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世帯年収1100万円で毎月赤字の犯人は妻 食費月10万円、共働きの意味なし
https://president.jp/articles/-/26241#cxrecs_s
2018.9.30 PRESIDENT 2018年1月15日号
家計改善の近道はなにか。第一歩は「支出を減らすこと」だが、節約ばかりでは人生を楽しめなくなってしまう。なにを削り、どこを守ればいいのか。3人の「マネーのプロ」に、実際の家計簿をみてもらって、対策を聞いた。第4回は年収1100万円で「老後不安が裏目に。過剰な投資が家計を圧迫」という金戸家のケースについて――。(第4回、全4回)
※本稿は、「プレジデント」(2018年1月15日号)の掲載記事を再編集したものです。
節約したいなら、週ごとにお金を管理
金戸家は妻のパート代と合わせ、世帯年収1100万円と高収入にもかかわらず、毎月の収支がなぜか赤字。貯蓄も年収の割には少なく、たった350万円しかない。3人の子どもたちは、まだ教育費もかかる時期であり、抜本的なテコ入れが必要なのは明らかだ。
問題点は2つある。1つは、妻の買い物に計画性がないため、日々の生活費がかさんでいること。その証拠に毎月10万円近くが食費に消える。いくら5人家族とはいえ、もう少し抑えられてもいい。
妻は家計のやりくりに興味がないわけではない。むしろ逆で、雑誌のマネー特集を熱心に読んではノウハウを取り入れようと意欲だけは高い。ところが、いまひとつ成果が出ないのは、何にいくら使っているのかを把握できていないため。横山氏が見たところ、「一応予算の割り振りは考えているが、予算分けの意味がなくなってしまっている。大雑把な性格も手伝ってか、各費目で予算が不足したり余ったりして、費目間でお金が行き来している」という状況だ。
横山氏のアドバイスは、月ごとではなく、週ごとにお金を管理すること。数え切れないほどの家計を見てきた経験から、「ポンと10万円渡されて、1カ月間、これでやりくりするように言われても、うまく使える人はせいぜい1、2割」だという。実は横山氏自身も週ごとの管理法を取り入れている。「食費や日用品などの生活費は、1週間2万円と決めています。万一足りない場合、翌週から『前借り』もありますが、必ず翌週で帳尻を合わせます」。月単位では大雑把すぎ、でも1日単位で管理しようとすると煩雑になる。経験上、週単位がちょうどいいのだという。
これで日常的な生活費は改善が見込めるとして、家計全体を抜本的に改めるには、やはり固定費の見直しが必要。とくに、老後の不安を過大視して、保険や財形などに手を出しすぎていることが、金戸家の2つ目の問題点だ。
複数の保険に計7万3000円も掛けているほか、iDeCoや財形貯蓄も行っている。「『いったん先取りタイプ』と呼んでいるのですが、近ごろこうした方が増えています。将来への不安が先に立ち、家計の実態を把握しないまま、保険や財形に多くを回しすぎている典型的なケースです」(横山氏)。
金戸家の場合
●家族構成:夫 53歳 販売、妻 52歳 パート、長男 19歳、次男 17歳、長女 12歳 ●年収(額面):夫 1040万円、妻 60万円(うちボーナス 夫 60万円) ●貯蓄額:350万円
定年後の資金づくりのしすぎで赤字家計に。iDeCo、財形、個人年金保険、学資保険など先取りの制度を利用して貯蓄。そのため手持ちの貯蓄が少なく、何かイレギュラーに大きな出費がかかるときは財形を取り崩したりしている。
加谷氏も「個人年金保険はやめましょう。掛け金、運用益非課税になるiDeCoのほうが節税メリットは大きい」と指摘。午堂氏は、「財形を減らした分、奥さんもiDeCoに入れば節税にもなる」と提案。「iDeCoのなかで投資信託を選べるため、別途、証券会社に口座を開く必要はなく手数料も割安。60歳まで引き出せないので、確実に老後資金になります」
余ったお金はすべて投資に回してもいい
固定費の2つ目、自動車について午堂氏は、単にガソリン代を減らすのではなく、むしろ収益源とする手を教えてくれた。「年収の高い人の場合、週末にちょこっと乗るだけなのに、かなりの高級車を持っていることもある。そうした場合は、個人間でクルマをシェアする『Anyca(エニカ)』のようなサービスに登録するといい」。Anycaが公表するデータでは、自分が乗らないときに貸し出すだけで、月平均2万5000円ほどの収益になっているそうだ。「都市部に住んでいるなら、クルマを手放すという選択肢もある。そうすれば、今度は空いた駐車場を『Akippa(あきっぱ)』といったサービスを介して人に貸し出すこともできる」。流行りのシェアリングエコノミーをうまく活用すれば、「コスト」を収入に変えることができるのだ。
こうして抑えるべきところを抑えて余裕が出たら、「もっと積極的に投資したほうがいい」と加谷氏はアドバイス。「投資は元手の額の大きさと投資期間でリターンが決まるため、年収に余裕がある人は圧倒的に有利。余分な支出を減らして、余った分はすべて投資に回してもいい」と背中を押す。
投資の中でも、午堂氏はとくに不動産を推す。「とくにお勧めなのは、自分の住まいと賃貸物件を兼ねる賃貸併用住宅。たとえば、2階建ての住宅のうち、自分は1階に住み、2階は人に貸し出すといった形です。家賃収入でローンの返済が相殺できるので、住居費は大きく削減できる。定年退職時に完済するよう設定できれば、退職後は家賃収入が全額入ってくるようになる。年金に加えて家賃収入が見込めれば、さほど苦しくない老後になるでしょう」。この手法は午堂氏自ら千葉県流山市に賃貸併用住宅を構え、実践中だそうで、おトクさはお墨付きだ。
加谷珪一
経済評論家
日経BP社、野村証券系投資ファンド運用会社を経て独立。億単位のお金を動かす個人投資家としても知られる。
午堂登紀雄
投資コンサルタント
米国公認会計士、不動産コンサルタント、個人投資家、ビジネス書作家。33歳で資産3億をつくる。
横山光昭
家計再生コンサルタント
マイエフピー代表。ファイナンシャルプランナー。代表著作は55万部を超えるベストセラーに。
(撮影=大沢尚芳、小原孝博 写真=iStock.com)
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