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スクープ
日立、風力発電機生産から撤退へ
庄司 容子
日経ビジネス記者
2019年1月25日
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日立製作所が風力発電機の生産から撤退することが、日経ビジネスの取材で25日、明らかになった。すでに新規の受注活動を停止しており、契約済みの製品の生産が終わり次第、埠頭工場(茨城県日立市)での風力発電機の生産を止める見通しだ。日立は子会社が提携する独メーカーの風力発電機の販売と、保守や運転支援などのサービス事業に軸足を移す考えだ。
再生可能エネルギーとして期待の高い風力だが……(写真は日立が手掛けた三重県の新青山高原風力発電所)
国内の風力発電機メーカーは、三菱重工業と日本製鋼所が事実上生産から手を引いている。日立の撤退で、風力発電機を生産する国内企業はなくなる。日立は英原発計画も凍結しており、エネルギー事業の再構築を急ぐ。
日立は2012年に富士重工業(現SUBARU)から風力発電機事業を買収、主に陸上に設置する出力2000kWと、洋上向けの5000kWの2種類の風力発電機を開発・生産している。地面から吹き上がる風を効率よく受けて回る「ダウンウインド型」と呼ぶ独自技術に強みを持つ。山の多い日本の地形に向いているため、新規設置の国内シェア(台数ベース)は2016年度に約4割を占めるなど、業界内でも一定の評価を得ていた。
ただ、日本市場は、世界に比べて圧倒的に小さい。2017年に世界で稼働を始めた風力発電所の出力は計5250万kW だったのに対し、日本はたったの16万2000kW。18年も19万2000kWにとどまる。日立の製品は「価格が高い」(業界関係者)といわれてきたが、主力の国内市場がなかなか育たない中では、規模の拡大によるコスト削減効果も引き出しにくい。
日立の風力発電機は価格が高いとされていた(茨城県日立市の埠頭工場内)
日立はアジア市場に進出し、規模を拡大する戦略を練っていたが、独シーメンスや米ゼネラル・エレクトリック(GE)などとの競争は激しい。このまま国内で自社製品を製造し続けても対抗するのは難しいと判断したようだ。
日立は子会社の日立パワーソリューションズ(日立PS、茨城県日立市)を通じて独風力発電機メーカーのエネルコンと提携関係にある。今後はエネルコンとの協業を強化。日立本体でもエネルコン製品を販売する。保守や運転支援などのサービス事業は日立PSと統合し、収益力を高める考えだ。
関連記事:スクープ解説 日立、エネルギー戦略再構築の狙い
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00006/012400011/
スクープ解説
日立、エネルギー戦略再構築の狙い
庄司 容子
日経ビジネス記者
2019年1月25日
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全898文字
日立製作所が風力発電機の生産から撤退することで、成長事業に位置付けていた再生可能エネルギー事業の戦略見直しは必至だ。
日立は昨年6月に発表した事業戦略で、再生可能エネルギー関連事業の売上高を2021年度に18年度見込みの5倍にあたる4000億円に引き上げる計画を掲げた。主力に据えたのが、風力事業だ。同事業だけで2500億円の売り上げ増を狙ったが、今回の戦略転換を受けてこれらの目標数値は引き下げる方向で見直している。
日立はエネルギー事業の再構築を進める(昨年12月、ABBの送配電システム事業の買収を発表した日立の東原敏昭社長=写真:共同通信)
英国での原子力発電所計画を凍結したばかりの日立にとって、風力事業は今後もエネルギー事業の主軸に置かざるを得ない。国内原発の新設は困難な状況が続いているからだ。
国内の風力発電機市場は今後の成長が期待できる分野ではある。昨年11月には洋上風力発電の普及を後押しする新法が成立し、今年4月に施行される。海域の利用に明確なルールを定めることで、今後、導入機運が高まるとの期待がある。
日立も洋上風力の市場拡大を見据え、大型の5000kW型を開発。福島県沖などで実証試験に取り組んできた。18年には台湾で大型の洋上風力発電所向けの発電機を初めて受注。同計画では21基を納入する契約だ。
一定の成果を挙げたものの、低収益であれば、見切りをつける。今回の日立のその決断で浮かび上がるのは、発電機そのものは外部から調達し、自らはサービスで稼ぐ戦略だ。
日立は今後、独エネルコンの風力発電機の国内販売を手掛ける子会社の日立パワーソリューションズ(日立PS、茨城県日立市)を活用しながら、引き続き風力事業の拡大を目指す方針。同社は風力発電機の設置候補地の風の状況の調査から、設置、運転管理まで一貫して請け負うソリューションビジネスにも定評がある。これまでは日立本体も自社製風力発電機を納入した顧客に対し、同様のサービスを手掛けていたが、今後は日立PSと機能を統合することでコスト削減を進める考えだ。
日立は昨年末にスイス重電大手のABBから送配電システム事業を約7000億円で買収することも決めている。単品売りからシステムやサービスで稼ぐ事業モデルへ。日立のエネルギー事業の再構築が加速する。
K.Gotou
情報処理従事者
事業が大きくなるほど、政治との距離が近くなります。やがて、儲け度外視した事業推進となりやすい。しかし、優れた経営者は利益を損なう事業には厳しい姿勢で臨みます。それが、今回の出来事と解釈しています。
インフラストラクチャーと政治と民間。そこにあるのは、末端の消費者の利便性。その消費者の幸福感は政治を動かします。大きな事業はどれくらいの幸福を生むかに関わっているのです。
供給側の利益が無ければやがて末端の幸福感を損ねます。早い段階で政治と共に「幸福のリストラクチャリング」をしなければならないと思いました。
2019/01/26 07:53:02
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00006/012400012/
スクープ
LIXILがMBO検討、日本脱出も
奥 貴史
日経ビジネス記者
2019年1月21日
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全1573文字
LIXILグループに激震が走っている。プロ経営者の瀬戸欣哉社長からCEO(最高経営責任者)の座を取り戻した創業一族の潮田洋一郎会長が、MBO(経営陣が参加する買収)で日本の株式市場から退出し、さらにシンガポールに本社も移そうとしていることが明らかになった。年間売上高が2兆円に迫る巨大企業の日本脱出計画は、本当にこのまま進むのだろうか。
潮田氏は自らCEOに就き、新たなシナリオを実現しようとしている(写真=稲垣 純也)
極めて異例のシナリオだが、潮田氏はどうやら本気だ。業界トップの大企業が東京証券取引所での上場を廃止し、本社をシンガポールに移転するという過去に例がない大転換を進めようとしている。潮田氏はシンガポール取引所(SGX)への新規上場も目論んでいる。
関係者によると、LIXILグループは昨年、MBO・本社移転・シンガポール上場という一連の計画を検討することを取締役会で決議している。つまり、この計画は潮田氏が独断で進めている話とはもはや言えない。一連の計画に反対していた瀬戸氏をCEOから降ろしたことからも、潮田氏の本気度がうかがえよう。瀬戸氏を退任させるのは、この驚きの計画を前に進める布石だった。
なぜ日本の株式市場から退出したいのだろうか。根底には市場から評価されていないという不満があるだろう。株価は冴えない。トステムやINAXなど多くの企業の統合で日本最大の住宅資材・住設機器メーカーとなったLIXILだが、潮田氏は「株価はコングロマリットディスカウントに陥っている」と不満を示していた。潮田氏の見立てでは、どの機関投資家も業種を絞った専門的視点に立つようになったため、その分野以外の事業を適切に判断してもらえなくなったという。
こうした不満を解消するため、潮田氏は当初、会社分割による2社上場を考えたようだ。今のLIXILグループを事業ごとに2つに分割し、1つを国内で、1つを海外で上場させようと検討していたとされる。事実上のLIXIL解体だ。だがバックオフィス部門など、LIXILグループとしてすでに1つに統合されていた部分をもう一度切り分ける事務作業は非常に煩雑で、予想以上に手間取ることがわかった。そこで検討されるようになったセカンドプランが、今の案だ。
この案をもう少し整理してみよう。東証1部に上場しているLIXILをMBOにより上場廃止にする。その後、本社をシンガポールに移し、SGXに新規上場する、というのが大きな筋書きだ。LIXILの時価総額は足元で約4500億円。潮田氏がMBOをするにはプレミアム(上乗せ幅)を考慮すると最低でも5000億円以上が必要になりそうだ。
MBOにより上場廃止にする案も浮上している
だが、このハードルは高くないのかもしれない。MBOに必要な資金をつなぎ融資でいったん調達し、その後すぐにSGXで株式を売り出して回収したお金でつなぎ融資を返す、という芸当も可能だからだ。
ただSGXに上場する新会社がどんな評価を受けるのかは読みにくい。シンガポールならコングロマリットディスカウントが起きないという保証もない。本来の企業価値は変わらないはずだが、持ち株会社なのか、事業会社なのか、どのような形で上場させるかによっても評価が変わる可能性はある。
シンガポールに本社を移転すれば、日本よりも法人税率が低いため、節税効果が得られることが想定される。潮田氏自身が現在、居を構えて生活の拠点にしているのもシンガポールだ。
地域別売上高(2018年3月期実績)をみると、圧倒的に多い日本の次がアジア、そして北米、欧州と続く。LIXILは現時点ではアジア企業であり、欧米市場への上場は考えにくいのだろう。そうなると主要な市場は香港かシンガポールかという選択肢しかない。香港市場の規制の問題などを考えると、やはりシンガポールというのは自然な選択だと考えられる。
関連記事:スクープ解説 LIXIL、大転換に渦巻く懸念
コメント3件
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石田修治
定年退職
真の狙いは、株価ではなく「利益」ではないか?シンガポールなら日本より法人税が安いから税引き後利益は大幅に増える。株価は上場がどこでも国際資本によって動いているのだから関係ない。
2019/01/21 06:35:4011返信いいね!
丸刈太
本社機能を海外に持っていっても、製造や販売やサービスのための日本法人に対する法人税は変わりません。
なのでたくさん節税するには、子会社から本社にたくさん送金したりして本社に利益を集める必要がありますが、これをやるとたちまち税制上の注目を受...続きを読む
2019/01/21 14:59:115返信いいね!
ダサイタマジジィ
平長
コングロマリットディスカウントと言うが実際にそういう企業なのだからしょうがない。
サッシュ(窓枠)と衛生陶器と建具は別々のものだし統合するメリットは感じられない。
それを言うなら昔の松下グループは凄かった。
建材関係で無かったのは鉄筋と生コ...続きを読む
2019/01/24 12:37:171
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00006/011800009/
スクープ解説 LIXIL、大転換に渦巻く懸念
奥 貴史
日経ビジネス記者
2019年1月21日
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全959文字
LIXILグループがMBO(経営陣が参加する買収)で日本の株式市場から退出し、さらにシンガポールに本社を移して現地で上場するという構想が明らかになった(関連記事:スクープ LIXILがMBO検討、日本脱出も)。このシナリオが本当に進んだ場合、どんな影響が出るだろうか。
潮田氏は社員や株主、取引先に対する説明を求められそうだ。(写真=稲垣 純也)
慌てそうなのが東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)だ。「個別企業の上場方針に口をさしはさむ立場にはない」(東証幹部)と言いつつ、有力企業の上場廃止は市場としての力をそぐ。しかも新規上場するというシンガポール取引所(SGX)はアジア域内でJPXがつばぜり合いを繰り広げる強力なライバルだ。
LIXILの株主はどう思うのだろうか。ひとまずMBOの時点である程度のプレミアムがついて株を買ってもらえるのであれば、それでよしとする株主も多いのかもしれない。SGXでの取引が難しい個人投資家はなおさらだろう。
ただ、MBO価格の設定が難しそうだ。高く買ってほしい株主に対し、潮田洋一郎会長兼最高経営責任者(CEO)の側はできるだけ安い費用でMBOを成立させたい。MBO価格の設定を巡っては、過去にもカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)などで訴訟が起きている。LIXILの足元の株価は過去5年で最安値圏にある。足元の株価にプレミアムを多少のせても、取得価格より低いとして不満を言う株主が出てきてもおかしくない。火種は残りそうだ。
従業員も不安感でいっぱいだ。「いきなりシンガポールの企業になりました、と言われてもなかなか咀嚼できない」(中堅社員)。事業会社は工場があるため、シンガポールにすぐにする移転というわけにはいかないだろう。本社に付随するバックオフィス部門などはシンガポールに移転する可能性があり、社内はざわついている。
顧客に動揺が走る可能性もある。国内の信頼できる最大手と取引していたはずなのに、突然その取引先が外資系になるようなものだ。公共工事関連などでは、日本に本社がないことで不利な面が出てくる可能性も考えなくてはいけないかもしれない。
こうした渦巻く懸念を振り払ってまで、前代未聞の壮大な計画を進める必要があるのか。潮田氏は社員や株主といったあらゆるステークホルダー(利害関係者)に説明をする必要が出てきそうだ。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00006/011800010/
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