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マイクロソフトが2015年以降さらに急成長を遂げた本当の理由(ダイヤモンド・オンライン)
http://www.asyura2.com/18/hasan128/msg/629.html
投稿者 赤かぶ 日時 2018 年 9 月 29 日 21:26:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 

マイクロソフトが2015年以降さらに急成長を遂げた本当の理由
https://diamond.jp/articles/-/180862
2018.9.29 情報工場  ダイヤモンド・オンライン


マイクロソフトが成長を続けられる理由とは? (c)Microsoft.com


視野を広げるきっかけとなる書籍をビジネスパーソン向けに厳選し、ダイジェストにして配信する「SERENDIP(セレンディップ)」。この連載では、経営層・管理層の新たな発想のきっかけになる書籍を、SERENDIP編集部のシニア・エディターである浅羽登志也氏がベンチャー起業やその後の経営者としての経験などからレビューします。

20年間時価総額トップ10に
入り続けるオンリーワン企業


 突然だが、皆さんは自分の会社の「ミッション」をご存じだろうか? 知っている人は、日々それを意識しながら仕事をしているだろうか? 

 ミッションとは、その企業が果たすべきと考える使命であり、存在意義だ。多くの場合、創業者や経営トップの理念が表現される。

 例えばグーグルのミッションは「世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること」だ。

 また、アマゾンのミッションの1つは「地球上でもっともお客様を大切にする企業であること」。

     
マイクロソフト 再始動する最強企業』 上阪 徹 著 ダイヤモンド社 1600円(税別)

 このようにミッションが明確に示されていれば、各々の従業員はそれに沿って自らの行動を判断できる。そうすれば、結果として会社全体が同じ方向に進めるはずだ。ミッションは企業が成長する原動力になるのだ。

 そのことは、グーグルやアマゾンのさまざまな事業展開を上記のミッションに照らしてみれば納得できるだろう。

 しかし、それぞれの企業を取り巻く環境や、おかれた状況は不変ではない。であるならば、ミッションもそれらに従い変えていかなければならないのではないか。

 本書『マイクロソフト 再始動する最強企業』を読むと、そうした、状況に合わせた「ミッションの更新」が、長期的、持続的に成長するのに重要であることが実感できる。

 本書でリポートされるのは、言わずと知れたIT巨人の1つ「マイクロソフト」によるこれまでの改革、そして未来に向けての戦略だ。およそ20年前に世界最大のソフトウェア会社の地位を確立した同社が、さらなる成長をめざして、どのように生まれ変わろうとしているのかを、従業員などへのインタビューを元に明らかにしている。

 著者の上阪徹氏は、早稲田大学商学部卒業後、ワールド、リクルート・グループなどを経て1994年に独立、フリーランスに。これまでの取材人数は3000を超えており、経営、金融、ベンチャー、就職といったテーマで、雑誌や書籍、webメディアなどに幅広く執筆している。

 マイクロソフトは、ご存じのように、WindowsやOfficeといったPC向けのソフトウェアライセンス販売で大成功した会社だ。

 しかし、その後のクラウドやスマートフォンへの対応に関しては、グーグルやアマゾンに後れをとったと感じている人も多いだろう。

 実際、アマゾンやグーグルがクラウドサービスを開始したのは2006年。マイクロソフトのクラウドサービスがリリースされたのは、2010年からだ。

 そうしたイメージから、マイクロソフトは全盛期を過ぎた、やや時代おくれの会社とみなす向きもある。「終わった会社」と言い切る人までいるようだ。

 一方で上阪氏は「日本ではマイクロソフトという会社が本当の意味で理解されていないのではないか」と指摘する。

 例えば、マイクロソフトが過去20年間常に時価総額ランキングのトップ10内に名を連ねているのを知っているだろうか。これほどの超優良企業は、なかなかない。

 しかも2015年秋には、創業40年目にして株価最高値を更新。さらにそれ以降も上昇し続け、2018年6月には、2015年秋時点の約2倍に達している。現在の時価総額はグーグルの持ち株会社であるアルファベットを抜き、世界第3位だ。

 つまりマイクロソフトは、終わった会社どころではない。むしろ20年もの間、持続的に成長を続けてきた「最強企業」なのだ。

 では、この「最強企業」が掲げるミッションを見てみよう。 

CEOが代わるたびに
ミッションも更新するマイクロソフト


「すべてのデスクと、すべての家庭にコンピュータを」。これが創業者のビル・ゲイツ氏が1980年代に掲げた、マイクロソフトのミッションだった。

 このミッションに沿って事業が進められた結果、パソコンをより使いやすくするWindowsや、ビジネスツールとしてのOfficeが生まれた。

 そして、2000年にCEOをゲイツ氏から引き継いだスティーブ・バルマー氏は、ミッションを「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を、最大限に引き出すための支援をすること」へと変える。ゲイツ氏のミッションは、その時点でほぼ実現していたからだ。

 バルマー氏は、新たなミッションのもと、法人をターゲットとする事業にフォーカスを定める。その結果、同氏は2014年に退任するまでに売り上げを3倍、利益を2倍に押し上げるなど、マイクロソフトの「中興の祖」として、その成長に大きく貢献した。

 さらにバルマー氏は、退任する2年前から「自分たちはチャレンジャーである」というメッセージを打ち出し始める。

 バルマー氏は、成功を手中に収め、大企業になった自社が「守り」に入りかねないことに危機意識を持っていたのだ。社内組織の間の壁が高くなるなど、いわゆる「大企業病」に陥ろうとしている現状がそこにあった。

 そこで彼は「One Microsoft」というスローガンのもと、組織間でさまざまなコラボレーションが起こりうる制度や職場環境の整備を行っていった。

 こうしてバルマー氏がお膳立てした変革への流れは、2014年就任の新CEO、サティア・ナデラ氏に引き継がれる。

 バルマー氏同様、ナデラ氏も就任直後、ミッションの変更に取り組んだ。

 新しいミッションは「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」だ。

 これまでのものと比べると、格段にスケールは大きい。だが、新技術をどんどん取り入れてイノベーションを起こすという方向性が見えやすくなっている。

 そして、この新ミッションのもと、マイクロソフトは2015年からさらなる急成長を始めたのである。

AIとMRで世界中の人や組織が
「より多くのことを達成」できるように


 本書によると、WindowsやOfficeといったマイクロソフト製品を、今では1日あたり1億人以上のユーザーが使っている。

 さらに、マイクロソフトのビジネスの8割は法人向けだ。特にOfficeのクラウド版であるOffice365などは、日経平均銘柄企業の実に8割以上が使っているほど、大企業に普及している。

 これらの成果は、同社が創業以来の40年間、歴代CEOそれぞれのミッションを皆で実現しようと努力してきた賜物だろう。

 それでは現CEO、ナデラ氏のミッションは、同社をどこに向かわせようとしているのか。

 例えば、今やどのIT企業も、AIをいかに活用するかを模索している。AIの活用においては、データ収集がカギとなる。

 その点、マイクロソフトほど大量のビジネスユーザーのデータをクラウドに集められる企業は他にない。明らかに有利なポジションにあるのだ。

 あまり一般に認識されていないようだが、実はマイクロソフトは、過去25年もの間、AIの研究を続けている。

 現在社内には8000人以上のAI研究者がいる。彼らは、AIを活用して、開発途上国で農業収穫量を3割上げる方法や、がん細胞や腫瘍を見つけ出し治療の成功率を高める方法などを探究しているそうだ。

 また、ビジネス面でのAI活用としては、生産性分析ツール「MyAnalytics」が画期的だ。Office 365の一部として提供されているものだ。

 MyAnalyticsは、ユーザー自身が、何にどれだけの時間を使っているかを可視化する。そして、それの詳細な分析と働き方の提案がAIによってなされ、リポートとして毎週自動で送られてくる。

 例えば、会議中にひんぱんにメールを読んでいると、「この会議には出席しなくてもいいのでは?」というように改善を示唆してくれるのだそうだ。

 MyAnalyticsについては、日本マイクロソフトが社内で実証実験を行った。その結果、大幅な業務改善ができることが判明。社員2000人規模の会社であれば、1年間で約7億円ものコスト削減ができる計算だという。

 また同社は、MR(Mixed Reality:複合現実)の研究でも先導的な役割を果たしているようだ。MRとは、リアルな世界に、デジタルな仮想現実をミックスし、これまでにない新しい世界を作り出す技術だ。

「HoloLens(ホロレンズ)」と呼ばれるデバイスを頭部に装着すると、現実世界の中にホログラムの立体画像が現れる。これにより、これまで困難だったさまざまな活動をサポートする実験が行われている。

 どうだろう。これらのAIやMRは、世界中の人や組織に「より多くのことを達成」させるのではないだろうか。ナデラ氏がミッションで描いた未来が近づいてきていることがわかるのではないか。

 新たなミッションに向かうマイクロソフトとそのプロダクツのこれからの成長をワクワクしながら見守りたい。

(文/情報工場シニアエディター 浅羽登志也)


 

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