増えてくると、年長者が有していた知識や経験の希少価値は目減りしてしまう。
以上の理由から、「年長者ほど能力も見識も高い」という前提は、これからの時代では成立しないといえる。
◇オッサンはサーバントリーダーシップを発揮せよ
このような状況下で、年長者が組織に対して貢献できることはあるだろうか。
その疑問に対するもっともシンプルな答えは、「サーバントリーダーシップの発揮」だ。サーバントリーダーシップとは、米国のロバート・グリーンリーフによって提唱された概念で、権力に頼らない「支援的なリーダーシップ」を意味する。サーバントリーダーシップは、これまでの支配型リーダーシップとは異なり、「支援する」ことでリーダーシップを発揮する。オッサンならではの懐の深さを発揮し、人脈・金脈・ポジションパワーを使って若手・中堅を支援していくというのが、サーバントリーダーシップの一番わかりやすいカタチだ。
ただしこのリーダーシップは、主導権を握って動こうとする若手・中堅の存在を前提としている。ゆえにオッサンとそれ以外の人たち双方が、リーダーシップのパラダイムシフトを起こさなければならない。
◇武器としての「教養」を身につけよ!
年長者の知的パフォーマンスの劣化を防止するアプローチがひとつだけある。それは「劣化しない知能を身につける」ことだ。
これからオッサンがサーバントリーダーシップを発揮して社会に貢献するためには、若手に対して深い思考を促すような、本質的な問いかけができるようになる必要がある。そしてそのためには「教養」が不可欠だ。旬の短い知識ではなく、長いあいだ有用な知識や情報を身につける努力をするべきである。
わたしたちの成長は「経験の質」、すなわち「新しい経験の密度」によって大きく変わってくる。多種多様な人たちとともに、さまざまな仕事をバラエティに富んだやり方で取り組むという「経験の多様性」が、良質な体験をもたらし、深い学習へと導くだろう。
年をとっただけで「老いる」ことはない。いくつになっても創造的で知的パフォーマンスが落ちない人々は、常に目標をもってチャレンジをし続けている。劣化したオッサン社会に対するもっともシンプルな処方箋は、わたしたち一人ひとりが謙虚に新しいものを学び続けることなのである。
一読のすすめ
ここのところ大きな組織による不祥事が相次いでおり、「いいオトナが何をやっているのか」と思っている人も少なくないはず。本書では「なぜ不祥事が相次ぐのか?」という問いに対して、「劣化するオッサン」が量産される構造的な問題が丁寧に解き明かされ、それに対する適切な処方箋が示されている。
社会の変化のスピードがますます速くなるなかで、わたしたちは何をするべきなのか。オッサン化はけっして他人事ではない。本書を読み、これからの社会を生き抜くための心得をインストールしていただければと思う。
評点(5点満点)
総合3.8点(革新性3.5点、明瞭性4.0点、応用性3.8点)
評点イメージ
*評点基準について
著者情報
山口 周(やまぐち しゅう)
1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア・クライアント・パートナー。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成、キャリア開発。著書に『グーグルに勝つ広告モデル』(岡本一郎名義)『天職は寝て待て』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術』(東洋経済新報社)、『知的戦闘力を高める 独学の技法』(ダイヤモンド社)、『武器になる哲学』(KADOKAWA)など。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)でビジネス書大賞2018準大賞を受賞。
(1冊10分で読める要約サービス flier)
https://diamond.jp/articles/-/192788
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