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【第106回】 2019年1月26日 小宮一慶
社長の報酬いくらが適正?社員も納得「給料の決め方4つのステップ」
「順番」さえ守れば、
社長は給料を好きなだけもらえばいい
小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶
会社の取締役や監査役といった役員が受け取る役員報酬に対する関心が高まり、上場会社では決定プロセスの透明化を求める動きが強まっています。社外役員を中心とした報酬委員会などを設置する会社も増えています。
一方、中小企業のオーナー社長の場合、もちろん業績による制約はありますが、自分で自由に決めることができます。彼らは経営に失敗すると、担保として差し出している家屋敷も財産もすべて失うという大きなリスクを背負っているので、順番を守りさえすれば、社長の報酬は「好きなだけもらえばいい」と、私は考えています。
順番とは、
(1)高収益体質の会社を作る
(2)社員には同じ地域の同業他社より1割高い給料を支払う
(3)幹部社員には最低でも1000万円の報酬を支払う
(4)社長の役員報酬を決める
ということです。
高収益企業の条件は「付加価値の2割の営業利益」を出していること。付加価値とは売り上げから仕入れなどを引いた自社で作り出した価値のことで、差別化された商品・サービスを提供し、従業員に行動の徹底などができていなければ、高収益企業にはなれません。
そして、社員には、同じ地域の同業他社の給料を上回る十分な金額を支給するべきです。ただし、それは適度であるべきで、経営コンサルタントの大先輩・一倉定先生は、十分な金額の目安を、「同じ地域の同業他社よりも1割高いこと」としています。私もその通りだと思います。
ときどき「もうかったら、いくらでもあげる」という気前のいい社長がいますが、それは会社にとっても社員にとっても良いこととは限りません。まだ正しい生き方の勉強を十分にしていない社員に分不相応な給料を払うと、遊ぶことに熱心になって仕事がおろそかになってしまいます。同じ地域の同業他社より1割多いくらいが適正です。
こんな実話もあります。ある有能な経営者が率いる地方の会社が上場し、従業員持ち株会に入っていた社員の中には億万長者になった者も少なからず出たのですが、社員のままでは持ち株を売ることができないため、退職する社員が続出しました。経営者は社員の士気を高める目的もあって苦労して上場にこぎつけたのに、正反対の結果を招いてしまいました。だからといって給料が安いままでは、社員は仕事に誇りが持てず、生活が苦しく、仕事に集中できません。
こんな実話もあります。ある社長が居酒屋で酒を飲んでいたとき、偶然、カウンターの近くに座っていた人たちの会話が聞こえてきたそうです。「あの会社の給料はすごく安いらしい」。面識もない人たちの酒の肴になるほど安い給料で社員を働かせていたのかと、社長はとても恥ずかしくなり、すぐに給与を引き上げたそうです。
社員に同じ地域の同じ業種で働く人より1割高い給料を支払えることができたら、次は幹部社員の年収を最低でも1000万円以上に引き上げる。オーナー社長に一生をささげて仕えてくれているのですから、十分に報いなければなりません。私の中堅・中小企業のお客さまの会社の中には、幹部の年収が数千万円という例も少なからずあります。
会社のお金で高級車に乗る経営者は
社員の働く意欲を失わせる
高収益体質に転換し、従業員と幹部社員の給料の見直しが終わったら、あとは社長が「好きなだけもらえばいい」のです。逆説的ですが、まだメガバンクが誕生する前の当時の大手銀行で、中小企業が多い地域の支店長の給料は、中小企業の社長と同水準といわれていました。今に換算すると2000万円から2500万円くらいでしょうか。
私は冒頭でも書いたように、リスクを背負っているのだからオーナー社長はもっと取ってもいいと考えていますが、あまり取り過ぎると、「付加価値の2割の営業利益」は出ないので、自然に取り分は決まってくるでしょう。また十分な利益が出ていても、取り分を抑えれば、それが利益剰余金として残り、内部留保が積み上がっていくので、オーナー社長であれば、結局は自身が受け取っているのと同じことになります。
それなのに税金を払うのが嫌なのか、役員報酬をそこそこに抑えて、会社のお金で高級車を乗り回し、私的な旅行やゴルフに行き、夜遊びをする経営者もいます。会社のお金を私的に流用することはカルロス・ゴーン氏の騒動の例を見るまでもなく、特別背任罪という犯罪に該当しますが、仮に摘発されなかったとしても、社員の働く意欲を失わせるし、場合によっては、まねをして会社の金を使いこむ者も出てくるかもしれません。ぜいたくは、高収益の良い会社を作って、たくさんの給与を取り、自分のお金でするべきです。
経営者向けのセミナーでもこの話をするのですが、多くの社長の耳には「好きなだけもらえばいい」という部分だけしか残らないようです。そこで最後にもう一度、念押ししておきます。「付加価値の2割の営業利益」を出した上で、従業員→幹部→社長の順で待遇を改善する。この順番を厳守することです。
(小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶)
https://diamond.jp/articles/-/192064
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- ウザい「残業武勇伝」はいらない!長時間労働を本当に是正する方法『残業学 明日からどう働くか、どう働いてもらうのか?』 うまき 2019/1/26 10:32:39
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