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(回答先: 中間選挙「ねじれ議会」で日米関係は先行き不透明に 米政権の視線は2020年に、日本の中国抑止に追い風 投稿者 うまき 日時 2018 年 11 月 07 日 18:04:39)
トップニュース2018年11月7日 / 14:21 / 43分前更新
焦点:
中国と台湾の半導体協業に強まる疑念、貿易摩擦の激化で
[台北 7日 ロイター] - 米政府が中国半導体メーカーへの米製品供給のストップを決め、半導体のグローバルプレーヤーを目指す中国と、その動きを支援している台湾企業を巡って高まる緊張関係が浮き彫りになっている。
中国はここ数年、世界の主要な半導体取引から締め出されたことで、台湾の半導体メーカーに中国本土での半導体製造を持ちかけて、協業関係を強化してきた。
そうした中、台湾の半導体大手、ユナイテッド・マイクロエレクトロニクス(UMC)(2303.TW)は先週、中国の福建省晋華集成電路(JHICC)との共同研究開発を中止。米政府がJHICCに対する米企業の輸出制限措置を打ち出したことを受けての対応だ。
UMCなどの台湾企業は、中国に半導体製造の技術を提供する代わりに、急速に拡大する中国市場への参入を認められてきた。
中国は長年、集積回路(IC)不足に悩まされてきており、2017年に中国が輸入した半導体は2700億ドル相当と、原油輸入を上回る規模。
業界関係者によると、中国と台湾企業の間では、ここ数年で少なくとも10の合弁会社が立ち上がっており、台湾の技術者を高収入で勧誘しているという。
中でも中国側にとって最も価値のある台湾企業との協業は、ファンドリーサービスとメモリーチップ生産の強化に結び付く種類のものだ。これらの2分野は高度な製造技術と多くの資金投入が必要なため、海外企業からの協力が他の分野以上に求められる。
だが、米中の貿易摩擦や中台の緊張が高まる中で、懸念が強まっている。台湾の米代表機関、米在台協会(AIT)台北事務所のブレント・クリステンセン所長は企業関係者との会合で、中国が「市場をゆがめる補助金」や「強制的な技術移転」により先端技術分野を含む産業を奪い取っていると指摘。「こうした(中国の)行動は、米国や台湾、その他の国々の経済に打撃を与えている」と批判した。
台湾は世界有数のIC輸出国であり、政治的に緊張関係にある中国に台湾が経済の屋台骨でもある技術を奪われるのではないかと心配する声は多い。台湾側も、中国側に台湾の最先端技術が渡らないよう、中国との協業を注意深く見っている。台湾経済部は「企業が中国本土でウエハー生産に投資する場合には、一世代古い製造技術とすることなどを義務付けている」と説明している。
米商務省が先月、JHICCを米国の製品やソフト、技術の輸出が制限されるリストに加えたことで、UMCとJHICCとの協力には厳しい視線が注がれている。
米司法省は先週、米半導体大手マイクロン・テクノロジー(MU.O)の企業秘密を盗もうとしたとしてUMCとJHICCを起訴。バーンスタインのアナリストは「台湾のハイテク企業は自らの現在の立ち位置やサプライチェーンを注意深く見直す必要に迫られている」と指摘する。
中国が半導体生産でトップに追いつくには少なくともあと6年はかかるとの見方があるが、その半導体製造能力は既にサプライチェーンの中では脅威だとみられている。
中国・安徽省合肥市と台湾のDRAMメーカー、パワーチップテクノロジーとの合弁「Nexchip(ネクスチップ)」は、12インチウエハーの工場建設に着手して2年半も立たないうちに、月産8000枚の生産を開始。パワーチップの資源と台湾の人材を使うネクスチップは中国の海外半導体メーカー依存を減らすのに役立っている。
United Microelectronics Corp
10.95
2303.TWTAIWAN STOCK EXCHANGE
+0.05(+0.46%)
2303.TWMU.O
ネクスチップは液晶ディスプレイ(LCD)を駆動する半導体の生産で世界一の座を目標に掲げ、関係者によると、さらに3カ所の12インチウエハー工場の建設を計画中で、2019年までに月産2万枚体制を目指しているという。
昨年ネクスチップを訪れた研究者は合肥市の工場の進捗は「飛躍的だ」とした上で、台湾企業は中国市場への投資が必要になる可能性が高く、台湾の産業政策が問われることになるとの見方を示した。
(Jess Macy Yu、 Yimou Lee記者)
https://jp.reuters.com/article/china-taiwan-chi-analysis-idJPKCN1NC0FE
2018年11月7日 Randall W. Forsyth
【バロンズ】11月から4月、株投資に最適な理由
株投資
Photo:Reuters
良い状況に向かう株式市場
株式市場は最悪期を脱し、相対的には良い状況に向かっているはずだ。もちろん、現在のような前代未聞の時代歴史が繰り返せば、という話だが。10月の株式市場がどれほどひどかったか、というのは投資家の捉え方次第であるが、米株式市場の時価総額が2兆4000億ドル目減りしたという話を聞くと、いたく身につまされる。先月のウィルシャー5000指数は、2011年9月以来最大となる7.29%の下落率を記録した。
10月の状況を特に悪くしたのは、逃避先がほとんどなかったことである。これまでは米長期国債が株式の緩衝材となってきたが、株式市場が低迷しているにもかかわらず債券は反発することなく、30 年物米国債のリターンはマイナス5.36%とさえなかった。投資家は緩衝材を債券から低ボラティリティ株式に換えようとしているようだが、必ずしも成功しているとは言えない。
ただし、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引締めや米中貿易の緊張の高まりなど、世界の株式市場は逆風に苦しめられているものの、米国株式はこれまでで最も収益性の高い時期に入りつつあると言える。中間選挙は幸いにも6日に終了し、過去の例にならえば選挙直後には株価も上昇するだろう。ヤルデニ・リサーチのデータによると、1900年代半ば以降の全ての中間選挙後12カ月間でS&P500指数は上昇し、その上昇幅は1.1〜33.2%であった。
株価に及ぼす政治の影響
株価は大統領任期と強く連動している。1896年以降、大統領任期2年目の第4四半期から3年目の第2四半期までの9カ月間がダウ工業株30種平均(NYダウ)に投資する最良のタイミングだという。任期2年目の第4四半期にNYダウに投資すると任期末までのリターンは4%となる。また、任期3年目の第1四半期と第2四半期に投資すると、リターンはそれぞれ5.2%、3.6%である。大統領選目前の任期4年目は景気刺激のため積極政策を取りがちなので、こうしたパターンは説明できる。
過去を振り返ると、政権と議会の状況も強気相場の要因となりそうだ。1950年以降で共和党大統領と民主党議会という組み合わせの場合、S&P500指数の年平均リターンは15.7%と、全ての組み合わせの中で2番目に高い水準となる。今回の中間選挙では、共和党が上院の多数派を維持するものの、下院では民主党が勝利を収めるとの見方が強い。株価にとって最良なのは民主党大統領と共和党議会の組み合わせで、その場合年平均リターンは18.3%に達している(多分に1990年代のITバブルがリターンを押し上げている)。いずれの場合も、ウォール街が「政治のこう着」を好むという背景があるためと、一般的には考えられる。
11月〜4月が投資に最適
政治の影響を抜きにしても、「セル・イン・メイ(株は5月に売れ)」の正反対の時期にあたる11月以降、株式投資に最良の6カ月に突入しようとしている。1950年にNYダウに1万ドルを投資したとする。そして、年の11月1日〜翌年4月末の6カ月だけ保有してそれ以外の半年は投資しないということを毎年繰り返せば、2017年までには100万8721ドルになり、年平均7.5%のリターンが得られたことになる。反対に、5月1日〜10月末の間だけ投資した1万ドルは、年平均わずか0.6%のリターンで1万1031ドルだ。10月が決算期のミューチュアルファンドが多いことも理由に挙げられるが、繰り返される人間の行動パターンが市場の傾向を形成しているとの見方もある。
ベトナム戦争中に米国のカンボジア侵攻があった1970年、石油輸出国機構(OPEC)による石油禁輸措置が行われた1973年、金融危機が起こった2008年など、11月から4月の投資最適期間にも例外はある。現在の政治環境は前例を見ない状況であることを踏まえれば、さしずめ、過去の投資結果は将来のリターンを保証するものではない、ということだろう。
https://diamond.jp/articles/-/184619
ビンタの応酬! 激化する米中半導体摩擦の行く末
今度は米国が中国DRAMメーカーを産業スパイ罪で起訴
2018.11.7(水) 湯之上 隆
中国への“制裁”を繰り出す米商務省(資料写真、出所:Wikipedia)
(湯之上 隆:技術経営コンサルタント、微細加工研究所所長)
米国が中国に強烈なビンタを2発見舞う
その驚きのニュースを筆者は、新大阪に向かう新幹線の電光掲示板で見た。その内容は、「米商務省が10月29日、中国の半導体メーカー、Fujian Jinhua Integrated Circuit (JHICC)に対して、半導体製造装置など米国製品の輸出を規制する」というものだ。
JHICCは、習金平国家主席の国家戦略策「中国製造2025」のもと、台湾のファンドリーUMCの協力を得て、中国国内でDRAM工場を立ち上げている半導体メーカーである。JHICCは、昨年(2017年)10月に月産10万枚のDRAM工場を立ち上げ、2018年に装置搬入を開始し、2019年以降に現在最先端の1Xnm DRAMを量産する計画である。
DRAMの製造には、米アプライドマテリアルズ、米ラムリサーチ、米KLA-Tencorなど米企業の製造装置が必要不可欠である。もし、JHICCが米国から装置を導入できないとなると、DRAM製造は相当困難になる。
さらに11月1日、米連邦大陪審が、米国メモリメーカーのマイクロン・テクノロジーから企業秘密を盗み出した産業スパイの容疑でJHICCと台湾UMCを起訴した(日経新聞11月2日)。
米マイクロンは2017年に、JHICCに技術協力しているUMCが企業秘密を持ち出し、JHICCに渡したとしてカリフォルニア州の裁判所に提訴していた。これに対してUMCも2018年1月に、マイクロンの特許侵害を提訴した。そして、中国の裁判所は7月、マイクロンに対して中国での製品販売を差し止める命令を出していた。
このような状況下で、米国が中国に対して強烈なビンタを2発繰り出したわけだ。今回の米国による中国への制裁は、単なる脅しでなく、本気である(ように見える)。
本稿では、まず、米中半導体摩擦の経緯を振り返る。次に、米国による中国への制裁が、中国メモリの脅威から、米国唯一のメモリメーカーであるマイクロン・テクノロジーを守るための措置である推論を述べる。その上で、今回の米国の制裁の波及効果を論じたい。
米中半導体摩擦の経緯
図1を用いて、これまでの米中半導体摩擦の経緯を説明する。この経緯の途中までは、2018年7月11日のJBpressの記事「ハイテク貿易摩擦で中国が米国に2発目の反撃ビンタ」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/53505)で報じた。重複する部分もあるがご容赦願いたい。
図1 米中半導体摩擦の経緯
@ 米国がブロードコムによるクアルコム買収を禁止
現在のブロードコムは、シンガポールに本社があるアバゴ・テクノロジーが2016年に米ブロードコムを370億ドルで買収した会社であり、その本性は中国企業である。
そのブロードコムが、約13兆円で米クアルコムに対して買収を提案した。クアルコムは、中国最大のスマホメーカーであるファーウェーと、次世代通信5Gを巡って規格争いをしている。それゆえ、クアルコムがブロードコムに買収された場合、5Gの通信規格を中国側に牛耳られる危険性があると、米国側が判断した。その結果、この買収を米国が「大統領令」により阻止した。
A 米国がZTEに対して輸出規制
次に、米商務省は4月16日、中国のスマホメーカーZTEに対するインテルやクアルコムの半導体の輸出を7年間禁止する決定を下した。その理由は、ZTEが2010年から2016年にかけて米国の輸出規制に違反し、イランや北朝鮮にスマホ等の通信機器を輸出していたからである。その結果、ZTEは操業停止に追い込まれた。
B 中国がクアルコムによるNXP買収を阻止
米国から2発ビンタを食らった中国も黙っていない。クアルコムは2016年10月に、オランダのNXPセミコンダクターを約5兆円で買収すると発表し、両社は合意していた。ところが、中国商務省がこの買収に待ったをかけたため、クアルコムはこの買収を断念せざるを得なかった。これは明らかに、米国に対する中国の嫌がらせである。中国が米国へ一発ビンタを張りかえしたのだ。
C 米ベイン等による東芝メモリの買収に中国が難色
米国が2発ビンタを張り、中国が1発お返しした頃、米ベインキャピタル率いる日米韓連合による東芝メモリの買収に、中国が難色を示していた。というのは、東芝メモリのNANDの多くは中国のスマホに搭載されている。ところが、東芝メモリがベイン等に買収されると、日米韓連合の中の米アップルや米デルが東芝メモリのNANDを独占し、ファーウェーやZTEへのNANDの供給を制限する可能性があったからだ。
ここで、米国トランプ大統領と中国習金平国家主席の間で、「米国がZTEへの制裁を解除する代わりに、中国は米ベイン等による東芝メモリの買収を認めろ」というような政治取引がなされた模様である。その結果、ZTEへの米国の制裁は解除され、ベインによる東芝メモリの買収は完了した。
D 中国がDRAM3社に独禁法容疑
ここまで、ビンタの数は米国2に対して中国1。それゆえ、中国は沽券にかけて、何としてももう1発張り返す必要があった。そこで中国は、サムスン電子、SKハイニクス(SK Hynix)、マイクロンに対して、DRAMの独禁法の容疑で調査を開始した。実際、上記3社が市場シェア96%を独占しており(図2)、DRAM価格は1年半の間に約2.6倍に高騰していたからだ。
図2 企業別のDRAM売上高シェアの推移
(出所:statistaのデータを基に筆者作成)
DRAM3社は、「供給が需要よりちょっと足りない状態にしておくと価格が高騰して快適だよね」と阿吽の呼吸で生産調整をしていた。決して3社が集まって密談などしていなかった。したがって、中国がどれだけ調べても談合の証拠は出てこなかった。しかし、中国は、振り上げた拳をどこかに持っていかなくてはならなかった。
噴飯ものの中国裁判所の命令
ここで中国は、マイクロンと中国企業が、DRAM技術の流出を巡って複数の裁判を起こしていることに着目した。
現在、中国では、RuiLiおよびJHICCが、それぞれ、月産10万枚規模のDRAM工場を立ち上げている。JHICCには、台湾のファンドリーUMCが技術提携している。上記2社に対して、マイクロンは2017年、DRAM技術を盗んだとして提訴している。一方、JHICCに協力しているUMCは2018年1月、マイクロンが中国で特許を侵害したとして、中国の裁判所に提訴していた。
そこで、中国の裁判所は、UMCの主張を全面的に認め、訴訟が終了するまでマイクロンのメモリの生産・販売の停止を命じたのである。
この判決は噴飯ものである。というのは、中国はこれまでDRAMを1個も生産したことがない。また、UMCのDRAM技術はせいぜい65nm程度であり、マイクロンが生産しているIXnmDRAMの最先端技術はない。つまり、RuiLiにもJHICCにもUMCにも、マイクロンが盗むに値する技術はない。したがって、どうみてもDRAM技術を盗んでいるのは中国企業であり、マイクロンは被害者である。ところが、マイクロンは盗人から逆提訴され、中国でのDRAM等の生産・販売中止を命じられた。何という理不尽な判決であることか。
要するにマイクロンは、米中ハイテク摩擦に巻き込まれ、そのとばっちりを受けたわけだ。
マイクロンが抱えている3つの爆弾
一連の裁判はマイクロンにとってはいい迷惑だが、半導体業界には一時、「マイクロンが倒産するかもしれない」という衝撃が走った。その理由は以下の通りである。
マイクロンの2017年の決算報告書を読むと、マイクロンのメモリビジネスには、3つの特徴があることが分かる。それはマイクロンにとって爆弾と言ってもいい。
第1に、セグメント別売上高および営業利益率から、PC依存度が高いことが分かる(図3)。一方、ビッグデータの時代を迎えているにもかかわらず、サーバーで稼げていない。PC市場が縮小している状況からすれば、マイクロンのビジネス形態は危うい(爆弾その1)。
図3 マイクロンのセグメント別売上高と営業利益率
(出所:マイクロンのIRデータを基に筆者作成)
第2に、マイクロンのメモリ別売上高を見てみると、DRAMが全体の約60%を占めており、“ほぼDRAMメーカー”と言える(図4)。したがって、DRAMビジネスの停止命令を受けたら、マイクロンはひとたまりもない(爆弾その2)。
図4 マイクロンのメモリ別売上高
(出所:マイクロンのIRデータを基に筆者作成)
なお、売上の約30%を占める「Trade-NAND」とは、インテルとマイクロンの合弁会社「IMフラッシュ」が開発し、それに基づいてインテル用にマイクロンが製造したNANDのことである。今年2018年に、IMフラッシュは解散したので、今後は、「Trade-NAND」はなくなると思われる。
第3に、地域別売上高を見てみると、中国ビジネスが年々増大しており、2017年に51%に達している(図5)。つまり、マイクロンは中国依存度の高いビジネスを行っている(爆弾その3)。
図5 マイクロンの地域別売上高
(出所:マイクロンのIRデータを基に筆者作成)
このように3つの爆弾を抱えているマイクロンが、中国の裁判所からメモリの生産・販売停止命令を受けたら、無事でいられるはずがない。
ところが、マイクロンは、中国裁判所から「販売停止」命令を受けた2日後の7月5日に、「影響を受ける製品の規模はマイクロンの年間売上高の約1%にとどまる」というニュースリリースを発表した。もし、このニュースリリースが事実なら、2017年の中国ビジネスが51%と書かれた決算報告書は虚偽ということになる。
一方、このニュースリリースが嘘ならば、株主や投資家を騙して株価を操作していることになる。実際、生産・販売中止命令が出た7月3日に5%下落した株価は、ニュースリリースが出た7月5日は3.6%高となった。どちらにしても、経営陣は退陣どころか、刑事罰を受ける可能性すらある。一体、真相はどうなっているのか?
「影響は1%」の真相
米国では、虚偽の報告等により株価を操作したことが判明したら、関係者は厳しい刑事罰を受ける。ということは、マイクロンの役員たちは、刑務所行きを覚悟の上で、「影響は1%」という虚偽のニュースリリースを出したのだろうか?
本当にマイクロンは倒産するかもしれないと思っていたら、「影響は1%」の真相が明らかになった。中国の裁判所が生産・販売を中止した約30品目には、単品のDRAMやNANDが含まれていないという。30品目のほとんどが、マイクロンが独自に生産しているモジュール製品であるらしい。そして、その総額は全売上高の1%に過ぎないということである。
よくよく考えてみると、マイクロンにDRAMやNANDの生産・販売を停止されたら、困るのは「世界の工場」となった鴻海(ホンハイ)である。自分で自分の首を絞めるようなことを、中国が行うわけがない。
結局、中国の裁判所命令の本質は、中国が沽券にかけて米国に2発目のビンタを張らなくてはならなかったことにある。そこで、噴飯ものの判決を出し、世界を驚かせたのだ。
マイクロンにとって脅威とは
中国の2発目のビンタは、実質的に威力が無かった。しかし、マイクロンにとって、中国のメモリ、特にDRAMは依然として脅威である。
冒頭で述べた通り、中国では、JHICCとRuiLiの2つの企業が、月産10万枚規模で1Xnmの最先端DRAMを立ち上げようとしている。その背後には中国政府が設立した18兆円にものぼる「中国ICファンド」がある。
とにかく中国には、うなるほどのカネがある。カネがあれば、量産工場を建設し、製造装置を購入することができ、有能な技術者を高額な年俸でヘッドハンドすることができる。
実際、米国が訴えたJHICCは、マイクロン傘下の台湾イノテラから数百人の技術者を引き抜いたと聞く。そして、今回、米国は、イノテラからJHICCに転職した台湾籍の社員3人も、JHICCと同時に起訴している。
それでも、JHICCやRuiLiが、すぐに1Xnmの最先端DRAMを立ち上げることができるとは思えないが、もし、万が一、どちらか一方が立ち上げに成功すると、マイクロンは倒産する可能性が高い。
弱い者から死んでいくDRAMの歴史
2016年以降、ビッグデータの時代を迎え、メモリ市場が爆発的に成長している。その要因は、DRAM価格が高騰していることと、つくってもつくっても足りない状態になったNANDにある。
ここで、DRAMとNANDの差は、その需要の大きさにある。人類が生み出すデジタルデータは指数関数的に増大しており、アマゾン、グーグル、マイクロソフトなどのクラウドメーカーはそのビッグデータをストレージするために、猛烈な勢いでデータセンターを建設している。
そのため、データセンターに大量に必要となったサーバー用に、DRAM需要もNAND需要も増大している。しかし、DRAM需要に比べて、NAND需要の方が遥かに大きい。
その結果、メモリメーカーは、NANDに途轍もない規模の設備投資を行っている。一方、サムスン電子、SK hynix、マイクロンが独占しているDRAMは、3社が阿吽の呼吸で、「需要より供給がちょっと足りない状態」をつくり出し、それがDRAM価格の高騰につながっている(注1)。
もし、このようなDRAMに、中国企業が参入に成功したら、間違いなく供給過剰となり、価格は暴落し、DRAM市場は破壊されるだろう。そのとき、売上高の60%をDRAMに頼っているマイクロンは、倒産する可能性が高い。
過去を振り返ってみると、DRAM産業では、常に、最も弱い者が撤退したり、倒産してきた歴史がある。
1980年中旬に、NEC、東芝、日立などの日本メーカーがDRAMのシェア80%を占め、インテルをはじめとする米国メーカーはDRAMから撤退することになった。
1990年代にサムスン電子等の韓国勢が日本のシェアを上回り、2000年には日立とNECの合弁会社エルピーダ1社を残して、日本はすべて撤退を余儀なくされた。
サムスン電子やSK hynixの猛威により、2010年までに台湾DRAMメーカーが壊滅的となり、エルピーダも2012年に倒産してマイクロンに買収された。
そして今一番、弱い立場にあるのがマイクロンである。中国メーカーが進出し、価格暴落が起きても、メモリの横綱のサムスン電子が(多少ケガはするかもしれないが)倒産することは無い。また、SKハイニクスも財閥が支えるから何とか持ちこたえるだろう。中国企業は、歩留りが低くて赤字でも、その赤字を政府が補填するらしいので、中国の国策により(低空飛行であっても)生き続けることができる。
すると、次にDRAM市場から撤退するのは、どう考えてもマイクロンということになる。しかし、マイクロンは、米国唯一のメモリメーカーである。米国が何としてもマイクロンを守りたいと考えても不思議はない。
米国の狙いとその波及効果
以上のような背景から、米国が中国JHICCへの製造装置の輸出を制限し、JHICCを産業スパイの容疑で起訴した、と考えられる。要するに、中国企業のDRAM進出を何としても阻止したいというのが、米国の狙いである。
米国から製造装置などを輸入できなくなった中国は、どうするか? その代替案として、東京エレクトロン、スクリーン、キヤノン、荏原製作所、日立ハイテクノロジーズ等、日本メーカーに装置を発注する可能性がある。すると、日本メーカーが潤って良いではないかという考えもできる。
しかし、米国から日本の経済産業省へ、「中国への製造装置の輸出を制限せよ」と圧力がかかる可能性がある。その圧力に、日本は逆らうことができないだろう。
現在、中国では、メモリをはじめとする半導体の内製化とともに、国産の製造装置の開発も行っている(「製造装置の国産化を加速する中国」 EE Times Japan、2018年8月9日)。中国が日米から製造装置を輸入できなくなった場合は、国産化するしかない。つまり、今回の米国の2発のビンタは、中国の半導体およびその製造装置の国産化を加速することになるだろう。その行方に注目したい。
* * *
(注1)今年2018年に入って、NAND価格が下落し始めた。また、2016年4月以来、高騰を続けていたDRAM価格が2018年第4四半期に5%下落する見通しが発表されている。この状況について、世の中のジャーナリストやアナリストは、メモリをつくりすぎたため供給過剰となり、価格が下落したと分析している。
一方、筆者は、インテルが2016年以降、10nmプロセスの立ち上げに失敗し続けており、その結果、PC用プロセッサも、サーバー用プロセッサも、14nmに集中したため、14nm工場が過密状態となってプロセッサ供給不足になったことが影響していると考えている。
インテルは、PC用プロセッサで80%、サーバー用プロセッサで96%のシェアを有している。そのプロセッサを十分供給できなくなったため、PC用やサーバー用に製造された(あるいはこれから製造される)DRAMとNANDが宙に浮いてしまい、結果的に供給過剰になり、価格下落を引き起したと推測している。
この詳細は、2018年10月25日に配信したメルマガ164号で詳述した。ご興味がある方はこちらから購読を申し込み、お読みいただきたい。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54577
米中間選挙後に市場はどう動くか−ゴールドマンなど専門家の見方
Joanna Ossinger、Felice Maranz
2018年11月7日 10:45 JST
• ゴールドマン:中間選挙後に株価は堅調との通説通りでない可能性も
• モルガンS:共和党が上下両院支配なら減税延長期待で金利先高観
Precinct and campaign volunteers hold umbrellas while standing outside a polling station in Leesburg, Virginia.
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg
6日の米中間選挙の開票が始まっている。その結果は、債券利回りから株価変動まであらゆる方面に影響を及ぼす。市場の先行きに関するストラテジストの見方を以下にまとめた。
税金と財政政策
上院で多数派の共和党が議席を上積みできれば、トランプ米大統領の減税策は2020年大統領選以降も守られることになるが、民主党が下院を制し上院は両党が議席を半々に分けた場合にはそうはならないと、エバコアISIのストラテジスト、テリー・ヘインズ氏は6日付のリポートに記した。
モルガン・スタンレーによると、共和党が上下両院を制すれば、減税延長期待が高まり、金利上昇見通しを後押しする可能性がある。民主党が圧勝した場合は、「2020年より前の財政政策を変えることはできないが、それ以降の軌道に関する見通しが変わるだろう」とマイケル・ジーザス氏ら同行ストラテジストらは5日付のリポートで分析。「この変化は、話題が金利上昇から離れることにつながり、株式市場がここ数週間受けていた圧力を短期的に緩和する」と付け加えた。
株式
ゴールドマン・サックス・グループのベン・スナイダー氏らストラテジストは6日付のリポートで、米株式相場は通常、中間選挙後に堅調になるが、政治的不透明感の後退や財政政策の緩和といった典型的な原動力が現在の政治環境では作用しにくい可能性があると指摘。「中期的には、リスク調整後の株式リターンは低いという基本的見方を戦略的に継続する」と述べた。
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iQLNb7Z_lG4s/v1/-1x-1.png
ノーベル経済学賞受賞者のロバート・シラー氏は、中間選挙が大統領の成長促進の姿勢に挑戦する形となっており、市場は一段と売り込まれる恐れがあると6日にコメント。今は「恐れと混乱」のムードにあると指摘した。
金融株については、選挙結果がどうなろうと、好調になる可能性がある。カウエンのジャレット・サイバーグ氏は、議会審議の行き詰まりは銀行規制当局が既存規制の緩和案を引き続き進めることを意味すると述べ、同社は政策の観点から、地銀を中心に金融セクターに前向きな見方を取っていると説明した。
株式投資家が米中間選挙を控えて注目するのはこの6業種
金利
ゴールドマンのストラテジストによると、民主党が上下両院を制した場合、財政刺激策の見通しが後退するため、米国債利回りは低下する一方、共和党が圧勝した場合は財政刺激策の可能性が高まり、規制の不確実性が低下するため利回り上昇につながるという。
ソシエテ・ジェネラルのストラテジストらは、中間選挙でねじれ議会の結果となった場合は特に、弱気バイアスの取引が続くだろうと予想。「2016年大統領選挙の後、リスクオンのセンチメントが市場に広がり、株価と債券利回りの急上昇が見られた。(民主党が下院を制して、共和党が上院で多数派を維持するシナリオでは)かなり小さな規模ではあるが、市場で逆の反応が見られる可能性がある」と分析した。一方、民主党圧勝なら「高リスク資産により長期的な影響が及び、金融状況が引き締まる可能性があり、投資家は債券の安全性に注目する」が、共和党が圧勝の場合は「リスクテイクが再燃する中」、債券利回りは上昇するだろうとの見方を示した。
原題:Market Guide to the Midterms: What Goldman, SocGen Are Watching(抜粋)
最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
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https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-07/PHSR9Q6TTDS001?srnd=cojp-v2
米副大統領、中国助ける時代「終わった」 融和路線転換
2018/11/2 2:00
日本経済新聞 電子版
ペンス米副大統領による中国政策に関する演説が米中関係に波紋を広げている。中国による知的財産権の侵害や軍事的拡張、米国の内政への干渉を公然と非難、両大国が覇権を争う対決の時代に入ったことを印象づけた。チャーチル英元首相がソ連を批判した「鉄のカーテン」演説に匹敵し、「新冷戦」の始まりを告げたとの見方も外交専門家に浸透しつつある。
演説するペンス副大統領(10月4日、ワシントン)=AP
10月4日、ペンス氏が保守系シンクタンク、ハドソン研究所で披露した演説は経済問題に限らず、政治、軍事、人権問題まで多岐に及び、トランプ政権の対中政策を体系立てて示す包括的な内容となった。
「北京は『改革開放』とリップサービスを続けるが、ケ小平氏の看板政策も今ではむなしく響く」
経済的に豊かになれば国民は政治的な自由を求め、やがて中国にも民主主義が広がる――。米国の歴代政権はこうした立場から「関与(エンゲージメント)政策」を推進し、2001年には中国の世界貿易機関(WTO)加盟も容認した。だが世界第2の経済大国となった後も、中国で政治的自由化が進む気配はない。
むしろ習近平(シー・ジンピン)指導部の下で統制は強まり、民主化の火は消えかけている。台湾の外交的孤立を図るなど、自らの戦略的利益を追求する姿勢も強まる一方だ。ペンス氏は米国が中国に手をさしのべてきた日々は「もう終わった」と断じた。
トランプ政権が対中政策の転換に踏み切るのは、国家資本主義という異質なルールに依拠した大国が経済・安全保障の両面で米国の覇権を脅かす存在となりつつあるからだ。
「中国共産党は関税や為替操作、技術の強制移転、知的財産の盗用、あめ玉のように配る産業補助金など、自由で公正な貿易に反する政策を多用してきた」
ペンス氏は米国の対中貿易赤字が3750億ドル(約42兆円)に膨張したのは、中国の不正なやり口で米国の製造業が犠牲になったためだと説明した。盗んだ民間技術を軍事転用するなど、安全保障上も脅威になっていると強調した。
「中国はほかの全アジア諸国を合わせたのと同じくらいの軍事費を投じ、陸・海・空で米国の優位を侵食しようとしている」
南シナ海での人工島や軍事基地の建設は「軍事化の意図はない」としていた習氏の約束と異なると非難、米軍は「航行の自由作戦」から撤退しないと宣言した。広域経済圏構想「一帯一路」も「借金漬け外交」と断じ、周辺国への影響力拡大を懸念した。
「中国は他に類を見ない監視国家を築いた。米国の技術の助けを借りて拡大し、侵略的になっている」
キリスト教福音派の支持が厚いペンス氏は、中国の人権問題も取り上げた。中国のインターネット検閲システムは自由な情報へのアクセスを妨げていると批判。中国向け検索アプリを開発するグーグルを名指しして計画の中止を求めた。キリスト教徒や仏教徒、イスラム教徒を弾圧し、他国にも抑圧を広げようとしていると警戒感を示した。
中国が「核心的利益」と位置づける台湾問題でも「我々の政権は『一つの中国』を尊重し続けるが、民主主義を奉じる台湾の方が全中国人により良い道を示している」と踏み込んだ。
「中国は(トランプ氏とは)別の米大統領を望んでいる」
米情報機関から得た話として、中国は米国の選挙に影響を及ぼそうと政府当局者や産業界、学界、メディアに働きかけを強めていると指摘。ロシアの選挙干渉より大規模だと断じた。
ペンス氏は「中国の指導者は改革開放の精神に戻ることはできる」と対話の可能性を示して演説を締めくくったが、最後まで対中批判のボルテージを下げることはなかった。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37243610R01C18A1M11000/
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- カルチャーの変化を告げる米国中間選挙 中韓と距離を置くとき日本は繁栄する 韓国のあきれた徴用工判決に米国でも批判が噴出 うまき 2018/11/07 18:45:21
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