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年金は破たんする!のウソ 公的年金は赤字ではない
https://wezz-y.com/archives/61940
2018.12.14 wezzy
■年金が破たんしないと困る人々
年金にもいろいろな種類がありますが、普通、ただ「年金」と言えば公的年金を指します。ところがどうもこの公的年金、あまり評判が良いとは言えません。多くの人が年金に対して不安を抱いていますし、マスコミや金融機関も年金不安を声高に叫びます。
実は年金不安は最近急に言い出された話ではなく、何十年も前から言われていたことです。金融機関がいつの時代も年金不安を煽るのは当然です。“年金は破たんする”と訴えることで、彼らは自社の保険や投資信託を販売しているのですから、破たんしないと困るのです。実際、私も証券会社で営業マンをやっていた30年ぐらい前には、大いに年金不安を煽って、金融商品を販売していました(笑)。
ところが十数年前から企業年金の仕事をするようになり、ついでに公的年金のことも調べてみると、意外にも、公的年金はそれほど頼りないものでも、破たん寸前などという状態でもないことがはっきりとわかってきました。どうして実態を正確に伝えないのでしょうか。私は、政府も厚労省も正しい事実を知ってもらう努力が明らかに不足していると思います。
そこで、公的年金にまつわる誤解をごくシンプルに解説してみましょう。
■公的年金は赤字というわけではない
よく「公的年金は赤字だ!」と言われます。でも、年金財政は赤字というわけではありません。赤字なのは国の一般会計です。赤字だからこそ毎年国債を発行して支出の穴埋めをし、その借金の合計が1000兆円以上もあるのです。ところが公的年金の場合はどうかと言えば、借金どころか貯金が185兆円あまりあります(平成28年度公的年金財政状況報告:厚生労働省より)。これが年金特別会計と言われるものです。
ご存知のように日本の年金制度は「賦課方式」と呼ばれる単年度決済で、毎年入ってくる年金保険料で年金を支払うしくみになっています。ところが昔と違って今は少子高齢化が進んできたために、年金自体の毎年の“入”と“出”で言えば、“出”のほうが多くなる傾向にあります。毎年の収支として見れば、これは確かに赤字です。でも今までの貯金がありますから、赤字といっても国の一般会計と違ってすぐに借金する必要はなく、貯金を下ろしていけばいいのです。現実に毎年この貯金の中から5〜6兆円ぐらいが補てんされています。
もちろん何もせずにただ貯金を取り崩していくだけなら、いずれ蓄えが無くなってしまいます。そこで、この貯金が減らないようにするために年金の積立金を運用して増やしています。ところがこの年金の運用にもどうやら誤解があるようです。
■年金の運用はうまくいっている
公的年金の運用はGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)というところが行っています。このGPIFが年金積立金を自分たちで運用し始めたのが2001年ですが、2018年9月末までの約17年間で上げた利益の累計額は71.5兆円あまりあります。年度別に見ても、リーマンショックのあった2008年度こそ年間で9.3兆円ぐらいのマイナスが発生していますが、その翌年の2009年には9.2兆円のプラスとなっており、以降はトータルで約51兆円の利益を生み出しています(GPIFのホームページより)。
年金資金の運用自体は決してうまくいってないというわけではないのです。ところがマスコミ等では、今年の年初のように大きく下がって評価損が出た時だけ大きく報道しますから、「年金の運用はうまくいってない」という印象が植えつけられてしまうのです。でも、GPIFのホームページを見れば今までの運用成果が全部公表されていますから、それほど問題はないということがわかるはずです。
■まず考えるべきは自分の年金がいくらもらえるのかを知ること
私は、みなさんが考えている以上に年金制度はしっかりしたものだと思っています。もちろん、年金は今後何があっても大丈夫とか、未来永劫安心などと言うつもりはありません。日本の経済成長が続かなければ、社会保障制度も決して安泰とは言えません。ただ、年金不安を煽り立てている金融機関や一部のマスコミの言葉に乗って年金保険料を支払わないということになれば、それは結果としてあなた自身の将来に大きな禍根を残すことになりかねません。
もちろん、公的年金だけで将来自分の望む生活を維持するのは難しいでしょうから、これからは自立や自助努力が一層求められる時代になることは確かです。でもその場合でも、公的年金というのはまず初めに土台となるものだということはしっかりと認識しておく必要があります。したがって、老後の収入として、まず最初に金額を把握しておくべきなのは公的年金です。毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」をまずしっかりと見るところから始めてみましょう。
大江英樹
経済コラムニスト。オフィス・リベルタス代表。1952年、大阪府生まれ。大手証券会社で個人資産運用業務、企業年金制度のコンサルティングなどに従事。年間100回以上の講演やテレビ出演。執筆活動を通し、経済や資産運用などの知識を分かりやすく伝えている。主な著書に主な著書に『経済まるわかり』(日経HR社)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。
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