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トランプ政権の対日貿易への不満が高まると日銀の利上げが早まる理由
https://diamond.jp/articles/-/181005
2018.10.4 加藤 出:東短リサーチ代表取締役社長 ダイヤモンド・オンライン
自由民主党の総裁選挙において、石破茂元幹事長(左)を破り、3選を果たした安倍晋三首相 Photo:Rodrigo Reyes Marin/Aflo
安倍晋三首相の発言が波紋を広げている。自由民主党の総裁選挙中、日本記者クラブで9月14日に行われた石破茂元幹事長との討論会において、日本銀行の異次元金融緩和策の出口に言及したのだ。この発言の真意はどこにあったのだろうか。
首相の発言を聞き直すと、報道のヘッドラインとは異なる印象を受けた。記者から「日銀はGDP(国内総生産)並みの国債を持つようになったが、こんな不正常な政策を次の政権に引き継ぐ無責任なことをするのか」と聞かれたので、首相は「ずっとやっていいとは全く思っていない」と答えた。
他方で首相は、この5年半の黒田東彦・日銀総裁による異次元緩和の効果を高く評価していた。現状についても「やっと給与が上がってきて、消費もだんだん持ち直している」と、「黒田緩和」を含むアベノミクスの功績を強くアピール。この流れが今後も続いて日本経済がさらに良くなれば、首相在任中に出口に進むことができる、といった趣旨の説明だった。
そして、異次元緩和の副作用には特に言及しなかった。つまり、安倍首相は日銀が出口に向かうことに力点を置いたのではなく、出口に行けるような経済状況の実現が重要と説明していた。そのため、この発言が日銀の目先の政策に影響を与えることはないだろう。
とはいえ、この日の首相の発言には非常に興味深いものもあった。「(インフレ率)2%の物価安定目標を数値として目指していくが、その目的は雇用を良くしていくことにある」という発言だ。2%へのこだわりがさほど強くないならば、雇用や景気を減速させない範囲で日銀が金融政策を微調整することはいずれ可能となるだろう。
ただし、2019年は統一地方選挙と参議院選挙が重なる12年に1度のいのしし年。この「亥年効果」は、これまで自民党に不利に働いてきた。4月の統一地方選で地方組織が疲弊すると、7月の参院選で地方の応援力が低下するためだ。07年の参院選で安倍政権の自民党は大敗、1995年も苦戦した(「日本経済新聞」7月23日)。
もし「亥年効果」等々によって参院選で自民党が議席を想定以上に失うと、石破氏が自民党総裁選で地方票を45%獲得したこともあって、安倍政権がぐらつくリスクが出てくる。そのため、政権幹部はこれから来年7月にかけて、選挙にネガティブとなる材料は極力排除し、ポジティブな材料はできるだけ取り込もうとするだろう。
日銀の次の一手は、金利水準の小幅引き上げと思われる(ただし、それは出口政策ではなく、副作用対策としての微調整)。しかし、円高や株安を招き得る金利引き上げを選挙前に日銀が実施すれば、政権は喜ばないだろう。
日銀自身、7月に導入したフォワードガイダンス(政策の指針)で、来年10月の消費税率引き上げの影響を考慮すると言っている。オーソドックスに推測すれば、日銀の利上げは19年末を挟んだ時期(12月か翌年1月)と考えられる。
それより早まるケースは、多少の円高はかえって選挙に有利だと政府が判断する場合だろう。原油価格の高騰による国内のエネルギー価格上昇に有権者の不満が募ったり、米トランプ政権の対日貿易赤字へのいら立ちが高まったりする場合は、日銀の微調整で若干の円高になるのは好都合となる。
逆に世界経済に早期失速の懸念が表れた場合、日銀の利上げは瞬時に「絵に描いた餅」となる。それだけに、米国発の貿易戦争などのリスク要因には注意が必要だ。
(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
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