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「スルガ銀行問題」で問われるべき金融庁の責任
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181130-00000004-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 11/30(金) 16:00配信 週刊ポスト2018年12月7日号
問題の責任はどこに(行政処分を受け記者会見で謝罪するスルガ銀行の有国三知男社長。写真:時事通信フォト)
シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営していたスマートデイズ社が破綻し、その融資を担当していたスルガ銀行による不正が次々と明るみに出た。第三者委員会報告に記された不正とパワハラの内容に注目が集まっているが、スルガ銀行といえば、かつてはその積極的な融資活動の結果、金融庁から「地銀の優等生」と高く評価されていた。経営コンサルタントの大前研一氏が、スルガ銀行問題に関して、同ビジネスの問題点と金融庁の役割と責任について問いかける。
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11月中旬、スルガ銀行は、2018年9月中間決算の最終損益が従来予想の120億円の黒字から986億円の赤字に転落したと発表した。また、9月に引責辞任した創業家出身の岡野光喜前会長ら現旧経営陣9人に対し、多額の損失を招いたとして、総額35億円の損害賠償訴訟を静岡地裁に起こした。
この問題は、一地方銀行の不祥事というに留まらない。今後の金融行政と地銀のあり方を考える上で看過できない教訓が多いと思う。
これまでの報道などによれば、スルガ銀行は女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」などを首都圏中心に展開していた不動産会社スマートデイズの物件を購入する個人投資家らへの融資を一手に引き受け、その際、預金通帳の改竄による投資家の自己資金の水増し、非現実的な家賃収入の設定、虚偽の売買契約書作成など様々な不正を行なっていた。
スマートデイズは投資家に購入させたシェアハウスを一括で借り上げ、入居状況に関わらず家賃を保証する「サブリース」の形態を取っていた。家賃保証を信じた投資家がスルガ銀行で多額の融資を受け、実際の価値よりも大幅に高い価格で物件を購入したが、シェアハウスは入居率が低迷してスマートデイズは物件所有者(投資家)に家賃を支払えなくなり、2018年4月に倒産。その結果、物件所有者の大半は融資の返済が困難になったのである。
スルガ銀行の不正は、シェアハウス融資だけでなく不動産投資向け融資全般に蔓延し、多数の役員や支店長、行員が関与していたとされる。さらに、創業家に対する488億円の不適切な融資も発覚した。
この問題の背景のひとつとして挙げられるのが、会計監査事務所と金融庁の怠慢だ。もちろん、前提としてスルガ銀行内部の監査体制が杜撰で、不正が見えにくくなっていたことが問題だが、「2017年に監査法人による内部監査体制強化のためのコンサルティングを受けて」(調査報告書)いたとされ、内部監査の実効性について疑念を抱かせる部分があったと思われる。ところが、会計監査事務所は適正判断を続け、それを監督する金融庁も問題視しなかった。
それどころか、当時の金融庁の森信親長官は、スルガ銀行を「地銀の優等生」「低金利下でも高収益を叩き出すビジネスモデル」などと絶賛していた。しかし、日銀のマイナス金利政策や人口減少によって、地銀の多くが構造的な収益の悪化に直面して青息吐息だ。
金融庁の「金融行政のこれまでの実践と今後の方針」(2018年9月)によれば、2017年度は全国100超の地銀の過半数の54行が貸付・手数料ビジネスの「本業」で赤字になり、そのうち52行が2年以上連続の赤字で、さらに23行は5年以上連続の赤字に陥っている。
つまり、今や「お金を借りてくれる個人や企業」が少なくなり、伝統的な金融ビジネスが成り立たなくなりつつあるのだ。6年間続いているアベクロバズーカ(安倍晋三首相と黒田東彦日銀総裁による金融政策)の行き着いた先は、まともな銀行の経営が成り立たない、ということだ。
にもかかわらず、今も金融庁は地銀に「将来にわたる健全性の確保(持続可能なビジネスモデルの構築)」を要求している。だが、それが簡単にできるなら、とっくの昔にどこの地銀もやっているはずである。
しかも、中央官庁の事務方トップとしては異例の3年間長官を務めた森氏は、なぜスルガ銀行の不正を見抜けなかったのか、監督官庁トップとして責任はないのか、といったことについて何の説明もないまま今年7月に退任し、米コロンビア大学国際公共政策大学院の非常勤講師・上席研究員に転身してしまった。
この問題は、スルガ銀行の巨額赤字と経営陣批判だけで終わるのはおかしい。同行が不正融資に手を染めざるを得なくなったのは、裏を返せば、もはや金融機関が「従来の常識的な金融ビジネスでは稼げない」という現実の表出と言えるだろう。
金融庁は、あらためて全国の金融機関の融資実態やコンプライアンスを洗い直すとともに、ゼロ金利政策を続けることの意味合いと自らの役割について再考すべきである。
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