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毎月3万の貯金で"暗黒人生"は変えられる "元貯められないFP"が語る成功体験
https://president.jp/articles/-/27366#cxrecs_s
2019.1.24 ファイナンシャルプランナー 水野 綾香 PRESIDENT Online
人には言えない預金残高、いつの間にか消えていくお金……。ファイナンシャルプランナーの水野綾香さんは「私は『貯められないFP』でした。そのため自分に自信が持てず、自己肯定感がどん底という『暗黒の時期』がありました」と話す。彼女が貯金と自己肯定感を取り戻したシンプルな方法とは――。
ファイナンシャルプランナーの水野綾香さん
どう足掻いても貯まらず。自己嫌悪に陥る
みなさん、貯金は得意でしょうか。
白状すると私は苦手です。もともと「貯められないFP」でした。
「FPとして人様に貯蓄方法や投資のアドバイスをしているにもかかわらず自分自身がまったく貯金できない。そんな自分が許せない」。マネーセミナー講師の仕事が増えはじめた8年前、私はそう悩んでいました。
「先月はだめだったけれど、今月こそはお金を残して貯めよう」。そうやって意気込んではみるものの、時間があれば自己投資をしていろんな人と会いたいという気持ちが先走り、自分の中の小さな決め事を守れずに、挫折をくり返していました。
支出の中心は週5日の外食(交際費)と趣味のビジネス系セミナーへの参加。さらに「なんとなくの購買」も多く、給料日前に通帳をみると「あれ? お金が残ってない?」という残念な生活でした。「自分はなんてダメな人間なんだ」と自己肯定感が下がると同時に、落ち込んだ気分で過ごす日も増えていきました。
改善策として、現金と預金残高を紙に書き出したり、家計簿をつけたり、いろいろと試しましたがそれでも貯めることができません。行き詰まった私は、意外なところにヒントがあることに気づきました。
自己肯定感の低い「暗黒時代」からの脱却
年間60回ほど行うマネーセミナーの中で、「先取り貯蓄をしましょう」と、私自身が参加者のみなさんに声高に訴えていたのです。しかし私は「知っている」だけで「やってみる」ということをしていませんでした。
これからお伝えする話は、先取り貯蓄を取り入れることで、自己肯定感を取り戻し、その後の人生が好転していったという私自身の体験談です。暗黒時代だった当時をあらためて振り返りながらお伝えしていきたいと思います。
新卒で入社した会社で仕事に慣れはじめた20代半ば。「よし、今月から銀行口座に2万円ずつ貯めていこう」と貯金をすることにしました。しかし最初の3、4カ月は貯金できていても、途中で緊張の糸が切れて、コンビニのATMでお金を引き出してしまいます。
私自身セミナーでは、急な病気になったり、リストラされたりしても、ひとまずは生活を維持できるように「1カ月の生活費の3〜6カ月分は銀行口座に置いておきましょう」と参加者にはお伝えしていました。いつでもどこでもお金を引き出せるという銀行預金の「流動性」は「元本保証」とならぶメリットです。しかしこの「流動性」が私には向きませんでした。
「お金を引き出すハードル」は高い方がいい
その後も少しお金が貯まったかと思うと、すぐさまATMでお金を引き出してしまい、一向にお金が貯まらない。そんな日々をくり返すなかで気づけば20代後半、冒頭でお伝えしたように自己矛盾を抱えたFPになってしまったのです。すべて自分のせいとはわかっていながら、私の苛立ちは最高潮に達します。同時に「自分はなんてダメなんだ」と、自己肯定感が下がり続けていくという負のスパイラルに陥りました。
では、どうすればお金を貯められるのだろうと悶々としているときに、ただ一つ「できていた貯蓄」があることに気づきました。
勤務先で加入していた「確定拠出年金」です。
これは毎月の拠出額が給与から天引きされるという年金制度です。制度上60歳まで引き出せないため、貯金という意識はありません。ここに、貯金ができるようになるためのエッセンスが詰まっていたのです。
ポイントは大きく2つあります。ひとつは「自動で引き落としになる」ということ。もうひとつは「引き出す時のハードルが高い」ということです。
暗黒時代の水野さんを支えた愛猫のうに(♂)
投信は“ほったらかし”で貯まる
その結果、行き着いたのは、投資信託(投信)を毎月積み立てていくという極めてシンプルな手法でした。
銘柄選びや証券会社の口座開設など、はじめての方は少しだけ手間に思うかもしれません。でも、一度投信の積み立てをはじめてしまえば、毎月決まった金額が銀行口座から自動で引き落とされて勝手に貯まっていきます。ときおりポートフォリオを見直すなどメンテナンスの必要はありますが、基本的には“ほったらかし”にすればいいのです。
途中で解約しづらいのもポイントです。銀行預金のように思い立ったらATMですぐさま引き出すというわけにはいきません。心理的にも「もしかしたら解約直後に値上がりするかも」と、もったいない気持ちになります。
積み立ての手続きは簡単です。
・手数料が低いネット証券で口座開設をする
・良いといわれる条件(手数料が安い、バランスが良い)を満たす投信を選ぶ
・毎月1万円からでいいので積み立てをはじめる
私の場合は本を読んだり、周りのFP仲間から情報収集したりして、どの投信を買うかを決めていきました。最終的には証券会社を介して購入できる投信2銘柄に絞り込み、毎月1万5千円ずつ、計3万円の投信積み立てをすることにしました。
貯蓄は値動きの安定した「債券」を運用
これが大正解でした。最初は投信の値動きをみて、元本がマイナスになると不安を感じました。しかし、長い目でみればプラスになるようにポートフォリオは組まれているので、
途中からは文字どおり“ほったらかし”にして、気にしないようにしました。それに私の場合は、自分の裁量で貯金できないので、毎月少しずつお金が貯まっていくだけでしめたものです。
その後、さらにほかの投信でも積み立てをはじめるなど、拠出額を増やす(見直す)などしながら、いまでは無事に「私は貯められるFP」と冗談交じりに公言できるようになりました。
ちなみに私のいま現在の運用状況を伝えますと、年金以外の積み立て(貯蓄のための投信)では、値動きの安定している債券比率の高い投信を選んでいます。一方で、年金の運用(確定拠出年金)では、債券より値動きの大きい株式比率の高い投信に積み立てをしています。
60歳まで引き出せない確定拠出年金のように、中長期の運用で一定額を積み立てていく場合、投信の価額の高いときに買ってしまうこともあれば、値段の低いときに買うこともあります。ですから値動きの大きくリスクのある株式であっても、結果的に投信の価額が分散され、平均購入単価は安定します。逆に短期での積み立てを株でやろうとすると、平均取得価額は読みづらいので、低リスクの債券の方がベターです。
個別株の運用はあまりしませんが、ふだん生活する中で「このサービスいいな」とか「この商品が好き」と思ったら、その会社の業績をざっくり確認してから応援のつもりで投資することもあります。
水野さんの行うマネーセミナーの風景
小さな成功体験が、自己肯定感を高める
しばしば私のもとにも寄せられるのが、「手元資金が少ないから積み立てする余裕がない」という声。その方に私が伝えるのは、3000円や5000円程度であっても、積み立てられないのかということです。月3000円の積み立てをすれば年3万6000円、月5000円であれば年6万円は貯まります。無理して多額の積み立てをしても長続きせずしなかったら意味がありませんから、少し贅沢なランチ一回分を積み立てにまわそうと考えてみるのがおすすめです。
積み立ての習慣さえできてしまえば、あとは運用額が数値として目にみえるかたちで増えていきます。それが「自分は貯金できている」という小さな成功体験になり、自信をもてるようになっていくのです。かつての私のように、自己肯定感が下がり深みにはまってしまう前に、とにかく積み立てをスタートするです。
いまも私は相変わらず銀行口座にお金はありません。証券口座のお金を取り崩すこともあります。でも、手元にまとまったお金ができたら、投信を買い増したり、株を買ってみたりして順調に貯蓄ができています。
貯金を継続するのは、思いのほか大変です。そうこうするうちに、あっという間に一年、二年は過ぎていきます。ぜひ自分には何が向いているのかという視点から、2019年はお金と向き合う時間をつくってみてはいかがでしょうか。
水野 綾香(みずの・あやか)
ファイナンシャルプランナー
AFP。金融総合代理店に10年勤続。2017年7月よりソーシャルレンディングを手がけるクラウドクレジット広報。独立系FPとして家計のファイナンシャルプランニングやiDeCo・NISA、生命保険などについて年間60回程度のセミナーを全国で実施。マネー知識をただ伝えるだけでなく、行動変容・意識変容を起こすための指導に定評がある。
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