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(回答先: 日産ゴーン事件で蘇る「塩路天皇」問題という負の歴史 日産は昔からの「膿」を出し切っていないのか 投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 28 日 15:39:46)
いかなる政府や機関からも技術へのアクセスを要求されたことない
ファーウェイ・ジャパンが声明を発表
2018年12月28日 14時00分 公開
[井上翔,ITmedia]
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ファーウェイ・ジャパン(華為技術日本)は12月27日、日本のユーザーに向けた声明を発表した。昨今報道される機会が多い、中国メーカー製の情報通信機器に対する懸念に対し、同社の見解と姿勢を示している。
声明文
ファーウェイ・ジャパンが発表した声明文「ファーウェイ・ジャパンより日本の皆様へ」
声明文は同社の王剣峰(ジェフ・ワン)社長名義で出されたもの。
サイバーセキュリティの重要性や各国政府やお客様のセキュリティに関する懸念を認識・理解しているとした上で、Huawei(華為技術)が事業を展開するすべての国や地域の法規制や国際電気通信規格を順守していること、全領域においてセキュリティとプライバシー保護を会社としての重要方針として注力していることを改めて強調。いかなる政府や機関からも技術へのアクセスを要求されたことはないとした。
一部報道で「ハードウェアに余計なものが見つかった」「マルウェアが見つかった」「仕様書にないポートが見つかった」と報じられていることについても改めて否定。日本において導入されている機器はHuaweiのみならずユーザーの厳格な納入試験を経て導入されていることをアピールしている。
→ファーウェイが声明 「製品に余計なものが見つかった」報道は「事実無根」と否定
→ファーウェイが再度声明 「スパイウェア」報道は事実無根、法的手続きへ
Huaweiの日本法人であるファーウェイ・ジャパンについても、声明発表時点で約1000人の雇用を抱え、その75%が現地(日本)での採用であること、2011年に日本経済団体連合会(経団連)に加盟したこと、多くの日本企業と協業してきたことなどを挙げ、日本に根ざして活動してきたことを訴えた。
ファーウェイ・ジャパンは「今後も安全性・安定性の高いネットワークの実現を企業使命とし、日本の通信事業者やパートナーの皆様とともに情報通信技術について研鑽を重ね、日本社会に貢献できるよう努めてまいります」としている。
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http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1812/28/news096.html
立花聡の「世界ビジネス見聞録」
「日本人に感謝」の裏に潜むファーウェイ副会長の本音
公開された日記に見る「論理破綻」
2018/12/28
立花 聡 (エリス・コンサルティング代表・法学博士)
ファーウェイは12月21日、カナダで逮捕された孟晩舟副会長(現在保釈中)の日記の一部を公開した。日記は、ある日本人から孟氏に宛てられた手紙に触れ、「世にも本当の人情が存在する」と讃え、情に訴えるものだった。私はネットでその日記の原文を探し当てたので、一部を抄訳する――。(原文参照:2018年12月21日付け「中財網」)
ファーウェイ副会長・孟晩舟氏(写真:Press Association/アフロ)
ある日本人が孟氏に宛てた手紙
「昨晩、ある日本人から私に宛てられた手紙で心が温まりました。繰り返しているように、世にも人情は存在します。危難に遭遇したときにも、面識の無かった多くの人が情を示してくれたことを知りました。
保釈の日、法廷で手続を待っている間に、弁護士が教えてくれました。弁護士事務所に知り合いでもない多くの人から、保釈金のために自分の財産を提供したいとの電話がありました。個人的な知り合いでなくても、彼たちはファーウェイを知っています。ファーウェイを認めています。だから、彼たちは私を信用してくれたのです。弁護士曰く彼の40数年の弁護士人生の中でもこんなことは初めてだそうです。知り合いでもない他人のために担保を差し出すなんて考えられなかったからです。弁護士の話を聞いていると、私は涙があふれてくるのを止められなかった。自分のためではなく、こんな多くの人たちが私を信じてくれたことで泣きました。日本福島地震の時、私はちょうどアメリカのIBM本社にいました。1週間のワークショップの最中でした。(中略)アメリカをすぐ離れることができないため、孫総経理を日本に送り込みました。
(中略)一通り仕事を片付けたところで、私はすぐに東京行きの航空券を取りました。日本の支店に行くと、震災後の復旧作業、顧客のネットワークの修復とわれわれ自社の日常運営についてスタッフ全員と打ち合わせを行いました。私の日本出張に先立って、会社の緊急処理班はすでに機能していました。孫総経理も日本から帰国したばかりで、私には現地での実務作業がほとんど残されていませんでした。私は日本へ行き、震災後の業務対応を総括し、業務プロセスの確認を行いました。私自身もたくさんのメモを取りました。
(中略)このたびの経験は、私は後日もほとんど言及したことがありません。何も特に自慢できるものがなく、すべてが私の仕事だったからです。しかし、善は報われる。8年後のいま、ある普通の日本人からの手紙で私は報われたのです。無比な誇りと慰めで胸がいっぱいです。誇りは、あの時あれだけのリスクに直面しながらも、私は日本行きの飛行機に乗り込んだことから来ています。勇気とは恐れないことではなく、心の中に確固たる信念をもつことです。慰めとは、われわれの努力を神が見つめ続けていたことで、われわれが払ってきた努力は決して無駄にならなかったことです。
日本人が抱える「永遠の宿命」とは
体裁的には「日記」よりも、対外的なブログ投稿に近い。前半の情に訴える部分には心に響くものが若干あったものの、後半ないし締めくくりの部分に至ってはナルシスト的な表現に一転し、どうも盛り下げる蛇足になったような気がする。まあ作文の巧拙は別として、それよりも、最終的に世間一般、あるいは日本人の目にこの胸中の告白はどう映ったのか。これに興味をもった。
この日記を取り上げて報じた日本のメディアは、私が調べたところでは、日本経済新聞と時事通信の2社であった(ほかにあるかもしれないが)。
日本経済新聞電子版は12月21日付けで「ファーウェイ、孟副会長の日記公開 日本からの激励に謝意」と題して報じた。果たして真実を反映した見出しであろうか。日記の前半を額面通りに受け取り、しかも、日本人の性善説的な視線からすれば、見出しに書かれた通りかもしれないが、原文の後半ないし結尾へ読み進めると、ニュアンスの変化に気付くはずだ。
孟氏は自分がいかに「危険を冒して」、被災直後の日本へ旅立ったことを誇りに思っているかを、情緒的に表現した。業務遂行の作業場が被災地近辺かどうかは知らないが、本当のネットワークの修復作業に当たったのはファーウェイの従業員、あるいは請負業者だったのではないか。彼女は部下が一通り仕事を片付けた後に日本に「駆けつけた」のだった。もし、顧客が感謝を述べるのなら、ファーウェイ社に対してであって、彼女という一個人ではないはずだ。
「彼たちはファーウェイを知っています。ファーウェイを認めています。だから、彼たちは私を信用してくれたのです」と、孟氏の日記に記されているが、論理的な文脈にはなっていない。ファーウェイを認めているから、副会長の孟氏を信用する。このようなロジックは成立するのだろうか。立派な会社であっても、その経営者や幹部が犯罪に及ぶ事例は世の中枚挙にいとまがない。
同日12月21日付けの時事通信の報道、「日本人の激励手紙に感動=ファーウェイ孟氏の日記公開」も基本的に日経記事と同じ基調であった。私はこれらのメディアを批判しているわけではない。むしろ日本人的な性善説からすれば、このような文脈は当たり前だと思っているからだ。しかし、日本から一歩出れば、外の世界は基本的に性悪説でできている。思考回路と現実のかい離は容易に消滅するものではない。むしろ日本人が抱える永遠の宿命なのだ。
「法」より「情」が優先される中国社会
日本人の宿命といったらそこまでだが、何としてでもこれからの世界でサバイバルしていかなければならない。そんな日本人には何が必要なのか。「日本の常識」や「世界の非常識」が語られるなかで、ときには親和感のない思考回路や目線をもつことも大切ではないかと私は考える。
今回はファーウェイに関連して、私はふとある古い報道記事を思い出した。中国の大手経済紙「第一財経日報」に掲載された1本の論説、「『情・理・法』と『法・理・情』」。その一節を訳出する――。
「中国大陸で20年以上も事業を経営してきたある香港人企業家が中国と香港の比較をする際にこう語った。中国大陸と香港は、どちらも法律、人情と道理を重視するが、ただしその順序と比重がまったく異なる。
香港の順序は、『法・理・情』。まず法律を重視する。企業は法律の保障を得ながらも、これらをすべて使い切ることはしない。法律を見渡して(契約の)合理性があるかないか、さらに人情があるかないかを検討し、相手方がより納得して受け入れられるように工夫するのである。
しかし、中国大陸の順序は、『情・理・法』。まずは情。親戚や知人、元上司がいるかどうかを見る。いると、理を語る番になる。理に適っていればいいのだが、理がない場合はどうするかというと、情さえあれば、無理して理を作り出し、理を積み上げ、『無理』を『有理』に変えていくのである。情があって、理があって、そこでやっと法の順番が回ってくる。法は重要だ。適法なら問題なし、みんながハッピー。違法の場合はどうするか。それでも大丈夫、法律ギリギリすれすれのグレーゾーンで何とかする。それでも難しいようであれば、みんなでリスクを冒して一緒に違法する。法は衆を責めず、法律は、みんなで破れば怖くない。
(中国大陸には)数え切れない『情』があって、説明し切れない『理』がある。これらが法の均一的な実施を妨害し、法体系を弱体化させ、規則の整合性を破壊する。法の実施は人治に依存し、人の主観によって規則も変わる。法治の躯体に人治の魂が吹き込まれ、法の形骸化に至らしめる。中国の社会や経済の矛盾は、法の意志を無視し、法治を基本ルートや最終的解決法としないところから生まれる。いわゆる人情や調和に価値を追求すればするほど、適正な目的に背馳し、縦横無尽な悪果を嘗め尽くすことになる」(以上引用・抄訳)
孟氏の日記は、「日本でこんなに良いことをやったのだから、私は犯罪に及ぶ悪人ではない。人情のある善人だ。信用されてもいいはずだ」と言わんばかりのニュアンスである。しかし、既述した通り、文脈における主体である会社と個人、その所為の無関連性が明らかであって、論理がすでに破たんしていた。
つまり、「情」に訴えようとしたところで、「理」が破たんしたのである。裏返せば、理がそもそも破たんしていたのだから、情に訴えざるを得なかった。そういう状況だったかもしれない。
気がつけば、孟氏のカナダでの逮捕は法律案件であって、「法」次元の話ではないか。さらに言ってしまえば、量刑にあたっての情状酌量の段階でもないのに、「情」や「理」を差し挟む余地はないだろう。
http://wedge.ismedia.jp/articles/print/14926
ファーウェイ、孟副会長の日記公開 日本からの激励に謝意
米中衝突 ファーウェイ ネット・IT 中国・台湾
2018/12/21 15:22
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【広州=川上尚志】中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)は21日、米国の要請でカナダで逮捕された孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)の日記の一部を公開した。日本人からファーウェイに激励の手紙が届いたことに言及し「心が温まった」と謝意を示した。米国やカナダに対する批判などの言及は無かった。
華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)=同社ウェブサイトより
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華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)=同社ウェブサイトより
ファーウェイは主に社員に向けた情報サイトで孟氏の19日の日記を公表した。日記は「世の中には本当の人情が存在する」というタイトルで、ファーウェイ日本法人に日本人から激励の手紙が届き、「誇りと慰めで満たされた」と表現した。カナダ当局に逮捕された後「面識の無かった多くの人から、(孟氏の保釈金のために)自分の財産を提供したいという連絡が弁護士事務所にあった」とし、「涙があふれてくるのを止められなかった」と書いている。
孟氏はイラン制裁違反の取引に関係した疑いで、カナダで1日に逮捕され、11日に保釈された。孟氏の逮捕が明らかになって以降、日本政府は政府調達でファーウェイなどの中国製通信機器を事実上排除する指針を発表している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3924199021122018FF8000/
日本人の激励手紙に感動=ファーウェイ孟氏の日記公開
2018年12月21日16時25分
孟晩舟 中国・華為技術(ファーウェイ)の副会長兼最高財務責任者(AFP時事)
【北京時事】中国メディアは21日、カナダで逮捕後保釈された中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長を激励するために日本人が書いたという手紙と、手紙への感動をつづった孟氏の日記を一斉に伝えた。
【特集】米政府「内部文書」から読み解く「ファーウェイ」逮捕劇の「深層」
手紙は、東京在住の「小さな会社の社長」が孟氏とファーウェイの従業員宛てに日本語で書いたもので、17日に日本法人に届いた。この中で「他の企業が逃げるように撤退する中、被災地に入り、被害を受けた通信設備の復旧作業に当たった」と、東日本大震災直後の同社の献身的な仕事を評価。「孟氏は恩人だ」と謝意を伝えている。
これを読んだ孟氏は19日の日記に「8年後にこんなお返しがあるなんて思いも寄らなかった。誇りと慰められる気持ちでいっぱいだ」と記した。孟氏も当時、日本を訪れ緊急対応に当たったという。(2018/12/21-16:25)
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https://www.jiji.com/jc/article?k=2018122106097&g=int
米政府「内部文書」から読み解く「ファーウェイ」逮捕劇の「深層」
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山田 敏弘
華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)=2014年10月2日、モスクワ【EPA時事】
カナダ司法省が、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」の創業者である任正非CEO(最高経営責任者)の実娘で、CFO(最高財務責任者)兼副会長の孟晩舟を逮捕したニュースは、世界を震撼させた。
ファーウェイと言えば、2017年に世界で6036億元(約10兆円)の売上高を記録した大手企業で、スマートフォンの売り上げでは今年の第2四半期に「アップル社」を超えて世界第2位に躍進し、1位の「サムスン電子」に迫る形となっていた。またインターネットなどの通信インフラとなる通信基地局のシェアでは、世界1位だ。日本では中国企業として初めて、2011年に日本経済団体連合会(経団連)に加盟している。
そんな企業の副会長が、カナダで飛行機を乗り換える際に突如逮捕されたのだから、大きな驚きをもって受け止められたのは当然だろう。
取ってつけたような容疑
ただ、政府やサイバーセキュリティの関係者などにとって、このニュースは何ら意外ではなかった。なぜなら、ファーウェイや同様の中国通信機器大手「中興通訊」(ZTE)などについては、米国政府が中心となって以前よりあの手この手で排除を目論んできたからだ。その20年前にまで遡る歴史を知っていれば、今回の「対イラン制裁違反」という容疑が取ってつけたようなものだとわかる。
さらに言うと、カナダ政府は2016年にファーウェイの職員に対するビザの発給を、スパイ疑惑を理由に拒否したことがあった。その点からも今回の逮捕に驚きはない。
もちろん、逮捕の背後に米政府の存在があるのは言うまでもない。
華為技術(ファーウェイ)のロゴ=2018年12月6日、北京【AFP時事】
長く小競り合いを繰り広げてきた米政府とファーウェイだが、ある米政府関係筋に言わせれば、「5G」(第5世代移動通信システム)をめぐる米政府の焦りが争いを加速させている。この関係筋が、「両者の争いは5Gをめぐって『戦争』に変わった」と語るほどだ。
筆者は最近、この関係筋から、米政府が5Gの現状についてまとめた内部文書を入手した。そこからは、5G時代に「劣勢」にある米国の焦りが垣間見え、日本を含め世界の同盟国にファーウェイ排除に向けた圧力をかけてきたワケも感じ取れる。文書をじっくり読むと、いまやサイバー空間をめぐる「グレートゲーム」が激化していることがわかるのである。
米政府には目の上のたんこぶ【次ページ】
米政府には目の上のたんこぶ
華為技術(ファーウェイ)の創業者である任正非・最高経営責任者(CEO)=2015年1月22日、スイス・ダボス【AFP時事】
本題に行く前に、まずファーウェイと米国のこれまでの動きを簡単に振り返りたい。
中国人民解放軍出身の任CEOは、1987年に広東省深圳でファーウェイを立ち上げた。同社の公式サイトにある任のプロフィール・ページ(英語版)によれば、彼は1974年に人民解放軍に入隊し、エンジニア部門で幹部を務め、1982年には中国共産党全国代表大会に参加したという。1983年には除隊しているが、「軍の階級は得ていない」とわざわざ記す同プロフィールは、任の元軍人というイメージを薄めようとしていると思われる。
そんなファーウェイは、2000年代に入ると米国などにビジネスの場を広げ、2005年には日本に進出している。
ファーウェイ・ジャパンが開催した新製品発表会で、フラッグシップモデル「HUAWEI Mate20 Pro」を持って登壇した、ファーウェイデバイス日本・韓国リージョンの呉波プレジデント=2018年11月28日、東京都港区【時事通信社】
同社が米国で顰蹙を買うようになったのは、進出してすぐのことだった。欧米企業から知的財産を盗んでいると指摘され、訴訟沙汰になったからだ。事実、「パクリ」と認定された製品の販売を止めたこともある。そうした向かい風は、同社幹部がメディアに「もう米国市場には興味がない」と主張するほどだった。これが2000年代のことである。
だがその後、ファーウェイは米国においてだけでなく世界的にも成長を続けた。同時に米国内でスパイ疑惑などが取り沙汰されるようになり、米政府には目の上のたんこぶとなった。
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ファーウェイ禁止の世界的な広がり
華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・副会長兼最高財務責任者(CFO)[同社HPから]【時事通信社】
NSA(米国家安全保障局)は2009年頃からファーウェイを脅威と見做し、任CEOに対するスパイ工作である作戦名「ショット・ジャイアント」を開始。内部文書や電子メールのやりとりを監視していただけでなく、同社製品のソースコードまで入手していた。
こうした背景から、2012年に米連邦議会がファーウェイは危険だとする報告書を発表したり、2014年に米政府が正式にファーウェイを政府機関などの入札に参加できなくする措置を取ったりした。さらに2018年8月には米国防権限法により、米政府や関係機関でファーウェイとZTEの機器使用を全面的に禁じた。
そして、オーストラリア政府やニュージーランド政府だけでなく、英国の「英国電気通信」社も相次いで両社製品を禁止にした。この背景の1つには、米国が諜報活動を共有する「ファイブ・アイズ」(米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニュージーランド)などの同盟国に、情報保全のためにファーウェイを締め出すよう要請したことがある。
記者会見する菅義偉官房長官=2018年12月10日、首相官邸【時事通信社】
また米国は最近、日本やドイツにも中国にからむインテリジェンスに限って機密情報を提供し始めたが、それがファイブ・アイズ同様のファーウェイ禁止措置を求める口実にもなっている。せっかく渡した機密情報が同盟国から流出するリスクは排除したい、というのが米国の主張だ。そのため日本も12月10日、ファーウェイを政府調達などから排除する方針を表明したが、孟・副会長の逮捕は方針を発表するには絶好のタイミングだったというわけだ。
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中国のスパイ活動につながっていく
北京にある華為技術(ファーウェイ)の店舗前を歩く人々=2018年12月10日【AFP時事】
ただ、情報流出以上に米国にとっては重大な懸念がある。すでに述べた通り、5Gの存在だ。
では実際に、米政府は5Gの現状と今後をどう見ているのか。筆者が今回、米政府関係筋から入手した政府の公式内部文書をもとに見ていこう。
最近作成されたこの文書は、今後米国がいかに5G時代をリードすべきかを政府内で議論するためにつくられたものだ。文書は、米国が5Gの分野ですでに劣勢に立たされている現実を浮き彫りにしていく。
まず5Gの可能性について、こう言及している。「5Gは、単純に現在の4Gより速い速度の通信、ということではない。この次世代の通信技術は、米国が世界中の競合から1歩抜き出ることを可能にし、米国民に安全で信頼できるインフラを提供することになる」。
そしてこう訴えている。「5Gの時代、これはチャンスなのである。このチャンスを手にしなければ、中国が政治や経済、そして軍事でも勝利することになるのだ」と。
その上で、ファーウェイなど中国企業を名指しする。「ファーウェイは(通信の基地局などの世界的シェアを高めていることから)インフラそのものになりつつある。シェアの拡大に成功し、特に途上国ではそれが顕著である。ただ米国のような先進国はそれを許してはいけない。ファーウェイがインフラになれば、中国のインテリジェンス活動(スパイ活動)に繋がっていくからだ」
米ホワイトハウス=2018年8月27日、ワシントン【EPA時事】
前出の米政府関係筋は、筆者にこう解説する。「そもそもファーウェイがここまで大きくなったのは、他人のテクノロジーを盗んだりしたからだと言っていいだろう。先進国の企業などは、研究開発に多額の資金を費やして得た技術を盗まれてしまう。そしていまファーウェイは、競争相手のメーカーよりも値段を低く設定してマーケット・シェアを拡大している。中国はそれによって、世界で情報収集をする、つまりスパイ活動をするためのシステムをつくり上げていると言っていい」。
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ネットワークへの不正侵入も
中国の習近平国家主席(左)と、華為技術(ファーウェイ)の創業者である任正非・最高経営責任者(CEO)=2015年10月21日、ロンドン【AFP時事】
中国の習近平国家主席(左)と、華為技術(ファーウェイ)の創業者である任正非・最高経営責任者(CEO)=2015年10月21日、ロンドン【AFP時事】
中国のスパイ活動については、2018年2月にも、米上院情報委員会に出席したCIA(米中央情報局)のマイク・ポンペオ長官(当時)、FBI(米連邦捜査局)のクリス・レイ長官など6つの情報機関のトップが連名で警鐘を鳴らしている。彼らは、中国政府が世界中に広がったファーウェイの製品を介して「悪意を持って情報を盗んだり、操作したりすることができ、気づかれないままスパイ活動をしている」とし、同社製品の使用をやめるべきだと警告した。スマホや通信機器などといったネットワークに使われるファーウェイ製品を介して、中国は情報搾取をしているという。
危険性は、スパイ活動にとどまらない。情報収集するには、大抵の場合、ネットワークに不正に侵入する必要があるが、「ネットワークに侵入すれば、攻撃者は破壊行為も妨害行為もできてしまう」(前出・米政府関係筋)という。通信、鉄道、電力、水道など重要インフラが狙われれば、大惨事が起きることは想像に難くない。
記者会見するポンペオ米国務長官。中央情報局(CIA)長官を経て2018年4月に就任した=18年12月4日、ブリュッセル【AFP時事】
記者会見するポンペオ米国務長官。中央情報局(CIA)長官を経て2018年4月に就任した=18年12月4日、ブリュッセル【AFP時事】
では、なぜここまでファーウェイが優勢になってしまっているのか。文書はこう指摘している。「中国は、ファーウェイが国外で同社製品の導入契約を推し進めることができるよう、そのための融資額の限度を1000億ドルに拡大している。積極的な価格設定、外交的なサポート、国外における贈賄の疑いなど、こうした手段を合わせて、光ファイバーやルーター、さらに無線インフラ分野であっという間に市場シェアを獲得した。それにより、5Gの市場におけるリーダーシップも手中に収めようとしている」。
要するに、中国政府自らがファーウェイを全面的にバックアップしながら、サイバー空間における4Gや5Gなどの市場シェアを獲得すべく動いているのだ。
【前ページ】中国のスパイ活動につながっていく 劣勢を認識しているトランプ大統領【次ページ】
劣勢を認識しているトランプ大統領
トランプ米大統領=2018年12月11日、ワシントン【EPA時事】
トランプ米大統領=2018年12月11日、ワシントン【EPA時事】
とは言え、米国は指をくわえて見ているわけにはいかない。「米国政府は官民による協力で、現在あるテクノロジーを駆使して、数年内にこの5G時代のチャンスを我がものとするために、強力で決意ある強力なリーダーシップが必要となる」と、文書は書く。
しかし、「さもないと」と続く。「米国は今、崖っぷちにある。情報化時代の未来を率いるか、もしくは、サイバー攻撃の渦から抜け出せなくなるのである」。
現在、ドナルド・トランプ米大統領が、米中貿易戦争のなかにありながら、長く因縁のあるファーウェイに対して厳しく対峙しているのも、こうした見解が背景にあるからだ。トランプ大統領は5Gの重要性、そして米国の劣勢をはっきりと認識していると考えていい。
今年、ファーウェイと並ぶZTEを一旦、米国内で活動禁止にしてから、禁止解除の条件としてビジネスを監視できるような妥協案を引き出したのも、その流れだと言える。
中国・広東省の深圳市にある中興通訊(ZTE)の本社=2018年5月14日【EPA時事】
中国・広東省の深圳市にある中興通訊(ZTE)の本社=2018年5月14日【EPA時事】
ファーウェイのスマホや通信機器、5G時代のネットワークに繋がるIoT(モノのインターネット)機器などの市場シェアを考えると、このままでは米国が5G時代のサイバー空間を支配することは容易ではない。だからこそ、ファーウェイを5G市場から今のうちに締め出したり、同社創業者の実娘である幹部を逮捕したりと、強引な手段に出始めている。おそらく、ファーウェイ、つまり中国側が5Gにも繋がる何らかの「妥協」を示さない限り、この傾向はさらに強まるのではないだろうか。
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ロシア製品の排除も
ロシアのプーチン大統領=2018年12月8日、モスクワ【AFP時事】
ロシアのプーチン大統領=2018年12月8日、モスクワ【AFP時事】
ちなみに米国は、やはりサイバー大国であるロシアの製品の排除にも乗り出している。こちらの原因は5G絡みではないが、ロシアのサイバーセキュリティ企業「カスペルスキー」のアンチウイルスソフトが、ロシア政府のハッカーたちに利用されていることが判明。世界で4億人が使っているというカスペルスキーのソフトをインストールしているパソコンの内部が検索できるようになっていたとして、大きく報じられた。
実際にNSAのサイバー攻撃手法などの情報が、カスペルスキーをインストールしていたNSA職員の自宅パソコンから盗まれたことが報告されている。
ロシアのセキュリティー大手カスペルスキーの創業者ユージン・カスペルスキー氏=2013年6月4日、ワシントン【AFP時事】
ロシアのセキュリティー大手カスペルスキーの創業者ユージン・カスペルスキー氏=2013年6月4日、ワシントン【AFP時事】
米政府はこれを受けて、政府機関でカスペルスキー製ソフトウェアの使用を禁止し、米家電量販店「ベスト・バイ」なども商品の販売をやめている。ロシアとも、サイバー空間でのせめぎ合いが続いているのである。
今回のファーウェイ逮捕劇で、5G時代のサイバー空間をめぐる主導権争いは、さらになりふり構わぬものになっていく可能性がある。中国、そしてロシアも絡めたこの「グレートゲーム」に勝利するのは誰なのか。
結果はそう遠くない未来に明らかになるだろう。(2018年12月)
◇ ◇
【山田 敏弘】ジャーナリスト、ノンフィクション作家、翻訳家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版などを経て、米マサチューセッツ工科大学(MIT)のフルブライト研究員として国際情勢やサイバー安全保障の研究・取材活動に従事。帰国後の2016年からフリーとして、国際情勢全般、サイバー安全保障、テロリズム、米政治・外交・カルチャーなどについて取材し、連載など多数。テレビやラジオでも解説を行う。訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文芸春秋)など多数ある。
【前ページ】劣勢を認識しているトランプ大統領 山田 敏弘【戻る】
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