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年金「211万円の壁」のカラクリ 受給額減らして得する「逆転の発想」
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181010-00000003-moneypost-bus_all
マネーポストWEB 10/10(水) 16:00配信 週刊ポスト2018年10月12・19日号
年金収入「211万円の壁」が生む天国と地獄とは
安倍政権は、年金支給開始年齢を「65歳」から「68歳」に引き上げるための地ならしを進めている。さらにその先には「70歳」への引き上げも検討されている。そうした年金改悪に、国民はどう対抗すべきなのか。
本誌・週刊ポスト(8月17・24日号)で報じた「年金収入211万円の壁」は年金のスペシャリストである社会保険労務士の間でも反響を呼んだ。ある社会保険労務士が打ち明ける。
「記事は、年金収入が211万円を少しでも上回るかどうかで老後の明暗がくっきり分かれるという内容でした。『高齢者こそ年金を減らそう』というポストさんの提言に“その手があったのか”と社労士仲間の間で話題になりました」
「211万円の壁」のカラクリを改めて紹介する。最大のポイントは「住民税」の有無である。
年金暮らしの場合、年金収入の額で、住民税が課税されるか、課税されないか(非課税)が決まる。65歳以上で扶養家族が妻1人の場合、年金収入が年211万円以下(月額約17万6000円以下)ならば住民税が非課税となり、それより収入が多ければ課税される。
税理士でファイナンシャルプランナーの犬山忠宏氏が指摘する。
「年金収入が211万円以下の非課税世帯になると住民税がゼロになるだけでなく、様々な面で金銭的な恩恵を受けられます。中でも、社会保険料の負担が減ることが手取り収入に大きく影響します」
年金収入が211万円のAさんと、年金収入が212万円のBさん(ともに妻と2人暮らし)を比べると、違いは歴然だ。
Aさんの社会保険料は年間18万7000円で、これを差し引いた手取り年収は192万3000円。
一方、Bさんの社会保険料は年間28万3200円で、手取り年収は183万6800円。1万円だけ年金を多くもらうBさんのほうが、手取り年収が約10万円も少なくなるのだ。
住民税ゼロ、医療費半額
住民税非課税世帯には、この他にも老後生活をサポートする様々な特典がある。
医療面では、通常は2割負担である医療機関の自己負担額が1割になる。長期間入院などで医療費がかさむ場合は「高額療養費制度」を利用すれば、70歳以上で住民税非課税世帯だと自己負担額の上限が月2万4600円となる。年金収入が1万円多い課税世帯の場合は5万7600円に跳ね上がるので、倍以上の差だ。
また65歳以上の介護サービス利用者で住民税非課税世帯だと、「高額介護サービス費」の利用で自己負担の上限が月2万4600円になる。自治体によってはインフルエンザの予防接種が無料になったり、公共交通機関が割引される。
このように至れり尽くせりの「無税生活」だが、サラリーマンOBは年金収入が211万円を上回る人が少なくない。そもそもこの「壁」は、非課税世帯を増やしたくない政府が絶妙なさじ加減で設定したからだ。
「年金を減らして得する」新発想
そこでこの壁を防衛する“裏技”となるのが、年金の「繰り上げ受給」である。
通常65歳から始まる年金受給は、受給開始を1か月繰り上げるごとに受け取る額が0.5%減額される。
そこで65歳時の受給額が220万円ならば64歳3か月から繰り上げ受給すれば、65歳からの年金収入が210万円になる。同様に230万円なら63歳7か月、240万円なら62歳11か月から年金をもらい始めれば、年金収入が210万円になる。
多くの人は老後のために年金を「増やす」ことばかり考えるが「減らす」ことで住民税非課税となれば、多くの果実を得られる。まさに逆転の発想である。
年金の支給開始を引き上げ、年金生活者から税金を搾り取ろうとする政策に対抗するには、自らの年金を減らして無税になるという考え方も必要になってくる。
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