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前向きに読み解く経済の裏側
株価が暴落しても2019年の日本経済が好調を持続するワケ
2018/12/31
塚崎公義 (久留米大学商学部教授)
今回は景気楽観派を自認する久留米大学商学部教授の塚崎公義が、2019年の日本経済もメインシナリオは好調持続だ、と説きます。
(Nerthuz/Gettyimages)
景気は自分では方向を変えない
2018年の日本経済は、特に大きな波乱もなく、概ね順調な景気拡大を続けました。株式市場は終盤にかけて混乱しましたが、実体経済は順調です。
景気の先行きを考える時に、最も重要なことは、景気は自分では方向を変えない、ということです。
「景気が拡大すると、物が売れるので、企業は増産のために労働者を雇う。雇われた元失業者は給料を受け取って買い物をするので、物が一層売れるようになる」「企業が増産のために工場を新設すると、鉄やセメントや設備機械が売れる」といったことが起きるわけです。
今回は、景気拡大に伴う労働力不足が深刻化しているため、企業が省力化投資を積極化しはじめています。安い時給で雇ったアルバイトに皿を洗わせていた飲食店が、アルバイトが集まらないので自動食器洗い機を購入しはじめた、というわけですね。
したがって、何事もなければ今後も景気の拡大が続くと考えてよいことになります。あとは外部から景気の方向を変える力が働くか否かを考えればよいのです。外部から働く力としては、財政金融政策、海外の景気後退が主なところでしょう。
じつはバブルの崩壊も、場合によっては景気の方向を変えることがあります。もっとも、今回はバブルがそもそも発生していないので、これについては本稿では触れる必要はないでしょう。財政金融政策と海外の景気後退の可能性について、以下では検討しましょう。
財政金融政策による景気腰折れは見込まれず
景気が拡大を続けると、インフレになる場合があります。そうなると政府と日銀が「景気をわざと悪化させてインフレを防ごう」と考えるようになります。そこで、財政金融政策で景気を抑制するのです。具体的には金融引き締めで金利を引き上げたり、急がない公共投資を先送りしたりします。
もっとも、今次局面ではインフレを抑制するための財政金融政策は考えられないので、こうした可能性については検討不要でしょう。
今次局面で検討を要するのは、消費税の増税です。もっとも、前回(5%→8%)よりも増税幅が小さく、しかも様々な景気対策も講じられるようなので、景気の腰を折るようなことにはならないと思っています。
中国の景気後退はメインシナリオだが過度な懸念は不要
米国が中国からの多くの輸入品に高率の関税を課しているわけですから、中国の景気は、後退するでしょう。日本は中国に大量の輸出をしていますから、中国の景気後退が日本の景気に悪影響を及ぼすとの懸念は当然です。
しかし、米国が中国から輸入しているものが、他の途上国から輸入されることになるとすると、その途上国の景気が良くなるので、その途上国に日本からの輸出が増えることになるはずです。したがって、過度な懸念は不要です。
もしかすると、米国が中国から輸入している物の一部が、日本からの輸入に振り替わるかもしれません。そうなれば、日本にとっては漁夫の利です。
それから、資源を大量に輸入している中国の景気が減速すると、世界的な資源価格が下落して、資源輸入国である日本にはメリットがあるかもしれません。
そもそも中国の輸出が減った分は中国政府が景気対策を採って景気の下支えをするから大丈夫だ、という考え方もあります。
いずれにしても、過度な懸念は不要だ、と考えてよさそうです。
米国の景気は拡大持続がメインシナリオ
米国の景気後退を予想する市場関係者は多いようです。しかし、これも過度な懸念は不要だと思います。最大の根拠は米国の中央銀行であるFRBが利上げを続けていることです。
FRBが景気の先行きを懸念しているのであれば、利上げを止めるか、少なくとも半年程度は利上げを先送りして様子を見るはずなのに、そうしていないわけですから、FRBは景気をそれほど懸念していないということになるわけです。
そうであれば、FRBと市場関係者のどちらを信じるか、ということになります。どちらも筆者よりは米国経済に詳しそうですが、筆者はFRBを信じます。
仮に筆者の予想が外れた場合には、読者各位におかれましては、筆者ではなく、FRBを批判して下さいね(笑)。
冗談はさておき、米国の景気が後退すると市場関係者が考えている根拠が、いまひとつ定かではありません。多くの株式市場参加者から聞こえてくるのは「長短金利(実際には2年物と10年物)が逆転しそうだから」というものです。過去に逆転した時は遠からず景気が後退した、というのが根拠のようです。
しかし、それでは「債券市場の参加者は景気後退を予想しているようだ。それなら景気は後退するのだろう」と言っているに等しいわけで、株式市場参加者の自尊心が疑われます(笑)。
ふたたび冗談はさておき、石油ショックなどでインフレが懸念され、FRBが引き締めを行なっている時には長短金利は逆転しやすく、また景気も後退しやすいのですが、今回はそうではないので、過去の長短金利逆転時との比較は危険でしょう。
リスクを考えればキリがないが゙……
その他、欧州の景気を心配している人もいます。英国のEU離脱が何の協定も結ばれずに実行されてしまったら欧州経済が大混乱するかもしれない、フランスのデモが拡大して全土の経済が混乱するかもしれない、等々ですが、筆者が見聞きしている範囲内では、そうした可能性は大きくないようです。
中国と米国については、万が一の場合には経済が大きく落ち込んで日本の景気を腰折れさせる 可能性もありそうですが、それほど可能性が高くないことを過度に懸念しても仕方ありません。
リスクシナリオについては、次回検討するとして、とりあえずは明るいメインシナリオを信じていただき、落ち着いた気持ちで正月を楽しんでいただければ幸いです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14907
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