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(回答先: イラン制裁発動でも弱気相場入りした原油市場 本当に「燃料制約」は起きていたのか AI時代は「のび太」が理想的リーダー像に 投稿者 うまき 日時 2018 年 11 月 12 日 12:39:17)
日本びいきのマハティール首相、焦る中国走らす
“次期首相”のアンワル氏を熱烈歓迎、前回の悪夢再び?
2018.11.9(金) 末永 恵
アンワル元副首相と会談する中国の王毅外相(中国外務省のHPより)
「身にあまる光栄です」
今年の秋の叙勲で桐花大綬章を受章したことを受け、マレーシアのマハティール首相は、民族衣装、バジュ・マラユを身に纏い大綬章親授式に臨み、受章の喜びを感慨深く語った。
これまでアジア諸国からは、インドのマンモハン・シン前首相や故リー・クアンユー、シンガポール前首相が受章している。
アジアの指導者として、かつてライバル関係だったリー氏は没後に授与されている。日本政府はマハティール氏には生前授与することで、最大限の敬意を払ったと言えるだろう。
7日の離日前には、皇居で天皇皇后両陛下の招待の下、夫人で医師のシティ・ハスマ氏を伴って、昼食を共にした。
最高レベルの配慮は、安倍普三首相との首脳会談でも見られた。
前回の記事でも言及したが、両政府は6月の首脳会談でマハティール氏から要請されていた日本からの財政支援に合意した。
前政権から引き継いだ莫大な負債を抱え財政再建が急務になっていることから、両政府は、マレーシア政府による円建て外債(サムライ債)を2000億円、国際協力銀行の保証付きで発行する方針を確認した。
さらに、安倍首相は、円借款による交通、教育、人材育成などの分野の援助も行う用意があることを表明した。
記者発表では公表されなかったが、この円建てによるサムライ債は、親中のナジブ前政権時に中国から高金利で受けた債務の元利払いに活用される見通し。
日本政府の保証付きサムライ債は、早ければ今年中にも発行される予定で、期間は10年で年率0.65%という超低利となる見通しだ(マレーシア政府筋)。
マレーシアは、マハティール氏が前任の首相時代にも、日本政府から最長40年間の長期低利貸付(0.7%)を受けていた。
サムライ債は、円建ての中では利回りが高く、諸外国の政府や企業が調達した円をドルに戻すコスト面でも有利だ。
マレーシアの財政再建の救世主になると大きな期待が寄せられており、マハティール氏も「マレーシアの財政問題解決の策を提案いただき感謝している」と安倍氏に謝意を表明した。
日本円にして27兆円を超える債務を抱える国に、ある意味、「大判振る舞い」を表明した日本政府。
その狙いは「中国からの借金を日本の財政支援で返済することで、マレーシアの『中国による債務トラップ』の箍を外し、『中国による依存度』を軽減するところにある」(政冶アナリスト)。
それだけでなく、「国際的に信用評価が高い“サムライ支援(ジャパンマネー)”で中国を牽制するとともに、マレーシアだけでなく、地域への日本の覇権を高めることだ」と見られる。
アジアへの中国の覇権阻止があるが、もう1つの背景は、トランプ政権後の米国のアジア軽視による影響力激減と、アジア域内でのリーダーシップの欠如がある。
日本にとってはASEAN(東南アジア諸国連合)を見ただけでも、「マハティール首相以外、強いリーダーシップを持ち、域内の指導者に影響力を持つ政治家が現在いないこと」(アジア政冶史専門家)が大きい。
安倍首相も「ルック・イースト政策で日本の経済発展を模範に国の発展を引っ張った、36年間という長年の友人であるマハティール首相に深い敬意を示したい」と語る。
あらゆる面での支援をスタンバイさせることで、日本の影響力を拡大したい狙いがある。
一方、こうした日本の動向にいち早く対抗しているのは、紛れもない中国だ。
日本がマハティール氏に秋波を送る一方、次期首相と目されるアンワル元副首相に影響力を及ぼそうと画策している。
マハティール氏は10月初旬に訪れたロンドンでのBBCとのインタビューでも「2年後に首相の座をアンワル氏に禅譲する」と明言している。
しかし、双方の間で具体的な時期は約束されていなく、11月3日、訪日前の記者会見では「アンワル氏の許しをもらえば、2年半後になるかな(笑)」と冗談交じりに禅譲時期をカモフラージュして、記者団に語っている。
しかし中国の目は、すでに「ポスト・マハティール」を据えているのだ。
2度の投獄により、刑務所生活を余儀なくされたアンワル・イブラヒム元副首相。
5月に国王の恩赦を受け3年ぶりに釈放された直後、日本のメディアで初めて筆者のインタビューに応じたアンワル氏は「数か月後に下院の補選で勝利し、国会議員に復帰したい」と早期の政界カムバックを誓っていた。
(参考:「マレーシア”陰の首相”、戦略的パートナー日本に期待」 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53166)
その言葉通り10月の下院補選で政界復帰を果たし、国会議員に返り咲いた。それから10日後の10月24日、北京の中国人民大学の招聘で一帯一路のフォーラムで特別講演を行った。
表向きは、大学招聘という形式になっているが、実際は、中国政府の招待だ。
同大学は、中国国内でトップレベルの研究大学に指定されており、共産党本部の資金が投入されている中国政府配下の筆頭の大学の1つだ。
これはチャイナウォッチャーを驚かせた。なぜなら、国会議員に復帰直後の外遊に、アンワル氏は「中国」をあえて、選んだからだ。
しかも、アンワル氏は国会議員に復帰したからといっても政権内で要職についたわけでもなく、内閣の一員でもない。
親中政権だった前ナジブ政権の「膿」を出し切ろうと、新政府率いるマハティール氏が、一帯一路の習国家主席肝いりのプロジェクトを中止し、外国投資の中でも「中国案件」を精査しようとしている矢先に「次期首相」が最初の外遊先として訪中したのである。
関心事は、講演の内容云々より、北京で中国政府や共産党幹部に会うのかどうかだった。
結局、王毅国務委員兼外相および共産党幹部と会談した。アンワル氏の非公式の訪中目的は、講演ではなく中国政府との会談だったのだ。
会談後、アンワル氏は自身のフェイスブックで、会談が有意義であったことを公表。
中国政府は即座には発表しなかったものの、後日、両手を大きく広げ、アンワル氏を歓待し、満面の笑みを浮かべる王外相とアンワル両氏の会談写真を公表、親密ぶりを内外にアピールした。
中国外務省の公式ホームページには、中国がアンワル氏を歓迎したことと、「中国とマレーシアは1000年以上の長い友好の歴史の礎のもと、今日の両国関係がある」と二国間関係が今後も、ゆらぎなく発展すると書かれている。
また、アンワル氏が外遊の最初に中国を訪問したのは、馬中関係が外交関係で最も重要な証だからだ、とアンワル氏の中国訪問を大歓迎した。
一方、アンワル氏も「国会議員復帰後、最初の外遊先に中国を選んだ。今日、中国の成功は、周辺国が羨望するほどで、この訪問で私も中国の成功について学びたい」と約10年間、マレーシアの最大の貿易相手国となった中国を持ち上げた。
中国問題の専門家は「アンワル氏の中国訪問は、マハティール氏の登場でギクシャクした対中国関係に新たな光を投下し、アンワル氏と王外相は、友好的な関係を築いた」と分析する。
アンワル氏は、筆者とのインタビューで「中国との関係の重要性」を語るとともに、外交関係で重要な国は、中国と日本などを挙げている。
同氏は、マハティール氏と同じくナショナリストで、ナジブ前首相のように中国に対し、売国的行動をすることはない。
しかし、日本は、マハティール氏が前回、首相を辞任した際、準備期間が1年ほどあったにもかかわらず、後継者のアブドラ首相への対応が不十分で、アブドラ政権と日本政府の関係は、良好ではなかった。
マハティール氏の路線を受け継ぐと見られたが、実際は「脱マハティール路線」を走り、日系企業や日本政府は辛酸を嘗める事態となった。
当時の奥田碩経団連会長(当時トヨタ自動車会長)が投資促進ミッションでマレーシアを訪問した際にも、クアラルンプール国際空港に到着していながら「アブドラ首相との会談の申し入れの返事が取れない」ということもあった。
また、御手洗冨士夫経団連会長(当時キヤノン会長)がマレーシアを訪問した際も、アブドラ政権の対応の不手際で御手洗会長が立腹したとされる。その当時の日本の首相は安倍首相だった。
マハティール氏は日本にとって公私ともに極めて重要な戦略的パートナーだ。しかし、同時に「ポスト・マハティール」を見据え、新生マレーシアとの関係を構築することも非常に重要だろう。
マハティール氏が日本を訪問していた11月6、7日、アンワル氏はニューヨーク市長を務めた米メディア、ブルンバーグの創業者、マイケル・ブルンバーグ氏が主宰するシンガポールでの国際会議で講演し、「アンワル時代のマレーシア」を強調した。
この国際会議には、ヘンリー・キッシンジャー米元国務長官やクリスティーヌ・ラガルド IMF(国際通貨基金)専務理事らも出席した。
その中で、マハティール首相について次のように語っている。
「皮肉を交えていろいろ評価する人がいるが、彼はよくやっている。『レフォルマシ』(マレー語で「改革」)が必要だと言っているくらいだから」
「レフォルマシの民主化運動は、マハティール氏に反対、対抗する民衆のうねりとして20年前に始まったものだが、それを受け入れているんだからね」
そのレフォルマシの旗手こそ、アンワル氏だ。
あえて、マハティール内閣に入らないのは、民主化の指導者は自分で、後継者ではなく、マレーシアの次期首相としての地位を内外で発揮したい意向がある。
その人物に中国が急接近している。このことを日本政府は真剣に考える必要がある。アブドラ政権のときのように、マハティール路線を引き継ぐかは、未知数だからだ。
(取材・文 末永 恵)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54618
モテ男もビジネスも、中国人が話をフカしまくる理由
日本人には無理? これが中国で「成功する」男の条件だ
2018.11.12(月) 安田 峰俊
【特集】放置された山積みのシェア自転車 中国
中国・北京で、道路脇に放置されたシェア自転車のそばを通る女性(2018年2月21日撮影)。(c)AFP PHOTO / GREG BAKER〔AFPBB News〕
(安田 峰俊:ルポライター)
突然だが、日本においてモテる男性に求められる条件とは何だろうか? たぶん「カネ」を除けば、頼れるとか浮気しないとか清潔感がある(=外見や立ち居振る舞いがスマート)とか、そこらへんだと思う。だが、いっぽうで中国の場合はどうか?
ここで興味深いデータがある。2018年5月に日本のアダルト用品大手『TENGA』が発表したレポートだ。これは世界18カ国の18〜74歳の男女1万3000人以上を対象におこなった、恋愛や性生活のアンケート調査なのだが、そのなかで「理想の男性」に求められる資質14項目の各国比較が掲載されているのである。
以下、「理想の男性」の資質ベスト3について、米・英・仏・日・中・韓の6カ国を比較してみよう(下の表)。
「理想の男性」の資質ベスト3の比較
(『TENGA Global Self-Pleasure Report 2018』より)
なんと中国は、上記各国をはじめとした調査対象18カ国で唯一、「理想の男性」に求められる資質として「自信」が1位に選ばれた(ちなみに日本で第3位の「礼儀正しい」は、他国ではブラジルを除きほとんど重視されていない)。
なお調査結果によれば、「お金がある」は日本で全14項目中の7位(中国では6位)、外見的な「魅力」は日本では11位(中国では7位)にとどまる。本音はともかくとして、日中両国ともにカネやルックスは、デキる男の最重要の要素とは見なされていないわけだ。
さておき、中国人がイメージするイケている男とは、誠実だったりイイやつだったり(さらに言えば知的だったりイケメンだったり)する以上に、とにかくめっちゃ自信満々な人である。日本で「自信」が第6位にとどまっていたのと比較すると、日中社会の価値観の隔たりがわかる。
理想の男性像として、他国以上に「礼儀正しい」を重視する日本と、まず「自信」ありきの中国。なぜそんなことになるのか?
答えを考える上で参考になるのが、田中信彦氏の近著『スッキリ中国論』(日経BP)だ。著者は90年代前半から中国ビジネスのコンサルティングに携わってきたベテランの中国通である。
スジの日本、量の中国
本書で中国と日本の違いを考える軸として提示されているのが、「スジの日本、量の中国」という概念だ。これについては大事な部分なので、本文第1章から直接引用しよう。
* * *
「スジ」とは何か。
「そんな話はスジが通らない」「スジを通せ」などと言うように、「規則」「ルール」「道徳的規範」など、「こうするべきだ」という、いわば「べき論」のことと思ってもらえばいい。
日本人、日本社会はこの「べき論」が好きで、とにかく「話にスジが通っているか」を重視する。逆に言うと、スジが通っていれば損得勘定は二の次、みたいな部分もある。
一方、中国人的判断の基礎となる「量」とは何かと言えば、「これだけある」という「現実」である。(略)
中国人、中国社会が重視するのはこちらである。「あるべきか、どうか」の議論以前に、「現実にあるのか、ないのか」「どれだけあるのか」という「量」を重視する傾向が強い。
* * *
書中で挙げられた例が、会社の廊下での立ち話だ。廊下で4〜5人が立ち止まって談笑する行為は、多くの日本人にとっては「アウト」である。そもそも世間の“スジ”として、会社は学校ではなく、通路は話をする場所ではない。なので、特別な業務上の事情でもなければ、別に実害がなくてもそんなことをする“べき”ではないという暗黙の共通理解がある。この“スジ”をちゃんと守る人こそ、「礼儀正しい」立派な常識人だとみなされる。
いっぽう中国人の場合、自分の行動が他人にどれだけの“量”的な影響を与えているかが判断の基準になる。廊下の立ち話も、他の人の通行に差し支えない(らしいと思える)範囲ならセーフで、他の人が通れないほど負の影響を与えているならアウトだ。仮に廊下の幅が広かったり通行人がいなかったりするなら、誰も実質的な被害を受けていないので、社内での立ち話は構わないと考えられるのである。
なぜ中国企業相手のやりとりは楽なのか
私からも例を挙げてみよう。2017年10月4日に『家電watch』に掲載された、エンジニアの日常を描くたきりょうこ氏のマンガ『カデーニャファクトリー』だ。
作中の話はこうだ。主人公らがデータシートを見るために日本企業に問い合わせると、「〇〇のご送付について」「打ち合わせをするのがルールです」と、堅苦しい事務連絡のラリーが延々と続く。いっぽうで中国企業は、チャットで「データシートください」と言うと、「はい」だけでダウンロードURLを送ってくる。実に楽である。
こうなる理由も、「スジの日本、量の中国」で説明できるだろう。
日本の場合、仮にデータがあまり重要なものでなくても、会社のものを末端の従業員の判断で勝手に外部に送ってはならぬ。丁寧なやり取りを何度も返したり打ち合わせをおこなったりして、会社や上司の承認を経た上で送るのが、社会人としての“スジ”であると考えられている。なのでこういう対応になる。
いっぽうで中国の場合、相互に一定の信頼関係があり、かつデータシートの重要性がそんなに高くなければ、誰かに迷惑がかかったり、実質的な被害が生じる可能性はたぶん低い。現場の人がそう考えた場合、個人の判断で会社のデータをポンと送ってくるわけだ。
念のため言えば、これは日中のどちらが優れているという話でもない。スジにこだわる日本は短期的には非効率的に見えても、行動の基準が絶対評価なのでブレが少ない。結果に伴うリスクは低く、責任の所在も明確だ。決定に時間はかかるが、いざ運用の段階に移れば事業を途中で放り出す可能性も低い。
いっぽうで中国は気軽なのだが、「これをやってOK」という判断基準が、個々の当事者が漠然とイメージする“量”にもとづいており、標準化されていない。つまり、判断が個人レベルでの相対評価で出されていくので、素早い意思決定がなされるいっぽう、長期的に見ると一貫性がなくブレる。
当然、中国でいざ「事故」が起きた時の被害は、日本より大きくなる。ある段階では大胆に決定したプロジェクトを、その後の情勢の変化によってあっさり放り出す例も少なくない。
なぜ中国人は「フカす」のか?
ところで、中国人は話をフカす人が多い。また自分の経歴や実績や血筋といった要素を(ときに詐称してでも)他者に最大限にアピールする傾向もある。これも中国が“量”の文化であるがゆえだ。
もっとも、フタを開けてみると「世界的」「最新のデータ」の内容がまったく大したことなかったり、論理展開やエビデンスの確認がまるでいい加減だったりするのもよくあることだ。いっぽうで日本人の場合、「私は素人ですが・・・」「私のような者がお話してよいのやら・・・」と謙遜してスピーチを始める割に、内容は割とカッチリしていたりする。
中国人がこのように「フカす」のは、彼らの社会で人間の評価が“量”で判断されるためである。仮に「私は素人でして」などと謙遜すると、その業界での重みが大したことない存在だと思われ、ナメられてしまう。最初に「世界で認められた実績の持ち主」だの「曹操の軍勢は100万人」だのと自分の価値の“量”を盛りまくって、なんや知らんがスゴいやつだと相手に思わせなければ、存在を認識してもらえないのである。
『スッキリ中国論』の著者の田中さんは上海に住んでおり、日本人と喋るときと中国人と喋るときでは性格のモードを切り替えているという。考えてみると、私も中国では無意識のうちにそうしているように思う。
例えば、社会的地位のある中国人に取材を申し込むときは「私こと安田は日本で著名なジャーナリストであり、〇〇や××など世界の一流人材や国会議員への取材歴を持つ。今回は日本最大の出版社△△社から特約記者として選ばれた。そんな私が(よりいっそう一流の人間である)あなたの話を特別に聞きたいのだ」ぐらいはフカすわけである。
実際の寄稿媒体が『週刊プレイボーイ』だろうが、企画のテーマが中国のエロ事情だろうが、取材費の節約のために現地では1泊2000円くらいの小汚い民泊に泊まっていようが、相手とのファーストコンタクトの段階では大きく出なきゃ話が始まらないのだ(さすがに日本人としての“スジ”を通して、私は取材の終盤にちゃんと自分の正体を明かすようにはしているが)。
最強の「フカし」案件だったシェアサイクル
中国人におけるこの種のフカし癖は、個人だけではなく企業も同様だ。昨年(2017年)、中国の数々のイノベーションが報じられ、日本では特にテック系の若手ビジネスパーソンを中心に「中国スゴイ」論が台頭した。だが、今になってみると、昨年の上半期ごろに見られた熱狂は、少なくとも中国国内では落ち着いてしまっている。
もちろん、QRコード決済は地方でもスラム街でも普及しており、スマホを使ったシェアライドやフードデリバリーなど新サービスも、いろいろ問題もありつつも庶民の生活に欠かせなくなっている。
だが、中国的イノベーションの旗艦だったシェアサイクルに代表されるシェアリングエコノミー市場は、(一応まだ存在するものの)各社が死屍累々だ。庶民の間でもすでにカッコいいものとは認識されなくなっている。
例えばシェアサイクルの場合、各社が中国全土で投入した自転車の鉄の総量が空母数隻分(!)などと伝えられるいっぽうで、なんと最大手のofoやモバイクですら「この事業でどうやって収益を上げるか」のヴィジョンをまともに持っていなかったことが明らかになっている。
とにかく投資を集めて大量の自転車を街に放り込んで国内シェアを占有、ハデなスゴい話をフカしまくって自社の株価を上げた・・・まではよかった(まさに“量”の発想である)のだが、肝心の本業でどうやって儲けるかを誰も考えていなかったのだ。1台1万数千円の自転車を、ひと乗り15〜30円ぐらいで提供するなら、車体費用を回収するだけでもかなり大変なのが目に見えていたにもかかわらず、である。
一定数の人たちがそのことに気付いた昨年下半期以降、中国のシェアサイクル業界はシンデレラの魔法が解けるように崩壊を始めている。2017年11月に業界3位のブルーゴーゴーが倒産すると、今年(2018年)4月には同2位のモバイクも経営陣が事業を売却してしまった(最大手のofoも風前の灯だという)。もちろん、各社が株価対策を狙って日本など世界各国で展開していた事業も、なりふり構わずバッくれて放り出す結果となっている。
鍵が破壊されたofoの車両。2018年10月、北京市内で筆者撮影
中国では個人も組織も、イケイケで攻めているときはめちゃくちゃ強い。そりゃあ、デカい話だけ聞いた日本人は、実態以上に「中国スゴイ」と思うのも無理のないことである。ただ、フカしを真面目に信じすぎると、痛い目や恥ずかしい目を見るのも中国だという好例が、昨年のシェアサイクル騒ぎだったとも言える。
フカしを実現するのが「デキるやつ」
もちろん、中国にはテンセントやアリババのように、フカシまくっているけれど本当の実力も伴っている(らしき)企業もある。中国において真に「優秀」な存在とは、中国人なら誰もが口にするフカした大言壮語を、当初のイメージの何割引きかになっても構わないので、本当に実現させてしまう人物なり組織なりを指すとも言える。
過去、話のハッタリが多くて「孫大砲」のあだ名が付いていた孫文は、辛亥革命が成功したことで、現在もなお世界中の中国人から広く尊敬を集めている。こんにちのアリババ創業者のジャック・マーが中国人から神様のように崇められているのも、やはり同様の理由だ。
・・・というわけで、中国における「理想の男性」の資質1位が「自信」だった理由も、すでにおわかりだろう。
カネがあるか、イイやつかといった問題以前に、そもそも自信満々でない男性は、他者から好意や尊敬を抱かれる前段階の第一選考においてふるい落とされてしまうわけなのだ。中国人にとって、別に根拠がなくてもまず大事なのが「自信」。そしてこの自信に実績が伴っているやつこそが、本当に尊敬されるやつなのである。
最後に蛇足を述べておけば、習近平政権がその発足以来、「中国夢(チャイニーズ・ドリーム)」というスローガンを掲げて、中身はなんや知らんけれどスゴそうなことを言い続けているのも、やはりこの「自信」の要因が少なからず関係しているのだろうと思える。習近平の庶民人気が高い理由も、彼の政権が“量”として強力なパワーを露骨に見せつけているからだ。
とはいえ、シェアリングエコノミーのベンチャー企業たちは大言壮語を実現できなければバッくれればOKなのだが、中国共産党はブチ上げた「夢」をある程度は実現しないと、人民の尊敬を失って国家の基盤も動揺してしまう。
フカし大国・中国を率いるのは、なかなか大変だろうなあとも思う次第だ。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54615
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- 米中経済に「鉄のカーテン」 元財務長官の警告 萎縮する中国民間部門、政策転換に経済悪化が追打 資生堂減速、中国代購取り締 うまき 2018/11/12 12:56:22
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