http://www.asyura2.com/18/hasan129/msg/335.html
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(回答先: 中国と台湾の半導体協業に強まる疑念、貿易摩擦の激化で ビンタの応酬! 激化する米中半導体摩擦 中国助ける時代「終わった」 投稿者 うまき 日時 2018 年 11 月 07 日 18:18:46)
カルチャーの変化を告げる米国中間選挙
選挙後の大きな課題、民主党も企業も経済に目を向けよ
2018.11.7(水) Financial Times
(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年11月5日付)
米中間選挙目前、注目の候補10人
米中間選挙・民主党の下院議員候補、アレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏。米ニューヨークで(2018年9月22日撮影)。(c)Don EMMERT / AFP〔AFPBB News〕
最近の記憶では最も重要な中間選挙で米国民が投票所に向かった今、大きな問題は、予想されている怒れる民主党支持者の「青い波」が下院の支配を奪還する結果になるかどうか、だ。
もしそうなれば、識者らはトランプ時代の終わりを宣言するだろう。
実際には、下院で過半数を奪ったとしても、下院議長として60年ぶりの返り咲きを果たすかもしれないナンシー・ペロシ氏をはじめとする守旧派と、エリザベス・ウォーレン氏やバーニー・サンダース氏、それに彼らを信奉するアレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏のような若手の進歩主義者の間で割れている民主党にとっては、大きな課題の次のステージにしかならない。
これは民主党の深刻な罪を反映した分裂だ。その罪とは、企業の利益に立ち向かえないことだ。
1990年代以降、進歩主義者らはただ単に、貿易や資本市場、医療制度について、少しは親切で穏便なものになるよう共和党のアイデアと競り合うことがあまりに多すぎた。
そうでない時には、「大きすぎて潰せない」銀行の誕生やプラットフォームと呼ばれる支配的なハイテク企業の台頭を許してしまうなど、経済的、政治的に裏目に出る政策を立ててしまった。
あまりに多くのリベラル派が今なお、中間層を押し上げるための新しい発想ではなく、アイデンティティーの問題に専念するのも無理はない。その方が楽なのだ。
中間選挙後の民主党の課題は、多くの企業が直面する課題と似ていなくもない。
彼らは皆、資本主義と民主主義に対する信頼が大きく落ち込んでいる時に、自己の目的と姿勢を説明する圧力にさらされている。
企業はリベラル派と同じように、経済的な問題を是正するよりは、本物であれ認識されたものであれ、社会的な不当について発言する方がずっと容易だと思っている。
筆者の知る企業経営者は皆、銃規制やLGBT(性的少数者)の権利、人種差別主義、性被害を訴える「#MeToo」運動のような問題に対処することに奮闘している。
この動きの大部分は、若く、進歩的な顧客基盤と従業員によって駆り立てられたものだ。
職場での性差別の扱いに抗議するために、米グーグルの従業員が先週、世界的に実施したストライキを見ればいい。
もちろん、主に社会・経済的地位が一番高い層に報いるビジネスモデルを変えるよりは、社会問題をめぐるストを実施する方がずっと容易だ。
米小売り大手シアーズの破綻を見ればいい。
同社では、現財務長官のスティーブン・ムニューシン氏が取締役会に名を連ねている間に、投資家にお金を払うために資産が切り売りされた。
2005年から2012年にかけて、シアーズは営業キャッシュフローを18億ドルしか生み出さなかったにもかかわらず、自社株買いに60億ドル費やした。
ここで話しているのは、全盛期には利益の10%を従業員に分配することを誇りとしていた会社だ。
新たなシアーズである米アマゾン・ドット・コムは、サンダース氏から圧力をかけられた後、従業員の最低時給を15ドルへ引き上げた。
だが、その一方で、倉庫のスタッフに対するストックオプションの付与を打ち切った。
この取引では、創業者のジェフ・ベゾス氏の方が得をしたのではないかと筆者は思っている。
政治家と企業がアイデンティティーの問題に集中する一方で、大半の有権者の念頭にある一番の問題は経済問題だ。医療費の自己負担は昨年8.5%増えてインフレ率の4倍のスピードに達しており、世論調査は大半の米国人にとって、この問題はどちらの性がどちらのトイレを使うかよりはるかに重要であることを示している。
6日の選挙では、昨年シャーロッツビルで起きた人種主義の暴力的抗議行動に対するドナルド・トランプ大統領の対応や、トランプ政権による移民の子供の扱い、あるいは大統領の全般的な女性蔑視に対する義憤に基づいて共和党に反対票を投じる人もいただろう。
だが、もっと深く掘り下げれば、長期的な議論は経済と関係しているに違いない。
米国における最大の政治的分裂は、共和党に投票する労働者階級の白人男性と、大卒女性の民主党支持者の間の分裂だ。
これは性差の問題というよりは、むしろ新たに創出される真っ当な報酬の仕事の3分の2が、少なくとも2年間の大学教育を必要としている経済と関係しているのではないかと思う。
2016年の大統領選挙では、民主党は20分圏内に「ホールフーズ」の店舗がある地域では必ず健闘した。
(ホールフーズはアマゾン傘下の高級食品スーパーで、筆者の近所に住む富裕層でさえ、値段の高さから「ホールペイチェック」と呼んでいる)
一方のトランプ氏は、10ドルのカントリー風フライドステーキとノスタルジアを売り物とするレストランチェーン「クラッカーバレル」がある郡の76%で勝利を収めている。
筆者には歴史上最も強欲な大統領だと思える人物が米国で最も貧しい地域に暮らす汲々とした人々に対し、自分こそが救世主だという考えを売り込めたことには、本当に驚かされる。
だが、トランプ氏の宣伝文句は中身がなく、同氏の政策は、経済成長の一時的な高揚を生み出すための法人減税の利用を含め、もう息切れしている。
これは民主党にとってチャンスだが、大きな挑戦でもある。
もし党の未来を確実にしたいのであれば、しゃれたルッコラではなく普通のレタスを食べる大多数の米国人のためになる新しい経済政策を提供する必要がある。
この点で一致団結するよう、企業経営者と自党の企業派閥の双方を説得しなければならない。
リベラル派であれ保守派であれ、大半の米国人は、何が「公正」な企業の行動になるかという定義について結束している。
それは富を広めること、そして労働者の賃金と処遇を改善することだと考えている。
政治家と企業はともに、国民を引き裂く問題ではなく、国民を一つにまとめる問題に専念した方が賢明だろう。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54598
歴史の証言:
中韓と距離を置くとき日本は繁栄する
安倍首相の訪中は米国の属国から脱し自立するための第一歩
2018.11.7(水) 森 清勇
3年ぶり日中首脳会談、「関係改善へ第一歩」と安倍首相
中国・北京(Beijing)の人民大会堂(Great Hall of the People)で日中首脳会談に臨む安倍晋三(Shinzo Abe)首相と習近平(Xi Jinping)国家主席(2014年11月10日撮影)。(c)AFP/Kim Kyung-Hoon〔AFPBB News〕
安倍晋三首相の訪中に先立つ4日前に、筆者は「透ける本音:なぜ中国は安倍首相訪中を促したか 中露の焦りは日本の主張を通すチャンス、明確に言うことが大切」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54423)を掲載した。
掲載時の「記事ランキング」で上位を維持し続けたのは、中国の反日や覇権志向に安倍首相がいかに対処するか関心が高かったからであろう。
総じて、戦後の日本は媚中外交を展開し、ODA(政府開発援助)に見たように徹底的に利用され、今日の軍事強国に心ならずも貢献してきた。
いままた、一帯一路で新植民地主義に走りつつある習近平政権である。その路線にストップをかけ、共生する国際社会に転換させる役割を、地球儀外交で世界を俯瞰してきた安倍政権に国民が期待した面もあろう。
産経新聞は「『覇権』阻む意思が見えぬ 誤ったメッセージを与えた」と厳しい総括をしたが、他の全国紙は「安定した関係構築の第一歩に(読売新聞)」「新たな関係への一歩に(朝日新聞)」など、関係改善への期待を示した。
媚中外交の是正なるか否か。筆者も注文を出した手前、成果を総括する義務があろう。
3原則に対する認識問題
安倍首相が中国の首脳との間で確認したとする「競争から協調へ」「隣国同士として互いに脅威にならない」「自由で公正な貿易体制を発展させる」について、双方に認識の違いがあるのではないかという問題が浮上している。
首相は李克強首相および習近平国家主席との会談でこの文言に触れ、「日中関係を発展させていきたい」(対李首相)、「日中の新たな時代を切り開いていきたい」(対習主席)と発言したのに対し、中国側は「首相の表明を歓迎する」と表明したが「3原則」の文言を使わなかったとされる。
官邸のフェイスブックやテレビ・インタビューで安倍首相は(李首相や習主席と3原則を)「確認した」としているが、取材が許された首脳会談の冒頭発言や共同記者会見では「競争から協調へ」などのフレーズを使って原則に言及するが、「3原則」という用語は使わなかったようだ。
中国外務省も今回の会談で、習氏は「共同でグローバルな挑戦に対処し、多国間主義を維持し、自由貿易を堅持しよう」と発言し、また「『互いに協力のパートナーであり、互いの脅威とならない』という政治的合意を貫徹しなければならない」とも述べたと発表しただけである。
最初に報道したのは、10月28日付「読売新聞」朝刊である。「日中『3原則』食い違い」「首脳会談 首相『確認』、中国は触れず」と、ゴシック体の2行見出しをつけ、リードでは「安倍首相が中国の習近平国家主席と『確認した』とする『3つの原則』を巡り、日中で微妙な食い違いが生じている」と書いた。
2日後の「朝日新聞」(30日朝刊)も、「日中3原則 食い違い?」「首相『確認』、中国明言せず」と報道するが、読売新聞のゴシック見出しが明朝体になっただけでほとんど同じだ。
西村康稔官房副長官や外務省幹部は、一連の会談で首相が呼びかけたが、「3原則」や「3つの原則」という言い方はしていないという。
ただ、会談に同席した日本政府関係者は「会談で中国側からも反論はないし、一致している」と強調し、外務省幹部は「首相が言った3つは事前に中国側とすり合わせている」とも語る。
菅義偉官房長官は29日の記者会見で、「中国側の説明に『3原則』の文言がない」との指摘について、「これらの原則の重要性は会談で中国側と完全に一致しており、日中で食い違いが生じているという指摘は当たらない」と否定した(「産経新聞」10月30日)。
原則を守らない中国・守る日本
中国は原則が好きだ。しかし、その原則を簡単に破り平然としているのも中国である。
周恩来元首相とインドのジャワハルラール・ネール初代首相は1954年に会談し、国際関係を律する一般原則として「平和5原則」を打ち出した。それは、領土・主権の相互尊重、相互不可侵、相互内政不干渉、平等互恵、平和共存である。
翌1955年のバンドン会議(アジア・アフリカ〈AA〉会議)では平和5原則を踏まえ、基本的人権尊重、自国防衛権尊重(国連憲章の趣旨尊重)、紛争の平和的解決、相互利益と協力促進、正義と国際義務尊重などを加えた「平和十原則」を打ち立てた。
1978年締結の日中平和友好条約では「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則」を認めた上で、「平和友好関係を発展させる」(第1条1項)、「紛争を平和的手段で解決する」(同条2項)と謳った。
第2条では「覇権を求めない」し、「覇権を確立しようとするいかなる国にも反対する」という文言がある。
当時の中国はソ連が覇権国となることだけは阻止しなければならないと必死であった。
日本に覇権条項の文言化を強く求め、日中共同声明発表から6年弱も費やしてようやく条約締結に至った。その中国が今は覇権を求めているとみられ、日米を含めた世界の脅威になっている。
第3条では、善隣友好の精神を説き、さらに平等・互恵・内政不干渉の原則を認めたうえで「経済・文化関係の発展と国民の交流促進」を謳った。
日本はいつも原則や条約などでの約束事を守る努力をするが、中国側は靖国問題や尖閣諸島、東シナ海ガス田問題などでしばしば約束違反の行動をとってきた。
WTO(世界貿易機関)加入後も中国は違反を繰り返して経済発展と軍事力の近代化を図り、反省するどころか、「太平洋は米中両国を受け入れるに十分である」などの発言で覇権志向をむき出しにし、一帯一路構想で具現化を図ろうとしている。
こうした覇権的言動や自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値観の無視は、17世紀から続くウェストファリア体制に基づく国際秩序の転換を目指しているとしか思えない。
3原則は合意のもの
2006年10月の初外遊で中国を訪問した安倍首相は、胡錦濤・前国家主席との首脳会談で「戦略的互恵関係」を打ち出す。
「両国はアジアと世界に対して厳粛な責任を負う認識の下、国際社会に貢献する中で共通利益を拡大し、日中関係を発展させる」というものであった。
福田康夫政権は「『戦略的互恵関係』の包括的推進に関する日中共同声明」を発表し、「政治的信頼の増進」「人的・文化的交流促進と友好感情の増進」「互恵協力の強化」「アジア太平洋並びにグローバルな課題への貢献」として、この概念を具体化した。
「共に努力して、東シナ海を平和・協力・友好の海とする」と謳ったのも、この共同声明においてである。北京オリンピックを3か月後に控えた中国の日本懐柔策でもあったようだ。
安倍首相は第2次安倍政権でも「戦略的互恵関係」を日中関係の基礎と度々強調しており、中国の掲げる一帯一路をテーマとした国際協力サミットフォーラムでも戦略的互恵関係に触れてきた。
中国の対日姿勢が軟化し始めた日中国交正常化45周年記念行事(2017年9月)頃から、首相は対中関係改善に意欲を示すようになる。
同年11月には習近平国家主席および李克強首相と第三国での国際会議で立て続けに会談し、戦略的互恵関係に基づいて経済協力や朝鮮半島問題での連携で一致したと語っている。
首相は「大国である中国と、それを追う日本が協力し、時に競争することも必要」と述べており、財界も「戦略的互恵関係に民間の立場から貢献する」と表明したことから、日本政府は軍事利用されかねない港湾開発を対象外に指定しつつ一帯一路に関する日中民間経済協力指針を策定する。
こうした最中の今年5月9日、李克強首相が来日した。首脳会談で一帯一路に関する第三国でのインフラ整備協力を具体化させる官民協議体の設置で合意し、10月の安倍首相の公式訪中で第三国でのインフラ共同投資など官民で52件の協力文書を交わした。
こうした経緯を経て、安倍首相は日中新時代の3原則を打ち出したもので、中国は「3原則」という用語を使用していないが、十分な合意があったとみていいであろう。
安倍訪中は媚中外交に終わったか
11月1日付「産経新聞」オピニオン欄掲載の「China Watch」で、「日中首脳会談で得した中国」と評したのは石平氏で、安倍訪中は媚中外交に終わったとの見立てのようだ。
中国側が得したものとして、通貨スワップ協定、第3国での経済協力、中国経済の延命、さらには尖閣諸島への中国の挑発を議論に乗せなかったことを挙げている。
金融危機発生の可能性は中国側が高いので、通貨スワップ協定は中国側を助けることになる。
一帯一路はEUやアジア諸国からも反発されているが、首相は「潜在力のある構想」と評価し、第3国での経済協力という形での関与は中国にとって干天の慈雨であるという。
米国との貿易戦争で経済の減速が顕著となり、企業や国民の間には沈滞ムードが広がっていた。そこに安倍首相が「協調」を語ったことは国民の失望感を払拭し、中国経済を延命させるカンフル剤になるという。
また、安倍訪中の直前に連日、中国公船が尖閣諸島周辺の接続水域に侵入したが、挑発行為の防止策は議題にすらならなかった。こうしたことから、経済の減速で深刻な打撃を受けつつあった習政権は再浮上の自信を深めたという。
他方で、日本側の外交上の成果と見えるものは日本産食品の輸入規制緩和を求めたこと、拉致問題解決への協力の意思表明を引き出したことであるが、石平氏は「単なるリップサービス」の可能性があるとみる。
中国を利する行動は新植民地政策に加担する日本とみられ、また対中冷戦状態にある米国にとっては中国接近が裏切りにみえ、同盟に亀裂を生じさせかねない。
以上から、「日本側にとって成果は殆んどないが、大きなリスクを背負うことになった」と総括している。
他方、櫻井よしこ氏は、日本が中国に注文をつけた今回の会談を、「安倍首相は日本優位へと逆転したこの状況を巧く活用した」と評価した。
また、尖閣やガス田などの主権問題、慰安婦をはじめとする名誉にかかわる歴史問題、ウィグル人への弾圧や日本人の拘束などの人権問題などは何一つ解決していないが、「人権状況について日本を含む国際社会が注視している」と注文をつけたことは従来なかったことで、「日本外交の重要な転換点となるだろう」とみる。
懸念事項として「第三国への民間経済協力」と名を変えての一帯一路への協力を挙げる。また、大規模通貨スワップ協定についても、「中国と必要な関係は維持しつつも、彼らに塩を送り過ぎないことだ」と注意喚起する。
それは「(彼らは)自力をつければ、助けてくれた国に対しても牙をむく」からで、「彼らの笑顔は薄い表面の皮一枚のものと心得て、日本は戦略を読み違えてはならない」と警告する。
宮家邦彦氏も「産経を除く主要各紙の前向きの評価は表面上の成果に目を奪われた」結果だと述べる。そして、元外交官らしく、共同声明などの発表がなかったのは双方が「合意内容に満足していない」暗示で、いつでも蒸し返す可能性があると指摘する。
すなわち、「尖閣や歴史問題での戦略的対日譲歩はあり得ない」から、「現在の対日秋波は日本からの対中投資を維持しつつ日米同盟関係に楔を打つための戦術でしかない」と言い切る。
戦術的な秋波でしかないが、「(強国路線に手を貸さずに)経済分野で可能な限り譲歩を引き出すこと」は日本に可能だと述べる。
筆者は「3原則」を中国も確認したという前提で、原則から外れる状況では経済協力を唯々諾々と進める必要はないと思考する。
中国は自己都合で約束事を朝令暮改し、稼いだ金を持ち出せないように平気でやる国である。どっぷり浸からず、いつでも引き返せるように命綱をつけておく必要があろう。
なお、中国政府が共産党・政府系メディアに対し、日本のODAが中国の経済発展に貢献したことを積極的に報じるよう指導したという。
安倍訪中の期間だけの報道なのか、それとも主要なインフラ施設で銘板表示などして恒常的に国民に知らせるのかは中国の本気度を見る指標として注視に値すると思料する。
首相訪中のための対米対策
なお、本節と次節は安倍首相の人となりから筆者が読み解くものである。
「アメリカ・ファースト」「メイク アメリカ グレイト アゲイン」を声高に叫ぶドナルド・トランプ米大統領は、「ドナルド・シンゾ―」の友情などかなぐり捨てて、いつ日本に襲いかからないとも限らない。国際政治や覇権を目指す国家の非情でもある。
米初代大統領のジョージ・ワシントンは「外国の純粋な行為を期待するほどの愚はない」と言ったし、フランスのシャルル・ドゴール将軍は「同盟などというものは、双方の利害が対立すれば一夜で消える」と述べ、独自の核戦力を整備した。
安倍首相は首脳会談10日前に、谷内正太郎国家安全保障局長を派遣してジョン・ボルトン米大統領国家安全保障担当補佐官に訪中の意図を説明させている。
それによって、日本の政府関係者は「対中接近ではないという点を米政府は十分理解している」と語っている。
また、ちょうど1か月前(9月26日)の日米首脳会談で、「第三国でのインフラ整備」に関する協力については「トランプ氏と同様の協力を進める方針を確認していた」と、10月27日付読売新聞朝刊は報じた。
こうした日米の意思疎通を図りながらも、安倍首相には「独立国家・日本」の立ち位置を改善する意志があるように思える。一帯一路に協力するような素振りは、そうした梃子の一つとして利用したとは言えまいか。
覇権志向や歴史問題などはあるが、隣国である地勢はいかんともしがたく、上手くつき合っていくしかない。
また、朝鮮半島問題、中でも北朝鮮の核や弾道ミサイル対処と拉致被害者の帰国では、北朝鮮に影響力を有するとされる中国の力にも期待するよりほかにない。
加えて、日本が独立国家であるからには、対米自主性が必要である。在沖縄米軍が事故を起こしても、日米安保に基づく地位協定によって、日本政府のコントロールが効かない。
横田基地に通じる航空機管制も同様であり、静内(北海道)では米空軍機の超低空飛行で、競走馬の被害がしばしば起きた。
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)でも日本は米国に翻弄され、今では日本に2国間協議を強要しかねない状況である。
米国という国家に品格がないと言えばそれまでだが、国家の力関係、中でも日本の安全は日米同盟によって保障されており、特に核兵器において然りであり、致し方ない面がある。
しかし、ドイツやイタリアは自国の主権を保持した地位協定を結んでおり、米軍が勝手に訓練などができる環境にはない。
独伊同様の地位協定への突破口を開くためにも、米国に対し日本の地勢を戦略的に高く評価させると同時に、ある程度の焦りを持たせる戦術も必要となる。
大袈裟に言えば、米国を一瞬慌てさせるような日本の対中姿勢は、日本が独立国である意思の対米示唆であり、米国に「そうだ、日本は独立国家だ」という意識をもたせる側面効果もあるであろう。
郵政民営化は日本の主導性で進められたのではなく、米国が改革リストで示したものであった。この一事からも、米国は日本を従属国のように見る傾向がある。
ズビグネフ・ブレジンスキーがずばり、「ひ弱な花・日本」と表現した通りで、米国には「保護国」としか見えていないのだ。
日中・日米関係史からの読み
有史以来の日中関係を概観すると、朝貢外交をはじめとして、日本が中国(経由地としての朝鮮半島を含む)と関わりをもった時、日本は大陸や半島の混乱に巻き込まれている。逆に、関係をもたないときは平安が続いた。
平家の天下は清盛の南宋貿易から一代の栄華で終わり、天下人の豊臣秀吉も半島出兵で一代政権に終わった。他方で、関東武士の流れを汲む源頼朝、足利尊氏、徳川家康は幕府を開き150年から270年の長期政権を維持した。
江戸の太平を破ったのはペリーの来航であり、明治維新を経て再び半島・大陸に関わり日清・日露戦争、そして大東亜戦争へと繋がり、かつて経験したことのなかった敗戦で米国による占領政策を強いられた。
戦後の約30年間は大陸と途絶し、日本は著しい復興を遂げた。しかし、1972年の日中国交正常化以降は中国への媚中外交に翻弄され、7兆円に上るODAや資源ローンを中華人民共和国につぎ込む。
結果は期待に反するどころか、自由・人権や法の支配といった普遍的価値観を否定し、強大化した軍事力を背景に独自の社会主義世界を目指し、日本を敵視する今日の中国を出現させることにつながった。
以上に見るように、対中接近・関与は歴史が示すとおりあまり良いことはなく、適当な距離が必要である。それでも、つき合わないわけにはいかない。
第1次政権の安倍首相は、真っ先に中国を訪問して「戦略的互恵関係」を打ち出す。しかし、その後の日中関係は、戦後最悪とまで言われるようになっていく。
政権に返り咲いた安倍首相は、中国の頑なな反日姿勢に動ずることなく、この原則を曲げることはなかった。
そうした中で、米国の高関税や新植民地主義と批判され始めた一帯一路の突破口を開くべく中国が日本に近づいてきた。そこに実現した今回の相互訪問による首脳会談である。
安倍首相にとってはまたとない機会であった。
日本の基軸にある対米同盟関係を熟慮したうえで、許容できる範囲内で冷え込んだ日中関係を発展させる構想は不思議ではない。それが3原則に基づく「新しい日中関係」であるに違いない。
中国を助ける思わせぶりで米国からも譲歩を引き出す。しかし、断じて中国の軍事強国化には与しない。そして日米、日中を共にウィン・ウィンの関係にもっていく。
こうした高等戦術が今次の安倍訪中の深層にあったと思えてならない。
おわりに
安倍首相は中国首脳と会談して帰国した翌日、インドのモディ首相を山荘に迎え、中国首脳の安倍歓迎とは一味も二味も異なる振る舞いを見せた。
そして翌日の首脳会談では、「自由で開かれたインド・太平洋」に向け価値観を共有することを確認した。
日中協力を約した日本ではあるが、覇権志向で一方的に中国が突き進めば、日本は3原則を盾に非協力に出ることができる。
前のめりの企業もあるだろうが、日中友好下でも共産党首脳部の考え一つでナショナリズム一辺倒に傾き、日本企業にも莫大な損害を与える「中国」であることを一時も忘れてはならない。
筆者の好きな言葉は「和して同ぜず」である。「日中関係は『友好ごっこ』である」と語ったのは古森義久氏である。
今回の会談を筆者も冷めた目で見てきた。首相が確認したという3原則も、中国は一切触れていない。歴史認識では「過去を直視し」と、今回も語っている。尖閣周辺の動きも変わっていない。
日本の支援をどこまで進めるか、3原則に照らしながら進める必要がある。反するようであれば、手を引く、その決断を適切に行う必要がある。決して中国の覇権に手を貸すことがあってはならない。
油断すれば、ジョージ・オーウェルの『1984年』が中国に出現し、日本と世界に想像もできない災難をもたらすからである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54586
韓国のあきれた徴用工判決に米国でも批判が噴出
なぜ韓国は国家として「無責任」なのか?
2018.11.7(水) 古森 義久
元徴用工訴訟、韓国最高裁が新日鉄住金に賠償支払い命じる
韓国・ソウルの大法院(最高裁)で裁判に臨む原告の李春植(イ・チュンシク)さん(2018年10月30日撮影)。(c)Ed JONES / AFP〔AFPBB News〕
「韓国はきわめて無責任な国家だ」――。
韓国最高裁が日本企業に、韓国のいわゆる元徴用工とされる人たちに対する賠償を命じた。この判決の内容と、米国の反応を見ると、どうしても「無責任国家」という言葉が思い出される。
冒頭の言葉は、米国の国際戦略問題の権威、エドワード・ルトワック氏による発言である。1年ほど前に私がインタビューした際、彼はためらわずにこう述べた。
ちなみに徴用工に関して、あえて「いわゆる」という表現をここで使うのは、この裁判を起こした原告の“徴用工”とされる人たちは、日本側の情報によると「徴用工ではなく募集に応じた労働者だった」とされるからだ。安倍晋三首相も国会でそう明言した。
韓国が国家として無責任な原因は?
ルトワック氏は米国の歴代政権の国防長官顧問などを務め、現在はワシントンの大手研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)の上級研究員として活動している。保守系の学者で、トランプ政権に近いことでも知られる。
私がルトワック氏に意見を尋ねたのは、直接には北朝鮮の核問題についてだった。だが、北朝鮮の核武装への韓国の対応を質問したとき、彼は文在寅政権への批判を込めながら次のように語ったのである。
「韓国が国家として無責任な原因は、国内の結束がないことだろう。国家的な意思がまとまらないのだ。それは韓国内に、自国の基本的なあり方をめぐって意見の分裂があり、国としての結束が決定的に欠けるからだろう」
元徴用工訴訟、韓国最高裁が新日鉄住金に賠償支払い命じる
韓国・ソウルの大法院(最高裁)に到着した原告の李春植(イ・チュンシク)さん(2018年10月30日撮影)。(c)Ed JONES / AFP〔AFPBB News〕
韓国では、民主的な方法で選ばれた歴代大統領たちが任期の終わりとなると、ほぼ誰もが犯罪者として扱われ、石をもて打たれることになる。以上のルトワック氏の説明を聞くと、その理由がなんとなく分かってくる。
米国の政策に大きな支障を引き起こす
では、今回の韓国最高裁の判断に米国はどう反応しているのか。
米国の各メディアの報道や論評、さらには専門家たちの見解発表を調べてみると、全体として韓国も日本も正面からは非難せず、きわめて慎重な姿勢が目立つ。
だがさらに詳しく、幅広く、米国の反応を点検すると、やはり今回の韓国側の主張には無理があり、無責任だとみなす基調が浮かび上がる。ルトワック氏の韓国評がその基調につながっているともいえるだろう。
米国の主要メディアの報道は、まずこの時期に日本と韓国が対立を深める事態が米国の政策にとって非常に大きな支障を引き起こすという点で一致していた。
「米国政府は、日本と韓国に、歴史に関する意見の相違を克服して米国との協力をともに増強し、北朝鮮の核の脅威をなくし、中国の影響力拡大に対処することを強く促してきた。そんな時期に日韓の対立がなぜ必要なのだ」(ニューヨーク・タイムズ10月30日付記事)
「韓国と日本の歴史をめぐる争いは、北朝鮮の核の脅威と中国の覇権拡大を抑えるための米日韓三国の協力を乱してきた。今回の韓国での判決は、この協力をさらに妨げることとなる」(ABCテレビの同日の報道)
「今回の韓国での判決は、北朝鮮の非核化や中国の不公正貿易慣行に対処するための、米国と日韓両国という同盟国との連帯の強化を阻むことになる」(ブルームバーグ通信同日記事)
以上の報道は、韓国最高裁の判決が、米国の東アジア戦略にとって大きな障害を新たにつくり出したと批判する点で一致していた。
しかもどの報道も、韓国側の判決が、1965年の日韓両国政府間の合意や、その後の韓国側でのこの種の個人の損害賠償は韓国政府が責任を持つという公式方針に違反していることを詳しく説明していた。同時に、日本側の安倍首相や河野外相の「韓国の動きは国際法的にもありえない」といった激しい非難声明も詳細に伝えていた。
韓国寄り学者も判決を批判
こうした米国側の報道を詳しく読むと、今回の韓国最高裁の判決は 韓国側に問題があり、法治国家としての一貫した責任を果たしていないという認識がかなり明白に浮かび上がる。「韓国側が間違っている」という断定こそしていないが、非は韓国側にあり、法治国家、主権国家としての責任の欠落が根底にあるとする批判の構図が明確だといえる。
韓国に対する米国側のこの種の批判的なスタンスは、前述のニューヨーク・タイムズの記事の末尾で次のように象徴的にまとめられている。
「スタンフォード大学の東アジア研究所の研究員ダニエル・スナイダー氏は、『朝鮮半島情勢や中国の動向によって、米国とその同盟諸国は団結して効果的な対処をとることが不可欠となっている。そんな時期に、日韓両国を離反させる動きが起きたことはきわめて不運だ。私はその点で韓国政府の判断に強い疑問を感じる』と述べた」
スナイダー氏といえば米国でも有数の朝鮮半島専門の研究者であるが、日韓の歴史問題では韓国側の主張を支持し、日本には厳しい態度を示すことで知られる学者である。その米国人学者が、今回の日韓の対立では明確に韓国側の最高裁の判決への批判を表明したわけだ。
こうした米国側の韓国批判が、判決をめぐる日韓対立に今後どう影響していくかは判断が難しい。だが、少なくともいまの段階では、米国は「非は韓国側にあり」という裁定を下しつつあるといえるだろう。そして、その裁定の背後にはルトワック氏の言葉に反映される米側の年来の韓国「無責任国家」論までが影を広げているようなのだ。
2米国で出てきた「もう韓国を助けるな」の声
[古森 義久]2017.4.19
3韓国を助けるな、教えるな、関わるな
[井本 省吾]2015.4.6
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54603
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