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就職氷河期世代を襲う「セルフ・ネグレクト」自らの健康を蝕む「緩慢な自殺」とは? ニッポンの独身者は誰と暮らしているのか
http://www.asyura2.com/18/hasan130/msg/318.html
投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 27 日 12:20:08: ufjzQf6660gRM gqSC3IKr
 

(回答先: 外国人にオープンな社会ほど、単純労働者の受け入れは必要ないという皮肉 永住者、失踪者、労働者──日本で生きる「移民」たち 投稿者 うまき 日時 2018 年 12 月 27 日 11:45:24)

就職氷河期世代を襲う「セルフ・ネグレクト」 

自らの健康を蝕む「緩慢な自殺」とは?

2018年12月20日(木)19時23分
菅野 久美子(フリーライター) *東洋経済オンラインからの転載

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セルフ・ネグレクトから孤独死という負の連鎖は高齢者だけでなく、団塊ジュニアやゆとり世代にも起こりうる話だ

不摂生や医療の拒否、部屋のごみ屋敷化などによって、自らの健康状態を脅かす、セルフ・ネグレクト(自己放任)。孤独死とも密接な関係にあるこのセルフ・ネグレクトが、近年大きな社会問題となっている。緩慢な自殺と呼ばれるセルフ・ネグレクトの最前線を追った。

「ああ、このお部屋は、セルフ・ネグレクトですね」

全国に展開している大手特殊清掃会社の特殊清掃人の女性は、部屋に入るなり、厳重な防毒マスク越しに私にそう教えてくれた。スースーという呼吸の音だけが、家主を失った部屋に響く。

築30年は下らない老朽化したアパートの、いわゆるゴミ屋敷のような6畳一間の部屋。そこで50代の男性は、脱ぎ捨てたおむつや、段ボール箱、散乱するコンビニのお菓子の空袋に埋もれるようにして亡くなっていた。

特殊清掃現場のほとんどがセルフ・ネグレクト
私が初めて取材で入った特殊清掃の現場は、このセルフ・ネグレクトの男性の部屋だった。妻子との離婚後、男性は1人で生活していたらしい。ほこりを被った段ボール箱からは、ありし日の妻子と写った写真が出てきた。

畳の上には、ベッチャリとした繊維質の黒い塊があって、それが頭皮ごと剥がれ落ちた髪の束であることにすぐ気づいた。当然遺体本体はそこにはないが、警察が遺していった、男性の「落とし物」に、思わずぞくりとさせられた。

セルフ・ネグレクト――。一般的には聞きなれない言葉かもしれないが、特殊清掃の世界ではまるで日常用語のように使用されている。拙著『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』でも詳しく追っているが、彼らが請け負う案件の傾向をみているとその理由がよくわかる。そのぐらい、セルフ・ネグレクトと孤独死とは切っても切れないつながりがある。

関東地方に住む民生委員の徳山さん(仮名)も、セルフ・ネグレクトと言われる人に接してきている。また、セルフ・ネグレクト状態から孤独死で亡くなった人を何人も見てきたのだという。

徳山さんはおっとりとした60歳の女性で、子どもたちがお世話になった地域の役に立ちたいと思うようになり、民生委員となった。

次のページ苦悩する民生委員

「近所の人が『あそこのお家、ちょっとおかしいのよね。最近見かけないのよね』ということがあると、『行ってみてくれない?』と言われて最初に見に行くのが、民生委員なんです。それで実際に孤独死された方を見つけた民生委員もいますよ。私も、訪問するなどして関わっていた方が孤独死で亡くなられることがありました」

徳山さんはその現状について語った。

徳山さんによると、見守りといっても、基本的にほとんどの世帯は1年に1度。そのような頻度だと民生委員が訪問している家だとしても、孤独死が発生しても何らおかしくない。現に徳山さんが見守りに関わった高齢者のうち3人が孤独死している。

徳山さんが遭遇した孤独死のうち、1人は80代の単身でゴミ屋敷に暮らす、おばあさんだった。そこは前々から、近所で有名なゴミ屋敷であった。前日に、おばあさんが家で倒れているところを近所の人が見つけて救急車を呼んだ。しかし、救急車に乗ることは絶対に嫌だと拒否したのだという。

「『私はここで死んでもかまわない』『人に迷惑かけたくない』って言うんですよ。しっかりしたおばあちゃんで、普段は買い物も自分で行ってたみたいなんです。でも、夏の暑い時に熱中症か何かで倒れてて、救急車を呼んだんですけど、乗らなかった。

その数日後に、孤独死してたんです。クーラーがなくて、窓を開けて、お風呂もないおうちだったんですよ。心配して近所の方が訪ねていくとダニだらけだったみたいで。それでも最後まで、絶対人さまには頼りたくないって言ってましたね」

セルフ・ネグレクトの特徴として、ゴミ屋敷だけでなく、必要な医療やケアを拒否するケースが多い。ニッセイ基礎研究所が地域包括支援センターへ行ったアンケートによれば、「孤立死(孤独死)」事例の約5割に医療や福祉の拒否が見られた。

ニッセイ基礎研究所は、孤立死とセルフ・ネグレクトの関係について、興味深い研究を行っている。

同研究所の研究で、全国の市区町村を通じて「生活保護担当課」と「地域包括支援センター」で把握している孤立死事例を収集したところ、その中で、孤立死の8割は何らかのセルフ・ネグレクトだったという事実が明らかになった。

命をおびやかすセルフ・ネグレクト
セルフ・ネグレクトには、認知症のような病気によって正常な判断力や意欲が低下していることによる場合と、判断力などは低下していないものの、本人の意思によってなる場合の2種類がある。しかし、自分の心身の安全が脅かされるという意味では、陥っている状況は同じである。同研究所主任研究員の井上智紀さんは語る。

「私たちの研究では、孤立死の8割の事例にセルフ・ネグレクトと思われるような症状が確認できたんです。ゴミ屋敷はとてもわかりやすいセルフ・ネグレクトの例ですが、そのほかにも十分な食事を取っていないとか、何日も入浴や洗濯していないとか、排泄物の放置、あるいは医療の拒否などですね。あとは、家が猫屋敷になっていたりとか、さまざまなケースがあり、これらが複合的に絡まり合っている場合もあります」

次のページ65歳未満の孤立化が危険

この研究結果は、あくまで高齢者に絞った内容になっているが、セルフ・ネグレクトは高齢者の問題だけではないと井上さんは力説する。

「高齢者はまだいいんですよ。65歳以上だったら、介護保険制度があるので、何らかの形で地域包括の方や、民生委員の方がコンタクトを取りに行くんです。民生委員の訪問などは頻繁ではないかもしれませんが、その中で何らかの異変に気づいてもらえるきっかけにはなる。何らかの兆候が発見されて、介護サービスにつなげられる可能性がまだあるんです」

むしろ難しいのは65歳未満だという。井上さんは例を挙げる。例えば、50代でリストラされて、失業した男性がふとしたきっかけでお酒に手を出してしまう。そして、そのまま酒浸りになり、アルコール性肝障害にかかってしまう。しかし、賃貸アパートということもあり、両隣と付き合いのないまま男性は孤立。行政のサポートからはあぶれているし、仮に亡くなったとしても、まったく発見されないため、孤立死してしまう。

リストラや配偶者との離婚や死別から、セルフ・ネグレクトになって孤独死するといったケースは、確かに特殊清掃の現場でもよく見られた。

リストラは、誰にだって人生の一大事だし、離婚や死別なんていったら、落ち込むどころではない。しかし、それらはいつ訪れるかもわからない。そのぐらい私たちにとっては身近な出来事だ。セルフ・ネグレクトに陥っても、福祉の網の目にはかからないのが、より一層この問題を見えなくしている。

団塊ジュニア、ゆとり世代は要注意
孤独死の危険が高いのは、団塊ジュニア、そして、ゆとり世代だ。30〜40代の働き盛り、まさに就職氷河期世代で、非正規でずっと生きてきた人も多く、職場の人間関係も乏しい。金銭的に苦しいため、結婚もできない。まさに、この人たちは孤独死予備軍である。さらに、内閣府の調査で70万人といわれる引きこもり(予備軍は155万人)も、すでにセルフ・ネグレクトと言えるケースもあるだろうし、身の回りの世話をしてくれる両親がいなくなったときに、セルフ・ネグレクトから孤独死に陥ることも十分に考えられる。

セルフ・ネグレクトには、介入しづらい。そもそも見守りなどのシステム自体もない高齢者以外は、介入の前に存在の発見さえも難しいことがある。


『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

それこそ孤独死してから、臭いが発生するまで、セルフ・ネグレクトであることを住民の誰もが知らないということも考えられる。また仮に近隣の住民が、「なんかおかしい」と思ってはいても、付き合いの浅い賃貸住宅などでは、見て見ぬふりをすることだってある。

「孤独死は、周りの人たちとのコミュニケーションが薄い状態がもたらすということ。地域でも、会社でも、趣味でもいい。人とのコミュニケーションを密にすることが大事なんです。人付き合いのわずらわしさは確かにあるんですよ。でも、そこをできるだけ面倒臭がらないことですね」

自分がセルフ・ネグレクトになったとしても、誰も助けてくれない可能性もある。そのため、「誰もがセルフ・ネグレクトに陥ってしまうかもしれないという危機意識は持っていたほうがいい」。井上さんは語った。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/12/post-11444_3.php


 

データで見る「ニッポンの独身者は誰と暮らしているのか」−「結婚のメリットがわからない」独身者の世帯(居場所)のカタチとは−
2018年11月9日(金)13時30分
天野馨南子(ニッセイ基礎研究所)

親と同居するメリットが結婚するメリットを上回る? pixelfit-iStock.
1――はじめに:急増する「交際相手がいない」男女
筆者が日本の未婚化(2015年:50歳時点において男性の4人に1人、女性の7人に1人に結婚歴がない)についてデータ分析を行うようになってから、海外のメディアの問い合わせも少なくなくなった。
海外(特に多民族国家や移民の歴史が長い国)においては宗教上・民族上等の理由から1つのパートナー制度に絞らず、法的に複数展開していることがある。ゆえに「法律上結婚していない」事に関しては、日本がどうかはさておき「結婚制度の多様性の問題」という視点から、驚かれにくい。

しかし、次のデータに関しては「ありえない」という反応が高い確率で返ってくる(図表1)。
18歳から34歳の独身でいる男女のうち、異性の交際相手をもたない男女の割合を見てみると、2000年あたりから大きく増加し続けている。直近の2015年の調査では独身男性の7割、独身女性の6割に交際相手がいない。

調査対象となった年齢ゾーンが18歳から34歳というのを知るとますます「本当か。どうしてなのか。」とひたすら首をひねるのである。

彼らがいぶかしがるのも無理はない。
経済的にみるなら、もし独身者が経済的に自立して1人世帯という場合、それは最も非効率的なコスト構造(お金がかかる)の暮らし方である。
OECDの貧困世帯の定義に使用される計算でも、2人世帯では1人世帯よりもコストが7割にまで落とせることが示されている。光熱費や家賃など固定費を含む費用は世帯人数によって逓減しやすく、また食品もまとめ買いによって少量購入するより大きくコストを下げることができる。

経済原理でいえば、製品供給者側(売り手)からすれば「単身世帯」者は単価が高くなるために「儲かる相手」ではあるが、需要者側(買い手)にとっては単身世帯の暮らしは、消費コストが高い(コストが2人世帯より1.4倍程度も多くなる)ために、貯蓄に影響しかねない暮らし方なのである。

端的にいうと「お金持ちの遊興暮らし」としてはおすすめできるとしても、少なくとも金銭的な無駄を省きたい暮らしぶりを望む男女には最も向かない暮らし方なのである。

そこで、本レポートでは統計的には未婚化と非交際化が急増しているニッポンの独身者について、暮らしのコスト構造を大きく支配する世帯構造に注目し、一体彼らがどのような世帯構造で暮らしているのか、国勢調査の結果を用いて検証してみたい。
2――国勢調査に見る年齢別・男女別 「独身者」の割合
1|2015年の20歳以上・独身者の割合は22%
最初に、本レポートでは国の統計上「未婚」と標記される結婚歴のないグループについて分析する。死別者、離別者については「独身者」に含めない。本レポートで明らかにしたいテーマが「結婚をせずに独身でいる男女の世帯構造(居場所のカタチ)とはどのようなものか」であることから、結婚経験のある死別者、離別者についてあえて含めないことを前提としたい。
次のページ50代後半では独身男性は女性の倍
まず最新の国勢調査結果から、日本における男女総数ベースの配偶状況を確認しておきたい(図表2)。

日本において、20歳以上の男女合計においては、22.2%(5人に1人以上)は結婚歴がない独身者である。男女別に見ると男性の方が女性よりも独身者割合が高く、4人に1人以上は独身者ということになる。
他に男女差がはっきりしているのは「死別」であり、約5倍ものポイントの差となっている。これは女性の方が長寿であることと、男性が年上である結婚が上の世代ほど多いために生じている。人数差としては、50代後半で同じ年齢ゾーンでの死別経験かつ配偶者のいない男女の差が10万人を超える差(女性の方が多い)となり、その差は60代後半で約50万人、70代後半で120万人を超える。
2|年齢ゾーン別の独身者割合
次に男女別に、年齢ゾーン別独身者の割合を確認したい。
男女とも20代前半ではともに約9割が独身である。割合的に(この年齢では生物学的に男女がほぼ同数であるので人数的にも)バランスしている。
しかし、20代後半では、女性の約6割、男性の約7割が独身で、男性の独身割合が女性を大きく超え始める。
30代前半になると女性独身者はすでに3人に1人にまで減少する一方で、男性は半数近く独身であることがわかる。この男女格差は年齢とともにさらに上昇し、50代後半には、同年齢ゾーンの女性の約2倍、男性独身者が存在する状況となる。

ここで、50歳以降も独身者割合が減少していることから「いつかは結婚するのでは?」と解釈するのは誤りである。
日本において男女の生涯未婚率(50歳時点婚歴なし割合)が急上昇し始めたのは1990年の国勢調査後からである。1990年に50歳であった2015年に75歳の男性は、すでに彼らが50歳の時点で5%程度しか独身者がおらず、その割合のまま持ち上がる形となっている。
高齢者の独身者率が低いのは、彼らが50歳の段階で、すでにその割合の独身者率に達していたからである。これが、50歳時点婚歴なし者割合が「生涯未婚率」とよばれる所以である。

3――年齢別・男女別 独身者は誰と住んでいるのか?
1|独身男性のケース−若いうちは親と同居、親との同居解消は50代から
独身男性が年齢ゾーン別にどのような世帯に住んでいるかをまとめたものが下の図表である(図表4)。

次のページ独身男性と「親子密着世帯」
20代〜40代の独身男性は、両親のみ、または母親のみとの同居といういわゆる「親子密着世帯」が半数を超えた。親だけでなく祖父母なども含めた親族だけで構成される身内世帯に住む独身者となると、20代から40代まで全て6割超で推移する。
20代・30代は年齢的には、親の介護等での同居が6割にのぼるとはまだ考えにくいため、何らかのメリットが双方にあり、学生時代の生活の延長のような世帯を6割の独身男性が親族と続けており、そのままの割合で40代に移行することがみてとれる。

50代以降(その両親は70代以上になると予想される)、親の介護等で同居が増加することも予想したものの、逆に親との同居率は減少し、代わりに、ひとり暮らしやきょうだいのみでの同居が増加する。親が施設に入る、他界する等で親との同居を中止・終了しているようにも見てとれるデータとなっている。

独身男性のひとり暮らしは40代までは3割にとどまるが、親を中心とする親族との同居解消にともない50代以降は急増し、60代では6割にのぼる。

データからは、50代という老年の入り口から慣れないひとり暮らしに移行する独身男性が相当数存在する、という社会的には不安な状況が示唆されているといってよいだろう。
2|独身女性のケース−50代まで極めて高い親との同居率、60代から独立?
次に、独身女性が年齢ゾーン別にどのような世帯に住んでいるかをみてみたい(図表5)。

20代から50代まで女性の方が男性に比べて親や親族との同居率高い。約7割の独身女性が40代まで親や身内だけとの同居を続けている。
一方、ひとり暮らしは約3割程度で40代まで推移する。
親子年齢差的には50代あたりから親の介護が発生すると考えられるため、親との同居比率が50代から増加するかとも考えられたが、男性同様、50代から大きく減少してゆく。
50代で両親のみと同居していた同率の独身女性が、(両親との同居がなくなる代わりに)きょうだいのみの同居に移行しているところも興味深い。
いずれにしても独身女性の大半は「なんとかして身内密着型世帯維持」で暮らしていることが男性より強く示唆されている。
4――同棲・結婚などパートナーを持つことの経済メリットを無効化する「親族密着世帯」依存の生き方
1|「長期子どもポジション・キープ」というメリット
筆者がこの分析結果から感じるのは「これでは初老になるまでパートナーを持つメリットなど感じられないのではないか」ということである。
先にも述べたが、1人世帯よりも2人世帯の方が生活にかかるコストは一般的には約7割に減少する。これがパートナーを持つ大きなメリットの1つともいえる。
しかし両親と3人世帯であれば1人当たりコストは6割にまで減少する。祖父母も住んでいるのであれば、5人世帯でコストが5割を切る。親や祖父母にも当然この同居メリットはある。

つまり身内から若い男女が離れられない根拠の1つはこの同居メリットであるともいえる。
次のページやめられない「子どもポジション」

経済的にリーズナブルな上に、例えば長年親しんだ習慣から離れなくてもよいというメリットが付加される。
特に長年子どもとして暮らしてきた立場から「加齢していても子どもポジションとしての居場所をキープ」することさえも容易であろう。これは結婚のメリットでは得がたいメリットでもあるだろう。
親との同居メリットとして、例えば

料理や掃除や洗濯は母親/近所付き合いも母親/不動産コストゼロ/父親の車がタクシー代わり

となってくると、もはや子どもポジションにある人間の思考が「親を超える大金持ちとの結婚以外、メリットなし」となっても致し方ないだろう。
2|45歳以上:「老後1人で生活することへの不安」で結婚希望再燃
かつて、農村社会が主流であった時代には大規模家族経営のメリットとして、とにかく親族同居が最適であったかもしれない。

しかし、第2次・第3次産業従事者が大半を占めるようになった中で、このような親族密着型の家族のあり方の維持は、愛する息子・娘の経済的自立や責任感の醸成、新たな家庭形成への一歩という自立心を奪いかねないことは考えておきたいところである。

明治安田生活福祉研究所の2017年の「35〜54歳の結婚意識に関する調査」では「一生独身でいることを決意・覚悟した理由」については、男性の4割、女性の3割が「結婚に向いていない」であった。
そして、45歳以上で「やっぱり結婚したいと思うようになった理由」については、男性の4割、女性の5割が「老後1人で生活することへの不安」と回答している。

本レポートの分析では、50代以降、おそらく親の病気や他界などによって「20代から続いていた独身男女とその親との同居が解消」されることによる、「中高年からの非自発的なひとり暮らし」が急増している。
その中で、45歳以降になってようやく「1人は不安だ、やっぱり結婚したい」と思い始めるという、現代の独身男女の姿が浮かび上がる。

独身男女の「結婚が向いていない」「メリットがわからない」という回答の背景の1つに、男性6割超、女性7割超の「身内だけとのリーズナブルで気楽な暮らし」があることは間違いないといえるのではないだろうか。

可愛い子には旅をさせよ。

そんな言葉が日本の未婚化を理解するキーワードの1つになりうるかもしれない。
【参考文献一覧】
国立社会保障人口問題研究所.「出生動向基本調査」
国立社会保障人口問題研究所.「出生動向基本調査(独身者調査)」第11回〜第15回
厚生省人口問題研究所(1992)「独身青年層の結婚観と子供感」
厚生労働省.「人口動態調査」
国立社会保障・人口問題研究所. 「人口統計資料集」2017年版
総務省総計局. 「平成27年 国勢調査」
明治安田生活福祉研究所. 「2017年 35〜54歳の結婚意識に関する調査 」
明治安田生活福祉研究所. 「2017年25〜34歳の結婚と男女交際(男女交際・結婚に関する意識調査より)」
明治安田生活福祉研究所. 「2017年15〜34歳の恋愛と男女交際(男女交際・結婚に関する意識調査より)」

天野 馨南子."2つの出生力推移データが示す日本の「次世代育成力」課題の誤解-少子化社会データ再考:スルーされ続けた次世代育成の3ステップ構造-" ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」2016年12月26日号

天野 馨南子."<2015年最新国勢調査結果・都道府県別生涯未婚率データが示す「2つのリスク」−お年寄り大国世界ランキング1位・少子化社会データ再考−">2015年最新国勢調査結果・都道府県別生涯未婚率データが示す「2つのリスク」−お年寄り大国世界ランキング1位・少子化社会データ再考−" ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」2017年5月1日号
*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポートからの転載です。
[執筆者]
天野 馨南子 (あまの かなこ)
ニッセイ基礎研究所
生活研究部研究員

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/11/post-11264.php
 

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コメント
1. 2018年12月27日 20:23:14 : ZzavsvoOaU : Pa801KbHuOM[214] 報告
2018年12月27日 池上正樹 :ジャーナリスト
平成の社会問題「引きこもり」への支援はどこへ向かうのか
平成の社会問題「引きこもり」に対する支援はどこへ向かうのか
平成は「引きこもり」という言葉が広く認知された時代でもあった。「幸せな生き方」を模索する当事者たちの声が大きくなるなか、求められる支援とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA
「引きこもり」が認知された
平成時代の教訓を振り返る
 平成最後の年が終ろうとしている。振り返れば、平成は「引きこもり」という言葉が初めて広く認知された時代でもあった。

 平成が終ろうとしている2018年、周囲の目線を気にして「〜してはいけない」と思い込まされてきた当事者たちが、声を上げ始めた。そして、「引きこもり支援」を巡る時代の空気は、「8050問題」など長期高齢化する当事者・家族の孤立が地域の課題となる中で、従来の「就労支援」から1人1人の特性に寄り添った「生き方支援」へと転換された1年だったと言える。

 2017年末、朝日新聞は1面で、80代の親が収入のない50代の子と同居を続けて行き詰まる「8050問題」を紹介する記事を載せ、共同通信は同日、内閣府が2018年度、40歳以上の「ひきこもり実態調査」を追加で行うと配信し、各紙に掲載された。

 厚労省は「ひきこもり支援」についても、2015年度に施行された生活困窮者自立支援法に基づき、今年度から当事者団体のつくる居場所やプラットホームなどのサポート事業に対して、1自治体あたり上限300万円(補助率2分の1)の支援を始めた。一方的に就労をゴールに置くのではなく、そもそもの国の同法の理念である「誰も見捨てない」「誰も見放さない」という「生き方支援」を財政面でも明確に打ち出した形だ。

 18年8月、日本経済新聞は『変わるひきこもり支援 就労から居場所づくりへ』という見出しの記事を掲載した。これまで就労が中心だった国の支援は、2000年代には「ニート」という造語が使われ、原則39歳までを対象に、短期間で就職率を上げる面接指導や訓練などが中心だったため、目的に馴染めない中高年層や生きづらさを抱えた人たちがこぼれ落ちてきた問題を指摘したものだが、こちらも共同通信の配信だ。

 KHJ全国ひきこもり家族会連合会の調査によると、40代以上で10年以上引きこもる長期高齢者の7割は就労経験者であり、職場で傷ついて恐怖を感じている体験者に、就労へと押し戻そうとする支援そのものがなじまなかった。にもかかわらず、これまでの支援の枠組みは就労支援が主眼に置かれ、こぼれ落ちた人たちの多くは遮断されることで希望がなくなり、家族ごと引きこもらされてきたといえる。

 NHKが取り上げる「ひきこもり」像も、従来の社会側からの目線から、引きこもってきた本人たちの目線へと移っていき、生きていたいと思えるように頑張る姿や声をダイレクトに伝える番組づくりへと変わったのが印象的だった。

「クローズアップ現代+」では、「ひきこもりルネサンス〜生き抜くためのヒント〜」と題して、引きこもってきた経験者たちの様々な生き方、当事者たちがつくり出す居場所や媒体、多様な人たちとのプラットホームである対話の場などが紹介され、「ハートネットTV」でも、居場所活動や当事者媒体をつくる本人たちが次々に番組に登壇、自らの意思で紡ぎ出す言葉を発信するなど、それらの姿や声が全国各地で孤立する当事者や家族たちに届けられ、勇気づけた。

 東京都では長年、「青少年・治安対策本部」が「ひきこもり支援」を担当してきたが、7月に都議や学識経験者、各行政機関だけでつくる協議会で意見具申されたのを契機に、都内の複数の当事者グループや家族会は「ひきこもりが犯罪者予備軍との印象を与える」として、担当を長期高齢化に即した福祉部署に移管するよう、小池百合子都知事に要望した。都議会でロビー活動を行うことも、初めてで手探りの経験だった。

 しかし、事態は動いた。小池知事は12月議会で、都議会公明党が「ひきこもり対策も青少年事業から8050問題が顕著となった昨今、見直しが求められる」と迫った代表質問に対し、「都庁の組織全体を再構築すべき時期に来ている」として、「迅速に解決すべき課題ついては、必要な体制をスピード感を持って構築していく」と答弁した。同本部長も、相談体制の年齢制限の撤廃を明言した。遅きに逸した感じだが、2020年五輪・パラリンピックを控えた首都・東京都で、当事者や家族が動いたことによって現実に即した支援の枠組みに変わろうとしていることは、全国への波及も大きいと言える。

平成の30年間を引きこもり
世の中の変化を知らない男性
 2018年は、そんな各地の当事者や家族から声をかけられ、行政への要望やロビー活動に同席する機会も増えた。12月、青森県庁で、要望に立ち会った際には、県内各地から当事者や家族が集まってきていて驚かされた。

 弘前市から駆け付けた神譲さん(51歳)は、これまで30年ほど引きこもってきて、周りがどんな世の中になっているのかさえわからなかった。

 高校卒業後、首都圏で働いていた。当時、会社の上司が、中学時代の担任に「こちらで頑張ってますよ」と伝えた。ところが、当時の担任は何を思ったのか、「中学時代、いじめに遭っていた」ことを上司に知らせた。上司は、その話を同僚たちに話し、同僚がよそよそしくなった。「いじめられていた」という噂は広まり、職場で孤立していった。

「何も悪いことしていないのに、なんで?」と思ったが、居づらくなり、人が怖くなった。

 神さんは、高校時代までいじめに遭ったものの頑張って通い続けた。母親がいつも家にいて、心配をかけたくなかった。自分の子どもがいじめられてると知ったら悲しむと思ったから、いじめられている素振りも見せずに通い続けた。

 当時の反動なのか、その後、年齢を経るとともに外に出られなくなっていく。

 実家では、父親は「働け」「金を入れろ」としか言わなかった。相談しようとしても取り合わない。酒が入ると口論になり、父に包丁を向けられたことも何度かあった。ギリギリのところで生きてきた。

 母親からも、「近所の目があるから、仕事を探しなさい」と言われ、仕事を探そうと何度となくハローワークに行った。しかし、ハローワークが近づいてくると、具合が悪くなる。パニックになって行き詰まる。出かけるたびに「ああなるのでは」と思い、足が遠のいた。

 ずっと居場所を求めていた。この間、「怠けている」の1点だけで責められ、自分は本当に怠けているだけなのかな、と思い込んでいた。そういうつもりはないし、怠けとは違うと思っていたけど、そのことを相談する場も相手もなく、ズルズルと長引いてしまった。

「意見を言ってはいけない」
偏見から逃れ幸せを探求し始めた
 昨年12月、新聞で青森市で活動する「さくらの会」という引きこもり家族会を知った。「何か変わるきっかけがあれば……」と思って、遠くから参加した。

 県の担当者たちの前で、仲間たちと一緒に神さんもこれまでの思いや要望を言った。
 
「支援に変化があればいいなとの思いで、当事者である私たちが県の方々に発言した。当事者の声を聞かなければ、県も対策のしようがない。これからも、さくらの会で居場所づくりに協力して、声を色々な場で発信していきたい」

 意見を言ってはいけないという偏見に囚われ、これまで権利も行使できずに引きこもらされてきた当事者たちが、「働くよりも前に、自分らしく生きていくことが大事なんだ」という価値観に気づき、幸せへの探求を明言し始めた年でもあった。

 11月末、KHJ全国ひきこもり家族会連合会は、従来の家族会のあり方を変える「自分らしい生き方シンポジウム」を大阪市で開催。それぞれの生き方を実践している人たちが登壇し、「あなたが就労や自立に捉われず、生きる上で最も大切に思っていることは何ですか」というメッセージを発信した。同じ趣旨のシンポジウムは、2019年1月、東京でも十数人の実践者たちが参加して行われる。

「引きこもりに人権はあるか」
シンポジウムで声を上げた人々
 12月、大阪府豊中市では当事者団体が主催して、「生産性のない“ひきこもり”に人権はあるのか」というシンポジウムも開かれた。

「LGBTは生産性がない」などと雑誌で発言した政治家の言葉を揶揄した刺激的なタイトルだったが、「ひきこもり」界隈の当事者側から、自らの「人権」を言葉にすること自体、今までなかった動きであり、新しい流れだ。

「この豊中市は“忖度”という言葉が生まれたところなので、抗う意味もあったんです」

 主催者のNPO「ウィークタイ」代表の泉翔さんがそう笑いを取ると、登壇者のひきこもり当事者「VOSOT」主催者のぼそっと池井多さんが、「私は“生産性”という言葉が流行語大賞を取るべきだと思った」と返した。

 支援者の立場から、精神科病院でPSWとして働いている神田桂子さんは「しんどいけど悩み続けなければいけないと思っている。それくらい人の生きることに触れるのは重いこと。そうやって明日からも生きていきたい」と打ち明けた。

 2019年は、それぞれが自分の幸せな生き方を求めて動き出すことで、当事者や家族を苦しめてきた価値観に少しでも変化が起こることを期待したい。

(ジャーナリスト 池上正樹)

※この記事や引きこもり問題に関する情報や感想をお持ちの方、また、「こういうきっかけが欲しい」「こういう情報を知りたい」「こんなことを取材してほしい」といったリクエストがあれば、下記までお寄せください。

Otonahiki@gmail.com(送信の際は「@」を半角の「@」に変換してお送りください)

 なお、毎日、当事者の方を中心に数多くのメールを頂いています。本業の合間に返信させて頂くことが難しい状況になっておりますが、メールにはすべて目を通させて頂いています。また、いきなり記事の感想を書かれる方もいらっしゃるのですが、どの記事を読んでの感想なのか、タイトルも明記してくださると助かります。
https://diamond.jp/articles/-/189717

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