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50代前半で早期退職できる人、できない人の決定的な違い
https://diamond.jp/articles/-/180866
2018.9.30 深野康彦 ダイヤモンド・オンライン
早期退職のカギは総資産以上に「住居費」と「生活費」が握っています Photo:PIXTA
一時期、早期退職に関する相談が相次ぎました。最近ようやく件数は減ったものの、早期退職に関する相談は今でもポツポツ来ています。
その理由はさまざまですが、どちらかといえば会社での人間関係などに端を発して早期退職に至るケースが多く見受けられます。つまり、諸外国のような新たな人生を踏み出す「前向きなセカンドライフ(ハッピーリタイアメント)」ではなく、「やや後ろ向きな早期退職(アンハッピーリタイアメント)」という印象が強いのが気になるところです。
早期退職に至る要因はさておき、早期退職のカギは「住居費」と「生活費」が握っていると言っても過言ではありません(もちろん早期退職時点の資産額もカギの1つですが…)。そこで今回は、筆者の元に早期退職の相談に来たYさんとKさんの例を挙げながら、どんな人であれば早期退職が可能かどうかを探ることにしましょう。
50歳を超え、役職定年になり閑職へ
やる気をそがれて「早期退職」を検討
Yさん、Kさん共に、年齢は50歳を少し超えたところ。ピーク時の年収は1000万円を上回っていましたが、相談時には1000万円を下回っていました。妻は共に専業主婦ですが、Kさんの妻はパートをしていました。また、Yさん、Kさん共に2人の子どもがいるものの、教育費のメドは立っていることから、実質的な教育費負担は終わっている状況です。
偶然というのは重なるもので、会社は異なるものの2人とも役職定年となって部署が変わり、閑職に近い扱いになったことですっかりやる気をなくしていました。年下の上司に仕えるのもやる気をそがれた要因の1つといえるでしょう。そして、やる気をそがれたことも影響したのか、最近では少々体調が芳しくなく、かつ転職する気力もないことから、早期退職できないのかと相談に来たようでした。閑職に近い扱いとはいえ、一時期はやった「追い出し部屋」のような部署に配属されているわけではないようです。
結論から言えば、Yさんは早期退職が難しく、Kさんは早期退職が可能という見立てになりました。以下からは、その違いを見ていきましょう。
金融資産+退職金=8200万円
それでも早期退職をおすすめできないYさん
Yさんは、金融資産を7000万円前後保有しており、退職金に関しても約1200万円の支給が予定されているなど、50代にしては潤沢に資産を保有していました。ただし、マイホームを購入したのが40代後半だったことから、相談時点で住宅ローンの残高が約2800万円もありました。現在の資産を維持した状態で早期退職時に一括返済すると、退職金を含む金融資産額は5400万円になります。50代で債務0円の一方、5400万円も金融資産を保有できているのはかなり優秀といえますが、Yさんは生活費が高いことがアダになりそうでした。
ここで仮にYさんの年齢を53歳としましょう。Yさんが公的年金を受け取れるのは65歳から。年金の受給予定額は夫婦合わせて年額約215万円、1ヵ月に換算すれば17.91万円になります。早期退職する割にはそれなりの金額といえますが、年金を受け取るまでに12年もあります。
一方で、現在、夫婦2人の生活費はおおよそ月35万円、年間420万円であることから、早期退職して働かなかった場合、金融資産は13年間で底をつくことになります。公的年金を繰り上げ受給する手もありますが、60歳からの受給だと65歳時の70%になってしまいます。Yさんの場合は約12.53万円となり、70%水準の額が一生涯続くことになるわけですから、老後はかなり厳しい結果になると考えられるわけです。
そこでYさんには気の毒ですが、早期退職は難しいことをお伝えする一方、実現するための処方箋を出しました。2年後に早期退職する目標を立て、夫婦2人の生活費を段階的に減額して最終的に25万円にすることを提案したのです。具体的には1年後までに5万円、2年後までに10万円を減らすという案です。
これが実現できれば、月10万円、年間120万円の減額となり、55歳から10年間(65歳)で1200万円の節約に。教育費のメドが付いているのですから、同時に今後2年間で500万円の貯蓄(年間250万円)を行えば、合計で1700万円の金融資産を確保できます。また、早期退職後は、2年間は完全リタイアで構いませんが、57歳からはアルバイトあるいはパートに出て、夫婦それぞれが年間100万円を将来のために確保するようにするのです。
57歳から65歳までの8年間、2人がアルバイトで稼いだ100万円を貯蓄に回せば、さらに1600万円の貯蓄の上乗せになります。ただし、早期退職後の教養・娯楽費も必要と考え、1200万円を目標とすることを提案しました。
提案通りに行けば、Yさんは65歳時点で2900万円の金融資産を保有していることになります。生活費が月25万円以下に収まっていれば、受給する年金が17万円台ですので、月約8万円、年間96万円が不足額になります。そこで、仮に収支を一定とすれば、約30年(95歳)まで年金と金融資産や貯蓄を取り崩せば問題ないだろうとお伝えしました。
もちろん、将来的な公的年金の減少、物価の上昇、あるいは老後の楽しみのための費用を考慮していないため、実際はもっと多額の資金が必要になりますが、最低限の目標としてYさんには納得してもらいました。
そして念願の早期退職をしたYさんは、自由になる時間を持て余し気味になっているようで、もともと2年を予定していた完全リタイア期間を1年前倒しして働き始めようかと思案中です。余談になりますが、多額の金融資産は相続で受け取ったもの(相談の約半年前)が多く、かつ住宅ローンの繰り上げ返済は面倒で行っていなかったとのことでした。
金融資産+退職金で2500万円
早期退職のカギは「生活費」「終身保険」
一方のKさんは、金融資産は退職金を含めて2500万円とYさんよりも大幅に少ない状態でしたが、先に述べたように早期退職が可能と判断しました。Yさんとの違いは、住宅ローンが既に完済していること、生活費が非常に少ないことです。Kさんの生活費は、子どもが社会人になる年(相談のあった翌年)からは月18万円〜20万円に収まる予定とのことでした。
仮にKさんの年齢もYさんと同じく53歳としましょう。生活費を月20万円とすれば、年間240万円、公的年金を受け取り始める65歳まで12年間の合計は2880万円となり、金融資産額の2500万円をオーバーしてしまいます。しかし、Kさんの妻がパートに出ており、その収入は年間手取り額80万円程度ありました。つまり、12年間では合計960万円となり、保有する金融資産で不足する380万円を十分カバーすることができ、かつ580万円も余る計算になります。
さらに、Kさん自身も早期退職後、1〜2年ゆっくりしたらアルバイトなどで妻と同程度の収入を得る予定でした。2年後から働くとすれば、65歳までに800万円確保できます。妻の分と合わせて1380万円になりますが、Kさん夫婦は早期退職後、日本各地をのんびり旅行したいという希望がありました。旅行費用を年間60万円と見積もれば、12年間で720万円が必要となり、金融資産は660万円まで減少することになります。
65歳時の金融資産額は660万円で大丈夫か?と思われるかもしれませんが、Kさんは実のところ、別途多額の金融資産を保有していました。Kさん夫婦は、投資は怖いというイメージがあったことから、老後の準備として予定利率が高いときにせっせと個人年金保険や一時払い終身保険などに加入していたのです。
相談にこられた時には、個人年金保険などは全て既に払い済みになっており、その受取総額は3500万円になっていました。3500万円のうち、個人年金保険の終身年金タイプは「保証期間」だけで受取額を計算しているので、長生きすればするほど受取総額は多くなります。
Kさん夫婦はできれば70歳前後まで働き、公的年金は繰り下げ受給をしようと考えています。繰り下げ受給をすれば、70歳以降の生活費は全て公的年金だけで賄うことができ、十分おつりが出る計算になります。80歳まで旅行費用を毎年60万円使ったとしても、同時点では2500万円前後の金融資産が残っているはずです。子どもの結婚時に300万円程度の費用を負担し、かつ、お孫さんのためにいい顔をしても十分事足りることでしょう。
今回は、Yさん、Kさんを例に早期退職にまつわる状況を簡単に述べましたが、早期退職の肝は住宅ローンの有無と生活費がカギになることがおわかりになられたと思います。
30代、40代で早期退職の相談に来られる人もいますが、共通するのは生活費が極端に少ない一方、社会とのつながりを遮断してしまう人がいることです。一種の「引きこもり」とも考えられますが、30、40代の方からの相談では社会から隔絶しないように、数年後にはアルバイトなどを行って、社会とのつながりは必ず確保しておくようにしていただきたいとお伝えするようにしています。
(ファイナンシャルプランナー 深野康彦)
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