http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/804.html
Tweet |
ファミマから無印良品がひっそりと撤退した「本質的な理由」
https://diamond.jp/articles/-/192635
2019.2.1 鈴木貴博:百年コンサルティング代表 ダイヤモンド・オンライン
ファミリーマートの売り場から、無印良品の商品がなくなるという。無印の商品の売り上げ不振という説明は表向きなもので、背景にはもっと深い理由がありそうだ Photo:DOL
ファミマから無印良品が撤退
同じグループなのになぜ?
ファミリーマートの売り場から、無印良品の商品がなくなってしまうことになりました。無印良品を展開する良品計画によれば、2019年1月28日付でファミマへの無印良品の商品供給を終えたということです。現在ファミマで販売中の無印良品の商品は、在庫がなくなり次第、その販売が終了するといいます。
無印良品の存在は、これまでファミマと他のコンビニを差別化する特徴の1つでした。もともとはファミリーマートも無印良品も西武流通グループの企業同士だったことから、商品の供給が始まったのですが、その関係性がひっそり終わったというのがこのニュースでした。
ファミリーマートによれば、打ち切りの理由はコンビニでの無印良品の売上不振にあると言いますが、それにしても1つの時代が終わったことを感じさせる特別なニュースだと思います。
もともとは無印良品は、1970年代後半のPB(プライベート・ブランド)商品ブームのなか、1980年にセゾングループの中核企業である西友から誕生しました。セゾングループの総帥・堤清二氏は、文学者としても知られる異色の経営者であり、当時を象徴する経済人の1人でした。
その堤清二氏がこの時代の「どんな商品でもブランド名が付くだけで価値が上がる」という現象に哲学的な観点から疑問を抱き、世の中へのアンチテーゼとして「無印良品」というブランドの立ち上げにゴーサインを出したと言われています。
そうして、西友以外にグループ内の西武百貨店やファミリーマートなどの売り場で展開されていた無印良品ですが、1983年に青山に初めての路面店ができたころから、無印良品自体がコアなファン層を持つ「新しいブランド」として発展を始めました。
ブランドコンセプトも、もともとは「わけあって安い」というPB商品的な特徴を前面に出していましたが、やがてそのシンプルな製品の特徴を前面に出すようになりました。そして無印良品の商品は、「これがいい」という製品を選ぶのではなく「これでいい」と考えるシンプルな生活を好む消費者に支持されるという、これまでなかったタイプの生活商品ブランドへと発展していくことになります。
その一方で、バブル崩壊後に西武流通グループの主要企業が徐々に衰退し始めると、良品計画は西友から営業権を買い取り独立します。グループ企業ではファミリーマートが良品計画の株主となり、その結果、無印良品の商品は無印良品の名を冠した路面店やオンラインストアのMUJIで大規模に展開する一方で、文具や化粧品など一部の商品はファミリーマートでも展開するという今のような状況が確立して行ったわけです。
ファミマに並ぶ無印の商品
を見て抱いた「違和感」
ただ、「同じグループ会社だから」という理由での併売は「よいことではないようだ」という問題意識を、以前から私は感じていました。私は経済評論家であり、仕事柄、小売流通の店舗を関心を持って見回り続けています。
2000年代の中盤頃だったと思いますが、ファミリーマートで売られている無印良品の商品を見て、「これはそろそろ提携を解消したほうがいいんじゃないかな」と思ったことがありました。理由は、売り場の商品が汚れていたからです。無印良品の商品は「素材を生かしたナチュラルカラーのあのシンプルさがいい」と消費者は思うはずです。
ところがそのお店では、手に取った化粧品のテスターが汚れていました。誰かが使って飛び出ているクリームにお店の中のホコリが付いて、ちょっとテスターを使ってみるのも嫌な感じになっていたのです。それで気になって見回してみると、同じお店の無印良品の文具もホコリを被っていました。
商品の回転が悪い。でも系列だから商品は棚に並べておく。そうするとホコリが溜まって汚くなる――。そうした循環が、ファミリーマート店内の無印良品の商品イメージを悪くしているように感じました。気になって調べると、他のファミマの店舗でも似た現象を見かけることがわかりました。
これは必ずしもファミリーマートの店員さんの仕事ぶりが悪いというわけではありません。ただ、コンビニは自然と回転率が高くなる商品を仕入れて売る場所なので、商品が自然滞留すると、こうしたことが起きてしまうわけです。
別々の方向で成長した両者は
いつの間にかすれ違っていた
一方、無印良品のお店には、当然ながら、足の速いカテゴリーの商品と足の遅いゆっくり売れて行く商品が混在しています。なのでコンビニとは違い、閉店時間を迎えた後の店内清掃が消費者の目に映らないように配慮するなどの目的から、きれいな商品が店頭に並ぶオペレーションがきちんとできています。
そう考えると、ファミリーマートも無印良品も、セゾングループの激動の時代を乗り超えながら、別々の方向へと発展し、今の成功があるわけです。その立ち位置がいつの間にか違うものになってきたというのが、今回の「無印撤退」の真因ではないでしょうか。
結局のところ、ファミマで買い物をしたい消費者はもっと安価なファミマ流のPB商品の方がいいだろうし、無印良品で買い物をしたい消費者は無印が提供する特別な商品がいいと思い、無印の店舗やネットで買物をしているはずです。それぞれ違うタイプの顧客が来るチャネルに商品を提供する無理が解消されたというのが、今回のニュースの本質でしょう。
実際、このニュースが広まった翌日、1月30日午前の取引では、良品計画株もユニー・ファミリーマートHD株も値上がりしました。特に良品計画株の値上がりが大きかったことを見ると、むしろ無印良品のファンがこの決断をより好感したということでしょう。
(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民130掲示板 次へ 前へ
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民130掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。