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(回答先: ゆうちょ限度額倍増、貯金集める意図はない=日本郵政社長 預入限度額引き上げでトップ辞任が不可避 投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 27 日 19:54:42)
2018年12月27日 週刊ダイヤモンド編集部
激変する中国農業〜デジタル化で日本を圧倒〜(上)
ドローンが変える農業、中国はとっくに日本の先を行く
かつて中国の農業は、日本より規模が小さく、技術も遅れていると見られてきた。だが、現実には、ドローンや人工知能(AI)の活用で日本のはるか先を行っている。「儲かる農業」を実現するために中国から学ぶことは多い。激変する中国農業の現場を上下2回にわたってレポートする。(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)
中国各地でのドローンの飛行状況を可視化したプレゼンテーション。新疆(しんきょう)ウイグル自治区は木綿の大規模な農場が多く、ドローンの先進地域だ Photo by Hirobumi Senbongi
中国・広東省広州市の高級ホテルの宴会場に、中国の農業を変える1000人超の若者が集まっていた。
彼らは中国農業用ドローン最大手、XAGの社員や販売代理店の責任者たちでほとんどが20代だ。それもそのはず、イベントのホスト役であるXAGの社長が36歳、社員の平均年齢が27歳という若い会社なのだ。
同社のドローンはボタン一つで自動飛行して農薬を散布し、農薬使用量を3割減らせる。将来的には、上空から種をまいたり、空撮した画像を解析して除草剤や肥料を最適化したりして農業を激変させる可能性を秘める。
熱気に包まれたホテル会場で、中国各地でのドローンの飛行状況(写真上)や、バッテリーの性能を改善した新型ドローン(写真下)が発表されると参加者らの野太い歓声が上がる。
新型ドローンの出来を見る代理店関係者
新型ドローンの出来を見る代理店関係者ら。現場で活用されているからこそ課題が生まれ、性能が改善する Photo by H.S.
彼らの勢いは数字にはっきりと表れている。
イベントが行われた12月14日だけで6000台のドローンが予約販売された。代金の一部を前払いする保証金として1億元(1元=16・0円)がXAGに支払われたという。
6000台という数字は、2018年に日本の「ロボット大賞」で農林水産大臣賞を受賞したある日系ドローンメーカーの19年の受注目標数の60倍に相当する。
中国の農業用ドローンは、予約販売数だけでなく稼働数(販売済みドローンのうち、実際に稼働している数)も桁違いだ。
中国でのドローン飛行面積は
日本の農地面積の8割に相当
18年に稼働していたXAGの農業用ドローンは1万3000台で前年からなんと3倍に増えた。年間の飛行総面積343万ヘクタールは日本の農地面積の約8割に相当する。
日系メーカーの農業用ドローンのほとんどが実証段階の活用にとどまるのに対し、中国ではすでに万単位のドローンが飛び、集めた作物の生育データをAIが解析して農業を変えようとしている。
AIの技術開発や自動運転の実用化などで中国企業が日系企業に先行するケースが増えているが、農業でのドローンの活用でも中国がはるか先を行っているのだ。
もちろん、中国の農業に課題がないわけではない。日本と同様に若者は農村から都市へ流出し、農業従事者は10年で1割減った。長く「一人っ子政策」を続けてきた影響もあり農家は急速に高齢化して農村の荒廃も目立っている。
農村を歩けば、いまだに重たいジョウロを両肩に担いで水を散布したり(写真下)、強烈な匂いのする肥(ふん尿)を運んだりする昔ながらの農家の姿が見られる。中国で農業は決して若者があこがれる職業ではない。
野菜に水を撒く広州市の農家
野菜に水を撒く広州市の農家。農薬もこのように人が背負って噴霧することが多かった Photo by H.S.
だが、少なくとも中国にはドローンを足掛かりにして農業を変革しようとする大きな「うねり」がある。
アリババも参加した
「未来農場」づくり
XAGのジャスティン・ゴン共同創業者兼副社長は「中国では最新のテクノロジーが次々と受け入れられている。ドローン購入費を政府が補助する追い風もあり、今後5年で中国農業は劇的に進化し、デジタル化する」と言い切る。
ゴン氏がそう明言できる背景には歴とした根拠がある。世界的なテクノロジー企業がタッグを組んで、農業・農村を再生する取り組みが始まっているからだ。
XAGは18年6月、中国IT大手アリババグループで農産物のネット販売を行うRural Taobao(農村淘宝)、農薬・種子の世界最大手、独バイエルと提携して「未来農場プロジェクト」を始動した(写真4)。食料の生産から販売までの持続可能なモデルを確立するのが目的だ。
未来農場プロジェクト
未来農場プロジェクトでバイエルは、ドローンからの効率的な農薬散布技術で貢献する Photo:XAG
19年には中国などでコメやかんきつ類、リンゴ、イチゴ、木綿など10品種以上にドローンを活用する生産モデルを確立。作った農産物は、農薬の使用量や産地など素性がはっきりした商品として付加価値をつけて農村淘宝で販売する。
まさに、農家の生産から販売までをテクノロジーが変えることになるわけだが、それで終わらないのが中国だ。
農業でも発生する
日中の「テクノロジー格差」
中国には、アリババグループなどIT企業が手掛ける電子決済システムによる買い物や納税、ローンの返済履歴といった行動から個人の信用力を点数化するシステムがある。
この信用スコアに基づいて手軽に融資を受けられる仕組みを農村振興にも生かそうと官民が連携しているのだ。
例えば、信用力がある都市の若者が農業に参入する際に、アリババグループの金融機関、アントフィナンシャルが低利で融資する。
すでにアントフィナンシャルはドローンを購入する農家らに融資を始めているが、今後、未来農場プロジェクトにも関わっていく予定だという。
テクノロジーで競争力を高めた農家とそれをしなかった農家の間では、資本コストから農産物の販売力まで大きな差が生まれ、格差は拡大していく。
〓小平(トウ・ショウヘイ・〓は登に?)が唱えた「先富論(先に豊かになれる者たち[沿岸部]を豊かにし、後から条件不利地の者たち[内陸部]を助けること)」には賛否があるが、その改革・開放政策の基本原則によって中国が急成長したことは事実だ。
中国にとって都市と農村の格差是正は、社会を安定させるための最重要課題の一つだ。中国政府は農村の中でも、成長できる農家に資源を集中する「先富論」に基づく振興策を実行しようとしているように見える。
次の記事『日本の農家より儲かっている「中国ドローン農家」の働き方』では、テクノロジーを駆使して経営を拡大しようとする24歳の若手農家の戦略をレポートする。
https://diamond.jp/articles/-/189770
2018年12月27日 週刊ダイヤモンド編集部
激変する中国農業〜デジタル化で日本を圧倒〜(下)
日本の農家より儲かっている「中国ドローン農家」の働き方
中国の都市住民が豊かになったことは知られているが、農村部は「いまだに貧しい」「遅れている」といったイメージが付いて回る。しかし、農業の現場を取材すると、中国の若手農家は抵抗感なくテクノロジーを受け入れ、経営を革新していることが分かった。(「週刊ダイヤモンド」編集部・千本木啓文)
>>前編『ドローンが変える農業、中国はとっくに日本の先を行く』から読む
家畜のアヒルの群れを操る男性
家畜のアヒルの群れを棒一本で操る男性。中国の農村には昔ながらの暮らしが残っている Photo by Hirobumi Senbongi
北京市、上海市と並ぶ中国三大都市の一つ、広東省広州市の中心部から車で1時間30分ほど走ると、スーパーもコンビニもない農村の風景が広がる。
ロープに掛けられた豚肉(ベーコン)と魚(干物)。スーパーに並ぶ商品とは違う迫力がある Photo by H.S.
車がすれ違うこともできない狭い路地を進むと昔ながらのレンガ造りの家々が並ぶ集落に入る。アヒルの群れが歩いていたり(写真上)、豚肉や川魚が干されていたり(写真右)と、あまりの牧歌的風景にタイムスリップしたかのように感じる。
農業用ドローンを使った農業に取り組むレモン農家、郭建華さん(24歳)の農場には、伝統的な暮らしの中にソーラー発電の電灯などが混在していた。ドローンに限らず新しいもの好きな一家なようだ。
バンズのスニーカーにナイロンパンツをはいた郭さんはクールな青年だが、経営拡大に向けて静かに闘志を燃やしていた。
20ヘクタールもの農地を
たった1人で管理
ドローンの飛行経路を設定中
ドローンを飛ばすために飛行経路のデータを呼び出す郭さん。位置情報さえ記録されていればボタン一つでドローンを飛ばせる Photo by H.S.
郭さん一家は建華さんと両親の3人でレモンを作ってきたが、2018年8月に中国農業用ドローン最大手、XAGのドローンを導入してから20ヘクタールのレモン畑を建華さん1人で管理するようになった(収穫期のみ数人のパートを雇用)。
レモン畑でドローンを飛ばしてもらったが、必要な作業はポリタンクに農薬を入れることと、スマホで農薬を散布するエリアを選び、タップすることのみ(写真上)。ドローンが自動飛行してレモンの木の列に沿って飛び、農薬を散布して元の位置にぴたりと着地するまで郭さんは見守っているだけだった(写真下)。
農薬を散布するドローン
1回の飛行で、12リットルの農薬を2ヘクタール弱の農地に散布できるという。RTKという技術を使うことで誤差は数センチ以内にできる Photo by H.S.
初めにドローンで畑の形や木の位置を記録し、基地局を建てれば、それ以降は前述の作業だけで農薬を散布できる。おまけに農薬を無駄なく撒けるようになり、使用量を3割減らせた。
かつては両親と3人で、人力で農薬を撒いていた。1ヘクタールに散布するに丸一日掛かる重労働だったが、いまでは全農地(20ヘクタール)の散布が1日で終わるという。
すでに日本の農家より
儲かっている
20ヘクタールの農地を1人で管理する郭さんの農場は、規模と生産性で日本の農家を圧倒している。
日本の農水省によれば、国内のかんきつ農家(レモンや温州ミカンを含む)の平均経営面積は0・5ヘクタールだ。筆者が過去に取材した2〜3ヘクタールで専業的にかんきつ類を作る農家では3〜4人がほぼ通年で作業していた。
郭さんは年間600トンを生産するが、これに1キロ当たりの平均単価8元(1元=16・0円)を掛けると売上高は7680万円になる。これに対し日本の果樹農家の過半は売上高200万円未満となっている。
「ゆとり農業」の郭さん
ドローンは夜にも作業でき、郭さんの作業負担が軽減された。午前10時過ぎに作業を始める「ゆとり農業」を実践中だ Photo by H.S.
目下のところ、郭さんの最大の悩みは販売価格の安さだ。足元ではレモンの単価が1キロ5元まで暴落している。郭さんは「(市況が改善し)売り上げが増えれば、農地を借りてさらに経営を拡大できるのに」と悔しさをにじませる。
しかし、この悩みも農業のデジタル化がいずれ解決する可能性が高い。
ドローンによって減らした農薬使用量などの生産データを記録し、消費者に開示できるようになれば、「環境に配慮して生産した、産地がはっきりしたレモン」として有利に販売できるからだ。
中国では中国ネット販売大手のアリババグループが農産物の販売などを通じた農村振興に力を入れ始めており、XAGや農薬・種子の最大手、独バイエルと提携して農業経営のモデルづくりに着手している(激変する中国農業〜デジタル化で日本を圧倒〜(上)を参照)。
変われない日本農業界
硬直性が命取りに
農業用ドローンは、平地の農業だけでなく、中山間地の農業にとっても大きなメリットがある。農薬散布などの作業が大変な傾斜地にあるミカン畑や棚田が耕作放棄されている日本農業の救世主になれる存在だ。
ところが、日本は残念なことに農業用ドローン後進国だ。
その背景には、無人のラジコンヘリや田植機といった旧世代の機械の普及率が他国に比べて高く、規制や企業の行動が既存の機械ありきの現状に固定されてしまっていることがある。
日本政府は不要なドローン業界の慣習や規制を撤廃する方向だが、企業の行動のほうが変わるのに時間が掛かるかもしれない。
例えば、日本の水田面積の実に4割で無人ヘリからの農薬散布が行われているが、そのメーンプレーヤーであるヤマハ発動機などが育成した無人ヘリ操縦者は1万人を超える。
ヤマハは認めないが、同社が2019年春に売り出すドローンに完全自動飛行の技術を導入しないのは、「1万人の仕事をすぐに奪うわけにはいかないからではないか」(ドローン業界関係者)と見られている。
また、今後問題になりそうなのが「コメは田植機で作るものだ」という固定観念だ。ドローンで上空から種をまけば、農家は苗を育てたり、田植機を移動しながら苗を植えたりする作業から解放される。
だが、農機メーカーはドル箱である田植機が不要になるような技術の開発・普及には消極的だ。「稲が一列に育っていないとコンバインで刈り取りにくい」(大手農機メーカー)といったメーカー起点の発想では、農家の支持は得られないだろう。
農業業界に必要な
“サブスク”への転換
最後に、農業のデジタル化を阻む最大の障壁になりそうなのが、売上高至上主義の農業業界の商習慣だ。
これまでメーカーも農協も、農機や農薬の量を売ることに神経を注いできたが、これからはソリューションを売ることが求められる。
農薬が典型だが、これまで全ての病気、害虫を防ぐために全方位的にリスクをカバーする農薬が使われてきた。今後は「前回枯らせなかった雑草に効く農薬」や「あの畑に必要な肥料」といった農地ごとに最適化された必要最小限の化学物質を散布するようになる。
つまり売上を追っていてはビジネスが成り立たなくなるのだ。
変わって隆盛するのが、季節単位で定額料金を農家からもらい、その対価として農薬や肥料の散布といったサービスを提供するサブスクリプション(定額制)のビジネスモデルになると見られる。
農家は、農薬や農機を買いたいからではなく、効率的かつ安定的に農産物を作るために投資をしている。それを最も知っているはずの農協や上部団体のJA全農が企業に先駆けてソリューションビジネスに転換できなければ、シェアを失うだけでなく、存在意義を問われることになるだろう。
農業業界の既存勢力がデジタル化時代の農家の支持を得るのか、新規参入者が業界地図を塗り替えるのか、いまはその転換点にあると言える。
https://diamond.jp/articles/-/189770
2018年12月27日 The Wall Street Journal
対日輸出の縮小、米農家に大きな頭痛の種
日本の農業市場開放というチャンスを米農産物生産者が逃すのは皮肉な状況だ
畑を走るトラクター
Photo:PIXTA
【ワシントン】中国向け輸出の急減に直面する米国の農業関係者は今、アジアで中国に次ぐ2番目の市場に向けた輸出の減少も強く懸念している。その市場とは日本だ。
日本は、環太平洋経済連携協定(TPP)参加11カ国の協定「TPP11」が発効する12月30日から、関税の引き下げや輸入割り当ての緩和を開始する。その対象国にはカナダやオーストラリア、ニュージーランド、チリなど、農業分野の対日輸出で米国の最大級の競争相手が含まれている。
米国は元々はTPP交渉の参加国だったが、ドナルド・トランプ大統領が昨年に離脱を決めた。
日本はTPPに続き、2月1日には欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)を発効させる。これにより、EU加盟28カ国の農産物にTPPと同様の貿易障壁緩和が実施され、フランスやスペイン、イタリア、オランダなど米国の競争相手は有利になる。
日本は中国とは異なり、トランプ関税への報復措置としての米国産品の輸入阻止には動いていない。むしろ、それとは逆の対応だ。日本は、米国を除く世界の40近い国・地域との間で、野心的な市場開放の取り組みを加速させている。
しかし、その効果は米国産品への輸入規制と似通っている。米農務省は5月の報告書で、日本の新たな自由貿易推進姿勢は「世界中の競争相手国に有利な市場参入条件を与えることで、米国の市場シェア縮小や米農産物輸出業者の利益減少の懸念を引き起こす」と警告していた。
米農業団体も、最近の公聴会で同様の懸念を表明した。
米小麦協会のトップを務めるビンス・ピーターソン氏は、「(小麦輸入の半分程度を米国産に依存している)日本はわれわれにとって、最大で最も信頼できる重要な市場」だと指摘。その上で、米国の競争相手が間もなく米国の生産者より10%近く低い実効関税率で対日輸出できるようになることに触れ、「現在われわれは、差し迫った崩壊に直面している」と警告した。
同氏はまた、中国との貿易摩擦の影響で、米国が何カ月間にもわたり中国に「一粒の小麦も輸出していない」ことを当局者らに訴えた。
米食肉輸出連合会(USMEF)は、日本の新たな貿易協定によって今後5年以内に牛肉および豚肉の輸出に年間10億ドル(約1100億円)を超える損失が生じると推測している。
米政権当局者らは、こうした状況から生じる不均衡の是正を目指し、日本との自由貿易協定に向けた交渉の土台作りを進めていると語る。これらの交渉に向けて目標を検討するための公聴会は既に開かれた。トランプ政権は21日に目標を公表し、大幅な関税の引き下げを通じて「米国の農産品の幅広い市場アクセスを得る」ことなどを約束した。
しかし、これらの交渉の開始はTPP11と日欧EPAの発効後になる公算が大きい。また交渉自体、農業とは直接関係しない問題をめぐって行き詰まる可能性もある。そこには、日本が永続的な自動車の貿易黒字を削減する方法を模索すること、為替操作を疑われる行為を規制する新たな施策を受け入れること、さらには捕鯨の縮小に至るまでのトランプ氏の要求も含まれる。
米通商代表部(USTR)の報道官はコメントを差し控えた。
日本市場は「一層重要に」
日米間で早期に合意が締結されれば、米国の生産者が被る損失は制限される。米国の競争相手への関税引き下げは、何年かかけて段階的に行われるからだ。しかし、米国から日本への輸出が多い2大農産品である牛肉と豚肉などは即時に関税が引き下げられる。
EUとTPP加盟国の輸出業者は来年4月1日までに、冷蔵および冷凍牛肉の関税率が26.6%になる。米国の輸出業者が課される関税は38.5%だ。加工豚肉については、EUおよびTPP加盟国が13.3%、米国が20%の関税を課される。
米国の一部生産者は既にビジネスを失いつつあると語る。カンザス州に本拠を置く豚肉生産会社シーボード・フーズのバイスプレジデントを務めるケビン・スミス氏は、長年の顧客が「関税引き下げの好機を生かすことに備えて新たな供給網を構築する」なかで、同社が「既に受注減に見舞われている」と話す。
米国の農家が強い懸念を抱いているのは、これまで日本が最大かつ最も安定した輸出市場の一つであり続けていたからだ。2017年の日本の米農産品の輸入額は119億ドル。米国からすると、日本は中国、カナダ、メキシコに次ぐ4番目の輸出先だ。この4カ国のうち、トランプ政権による鉄鋼・アルミ関税への報復として米農産品に新たな制裁措置を科さなかったのは日本だけだ。
米食肉加工大手スミスフィールド・フーズはUSTRにあてた見解で、「報復関税などによりメキシコや中国など他の主要市場で問題に直面していることを考えれば、われわれの業界にとって日本市場は一層重要なものとなっている」と指摘した。
日本が長期にわたって保護してきた農業市場を積極的に開放するというチャンスを米国の農産物生産者が逃すというのは皮肉な状況だ。米国は数十年にわたり、日本に農産物輸入を増やすよう迫る先頭に立ってきた。また米企業も日本で欧米型食生活が広がるような取り組みを熱心に進めてきた。
USTR代表補としてTPP交渉で米国の首席交渉官を務め、昨年退任したバーバラ・ワイゼル氏は、「米国はTPP交渉において日本の農業市場を開放する推進役だった」と指摘。「米国が交渉して獲得した市場アクセスという利益を海外の業者が刈り取っているが、米企業はそれを傍観する立場に置かれている」と述べた。
(The Wall Street Journal/Jacob M. Schlesinger)
https://diamond.jp/articles/-/189744
米大学もチャイナマネーの仕切り直しが必要だ−ブランズ
コラムニスト:Hal Brands
2018年12月27日 10:15 JST
改革・開放政策の中国は米国の教育機関にとって「約束の地」だった
デュークやジョンズ・ホプキンスなど中国キャンパス持つ名門校も
中国の通信機器メーカー、華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)の孟晩舟最高財務責任者(CFO)が対イラン制裁違反を主張する米国の要請を受けてカナダで逮捕されたことで、米中政府間の緊張が一段と強まると同時に、米国におけるチャイナマネーの暗部にも目が向けられつつある。
ツイッターの世界で広がったのは、米政府が中国の情報機関とつながりがあると考えている華為からの資金を受け入れている米国のシンクタンクもあるとの指摘だ。
ここにきて中国との関係について真剣に考える必要があるのは学術・研究機関だけではない。大学もまたジレンマを抱える。米国の競争力を実際に弱めてしまうような条件反射的な反中国政策に向かうことなく、真の危険を回避できるようにすることが、こうしたジレンマに対処する上での厄介な点だ。
中華人民共和国の建国以来、巨大な中国市場は米国人を引き付けてきた。1970年代以降の米中国交正常化や中国の改革・開放政策の中で、中国は米国の教育機関にとってあたかも「約束の地」のように見なされていた。米国の大学は豊かになり始めた中国人からの資金を求め、高額の授業料を払って米国に留学する中国人も増えた。
移民政策研究所(MPI)によれば、米国の大学に留学している外国人の3分の1が中国からの学生。外国人留学生は毎年、米経済に370億ドル(約4兆1000億円)相当を寄与しており、恐らく中国人学生は人数の比率に応じた経済貢献をしている。デューク大学やジョンズ・ホプキンス大学など中国にキャンパスを置く米国の名門校もある。
中国政府が文化機関「孔子学院」のスポンサーとなることで米国の大学内で中国に有利な宣伝工作を促しているとの見方が伝えられる中で、米国で学んでいる中国人学生を別の中国人学生がスパイしているとの憂慮すべき報道も出てきた。
米国やオーストラリアなどの国々で浮上した懸念は、中国人民解放軍や中国共産党との密接な結び付きを隠していると思われる一部の中国人学生・研究者が貴重な知的財産を盗み出すために研究所や調査センターにアクセスできる権利を利用しているのではないかということだ。
今こそ米国の大学は中国との付き合い方をより真剣に考える必要があるが、米国大学教授協会(AAUP)はこの点できちんとした仕切り直しを行っている。米国の大学に孔子学院との秘密協定を結ぶことをやめ、孔子学院を誘致する大学が学術活動に関して一方的に監督し、教授・講師陣に学問の自由を確保できないのであれば、孔子学院を閉鎖するようAAUPは求めた。
中国にキャンパスを置く米国の大学は、表現の自由を断固として擁護していくべきだ。中国当局がそれとなく、もしくはあからさまに表現の自由を制限したり、学術的な使命に介入したりするのであれば、その時は中国キャンパスを閉鎖するなどの対応が必要になる。
中国を地政学上の敵ではなく魅力的なパートナーだとずっと見なしていた学術界にとって、こうした調整はいずれも一定の痛みを伴うものになるだろう。だが米国の大学が賢明なやり方で自衛に着手するのが早ければ早いほど、利益以上に害をもたらす一段と極端な措置に一層うまく抵抗できることになる。
(ハル・ブランズ)
(このコラムの内容は必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)
原題:Chinese Money Has American Universities in a Bind: Hal Brands(抜粋)
This column does not necessarily reflect the opinion of the editorial board or Bloomberg LP and its owners.
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-12-27/PKBYN96JIJUO01?srnd=cojp-v2
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- 「日本の生産性は先進国で最下位」を素直に受け止めない人が多いのはなぜか 国内景気の真実と2030年の現実 米ITビッグ5 うまき 2018/12/27 20:02:02
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